おはようございます、枚方市のスターバックスから杉本です☆
時が満ち、旅に出ます。
◆ほんの3日前に。
私の内側に住むものが、「旅に出よう」とささやきました。
ほんの3日前のできごとです。
あまり大っぴらにはしていないのですが、今年のはじめから鬱を患っていまして。
この数ヶ月は、メンバーや関係者とのやりとりや、経理などの事務仕事以外の創作を少なめにしてきました。
その環境を考えると『昆虫都市』はよく書けたなあ、と思います。
もともとのアイディアが、あったからだと思います。
電車に揺られて、惰性で続けているボルダリングから帰っている最中のことでした。
夏の気配が、電車の中に満ちていました。
「旅に出よう」
確かにその声は、私の内側から響きました。
その声を聞いたとき、私は初めて気づきました──自分が乗っている電車の色に。
生い茂った夏の河川敷に生え散らかしたツタ植物たちのような、深い緑。
その緑色を見た瞬間に、自分が見ていた世界がモノクロだったと、初めて気づいたのです。
◆どこに、どうして?
私が行きたい場所──そう自分に問うたなら、「スペイン」が真っ先に挙がります。
真っ先に挙がる場所なら、そこに行こう。
でも、どうしてスペインなの?
この記事を読んでくださっているあなたは、そう思うかもしれません。
今から10年前、私はいろんなことに煮詰まっていました。
ゲームブック作家としての私、あるいはFT書房は、今よりも小さい規模で、努力が見えない天井にさえぎられているような、苦しい時期を過ごしていました。
そんなときに行ったのが、北スペインを840km歩くという「巡礼の道」でした。
ヨハネという名前が示すとおり、私はクリスチャンです。
中世ヨーロッパが大好きな、冒険分岐小説作家です。
この道を歩くことで、新しい自分の可能性を認められるかもしれない。
そんな気持ちで、歩きはじめました。
そして、40日あまりをかけた末に、この行程を歩ききりました。
◆今度はどこに?
1日あたり25km平均で歩く旅は、運動をいっさいしていなかった当時には、かなりキツいものでした。
あれから10年が経って、私は48歳になりました。
歳はとりましたが、身体はたぶん、人生でいちばん体力がある時期だと思います。
だから、同じことをしても、特に意味はないでしょう。
私がやりたいのは、新しい挑戦です。
前回歩いたのは、主に平地でした。
今回は、山道がメインの道である「北の道」を歩く予定です☆
◆さすがに、休めない!
今回も一度に歩ききりたいというのが本音なのですが、おかげさまで私も、10年前より忙しくなりました。
今回は全行程の半分を目標にして、22日間で420kmを歩いてこようと思います。
距離こそ少ないですが、傾斜のある山道です。
気をつけて、行ってきます☆
◆目標は?
今回の目標は、ふたつあります。
ひとつは、いつも頭にあること──次回作の構想を、練り上げること。
私にとっては歩くこと、そして旅こそ、もっとも強力なインプットなのです。
もうひとつは、鬱を抜けること。
しかし、これは「結果」であって、自分でできるのは「たくさん歩き、たくさん食べて、たくさん笑う22日間を過ごすこと」だけです。
せっかくスペイン語もしゃべれるので、友だちを増やして帰ってきます☆
それではまた!
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2025年6月30日月曜日
2025年6月29日日曜日
Re:ローグライクハーフ・新職業【吟遊詩人】 FT新聞 No.4540
おはようございます。
FT新聞編集長の水波です。
7月の第1日曜日は、火呂居美智さんによる新作d66シナリオ『幽霊屋敷の果実酒』が配信となります。
拠点となる街は自治都市トーン!
それに伴いまして、以前配信しましたトーンにゆかりのある「新職業」を再配信いたします。
◆【吟遊詩人】
アランツァの各地を渡り歩き、歌や演奏の技術、世界の伝承知識を身につけた職業のことを【吟遊詩人】と呼びます。
対応する副能力値は【幸運点】で、「奏楽」という特殊技能を扱います。
新職業【吟遊詩人】
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_NewClass_Bard.txt
↓「アランツァ:ラドリド大陸地図」by 中山将平
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/MAPofARANCIA.png
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2025年6月28日土曜日
FT新聞1ウィーク! 第646号 FT新聞 No.4539
From:水波流
つい先日、中山将平氏と数年ぶりくらいのクトゥルフ会を行いました。
クトゥルフ会とは、柳田國男が遠野物語を書く際に物語提供者である佐々木喜善との2人の会合を「お化け会」と称したことに倣っています。
(という話はもしかすると中山氏にすらしていなかったかもしれません)
という訳なので、特にイベントでもなんでもなく、クトゥルフに関係する話から、まったく関係しないジェームズ・チャーチワード『失われたムー大陸』(1926年)による日本人の起源の話や、小野不由美『残穢』や『営繕かるかや』は理由が説明されないが故に怖いという話までひとしきり、気づくといつの間にか7時間くらい話していたのでした。
楽しかったので、オンラインででも定期的にやりたいなぁと話しています。(できれば皆さんもご一緒に)
*ご連絡とご報告*
先週配信した「FT新聞編集部員募集」について、さっそく4名の方からご応募を頂きました! ありがとうございます。
これから新しいメンバーにも活躍して頂こうと思っております。
応援のほどどうぞよろしくお願いいたします。
from:葉山海月
海外旅行好きの友達から聞いた話。
ある店にて、塩と砂糖を間違えてコーヒーに入れてしまったそうです。
でも、お金は払いたくない。
たまたま死んでいたハエを入れ、そして「ここの店は!」といちゃもんつけます。
いったん引き下がったウェイトレスが持ってきたもの、それは
「塩辛いコーヒー」でした。
from:中山将平
ぜろさんのリプレイ444回おめでとうございます!
次回僕たちが参加予定のイベントは8月10日(日)「TGFF2025」です。
開催地はマイドーム大阪。新刊を予定しています!!
とはいえ、7月中イベントがないのはさみしいと感じています。
独自にオンラインで何かできないか、勝手にふつふつと考えています。
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■6/22(日)~6/27(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2025年6月22日(日) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.4533
Re:自治都市トーン「ローグライクハーフ」都市サプリメント
・7月の第1日曜日は、火呂居美智さんによる新作d66シナリオ『幽霊屋敷の果実酒』が配信となります。
拠点となる街は自治都市トーン!
それに伴いまして、以前配信しました「都市サプリメント」を再配信いたします。
トーン独自のアイテムや従者を駆使して、ぜひシナリオをお楽しみ下さい!
2025年6月23日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4534
「モンスター!モンスター!TRPG」のサプリメントを出します!
・今回は「夏の新刊は何か」に関するものです。
冬に「モンスター!モンスター!TRPG」のサプリメントを出せなかったので、優先的に出したいのはこちらだと、考えておりました。
それを受けて、、「ズィムララのモンスターラリー」を、ワールド編とモンスター編に分割して出す、という方法を取ることにいたします。
「ズィムララのモンスタラリー・ワールド編」です!!
ほかにもボーナストラックの話など、今回も見逃せない!
2025年6月24日(火) 中山将平 FT新聞 No.4535
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第46回
・中山氏が創作している『カエルの勇者ケロナイツ』(ファンタジー世界に住まうカエル人たちの活躍を描いたオリジナル作品)。
その創作から、学んだことを書きつづります。
今回のテーマは「キャンペーン」。
「キャンペーン」が面白いTRPGってどんなのだ?
キャンペーンのいいところって何なんだ!?
そんな会話がきっかけとなって、今回はキャンペーンとキャラクター。加えて彼らが物語るストーリーとの親和性。
ゆえに「ファンタジーはキャンペーン向きではないのか?」という疑問を掘り下げてまいります。
2025年6月25日(水) ぜろ FT新聞 No.4536
第2回【素敵なおパンツ同盟】ローグライクハーフリプレイ
・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第444回をお届けしました。
今回挑みますは、「ローグライクハーフ」シリーズ『素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜』
銀幕のスター、ベル・ロックベー氏の履いているパンツに魅せられた主人公ポストん。
デザイナーのビビエ氏が惑星イロアスの、竜鍵諸島の都市マックルーに来るという情報を聞きつけます。
さらにマックルーでは、移植手術の格安キャンペーン中。
ベル・ロックベー氏のように、お腹に神々しいヒゲを移植してもらい、さらにビビエ氏に素敵なおパンツを作成してもらう。
そんな目的をもって、ポストんは惑星イロアスを目指すのでした。
しかし、その最中、ハイジャックが現れて、そいつらは自分の事を「ピチパツスパッツ団!」と名乗るじゃないか!?
しかも、その原理は「世界の真理であるスパッツを広める。つーか宇宙をスパッツで埋め尽くそうという過激派の団体だ!
一戦交えようと立ち上がったボストんに、意外な展開が!
2025年6月26日(木) 岡和田晃 FT新聞 No.4537
子どもと遊ぶ『甲竜伝説ヴィルガストRPG』2
・娘さんと一緒に過ごす時間が飛躍的に伸びた岡和田氏。
それを受けて(?) 今回紹介するものは、『甲竜伝説ヴィルガストRPG』。前回に引き続き、その顛末をつづります。
そもそも、なぜ『甲竜戦記ヴィルガストRPG』を選んだのでしょうか?
第一の理由は、岡和田氏が『ヴィルガスト』直撃世代だったにもかかわらず、まだプレイしたことのないシステムだったから。
第二の理由は、明らかに低年齢層(小学校高学年〜中学生くらい)を意識した体裁で、子どもと遊ぶのに適しているのではないかと思ったため。
じゃあ、自分のストーリーが原作と齟齬を起こさないだろうか?
『恐竜戦隊ジュウレンジャーRPG大百科』(1992年)
『フォーチュン・クエスト・コンパニオン』(角川書店、1991年)
そして、コミカライズされた『ヴィルガスト』と、「黄金のあの時代」直撃世代なら響き刺さる作品を上げつつ、ストーリーと原作の関係に触れていきます。
2025年6月27日(金) 岡和田晃 FT新聞 No.4538
『ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー 【ワールド編】』の刊行について
・『ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー』について、「FT新聞」で杉本=ヨハネ氏より予告が出たのを受け、翻訳者、岡和田氏の立場から概要の説明です。
とてつもない分量の原著を日本でどのように紹介していくかという量的な問題もありますが……
最初に刊行するのは【ワールド編】、つまりモンスターカタログ以外の部分、ほぼすべてになります。付属のシナリオ「ドウォンの秘密神殿の冒険」と、日本語版のボーナスとして「女神キット=ラの幽閉されしピラミッド」(「女神キット=ラの秘密のピラミッド」よりタイトル変更)を盛り込み、簡易ルールに呪文リストを加えて、単体でプレイできる内容になります。
翻訳者の岡和田氏自体「私は、他の翻訳の仕事とはまったく異なるスタイルでケンの作品には取り組んでおり、もっとも遊びやすい環境を提供することを目指しました。」と言わしめる本作!
ご期待ください!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(ジャラル アフサラールさん)
キャンペーンシナリオで初心者向きで他のゲームで使えそうなのは「赤い手は滅びのしるし」ですね。ダンジョンズ&ドラゴンズ第3.5版のシナリオですが、ホブゴブリンの将軍アザール・クルに率いられた闇の軍団から街を守ることになった主人公の冒険者グループの活躍を描くキャンペーンです。まあTRPG上級者には物足りないかも知れませんが、いくつかに分かれたシナリオ構成は他のゲームにりゅうようできそうです。
(お返事:中山将平)
いつもご感想をいただき、ありがとうございます。
キャンペーンシナリオ、様々なシステムで流用できるものもあると役立ちそうですね。結局は素材集を作ってみるお話になってきそうと感じています。
(忍者福島さん)
こんなところで人類ネコ科の名前をみるとは思いませんでした!
