TBS『報道特集』元編集長・曺琴袖さん

――そこでわかったのはラッキーでしたね。ただ、仕事に家事育児、そこに治療まで加わるとなると、仕事の負担を減らさざるを得なかったのでは?

曺:実は、出産後に離れていた報道部に戻ったきっかけが、乳がんだったんです。2019年、慣れ親しんだ『報道特集』にディレクターとして戻りました。情報番組ではプロデューサーとして人を管理していましたし、徹夜も多かったのですが、ディレクターなら自分でスケジュールの采配ができるからと、上の人が善意で戻してくれたんです。
ただ、その翌年に結局、編集長になってしまい……(苦笑)。

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病気でも仕事のチャンスを与えてくれる環境

――編集長に就任した当時も乳がんの治療中だったのですよね?

曺:病気のことは公表していましたが、病気をしたからマイペースで働ける職に置くという考えと、病気をしても仕事のチャンスを与えるんだという2通りの考えがありますよね。私を編集長に推してくださった方は、後者の考えだったのだと思います。

――報道の仕事と、家事育児、そこに治療まで加わり、どのように回されてきたのですか?

曺:編集長になったのは娘が中学校に入った年で、もう親を必要としないタイミングでもありました。私がいないほうが自由にできていいみたいです。そこで、子どもを残していけないという後ろ髪が完全に断たれましたね(笑)

あと、私はもともと会社にあまり遅くまで残らないほうなんですよ。最近は兵庫県知事選をめぐる問題の報道があまりに大変で、それができていないんですが、家でできることは家でしています。例えば、本来は夜7時には会社を出て、7時半に家でTBSのニュースを見るという習慣でしたが、どんどんそれができなくなってきています(苦笑)。

――現在は完治されているのでしょうか?

曺:今も毎日薬を飲んでいますし、3ヵ月に1度は検査を受けています。ただ、薬の副反応にも慣れ、苦痛に感じることはありません。

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