みず谷なおきさんの漫画、すきだったなあ。
(お返事:ぜろ)
や。なつかしい。ありましたねそんな漫画。意識して入れたわけではないのですけれども。
めざとい。さすが忍者めざとい。
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ある店にて、塩と砂糖を間違えてコーヒーに入れてしまったそうです。
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「塩辛いコーヒー」でした。
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ぜろさんのリプレイ444回おめでとうございます!
次回僕たちが参加予定のイベントは8月10日(日)「TGFF2025」です。
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Re:自治都市トーン「ローグライクハーフ」都市サプリメント
・7月の第1日曜日は、火呂居美智さんによる新作d66シナリオ『幽霊屋敷の果実酒』が配信となります。
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・中山氏が創作している『カエルの勇者ケロナイツ』(ファンタジー世界に住まうカエル人たちの活躍を描いたオリジナル作品)。
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今回のテーマは「キャンペーン」。
「キャンペーン」が面白いTRPGってどんなのだ?
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・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第444回をお届けしました。
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銀幕のスター、ベル・ロックベー氏の履いているパンツに魅せられた主人公ポストん。
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2025年6月27日金曜日
『ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー 【ワールド編】』の刊行について FT新聞 No.4538
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『ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー 【ワールド編】』の刊行について
岡和田晃
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「FT新聞」で杉本=ヨハネ氏より予告が出ました、『ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー』について、翻訳者の立場から概要を説明したいと思ます。
タイトルの「モンスターラリー」というのは、「モンスター図鑑」と「群雄割拠のモンスターたちが、自由気ままに走り回っている」ということのダブルミーニング。
こちらは大著のため【ワールド編】【モンスター編】と分冊刊行することになりました。『Cthulhu Crisis #2』所収のシナリオ「猫の女神キット=ラの幽閉されしピラミッド」がボーナスで付属する予定です。
最初に刊行するのは【ワールド編】、つまりモンスターカタログ以外の部分、ほぼすべてになります。付属のシナリオ「ドウォンの秘密神殿の冒険」と、日本語版のボーナスとして「女神キット=ラの幽閉されしピラミッド」(「女神キット=ラの秘密のピラミッド」よりタイトル変更)を盛り込み、簡易ルールに呪文リストを加えて、単体でプレイできる内容になります。
この「女神キット=ラの幽閉されしピラミッド」は、もともと雑誌「Trollszine!」Vol.15に発表された後、コミックとシナリオが連動した『Cthulhu Crisis #2』に採録されたもの。『猫の女神の冒険』に登場する猫神セクメトの幼少時代であるキット=ラと女悪魔テン=メアのモデルとなっているデミ・ザ・デーモネスの物語です。
「ドウォンの秘密神殿の冒険」が、シナリオと舞台設定(セッティング)を兼ねた内容で、ズィムララの宇宙観を示す機能があるのに対して、「女神キット=ラの幽閉されしピラミッド」はスタンダードなアドベンチャー。併読すれば、ズィムララ世界での冒険のあり方が見えてくるはずです。それと同時に、ズィムララ世界における地獄(の次元界)あり方を解説するものともなっています。
さて、私がこうした分冊の提案を行ったのは、とてつもない分量の原著を日本でどのように紹介していくかという量的な理由のみならず、まずは【ワールド編】としてまとめた内容を咀嚼したほうが、個々のモンスターたちの情報を飲み込みやすいから、というのがあります。
幸い、『モンスター!モンスター!TRPG』は、一つの数値のみでデータを表現するMR(モンスター・レート、マンカインド・レート)を利用したシステムがあるため、【ワールド編】のみを軸にしたシナリオ作成も充分可能です。
分冊の結果、価格的にも初見の方手に取りやすい値段に落ち着くものと思います。まずは【ワールド編】をご支援いただき、次の【モンスター編】刊行へスムーズにつなげていただければと思います。
ケンがデザインした奥深いファンタジー世界〈トロールワールド〉や現実世界、各種次元界にも通じるマルチヴァース設定になっていること。巻頭小説「ズィムララへの脱出」ほか、猫神セクメトが優しく語りかけてくれます。
セクメトを奉じる都市セクー=アテムやズィムララ各地の詳細な地図も魅力ですが、是非ご覧いただきたいのは、年表の充実です。ケンは自らの世界のスケールを年表という形で表現するのを、得意としてきた書き手でした。クリエイティヴな想像力の奔流を、どうぞご堪能ください。
『ズィムララのモンスターラリー』は『モンスター!モンスター!TRPG』のサプリメントでありながら、独立した汎用設定資料集として使うことも想定されており、気に入ったルールシステムで運用していただいてもかまいません。ただ、ムーン・クリスタルやカオス・ファクターという、ケンの作品に長年親しんでいたファンですら、新鮮な感興を抱くであろうルールの数々にもご注目ください。7つの月の設定もSFマインドが溢れていて面白いですよ!
『猫の女神の冒険』もそうですし、同じケン・セント・アンドレの『コッロールの恐怖』を訳したときにも感じたことですが、ケンの原文は一見平易なようでありながら、右から左へ機械的に移し替えられる代物ではありません。
半世紀にわたるキャリアを誇るデザイナーが試行錯誤を繰り返してきた世界観やシステムの変遷を押さえて再構成していかなければ、出てくる訳文は支離滅裂で矛盾に満ちたもの、あるいは小うるさい訳注の嵐となってしまいます。
とはいえ、デザイナーに質問するにも、数百箇所の疑問点を(業界最高齢クラスのデザイナーに)そのままぶつけるのでは、単なる嫌がらせです。それゆえ、私は、他の翻訳の仕事とはまったく異なるスタイルでケンの作品には取り組んでおり、もっとも遊びやすい環境を提供することを目指しました。
これは強力な下訳・校閲担当の方々にも支えていただいてのことです。
『ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー 【ワールド編】』、ご期待ください!
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
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ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
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『ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー 【ワールド編】』の刊行について
岡和田晃
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タイトルの「モンスターラリー」というのは、「モンスター図鑑」と「群雄割拠のモンスターたちが、自由気ままに走り回っている」ということのダブルミーニング。
こちらは大著のため【ワールド編】【モンスター編】と分冊刊行することになりました。『Cthulhu Crisis #2』所収のシナリオ「猫の女神キット=ラの幽閉されしピラミッド」がボーナスで付属する予定です。
最初に刊行するのは【ワールド編】、つまりモンスターカタログ以外の部分、ほぼすべてになります。付属のシナリオ「ドウォンの秘密神殿の冒険」と、日本語版のボーナスとして「女神キット=ラの幽閉されしピラミッド」(「女神キット=ラの秘密のピラミッド」よりタイトル変更)を盛り込み、簡易ルールに呪文リストを加えて、単体でプレイできる内容になります。
この「女神キット=ラの幽閉されしピラミッド」は、もともと雑誌「Trollszine!」Vol.15に発表された後、コミックとシナリオが連動した『Cthulhu Crisis #2』に採録されたもの。『猫の女神の冒険』に登場する猫神セクメトの幼少時代であるキット=ラと女悪魔テン=メアのモデルとなっているデミ・ザ・デーモネスの物語です。
「ドウォンの秘密神殿の冒険」が、シナリオと舞台設定(セッティング)を兼ねた内容で、ズィムララの宇宙観を示す機能があるのに対して、「女神キット=ラの幽閉されしピラミッド」はスタンダードなアドベンチャー。併読すれば、ズィムララ世界での冒険のあり方が見えてくるはずです。それと同時に、ズィムララ世界における地獄(の次元界)あり方を解説するものともなっています。
さて、私がこうした分冊の提案を行ったのは、とてつもない分量の原著を日本でどのように紹介していくかという量的な理由のみならず、まずは【ワールド編】としてまとめた内容を咀嚼したほうが、個々のモンスターたちの情報を飲み込みやすいから、というのがあります。
幸い、『モンスター!モンスター!TRPG』は、一つの数値のみでデータを表現するMR(モンスター・レート、マンカインド・レート)を利用したシステムがあるため、【ワールド編】のみを軸にしたシナリオ作成も充分可能です。
分冊の結果、価格的にも初見の方手に取りやすい値段に落ち着くものと思います。まずは【ワールド編】をご支援いただき、次の【モンスター編】刊行へスムーズにつなげていただければと思います。
ケンがデザインした奥深いファンタジー世界〈トロールワールド〉や現実世界、各種次元界にも通じるマルチヴァース設定になっていること。巻頭小説「ズィムララへの脱出」ほか、猫神セクメトが優しく語りかけてくれます。
セクメトを奉じる都市セクー=アテムやズィムララ各地の詳細な地図も魅力ですが、是非ご覧いただきたいのは、年表の充実です。ケンは自らの世界のスケールを年表という形で表現するのを、得意としてきた書き手でした。クリエイティヴな想像力の奔流を、どうぞご堪能ください。
『ズィムララのモンスターラリー』は『モンスター!モンスター!TRPG』のサプリメントでありながら、独立した汎用設定資料集として使うことも想定されており、気に入ったルールシステムで運用していただいてもかまいません。ただ、ムーン・クリスタルやカオス・ファクターという、ケンの作品に長年親しんでいたファンですら、新鮮な感興を抱くであろうルールの数々にもご注目ください。7つの月の設定もSFマインドが溢れていて面白いですよ!
『猫の女神の冒険』もそうですし、同じケン・セント・アンドレの『コッロールの恐怖』を訳したときにも感じたことですが、ケンの原文は一見平易なようでありながら、右から左へ機械的に移し替えられる代物ではありません。
半世紀にわたるキャリアを誇るデザイナーが試行錯誤を繰り返してきた世界観やシステムの変遷を押さえて再構成していかなければ、出てくる訳文は支離滅裂で矛盾に満ちたもの、あるいは小うるさい訳注の嵐となってしまいます。
とはいえ、デザイナーに質問するにも、数百箇所の疑問点を(業界最高齢クラスのデザイナーに)そのままぶつけるのでは、単なる嫌がらせです。それゆえ、私は、他の翻訳の仕事とはまったく異なるスタイルでケンの作品には取り組んでおり、もっとも遊びやすい環境を提供することを目指しました。
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2025年6月26日木曜日
子どもと遊ぶ『甲竜伝説ヴィルガストRPG』2 FT新聞 No.4537
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
子どもと遊ぶ『甲竜伝説ヴィルガストRPG』(2)
岡和田晃
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
そもそも、なぜ『甲竜戦記ヴィルガストRPG』を選んだのでしょうか?
第一の理由は、私(岡和田)が『ヴィルガスト』直撃世代だったにもかかわらず、まだプレイしたことのないシステムだったからです。純然たる好奇心でルールブックを入手してみたかったのでした。
第二の理由は、明らかに低年齢層(小学校高学年〜中学生くらい)を意識した体裁で、子どもと遊ぶのに適しているのではないかと思ったため。そのことが親たる私の背中を押してくれたのです。
それまで子ども向けの『ラビットホール・ドロップス』や『ラビットホール・ドロップスG』、システムがシンプルな『ファイティング・ファンタジー』や『アドバンスト・ファイティング・ファンタジー第二版』というRPGは子どもと遊んできました。どれも1回遊んで終わりではなく、複数回プレイしてきたものでして、今後もプレイする予定はあります(それは今後触れられればと)。
しかし、いざ『ヴィルガストRPG』のルールブックを買ってみて、改めて思ったのです。
「これ、プレイする前に、どの程度まで原作を押えればよいのだろう?」と。
私個人について言えば、だいぶ忘れている部分も多いとはいえ、リアルタイムで触れてきた強み、強烈なインプレッションがアドバンテージになります。一方、予備知識がまったくない子どもの場合には……?
原作付きのRPGの多くは、ユーザーの間口を広げるため、「原作を知らなくても遊べるが、知っていたほうがいっそう楽しめる(知っていたほうが望ましい)」というスタンスをとっています。ゲームマスターはむろんのこと、プレイヤーもそう。そもそも、原作に関心がなければ、原作付きのRPGを手に取らないものの、個々の読者の知識には濃淡がある、という現実を反映しているのでしょう。
同じケイブンシャの『恐竜戦隊ジュウレンジャーRPG大百科』(1992年)は、行為判定はじゃんけんを使うシンプルなシステムで、登場人物や敵役の設定が細かに解説され、原作のTV番組を見ていなかった私でも、35話までのストーリーが紹介されているので、内容は理解できました。ただし、『恐竜戦隊ジュウレンジャーRPG大百科』は、基本的にはジュウレンジャーのメンバーの誰かを演じ、シナリオは原作をなぞったものにすることが推奨されています。
同時期に出ていた『フォーチュン・クエスト・コンパニオン』(角川書店、1991年)はオリジナルなシナリオですが、そもそも著者のジェローム・ブリリアントIII世というのが原作小説に登場するゲーム好きなマンチキン・ドラゴン。独りよがりのゲームはつまらないと、原作で盗賊のトラップに喝破され、その反省から初心者でも楽しめるカードRPGを考案したという触れ込みでした。なので、わかりやすさを重視し、演じるのは基本的にカード化されているキャラクターとなります(後のバージョンでは、オリジナルのキャラクターも作成できるようになりますが)。
対して『甲竜戦記ヴィルガストRPG』は、特に原作をなぞったり、原作のキャラクターを演じたりするのではなく、原作キャラクターがNPCとして登場したりするわけではありません。原作付きのRPGとはいっても、『ストームブリンガー』のように原作のキャラクターが超強力なNPCとして出張ってくるわけでもないのです(モンスターや装備については、原作に準拠していますが)。
まがりなりにも私はRPGで食べてきた身。特にゲームマスターをつとめる場合は、自分の紡ぎ出す物語が公式ストーリーとの間に大きな齟齬を生んでしまわないために、可能な限り関連資料を押さえるようにしてきました。そこで、ひとまずコミック版の第1巻を買い直しました。当時、「デラックスボンボン」で読んだことがあったので懐かしさを感じ、すみだひろゆき氏の画力に改めて唸らされました。
娘にも渡して読んでもらいましたが、喜んで読み耽っていたものの、もともと「漫画に夢中!」という感じの子でもないためか、読み終えてもルールブックのように二度、三度と読み返すことはなく……。RPGの根本衝動に、「自分が触れた漫画みたいなお話を、ゲームで体験してみたい!」というものがあるとよく言われますが、今回のケースでは該当しなかったのですね。
どちらかといえば『ゴブリンスレイヤーTRPG』のように、原作はゲームの大枠を提供するのみで、あとはユーザー主体でファンタジー世界の冒険を作っていく。それが不思議と、原作のスタイルに近づいていく……というスタンスに近いものでした。こうしたスタンスが具体的にどのようなものかを説明するのは紙幅がかかってしまいますので、ご興味のある方は、以前私が4Gamer.comに書いた『ゴブリンスレイヤーTRPG』の先行リプレイをご覧ください。
思い返せば『ヴィルガスト』じたい、ガシャポンのなかにキャラクター1体か、モンスターとアイテムのセットが入っているというもので、それを自分なりに組み合わせて遊ぶというものになっていました。『ヴィルガストRPG』もそうしたスタイルを踏襲しているんですよね。
重要なデータはHPしかありません。これは当時のおまけシール(『ドキドキ学園』のギガロン、カードダスのHP等)を踏襲したものとなっています。一方で、装備はバラエティに富んでおり、モンスターのカタログはとても充実しています。
このあたりの「基本はシンプルだが、バリエーション豊かで、組み立てブロックのように遊べる」ところが、子どもにとって『ヴィルガストRPG』が魅力あるものに映った理由ではないかと分析しています。
■書誌情報
ケイブンシャの大百科別冊
『甲竜伝説ヴィルガストRPG』
ゲームデザイン:佐藤俊之(怪兵隊)
出版社:勁文社
1992年5月15日・絶版
原作者・蝸牛くも氏のGMでお届けする「ゴブリンスレイヤーTRPG」先行リプレイ。マフィア梶田ら,歴戦の冒険者達がダンジョンに挑む(4Gamer編集部:touge ライター:岡和田 晃 カメラマン:佐々木秀二)、「4Gamer.net」(2018年12月)
https://www.4gamer.net/games/436/G043667/20181224002/
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岡和田晃
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そもそも、なぜ『甲竜戦記ヴィルガストRPG』を選んだのでしょうか?
第一の理由は、私(岡和田)が『ヴィルガスト』直撃世代だったにもかかわらず、まだプレイしたことのないシステムだったからです。純然たる好奇心でルールブックを入手してみたかったのでした。
第二の理由は、明らかに低年齢層(小学校高学年〜中学生くらい)を意識した体裁で、子どもと遊ぶのに適しているのではないかと思ったため。そのことが親たる私の背中を押してくれたのです。
それまで子ども向けの『ラビットホール・ドロップス』や『ラビットホール・ドロップスG』、システムがシンプルな『ファイティング・ファンタジー』や『アドバンスト・ファイティング・ファンタジー第二版』というRPGは子どもと遊んできました。どれも1回遊んで終わりではなく、複数回プレイしてきたものでして、今後もプレイする予定はあります(それは今後触れられればと)。
しかし、いざ『ヴィルガストRPG』のルールブックを買ってみて、改めて思ったのです。
「これ、プレイする前に、どの程度まで原作を押えればよいのだろう?」と。
私個人について言えば、だいぶ忘れている部分も多いとはいえ、リアルタイムで触れてきた強み、強烈なインプレッションがアドバンテージになります。一方、予備知識がまったくない子どもの場合には……?
原作付きのRPGの多くは、ユーザーの間口を広げるため、「原作を知らなくても遊べるが、知っていたほうがいっそう楽しめる(知っていたほうが望ましい)」というスタンスをとっています。ゲームマスターはむろんのこと、プレイヤーもそう。そもそも、原作に関心がなければ、原作付きのRPGを手に取らないものの、個々の読者の知識には濃淡がある、という現実を反映しているのでしょう。
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同時期に出ていた『フォーチュン・クエスト・コンパニオン』(角川書店、1991年)はオリジナルなシナリオですが、そもそも著者のジェローム・ブリリアントIII世というのが原作小説に登場するゲーム好きなマンチキン・ドラゴン。独りよがりのゲームはつまらないと、原作で盗賊のトラップに喝破され、その反省から初心者でも楽しめるカードRPGを考案したという触れ込みでした。なので、わかりやすさを重視し、演じるのは基本的にカード化されているキャラクターとなります(後のバージョンでは、オリジナルのキャラクターも作成できるようになりますが)。
対して『甲竜戦記ヴィルガストRPG』は、特に原作をなぞったり、原作のキャラクターを演じたりするのではなく、原作キャラクターがNPCとして登場したりするわけではありません。原作付きのRPGとはいっても、『ストームブリンガー』のように原作のキャラクターが超強力なNPCとして出張ってくるわけでもないのです(モンスターや装備については、原作に準拠していますが)。
まがりなりにも私はRPGで食べてきた身。特にゲームマスターをつとめる場合は、自分の紡ぎ出す物語が公式ストーリーとの間に大きな齟齬を生んでしまわないために、可能な限り関連資料を押さえるようにしてきました。そこで、ひとまずコミック版の第1巻を買い直しました。当時、「デラックスボンボン」で読んだことがあったので懐かしさを感じ、すみだひろゆき氏の画力に改めて唸らされました。
娘にも渡して読んでもらいましたが、喜んで読み耽っていたものの、もともと「漫画に夢中!」という感じの子でもないためか、読み終えてもルールブックのように二度、三度と読み返すことはなく……。RPGの根本衝動に、「自分が触れた漫画みたいなお話を、ゲームで体験してみたい!」というものがあるとよく言われますが、今回のケースでは該当しなかったのですね。
どちらかといえば『ゴブリンスレイヤーTRPG』のように、原作はゲームの大枠を提供するのみで、あとはユーザー主体でファンタジー世界の冒険を作っていく。それが不思議と、原作のスタイルに近づいていく……というスタンスに近いものでした。こうしたスタンスが具体的にどのようなものかを説明するのは紙幅がかかってしまいますので、ご興味のある方は、以前私が4Gamer.comに書いた『ゴブリンスレイヤーTRPG』の先行リプレイをご覧ください。
思い返せば『ヴィルガスト』じたい、ガシャポンのなかにキャラクター1体か、モンスターとアイテムのセットが入っているというもので、それを自分なりに組み合わせて遊ぶというものになっていました。『ヴィルガストRPG』もそうしたスタイルを踏襲しているんですよね。
重要なデータはHPしかありません。これは当時のおまけシール(『ドキドキ学園』のギガロン、カードダスのHP等)を踏襲したものとなっています。一方で、装備はバラエティに富んでおり、モンスターのカタログはとても充実しています。
このあたりの「基本はシンプルだが、バリエーション豊かで、組み立てブロックのように遊べる」ところが、子どもにとって『ヴィルガストRPG』が魅力あるものに映った理由ではないかと分析しています。
■書誌情報
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『甲竜伝説ヴィルガストRPG』
ゲームデザイン:佐藤俊之(怪兵隊)
出版社:勁文社
1992年5月15日・絶版
原作者・蝸牛くも氏のGMでお届けする「ゴブリンスレイヤーTRPG」先行リプレイ。マフィア梶田ら,歴戦の冒険者達がダンジョンに挑む(4Gamer編集部:touge ライター:岡和田 晃 カメラマン:佐々木秀二)、「4Gamer.net」(2018年12月)
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2025年6月25日水曜日
第2回【素敵なおパンツ同盟】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4536
第2回【素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜】ローグライクハーフリプレイ
※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。
ぜろです。
ローグライクハーフリプレイ「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」をプレイしています。
銀幕のスター、ベル・ロックベー氏の履いているパンツに魅せられた主人公ポストん。
デザイナーのビビエ氏が惑星イロアスの、竜鍵諸島の都市マックルーに来るという情報を聞きつけます。
さらにマックルーでは、移植手術の格安キャンペーン中。
ベル・ロックベー氏のように、お腹に神々しいヒゲを移植してもらい、さらにビビエ氏に素敵なおパンツを作成してもらう。
そんな目的をもって、ポストんは惑星イロアスを目指すのでした。
【ポストん レベル10 技量点:1 生命点:6 器用点:5 従者点:8】
【装備】
シュリケン(弓矢扱い)
忍者刀(片手武器・斬撃)
シノビ装束(革鎧・生命点+2 器用ロール+1)
【食料】0
【金貨】0
【持ち物】
【未使用経験点】0
【従者】
黒子(弓兵・射撃+1・斬撃)
●アタック01-2 ポストんとピチパツスパッツ団
私は今、惑星イロアス行きの定期就航便の宇宙船に乗っている。
宇宙船といっても、船型の巨大生物だ。名称は「オ・スッシー」。
見た目のイメージは飛行船に近いだろうか。
名前の「オ・スッシー」から寿司のイメージでもいい。
客室部分がシャリ。飛行船部分がデカネタ、みたいな形状だ。
さあ、惑星イロアスはもうすぐだ。
そんなところで、最初のトラブルは到着前にやってきた。
非常サイレンが鳴り、怪しげな一団が客室に入ってきたのだ。
やだ。ハイジャック? スペースジャックか?
ハイジャック犯といえば、かぼちゃマスクをかぶってマフティー・ナビーユ・エリンを名乗る偽物というのが最近の流行りだ。
わからない人はかぼちゃマスクで検索だ。
しかし、この連中は少し違っていた。
マスクではなく、ピッチンパッチンの黒スパッツを履いている。
そして彼らは名乗った。
「われわれはピチパツスパッツ団! 世界の真理であるスパッツを広める崇高な集団である!」
な。ピチパツスパッツ団だと!?
私たちおパンツ同盟は、別にスパッツを否定しているわけではない。
スパッツ履きにも好人物は多いし、仲良くやっている。単に美意識の違いだ。
しかし、ピチパツスパッツ団は違う。宇宙をスパッツで埋め尽くそうという過激派の団体だ。
彼らは、スパッツのためならおパンツを切り捨てたり、材料を奪い取ったりする最近噂の極悪集団。
こんなハイジャックまがいのことをしていたら、スパッツの繁栄には逆効果だと思うのだが。
「皆さまには申し訳ないが、われわれが非常艇で脱出するために、航路を変更させていただく!」
どうやらこの集団、どっかで悪事を働いて、逃走のためにこの船「オ・スッシー」をハイジャックしたということのようだ。
航路を変更されてはたまらない。惑星イロアス、竜鍵諸島の町マックルーに行けなくなってしまう。
ここは、宇宙忍者たる私ことポストんが、なんとかすべき時だ。
我が野望のためにも、おパンツのためにも。
「そこまでだ。お前たちの好きにはさせん」
「ぬっ。何奴」
「ドーモ、ピチパツスパッツ団=サン。宇宙忍者ポストんです」
忍者の作法にのっとった挨拶を交わす。
この場面、まだプロローグ内だ。
だから戦闘ルールを用いた戦いはない。
つまり、どんな描写も活躍もやり放題。
私が明確に敵対行動を取ったことで、腕に覚えのある他の乗客の一部も立ち上がり、立ち向かった。
この展開を予想していなかったスパッツ団の面々はうろたえている。
船内に混乱が広がっていった。
騒ぎが最高潮まで高まった、その時だ。
船型生物「オ・スッシー」が、くしゃみをした。
そしてそのまま、動きを止めてしまう。
船内、つまり体内で、あまりに大騒ぎをしたものだから、体調を崩して航行不能になってしまったみたいだ。
ピチパツスパッツ団は、さすがにマズイと悟ったのだろう。まっすぐに非常脱出艇に向かっている。
させるか。
私は、スパッツ団が乗り込んだ非常脱出艇に強引に飛び込んだ。
スパッツ団はかまわず発進させる。
狭い船内でもみ合いながら、非常脱出艇は、惑星イロアスへと降下していった。
●アタック01-3 ポストんと相棒
非常脱出艇は、惑星イロアス、竜鍵諸島のあたりに不時着した。
土壇場で私が操縦かんを握らなければ危なかった。
不時着した途端に、ピチパツスパッツ団の連中は逃げ去ってしまった。
私は操縦に必死だったから、やむを得ない。
それより、ここはどこだ。
不時着時の座標で、なんとなく竜鍵諸島に降下できたことだけはできたと思うんだけど。
近くに町が見えた。
その町並み、ぼんやりと見覚えがある印象だ。
どこでだ。そう。出発前に液晶クラゲの画面で見たのだ。
つまり、あの町こそが、目的地、マックルーなのだ。
なんという幸運だ。幸運点持ってないけど。
これなら、目的としていたおヒゲをつける整形手術も、ビビエさんに特注おパンツを作成してもらうのも、可能かもしれない。
さあ、早速町に向かおう。
「ちょっといいかい?」
声をかけられた。
見ると、猫のような仮面をつけた人物だった。おそらく男性。
あからさまに怪しい。
「君の動きが見えたんで、あとを追って非常脱出艇に飛び込んだんだ。まさかあんな展開になるなんて思わずにね」
あの不時着した非常脱出艇に乗っていたのか。
自分以外知っている人はいなかったから、まったく気づかなかった。
中にいるのは私以外は全員ピチパツスパッツ団だと思っていたから。
でもたしかにこの人物、スパッツは履いていないみたい。なら連中の一味ではないな。
「君の不時着技術のおかげで助かった。お礼を言わせてもらうよ」
彼はドナと名乗った。
私が旅の目的を語ると、彼は興味を示した。
「なんて面白そうな話だ」
そうして、私の旅の目的が達成されるまで、同行してもいいだろうか、と聞いてきた。
どうやら、新しい出来事や変わった経験が大好きなタイプらしい。
私は同意した。同行者がいるのは心強い。
ドナは、器用点キャラだった。私と特性がまるかぶりだ。
相棒として、ドナが加わった。
【ドナ 技量点1 生命点7 器用点4】
【装備】
軽い武器(斬撃 攻撃-1)
弓矢
革鎧(生命点+2 器用ロール+1)
実は今回、4人の相棒候補の中から1人選べるようになっている。
・宇宙から来た謎の生命体パリン(魔術点)
・竜鍵諸島で農業を営む羊人(幸運点)
・仮面をかぶった面白いもの好きドナ(器用点)
・竜人の戦士で魚屋さんヨアケ(筋力点)
どの人物も魅力的だった。
そこで、サイコロを振って決めてみた。
そうしたら偶然、私の特性とかぶる器用点キャラになってしまったってわけ。
別の副能力値キャラにした方が、互いに補い合えるのはわかっているのだが、こういう挑戦もたまには面白い。
私はドナと連れ立って、竜鍵諸島の町マックルーに向かった。
●アタック01-4 ポストんとねこだいすき
さあ、ここからは、ランダムダンジョンのルールにのっとり、サイコロを振ってイベントを決めていく冒険が始まる。
本リプレイでは、サイコロを振ってイベントが決まったら、次にあるような表記でイベント番号と簡単な内容を示し、話を進めていくことにする。
【13 くっついたフワリミミナガ】
広場の中心には、月クジラのモニュメントがある。
そのモニュメントは、重力球を改造して作られたもののようだ。
モニュメントから人口重力が発生しており、近づくとそちらに向けて引っ張られるような感覚がある。
私たちくらいの体格であればなんの問題もなさそうだ。
「ちょっとあれ、困ってるんじゃない?」
ドナがモニュメントを指した。
フワリミミナガが人口重力に引っ張られ過ぎて、地面を離れて月クジラ本体にくっついてしまっていた。
ちなみにフワリミミナガは、ウサギ人と言えばイメージしやすいだろうか。
体は小さく、軽い。近づきすぎてしまったのだろう。
引き剥がしてやろう。
近づくと、私たちも強く引っ張られる。
これは、筋力ロールが必要だ。
私もドナも筋力点は持っていないので、技量点で代用。
目標値は4だったが、私がサイコロの出目だけで5を出したため、何の問題もなかった。
「ありがとうございました。これはほんのお礼です」
助けたフワリミミナガは、語尾に「〜ぴょん」はつかなかった。
行商人だったみたいで、お礼にヤコウミツメ酒を3本もらってしまった。
このヤコウミツメ酒、食料の代わりとして使えるという。
それだけでなく、これを飲むと、この冒険が終わるまで体が発光する。
ランタン持ちいらずの能力だけど、今回そもそも町中での冒険なので、見た目が奇抜になる以外の意味はなかった。
あまり日持ちはしないようで、使用できるのはこの冒険限り。
冒険終了時に売り払うのなら、金貨5枚で売ることができる。
私たちは、フワリミミナガの行商人にお礼を言って別れる。
それにしても、近づきすぎると危険なモニュメントってなんなんだ一体。
【33 『ビッグビビエMk.4』とネコラブ博士】
「あっちにビビエが来てるってよ」
「お。すげーじゃん、行ってみようぜ」
そんな声を拾ったため、私たちもそちらに向かってみる。
本当はおパンツ職人に会う前に、神々しいヒゲ手術をしたいところだけれど、チャンスは希少だ。行くしかない。
向かってみれば、そこにはガラクタで組み上げられたいびつな建物が。
入口に「四代目ビビエ、はじめました」とアナウンスが貼ってある。
なにその「冷やし中華はじめました」みたいなノリ。
そして、ドアが勢いよく開いたかと思うと、そこから飛び出してきたのは、さっき「ビビエがいる」とうわさ話をしていた人たちだ。
「ビビエ、いりませええぇぇん!」
「ビビエはもうこりごりだよお」
口々に叫ぶと、猛ダッシュで消えていった。
どういうことなんだ?
もしかして、ビビエは気難しい職人で、気に入った者にしかおパンツを作ってくれないとか?
開きっぱなしのドアから、中に入ってみる。
そこにいたのは白衣の男。白衣の下には「ネコ大好き」と書かれたTシャツが見える。
どこからどう見ても、伝説の職人ビビエではない。
「ビビエ? ああ、いるよ。なんだい。ビビエに会いにきたのかい。そうかそうか」
そう言うと、中へと招き入れられる。
もうこの時点で悪い予感しかしない。しないが、ここまで来た以上、確認しないでは帰れない。
奥は研究室らしい天井の高い部屋。
そして、その天井に届かんばかりの、手長人を模したロボットだった。
たしかに、ビビエの種族は手長人だ。
しかしこれは、明らかに違う。ロボットじゃないか。
「これぞわが傑作! 伝説の職人ビビエと並ぶよう、願いを込めて作り上げた、人とネコを合体させるマシーン!」
は? なんて?
人と、ネコを、合体?!
「わざわざビビエに会いに来たということは、君たちネコになりたいのだね。わかっているとも」
ネコは好きだがなりたくはない。
「ゆけい! ビッグビビエMk.4!」
ああもう、問答無用かよ。
戦いになる。
【ビッグビビエMk.4 レベル5 生命点3 攻撃回数2】
いきなりレベル5の強敵だ。
さらに、この変態ビビエロボは壊されるまで、つまり生命点が0点になるまで戦い続ける。
博士、途中で止めてやれよ。
戦闘開始だ。
最初のラウンドは、全員が0ラウンドに飛び道具を放つ。
私のシュリケンがビビエロボに命中。
その影で我が従者、黒子のシュリケンは外れている。
ドナの弓矢も外れだ。
武器の持ち替えに時間がかかるため、1ラウンド目は攻撃できない。
ビビエロボが私とドナに、長い腕を振り回してくる。
いずれもサイコロの出目だけで5を出して回避した。
2ラウンド目。ここから全員で接近戦になる。
私とドナがけん制を仕かけている隙に、黒子が死角から斬りつけた。
これがサイコロの出目5で、出目だけで命中!
……命中?
違うわ。黒子は攻撃力にマイナス補正があった。1点足りない。
結局2ラウンド目、誰の攻撃も通らず。
だからレベル5は手ごわいっていうんだ。
ビビエロボの攻撃は、私もドナも、またしても2人ともサイコロの出目5で回避した。
さっきから5ばっかり出てないか。
でも、それもここまでだ。
3ラウンド目にすべてを賭ける。
私の忍者刀が、サイコロの出目6のクリティカルでビビエロボの関節部のコードを切断する。
ドナの攻撃が、こちらもサイコロの出目6のクリティカルで、頭部を破壊する。
ビビエロボは、活動を停止した。
「まだだ。まだ動くだろ。たかがメインカメラをやられただけだろ」
しかしビビエロボはぴくりとも動かない。
博士が適切なタイミングで制止をかけなかったおかげで、完全に破壊するしかなかった。
「ビッグビビエMk.4よ。お前がいなくなったら、人類ネコ科計画をどうやって遂行したら良いのだ」
知らんわー。
ネコは好きだがネコになりたくはない。
博士……えっと、名乗られていないけど、ネコラブ博士でいいよね。
人とネコにする前に、自分がネコになっちゃえよ。
博士を「ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット」の世界に放り込んでしまいたいところだ。
ところでこの博士、描写では「白衣の男」ってなっていたからこんな感じに描いてきたのだけれど。
あるとき、ネコラブ博士のイラストを見る機会があった。
それを見たら、ネコミミをつけたかわいい子どもって感じのキャラクターだった。
ぱっと見は女の子に見えるけど、中性的って見方もできる感じ。
最初に目にしていたら、こんなおっさんっぽいキャラづけしなかったのに。
でも、それはそれでギャップがあっていいのかも。
私たちは迷惑料として、宝石(金貨25枚の価値)と、星見のレンズを強奪し、その場をあとにした。
星見のレンズって、なんだろう。説明も何もないけど、何かの役に立つのかな。
次回、まずはゴマンデル診療所へ。おなかに神々しいヒゲの移植手術はできるのか?
【ポストん レベル10 技量点:1 生命点:6 器用点:5 従者点:8】
【装備】
シュリケン(弓矢扱い)
忍者刀(片手武器・斬撃)
シノビ装束(革鎧・生命点+2 器用ロール+1)
【食料】0
【金貨】0
【持ち物】
1星見のレンズ
2宝石(金貨25枚)
3ヤコウミツメ酒(3本):食料がわり。あと発光。
【未使用経験点】0
【従者】
黒子(弓兵・射撃+1・斬撃)
【相棒】
【ドナ 技量点1 生命点7 器用点4】
【装備】
軽い武器(斬撃 攻撃-1)
弓矢
革鎧(生命点+2 器用ロール+1)
■登場人物
ポストん 宇宙忍者。おパンツ大好き。ベル・ロックベー氏のおパンツに魅了され、手に入れるため竜鍵諸島へ。
ベル・ロックベー 銀幕のスター。おパンツ同盟の一員で、おパンツを広める啓蒙活動に一役買っている。
ビビエ 服飾デザイナー。特におパンツへの造詣が深いおパンツ職人。おパンツ界の神。
ドナ 仮面をかぶった謎の人。面白そうだから私についてきた。
■作品情報
作品名:「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」
著者:ロア・スペイダー
監修:杉本=ヨハネ
原案・設定:海底キメラ
ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編
https://booth.pm/ja/items/4671946
竜鍵諸島 〜フェスティバルだよ大集合!〜
https://booth.pm/ja/items/5331098
※「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」が収録されています。
本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg
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ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
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※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。
ぜろです。
ローグライクハーフリプレイ「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」をプレイしています。
銀幕のスター、ベル・ロックベー氏の履いているパンツに魅せられた主人公ポストん。
デザイナーのビビエ氏が惑星イロアスの、竜鍵諸島の都市マックルーに来るという情報を聞きつけます。
さらにマックルーでは、移植手術の格安キャンペーン中。
ベル・ロックベー氏のように、お腹に神々しいヒゲを移植してもらい、さらにビビエ氏に素敵なおパンツを作成してもらう。
そんな目的をもって、ポストんは惑星イロアスを目指すのでした。
【ポストん レベル10 技量点:1 生命点:6 器用点:5 従者点:8】
【装備】
シュリケン(弓矢扱い)
忍者刀(片手武器・斬撃)
シノビ装束(革鎧・生命点+2 器用ロール+1)
【食料】0
【金貨】0
【持ち物】
【未使用経験点】0
【従者】
黒子(弓兵・射撃+1・斬撃)
●アタック01-2 ポストんとピチパツスパッツ団
私は今、惑星イロアス行きの定期就航便の宇宙船に乗っている。
宇宙船といっても、船型の巨大生物だ。名称は「オ・スッシー」。
見た目のイメージは飛行船に近いだろうか。
名前の「オ・スッシー」から寿司のイメージでもいい。
客室部分がシャリ。飛行船部分がデカネタ、みたいな形状だ。
さあ、惑星イロアスはもうすぐだ。
そんなところで、最初のトラブルは到着前にやってきた。
非常サイレンが鳴り、怪しげな一団が客室に入ってきたのだ。
やだ。ハイジャック? スペースジャックか?
ハイジャック犯といえば、かぼちゃマスクをかぶってマフティー・ナビーユ・エリンを名乗る偽物というのが最近の流行りだ。
わからない人はかぼちゃマスクで検索だ。
しかし、この連中は少し違っていた。
マスクではなく、ピッチンパッチンの黒スパッツを履いている。
そして彼らは名乗った。
「われわれはピチパツスパッツ団! 世界の真理であるスパッツを広める崇高な集団である!」
な。ピチパツスパッツ団だと!?
私たちおパンツ同盟は、別にスパッツを否定しているわけではない。
スパッツ履きにも好人物は多いし、仲良くやっている。単に美意識の違いだ。
しかし、ピチパツスパッツ団は違う。宇宙をスパッツで埋め尽くそうという過激派の団体だ。
彼らは、スパッツのためならおパンツを切り捨てたり、材料を奪い取ったりする最近噂の極悪集団。
こんなハイジャックまがいのことをしていたら、スパッツの繁栄には逆効果だと思うのだが。
「皆さまには申し訳ないが、われわれが非常艇で脱出するために、航路を変更させていただく!」
どうやらこの集団、どっかで悪事を働いて、逃走のためにこの船「オ・スッシー」をハイジャックしたということのようだ。
航路を変更されてはたまらない。惑星イロアス、竜鍵諸島の町マックルーに行けなくなってしまう。
ここは、宇宙忍者たる私ことポストんが、なんとかすべき時だ。
我が野望のためにも、おパンツのためにも。
「そこまでだ。お前たちの好きにはさせん」
「ぬっ。何奴」
「ドーモ、ピチパツスパッツ団=サン。宇宙忍者ポストんです」
忍者の作法にのっとった挨拶を交わす。
この場面、まだプロローグ内だ。
だから戦闘ルールを用いた戦いはない。
つまり、どんな描写も活躍もやり放題。
私が明確に敵対行動を取ったことで、腕に覚えのある他の乗客の一部も立ち上がり、立ち向かった。
この展開を予想していなかったスパッツ団の面々はうろたえている。
船内に混乱が広がっていった。
騒ぎが最高潮まで高まった、その時だ。
船型生物「オ・スッシー」が、くしゃみをした。
そしてそのまま、動きを止めてしまう。
船内、つまり体内で、あまりに大騒ぎをしたものだから、体調を崩して航行不能になってしまったみたいだ。
ピチパツスパッツ団は、さすがにマズイと悟ったのだろう。まっすぐに非常脱出艇に向かっている。
させるか。
私は、スパッツ団が乗り込んだ非常脱出艇に強引に飛び込んだ。
スパッツ団はかまわず発進させる。
狭い船内でもみ合いながら、非常脱出艇は、惑星イロアスへと降下していった。
●アタック01-3 ポストんと相棒
非常脱出艇は、惑星イロアス、竜鍵諸島のあたりに不時着した。
土壇場で私が操縦かんを握らなければ危なかった。
不時着した途端に、ピチパツスパッツ団の連中は逃げ去ってしまった。
私は操縦に必死だったから、やむを得ない。
それより、ここはどこだ。
不時着時の座標で、なんとなく竜鍵諸島に降下できたことだけはできたと思うんだけど。
近くに町が見えた。
その町並み、ぼんやりと見覚えがある印象だ。
どこでだ。そう。出発前に液晶クラゲの画面で見たのだ。
つまり、あの町こそが、目的地、マックルーなのだ。
なんという幸運だ。幸運点持ってないけど。
これなら、目的としていたおヒゲをつける整形手術も、ビビエさんに特注おパンツを作成してもらうのも、可能かもしれない。
さあ、早速町に向かおう。
「ちょっといいかい?」
声をかけられた。
見ると、猫のような仮面をつけた人物だった。おそらく男性。
あからさまに怪しい。
「君の動きが見えたんで、あとを追って非常脱出艇に飛び込んだんだ。まさかあんな展開になるなんて思わずにね」
あの不時着した非常脱出艇に乗っていたのか。
自分以外知っている人はいなかったから、まったく気づかなかった。
中にいるのは私以外は全員ピチパツスパッツ団だと思っていたから。
でもたしかにこの人物、スパッツは履いていないみたい。なら連中の一味ではないな。
「君の不時着技術のおかげで助かった。お礼を言わせてもらうよ」
彼はドナと名乗った。
私が旅の目的を語ると、彼は興味を示した。
「なんて面白そうな話だ」
そうして、私の旅の目的が達成されるまで、同行してもいいだろうか、と聞いてきた。
どうやら、新しい出来事や変わった経験が大好きなタイプらしい。
私は同意した。同行者がいるのは心強い。
ドナは、器用点キャラだった。私と特性がまるかぶりだ。
相棒として、ドナが加わった。
【ドナ 技量点1 生命点7 器用点4】
【装備】
軽い武器(斬撃 攻撃-1)
弓矢
革鎧(生命点+2 器用ロール+1)
実は今回、4人の相棒候補の中から1人選べるようになっている。
・宇宙から来た謎の生命体パリン(魔術点)
・竜鍵諸島で農業を営む羊人(幸運点)
・仮面をかぶった面白いもの好きドナ(器用点)
・竜人の戦士で魚屋さんヨアケ(筋力点)
どの人物も魅力的だった。
そこで、サイコロを振って決めてみた。
そうしたら偶然、私の特性とかぶる器用点キャラになってしまったってわけ。
別の副能力値キャラにした方が、互いに補い合えるのはわかっているのだが、こういう挑戦もたまには面白い。
私はドナと連れ立って、竜鍵諸島の町マックルーに向かった。
●アタック01-4 ポストんとねこだいすき
さあ、ここからは、ランダムダンジョンのルールにのっとり、サイコロを振ってイベントを決めていく冒険が始まる。
本リプレイでは、サイコロを振ってイベントが決まったら、次にあるような表記でイベント番号と簡単な内容を示し、話を進めていくことにする。
【13 くっついたフワリミミナガ】
広場の中心には、月クジラのモニュメントがある。
そのモニュメントは、重力球を改造して作られたもののようだ。
モニュメントから人口重力が発生しており、近づくとそちらに向けて引っ張られるような感覚がある。
私たちくらいの体格であればなんの問題もなさそうだ。
「ちょっとあれ、困ってるんじゃない?」
ドナがモニュメントを指した。
フワリミミナガが人口重力に引っ張られ過ぎて、地面を離れて月クジラ本体にくっついてしまっていた。
ちなみにフワリミミナガは、ウサギ人と言えばイメージしやすいだろうか。
体は小さく、軽い。近づきすぎてしまったのだろう。
引き剥がしてやろう。
近づくと、私たちも強く引っ張られる。
これは、筋力ロールが必要だ。
私もドナも筋力点は持っていないので、技量点で代用。
目標値は4だったが、私がサイコロの出目だけで5を出したため、何の問題もなかった。
「ありがとうございました。これはほんのお礼です」
助けたフワリミミナガは、語尾に「〜ぴょん」はつかなかった。
行商人だったみたいで、お礼にヤコウミツメ酒を3本もらってしまった。
このヤコウミツメ酒、食料の代わりとして使えるという。
それだけでなく、これを飲むと、この冒険が終わるまで体が発光する。
ランタン持ちいらずの能力だけど、今回そもそも町中での冒険なので、見た目が奇抜になる以外の意味はなかった。
あまり日持ちはしないようで、使用できるのはこの冒険限り。
冒険終了時に売り払うのなら、金貨5枚で売ることができる。
私たちは、フワリミミナガの行商人にお礼を言って別れる。
それにしても、近づきすぎると危険なモニュメントってなんなんだ一体。
【33 『ビッグビビエMk.4』とネコラブ博士】
「あっちにビビエが来てるってよ」
「お。すげーじゃん、行ってみようぜ」
そんな声を拾ったため、私たちもそちらに向かってみる。
本当はおパンツ職人に会う前に、神々しいヒゲ手術をしたいところだけれど、チャンスは希少だ。行くしかない。
向かってみれば、そこにはガラクタで組み上げられたいびつな建物が。
入口に「四代目ビビエ、はじめました」とアナウンスが貼ってある。
なにその「冷やし中華はじめました」みたいなノリ。
そして、ドアが勢いよく開いたかと思うと、そこから飛び出してきたのは、さっき「ビビエがいる」とうわさ話をしていた人たちだ。
「ビビエ、いりませええぇぇん!」
「ビビエはもうこりごりだよお」
口々に叫ぶと、猛ダッシュで消えていった。
どういうことなんだ?
もしかして、ビビエは気難しい職人で、気に入った者にしかおパンツを作ってくれないとか?
開きっぱなしのドアから、中に入ってみる。
そこにいたのは白衣の男。白衣の下には「ネコ大好き」と書かれたTシャツが見える。
どこからどう見ても、伝説の職人ビビエではない。
「ビビエ? ああ、いるよ。なんだい。ビビエに会いにきたのかい。そうかそうか」
そう言うと、中へと招き入れられる。
もうこの時点で悪い予感しかしない。しないが、ここまで来た以上、確認しないでは帰れない。
奥は研究室らしい天井の高い部屋。
そして、その天井に届かんばかりの、手長人を模したロボットだった。
たしかに、ビビエの種族は手長人だ。
しかしこれは、明らかに違う。ロボットじゃないか。
「これぞわが傑作! 伝説の職人ビビエと並ぶよう、願いを込めて作り上げた、人とネコを合体させるマシーン!」
は? なんて?
人と、ネコを、合体?!
「わざわざビビエに会いに来たということは、君たちネコになりたいのだね。わかっているとも」
ネコは好きだがなりたくはない。
「ゆけい! ビッグビビエMk.4!」
ああもう、問答無用かよ。
戦いになる。
【ビッグビビエMk.4 レベル5 生命点3 攻撃回数2】
いきなりレベル5の強敵だ。
さらに、この変態ビビエロボは壊されるまで、つまり生命点が0点になるまで戦い続ける。
博士、途中で止めてやれよ。
戦闘開始だ。
最初のラウンドは、全員が0ラウンドに飛び道具を放つ。
私のシュリケンがビビエロボに命中。
その影で我が従者、黒子のシュリケンは外れている。
ドナの弓矢も外れだ。
武器の持ち替えに時間がかかるため、1ラウンド目は攻撃できない。
ビビエロボが私とドナに、長い腕を振り回してくる。
いずれもサイコロの出目だけで5を出して回避した。
2ラウンド目。ここから全員で接近戦になる。
私とドナがけん制を仕かけている隙に、黒子が死角から斬りつけた。
これがサイコロの出目5で、出目だけで命中!
……命中?
違うわ。黒子は攻撃力にマイナス補正があった。1点足りない。
結局2ラウンド目、誰の攻撃も通らず。
だからレベル5は手ごわいっていうんだ。
ビビエロボの攻撃は、私もドナも、またしても2人ともサイコロの出目5で回避した。
さっきから5ばっかり出てないか。
でも、それもここまでだ。
3ラウンド目にすべてを賭ける。
私の忍者刀が、サイコロの出目6のクリティカルでビビエロボの関節部のコードを切断する。
ドナの攻撃が、こちらもサイコロの出目6のクリティカルで、頭部を破壊する。
ビビエロボは、活動を停止した。
「まだだ。まだ動くだろ。たかがメインカメラをやられただけだろ」
しかしビビエロボはぴくりとも動かない。
博士が適切なタイミングで制止をかけなかったおかげで、完全に破壊するしかなかった。
「ビッグビビエMk.4よ。お前がいなくなったら、人類ネコ科計画をどうやって遂行したら良いのだ」
知らんわー。
ネコは好きだがネコになりたくはない。
博士……えっと、名乗られていないけど、ネコラブ博士でいいよね。
人とネコにする前に、自分がネコになっちゃえよ。
博士を「ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット」の世界に放り込んでしまいたいところだ。
ところでこの博士、描写では「白衣の男」ってなっていたからこんな感じに描いてきたのだけれど。
あるとき、ネコラブ博士のイラストを見る機会があった。
それを見たら、ネコミミをつけたかわいい子どもって感じのキャラクターだった。
ぱっと見は女の子に見えるけど、中性的って見方もできる感じ。
最初に目にしていたら、こんなおっさんっぽいキャラづけしなかったのに。
でも、それはそれでギャップがあっていいのかも。
私たちは迷惑料として、宝石(金貨25枚の価値)と、星見のレンズを強奪し、その場をあとにした。
星見のレンズって、なんだろう。説明も何もないけど、何かの役に立つのかな。
次回、まずはゴマンデル診療所へ。おなかに神々しいヒゲの移植手術はできるのか?
【ポストん レベル10 技量点:1 生命点:6 器用点:5 従者点:8】
【装備】
シュリケン(弓矢扱い)
忍者刀(片手武器・斬撃)
シノビ装束(革鎧・生命点+2 器用ロール+1)
【食料】0
【金貨】0
【持ち物】
1星見のレンズ
2宝石(金貨25枚)
3ヤコウミツメ酒(3本):食料がわり。あと発光。
【未使用経験点】0
【従者】
黒子(弓兵・射撃+1・斬撃)
【相棒】
【ドナ 技量点1 生命点7 器用点4】
【装備】
軽い武器(斬撃 攻撃-1)
弓矢
革鎧(生命点+2 器用ロール+1)
■登場人物
ポストん 宇宙忍者。おパンツ大好き。ベル・ロックベー氏のおパンツに魅了され、手に入れるため竜鍵諸島へ。
ベル・ロックベー 銀幕のスター。おパンツ同盟の一員で、おパンツを広める啓蒙活動に一役買っている。
ビビエ 服飾デザイナー。特におパンツへの造詣が深いおパンツ職人。おパンツ界の神。
ドナ 仮面をかぶった謎の人。面白そうだから私についてきた。
■作品情報
作品名:「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」
著者:ロア・スペイダー
監修:杉本=ヨハネ
原案・設定:海底キメラ
ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編
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竜鍵諸島 〜フェスティバルだよ大集合!〜
https://booth.pm/ja/items/5331098
※「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」が収録されています。
本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
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2025年6月24日火曜日
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第46回 FT新聞 No.4535
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第46回
「キャンペーン」
(中山将平)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
おはようございます。
イラストレーターの中山将平です。
先日、家族と話している中で、TRPGの「単発シナリオ」について考える機会がありました。
キャラクターに何かマイナスの要素が積もっていく仕組みのTRPGがあるとするならば、キャンペーン(連続するシナリオ)より単発(一度で終わる)物語の方が相性が良く感じるという話をしていたんです。
それで、次のような方向に話は進んでいきました。
じゃあ、「キャンペーン」が面白いTRPGってどんなのだ?
キャンペーンのいいところって何なんだ!?
そういうわけで、今日はこの「キャンペーン」について考えたことをつらつらと書きたく思います。
カエル人のTRPGの創作では、キャンペーンシナリオばかり作っていました。
どうやら僕はキャンペーンシナリオが好きなようです。
それも含め、語っていきたいと思います。
ファンタジーを楽しまれている方や、TRPGにご興味の方に、楽しんでいただける記事にできると幸いです。
それでは、具体的に見ていきましょう。
◆ キャンペーンの魅力と難しさ
前述の通り、僕は単発シナリオよりキャンペーンの方が「自分で作りたい」と感じるようです。
それは、キャンペーンに独特の魅力を感じるためかと。
その魅力を分析したところ、大きく2つに分かれているように感じられました。
一つは「キャラクターの掘り下げが多層的にしやすいこと」。
単発のシナリオでももちろんキャラの掘り下げはできると思いますが、いくつもエピソードを重ねることでできる「武勇伝」(キャラの特別性)作りはキャンペーンに一日の長があるように思えます。
特に、これまでカエル人のTRPGを遊んできたプレイグループはTRPG初心者も多かったため、機会が何度もあることはやりたいことにかなっていました。
もう一つは「物語の中で世界を体験する経験がしやすいこと」。
実際、オリジナルのファンタジーTRPGって独自の世界を舞台にしている場合が多いと思うのですが、「その世界がどんな場所なのか」体験するのは難しいと感じています。
かといってそれが物語全体の中心になってしまっては描きたいものとズレがちになりそうですし。
結局、キャンペーンのような形で何度も同じ視点から触れるのが個人的には最も有効に感じられています。
このような魅力を持つキャンペーンですが、同時に運用の難しさを感じる面もあります。
基本的に同じメンバーで複数回集まる必要があるわけですので、予定を合わせるのは手間かと。
それに、視点が変わらないので「新しい刺激」を用意する難しさも単発シナリオより重めではないでしょうか。
◆ キャンペーンが面白いTRPG
さて、話題は「キャンペーンが面白いTRPGについて」という方に移りたいと思います。
どのようなファンタジーTRPGがキャンペーン向きだと感じるのかというお話です。
結論的には、実際、ファンタジーのTRPGはかなりの割合でキャンペーン向きなのではないかと感じています。
物語が壮大になりがちだと感じるためです。
単に壮大だというだけでなく、いわゆる「ギルドや酒場で依頼を受ける→冒険をして解決する」というループが採用されているTRPGってキャンペーンを予定していると感じられます。
冒険で得たものによって次回のシナリオで有利になるシステムは、参加者に「もう一度同じキャラで遊びたい」と思わせる力があるように感じるためです。
とはいえ、そういった「もともとキャンペーンに向いたファンタジーTRPG」の中でも特に「より面白く遊べる」と思えるものがあるのもまた事実です。
というのも、僕はどうやら「短期的な目標」と「長期的な目標」の両方を作ることが出来るキャンペーンが特別好きなようなのです。
シナリオ1本ずつで達成できる「短期的な目標」がやがてキャンペーン全体で解決したい「長期的な目標」につながっていく。
そういう構造が作れるタイプのTRPGがキャンペーンでより遊びたいと感じます。
◆ まとめ
ある意味ただキャンペーンが楽しいTRPGを作りたいというお話だったのかもしれないと読み返しています。
今回の記事は、それについて考えていることを少しだけ書いてみました。
それでは、今日はそろそろこのあたりで。
よきファンタジー・ライフを。
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カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第46回
「キャンペーン」
(中山将平)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
おはようございます。
イラストレーターの中山将平です。
先日、家族と話している中で、TRPGの「単発シナリオ」について考える機会がありました。
キャラクターに何かマイナスの要素が積もっていく仕組みのTRPGがあるとするならば、キャンペーン(連続するシナリオ)より単発(一度で終わる)物語の方が相性が良く感じるという話をしていたんです。
それで、次のような方向に話は進んでいきました。
じゃあ、「キャンペーン」が面白いTRPGってどんなのだ?
キャンペーンのいいところって何なんだ!?
そういうわけで、今日はこの「キャンペーン」について考えたことをつらつらと書きたく思います。
カエル人のTRPGの創作では、キャンペーンシナリオばかり作っていました。
どうやら僕はキャンペーンシナリオが好きなようです。
それも含め、語っていきたいと思います。
ファンタジーを楽しまれている方や、TRPGにご興味の方に、楽しんでいただける記事にできると幸いです。
それでは、具体的に見ていきましょう。
◆ キャンペーンの魅力と難しさ
前述の通り、僕は単発シナリオよりキャンペーンの方が「自分で作りたい」と感じるようです。
それは、キャンペーンに独特の魅力を感じるためかと。
その魅力を分析したところ、大きく2つに分かれているように感じられました。
一つは「キャラクターの掘り下げが多層的にしやすいこと」。
単発のシナリオでももちろんキャラの掘り下げはできると思いますが、いくつもエピソードを重ねることでできる「武勇伝」(キャラの特別性)作りはキャンペーンに一日の長があるように思えます。
特に、これまでカエル人のTRPGを遊んできたプレイグループはTRPG初心者も多かったため、機会が何度もあることはやりたいことにかなっていました。
もう一つは「物語の中で世界を体験する経験がしやすいこと」。
実際、オリジナルのファンタジーTRPGって独自の世界を舞台にしている場合が多いと思うのですが、「その世界がどんな場所なのか」体験するのは難しいと感じています。
かといってそれが物語全体の中心になってしまっては描きたいものとズレがちになりそうですし。
結局、キャンペーンのような形で何度も同じ視点から触れるのが個人的には最も有効に感じられています。
このような魅力を持つキャンペーンですが、同時に運用の難しさを感じる面もあります。
基本的に同じメンバーで複数回集まる必要があるわけですので、予定を合わせるのは手間かと。
それに、視点が変わらないので「新しい刺激」を用意する難しさも単発シナリオより重めではないでしょうか。
◆ キャンペーンが面白いTRPG
さて、話題は「キャンペーンが面白いTRPGについて」という方に移りたいと思います。
どのようなファンタジーTRPGがキャンペーン向きだと感じるのかというお話です。
結論的には、実際、ファンタジーのTRPGはかなりの割合でキャンペーン向きなのではないかと感じています。
物語が壮大になりがちだと感じるためです。
単に壮大だというだけでなく、いわゆる「ギルドや酒場で依頼を受ける→冒険をして解決する」というループが採用されているTRPGってキャンペーンを予定していると感じられます。
冒険で得たものによって次回のシナリオで有利になるシステムは、参加者に「もう一度同じキャラで遊びたい」と思わせる力があるように感じるためです。
とはいえ、そういった「もともとキャンペーンに向いたファンタジーTRPG」の中でも特に「より面白く遊べる」と思えるものがあるのもまた事実です。
というのも、僕はどうやら「短期的な目標」と「長期的な目標」の両方を作ることが出来るキャンペーンが特別好きなようなのです。
シナリオ1本ずつで達成できる「短期的な目標」がやがてキャンペーン全体で解決したい「長期的な目標」につながっていく。
そういう構造が作れるタイプのTRPGがキャンペーンでより遊びたいと感じます。
◆ まとめ
ある意味ただキャンペーンが楽しいTRPGを作りたいというお話だったのかもしれないと読み返しています。
今回の記事は、それについて考えていることを少しだけ書いてみました。
それでは、今日はそろそろこのあたりで。
よきファンタジー・ライフを。
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2025年6月23日月曜日
「モンスター!モンスター!TRPG」のサプリメントを出します! FT新聞 No.4534
おはようございます、枚方市のスターバックスから杉本です☆
これは先週からの続き記事でして、要は「夏の新刊は何か」に関するものです。
◆「ズィムララのモンスターラリー」!!
冬に「モンスター!モンスター!TRPG」のサプリメントを出せなかったので、優先的に出したいのはこちらだと、考えておりました☆
「モンスター!モンスター!TRPG」の中核をなすサプリメント「ズィムララのモンスターラリー」の翻訳出版です。
翻訳者のメインを務めてくださっている岡和田晃さんに確認したところ、翻訳は半分ほど終わっている状態、とのこと。
半分だと、さすがに間に合わないか……。
そう考えかけたところ、ご提案をいただきました☆
◆「ワールド編」!!
大きめの作品を翻訳する際、分冊にして刊行することも、よくあるとのこと。
つまり、「ズィムララのモンスターラリー」を、ワールド編とモンスター編に分割して出す、という方法です☆
私たちはこの方法を採用することに決めました。
「ズィムララのモンスタラリー・ワールド編」です!!
◆ボーナストラック「女神キット=ラの秘密のピラミッド」☆
せっかくの刊行ですので、何か「ボーナストラック」をつけたいですねと、岡和田さんと話しました。
翻訳が間に合うようであれば、ケン・セント・アンドレによるシナリオ「女神キット=ラの秘密のピラミッド」を収録する予定です!
それではまた!
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◆「ズィムララのモンスターラリー」!!
冬に「モンスター!モンスター!TRPG」のサプリメントを出せなかったので、優先的に出したいのはこちらだと、考えておりました☆
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翻訳者のメインを務めてくださっている岡和田晃さんに確認したところ、翻訳は半分ほど終わっている状態、とのこと。
半分だと、さすがに間に合わないか……。
そう考えかけたところ、ご提案をいただきました☆
◆「ワールド編」!!
大きめの作品を翻訳する際、分冊にして刊行することも、よくあるとのこと。
つまり、「ズィムララのモンスターラリー」を、ワールド編とモンスター編に分割して出す、という方法です☆
私たちはこの方法を採用することに決めました。
「ズィムララのモンスタラリー・ワールド編」です!!
◆ボーナストラック「女神キット=ラの秘密のピラミッド」☆
せっかくの刊行ですので、何か「ボーナストラック」をつけたいですねと、岡和田さんと話しました。
翻訳が間に合うようであれば、ケン・セント・アンドレによるシナリオ「女神キット=ラの秘密のピラミッド」を収録する予定です!
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2025年6月22日日曜日
Re:自治都市トーン「ローグライクハーフ」都市サプリメント FT新聞 No.4533
おはようございます。
FT新聞編集長の水波です。
7月の第1日曜日は、火呂居美智さんによる新作d66シナリオ『幽霊屋敷の果実酒』が配信となります。
拠点となる街は自治都市トーン!
それに伴いまして、以前配信しました「都市サプリメント」を再配信いたします。
トーン独自のアイテムや従者を駆使して、ぜひシナリオをお楽しみ下さい!
◆自治都市トーン
アランツァの南東部にある、神聖都市ロング・ナリクから独立してつくられた新しい街。
そして音楽の都市でもあります。
↓「都市サプリメント:自治都市トーン」
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_SUP_Tone.txt
↓「アランツァ:ラドリド大陸地図」by 中山将平
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/MAPofARANCIA.png
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拠点となる街は自治都市トーン!
それに伴いまして、以前配信しました「都市サプリメント」を再配信いたします。
トーン独自のアイテムや従者を駆使して、ぜひシナリオをお楽しみ下さい!
◆自治都市トーン
アランツァの南東部にある、神聖都市ロング・ナリクから独立してつくられた新しい街。
そして音楽の都市でもあります。
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2025年6月21日土曜日
FT新聞1ウィーク! 第645号 FT新聞 No.4532
From:水波流
うちの娘は私の書斎の事をBOOKOFFと呼んで憚らないが、先日本当に買い物に出かける時に「BOOKOFFに行くけど一緒に行く?」と聞いたところ「行く行く!」とウキウキして書斎の扉を開けて入って行ったので、これはどうしたものかと思った。
from:葉山海月
い、今現実に起こったことを話すぜ!
ちょっと長く深めのトイレの物掛け。
カバンひょいとかけただけなのに、知恵の輪のように絡まって、解くのに一時間!
from:中山将平
僕ら明日6月22日(日)吹上ホール第1ファッション(愛知県名古屋市)で開催予定の「コミックライブin名古屋アーリーサマー2025」内「オリComi Nagoya45」にサークル参加します。
ブース配置は【C09】です。ゲームブックや1人用TRPGローグライクハーフ等を扱います。ぜひ遊びにお越しいただけましたら。
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■6/15(日)~6/20(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2025年6月15日(日) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.4526
Re:アランツァワールドガイドVol.8 自治都市トーン
今日配信するのは「アランツァワールドガイド」。
来月のd66シナリオの舞台となる「自治都市トーン」の再配信です。
トーンはアランツァの南東部にある、神聖都市ロング・ナリクから独立してつくられた新しい街。
宗教的自由を象徴するような「白い部屋」。
豊かな魔法の装備品。
そして、人気急上昇中の〈四猫亭〉。
加えて、その歴史。
などなど、本誌のゲームブックの舞台としてもおなじみな、この音楽の都市のガイドをお楽しみくださいませ!
2025年6月16日(月) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.4527
★コミケ落選のお知らせ★
残念なニュースからです。
FT書房ですが、夏のコミケに落ちてしまいました!
新刊をお披露目する場が、失われてしまった。
それならば!
私たちは新刊の刊行を1週間ほど早めて、2025年8月10日(日)で行われるTGFF(テーブル・ゲーム・ファン・フェスタ)で、新刊を出すことに決めました!
詳細は本記事でぜひご確認を!
けっして皆様の期待を裏切らない不退転の方針で臨んでおります!
2025年6月17日(火) 田林洋一 FT新聞 No.4528
『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol.3
・田林洋一氏による、1980年代半ばから1992年の間に東京創元社から刊行された「スーパーアドベンチャーゲーム(SAGB)」の一連のゲームブックの解説記事です!
今回は林友彦氏の大著、「ネバーランドシリーズ」を主に扱います。
双方向移動のゲームブックの大作として「ドルアーガの塔」の名前を挙げたのならば、それに匹敵する傑作として、猫妖精ブーカの勇者ティルトを主人公とした林友彦著「ネバーランド」シリーズも挙げなければならない!
ちゃんと重要なイベントをこなしたかどうか判定する「キーNo.」システム。加えて残機数に当たる「勇者は三度死ぬ」システムの導入。
そして広大な迷宮。
高難度だけではない、語り口からもこれらの作品を分析します。
2025年6月18日(水) ぜろ FT新聞 No.4529
第1回【素敵なおパンツ同盟】ローグライクハーフリプレイ
・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第443回をお届けしました。
今回挑みますは、「ローグライクハーフ」シリーズ『素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜』
無類のおパンツ好きで、宇宙忍者のポストんのもとへ転がり込んできた幸運!
はたして彼は、自分に神かがったレベルでぴったりくるおパンツをゲットすることができるでしょうか!?
岡本太郎じゃなくても「なんだこれは!」と叫ぶ冒険の始まりです。
(しかしこんな、おパンツおパンツ連射して、だいじょくぁwせdrftgyふじこlp」 by葉山)
2025年6月19日(木) 齊藤飛鳥 FT新聞 No.4530
齊藤飛鳥・小説リプレイvol.35『名付けられるべきではないもの』 その3
・児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによるTRPG小説リプレイをお届けしました。
超絶危険モンスターの似我蜂(じがばち)の探索を請け負って《太古の森》へ冒険していた、冒険家乙女のクワニャウマとその相棒のエルフの少女イェシカ。途中、樹人の従者・アテリツィを仲間に加え、さらに冒険を進めたところ、似我蜂の群れと戦うエルフ部隊を発見。助けに行ったが、アテリツィが似我蜂にさらわれ、クワニャウマも危うく似我蜂に襲われかけた。その危機を、エルフ部隊の隊長の弟・ファラサールに助けてもらったクワニャウマは、仲間と恩人を救出するため、似我蜂の棲み処を目指して突き進むのだった。
危険な植物の天然の罠。エルフの一団との遭遇を経て、出会った人物とは!?
2025年6月20日(金) 水波流 FT新聞 No.4531
FT新聞・編集部員募集のお知らせ
・諸君! 今、この地は大変な危機に瀕している。
それは単純ゆえに強力な危機。
人的リソースの低下だ。
このままでは、FT新聞自体がヤバい感じになるやもしれぬ。
そこで、我々「ファイティング・トロールズ」新聞編集部は、FT新聞・編集部員をここに大募集したいと思う。
メリットは本記事の通り。
さらに、、FT書房のメンバーが全力でバックアップするのも保証しよう!
君の熱いゲーム魂を、ほんの少しでもいい!
この「戦うトロール」たちに賭けてみないか!?
我こそは! と思う勇者の皆様!
ぜひ下記フォームからご連絡ください!
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(岡和田晃さん)
FT新聞の新連載、『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol1、2(田林洋一)、素晴らしい思います。吉里川べおさんの『悪魔よそれをとれ』以来の感動です!
vol.1では、東京創元社のゲームブックシリーズSAGBから、ヴァルキリーナヲミの2作を解説されていますが、ゲームブックの「真の道」が一本道なのはTRPGソロアドベンチャーとの差別化によります。『You Are The Hero』をご参照あれ。
ゲームブックの構造の話が大部を占めますがが、キャラクターや世界観についても、もっと踏み込んで知りたくなりました。
Vol.2はドルアーガ3部作と『カイの冒険』について。鈴木直人作品の特徴を、熱っぽい文章でバランスよく伝えており、非ゲームブック直撃世代や初心者には、ひとまず一読を勧めたい内容です。
『ドルアーガの塔』式の双方向移動・隅々までマッピング可のゲームブックは双葉社の『ウィザードリィIII』や『ディープダンジョンIII』等がある。なお、ドルアーガ3部作は、「ウォーロック」誌や「剣社通信」でも読者によるアツい記事が散見され、それらを紹介しても面白いかもしれません。
対して『カイの冒険』評は辛口だが、そもそも原作のコンピュータゲームからして、まったくゲーム性が異なるので(こっちの方が難しいとすら思う次第です)、単体でのレビューを読みたかったという気もします。
(お返事:田林洋一)
もったいないお言葉、どうもありがとうございます。そして、ゲームブックとTRPGソロアドベンチャーとの差異についてのご教示も、とても興味深いです。「ドルアーガの塔」以外にも隅々までマッピングできるゲームブックがあったのですね。ゲームブックブーム時代は熱い作品がいくつもありましたね。『カイの冒険』はパズルや文章など素晴らしいところもたくさんあるのですが、アーケードゲームの原作も、そしてゲームブック版も、確かに別物と考えていいのかもしれません。お便り、どうもありがとうございました!
(ジャラル アフサラールさん)
同じくプレイした同志(笑)として緒方直人さんがどう攻略されるか楽しみです。現在放送中の『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』はジオンが勝利した世界での話ですが、ジョン・クエスト君はこの世界ではどうなんでしょかね? 要領が悪そうな若者なのでジオンの地球拠点(この世界ではジオン軍の駐留基地や工廠が地球の要所に居座る)で整備兵してそうですが、下手にギレン総帥に気に入られていれば第10話で…。でも地球にいても後の話で悲惨なことになるかも。
(お返事:緒方直人)
同志ジャラルさん、お便りありがとうございます。
ジークアクス私も楽しく見てます。ジョン君はまぁ、ソーラレイも鉄のサソリ反乱もなかったのなら今もイチ整備兵としてヒロインとアフリカ基地でいちゃこらしてるんでしょうな。
ということでぼくのかんがえたジークアクス最終回は「なんやかやでマチュとニャアンが仲良くMAVって間男のシュウジに鉄槌を下す!」に一票。
(忍者福島さん)
名付けられるべきではないものリプレイ1と2を読んでみました。
髪切ったか?とタモリさんみたいな挨拶をするヴィド。ミン・メーショ・ボーの本をいくつも知ってたりして、実は日本人なんじゃなか?と思ったり(笑)
人を襲うほどの巨大なジガバチ、ウィザードリィのダイヤモンドの騎士の敵でジャイアントワスプってのがいて、4グループ9体で36匹を相手にしないといけないのでめんどくさい敵でした(苦笑)
ギルサリオンは、カザン帝国辺境開拓記のプレーヤーとしては高慢なヤツとは思いつつも行動を共にするなら頼りになるというような関係だったなあと思い出します。
あと、アテリツィみたいな名前の長い同行者しか仲間にせず、銀毛イタチを捕まえて金の算段をするクワニャウマがいつも通り強欲で良かったです、捕獲時に獲ったどー!と叫べば最高だったのですが(笑)
(お返事:齊藤飛鳥)
今回も御感想を下さり、まことにありがとうございます。励みになりますm(_ _)m♪
ヴィドはきっと、まじない師の修行をしていた時に精神だけ平成初期日本へトリップしてしまったことがあったとかなかったとかなのでしょう(笑)
巨大ジガバチが36体……とんだ悪夢ですね;
バックナンバーで『カザン帝国辺境開拓記』リプレイを拝読しましたが、ギルサリオンはこちらでも生真面目で高慢だけれども信念はある苦労人属性という、おいしいキャラクターでしたね^^
獲ったどー!と叫ぶクワニャウマを想像したところ、「無人島0円生活」ならぬ「《太古の森》1G生活」という謎のシナリオが妄想できました^^b
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未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。
もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。
このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。
未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。
https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html
*10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。
また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。
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うちの娘は私の書斎の事をBOOKOFFと呼んで憚らないが、先日本当に買い物に出かける時に「BOOKOFFに行くけど一緒に行く?」と聞いたところ「行く行く!」とウキウキして書斎の扉を開けて入って行ったので、これはどうしたものかと思った。
from:葉山海月
い、今現実に起こったことを話すぜ!
ちょっと長く深めのトイレの物掛け。
カバンひょいとかけただけなのに、知恵の輪のように絡まって、解くのに一時間!
from:中山将平
僕ら明日6月22日(日)吹上ホール第1ファッション(愛知県名古屋市)で開催予定の「コミックライブin名古屋アーリーサマー2025」内「オリComi Nagoya45」にサークル参加します。
ブース配置は【C09】です。ゲームブックや1人用TRPGローグライクハーフ等を扱います。ぜひ遊びにお越しいただけましたら。
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
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■6/15(日)~6/20(金)の記事一覧
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2025年6月15日(日) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.4526
Re:アランツァワールドガイドVol.8 自治都市トーン
今日配信するのは「アランツァワールドガイド」。
来月のd66シナリオの舞台となる「自治都市トーン」の再配信です。
トーンはアランツァの南東部にある、神聖都市ロング・ナリクから独立してつくられた新しい街。
宗教的自由を象徴するような「白い部屋」。
豊かな魔法の装備品。
そして、人気急上昇中の〈四猫亭〉。
加えて、その歴史。
などなど、本誌のゲームブックの舞台としてもおなじみな、この音楽の都市のガイドをお楽しみくださいませ!
2025年6月16日(月) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.4527
★コミケ落選のお知らせ★
残念なニュースからです。
FT書房ですが、夏のコミケに落ちてしまいました!
新刊をお披露目する場が、失われてしまった。
それならば!
私たちは新刊の刊行を1週間ほど早めて、2025年8月10日(日)で行われるTGFF(テーブル・ゲーム・ファン・フェスタ)で、新刊を出すことに決めました!
詳細は本記事でぜひご確認を!
けっして皆様の期待を裏切らない不退転の方針で臨んでおります!
2025年6月17日(火) 田林洋一 FT新聞 No.4528
『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol.3
・田林洋一氏による、1980年代半ばから1992年の間に東京創元社から刊行された「スーパーアドベンチャーゲーム(SAGB)」の一連のゲームブックの解説記事です!
今回は林友彦氏の大著、「ネバーランドシリーズ」を主に扱います。
双方向移動のゲームブックの大作として「ドルアーガの塔」の名前を挙げたのならば、それに匹敵する傑作として、猫妖精ブーカの勇者ティルトを主人公とした林友彦著「ネバーランド」シリーズも挙げなければならない!
ちゃんと重要なイベントをこなしたかどうか判定する「キーNo.」システム。加えて残機数に当たる「勇者は三度死ぬ」システムの導入。
そして広大な迷宮。
高難度だけではない、語り口からもこれらの作品を分析します。
2025年6月18日(水) ぜろ FT新聞 No.4529
第1回【素敵なおパンツ同盟】ローグライクハーフリプレイ
・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第443回をお届けしました。
今回挑みますは、「ローグライクハーフ」シリーズ『素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜』
無類のおパンツ好きで、宇宙忍者のポストんのもとへ転がり込んできた幸運!
はたして彼は、自分に神かがったレベルでぴったりくるおパンツをゲットすることができるでしょうか!?
岡本太郎じゃなくても「なんだこれは!」と叫ぶ冒険の始まりです。
(しかしこんな、おパンツおパンツ連射して、だいじょくぁwせdrftgyふじこlp」 by葉山)
2025年6月19日(木) 齊藤飛鳥 FT新聞 No.4530
齊藤飛鳥・小説リプレイvol.35『名付けられるべきではないもの』 その3
・児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによるTRPG小説リプレイをお届けしました。
超絶危険モンスターの似我蜂(じがばち)の探索を請け負って《太古の森》へ冒険していた、冒険家乙女のクワニャウマとその相棒のエルフの少女イェシカ。途中、樹人の従者・アテリツィを仲間に加え、さらに冒険を進めたところ、似我蜂の群れと戦うエルフ部隊を発見。助けに行ったが、アテリツィが似我蜂にさらわれ、クワニャウマも危うく似我蜂に襲われかけた。その危機を、エルフ部隊の隊長の弟・ファラサールに助けてもらったクワニャウマは、仲間と恩人を救出するため、似我蜂の棲み処を目指して突き進むのだった。
危険な植物の天然の罠。エルフの一団との遭遇を経て、出会った人物とは!?
2025年6月20日(金) 水波流 FT新聞 No.4531
FT新聞・編集部員募集のお知らせ
・諸君! 今、この地は大変な危機に瀕している。
それは単純ゆえに強力な危機。
人的リソースの低下だ。
このままでは、FT新聞自体がヤバい感じになるやもしれぬ。
そこで、我々「ファイティング・トロールズ」新聞編集部は、FT新聞・編集部員をここに大募集したいと思う。
メリットは本記事の通り。
さらに、、FT書房のメンバーが全力でバックアップするのも保証しよう!
君の熱いゲーム魂を、ほんの少しでもいい!
この「戦うトロール」たちに賭けてみないか!?
我こそは! と思う勇者の皆様!
ぜひ下記フォームからご連絡ください!
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■今週の読者様の声のご紹介
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ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(岡和田晃さん)
FT新聞の新連載、『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol1、2(田林洋一)、素晴らしい思います。吉里川べおさんの『悪魔よそれをとれ』以来の感動です!
vol.1では、東京創元社のゲームブックシリーズSAGBから、ヴァルキリーナヲミの2作を解説されていますが、ゲームブックの「真の道」が一本道なのはTRPGソロアドベンチャーとの差別化によります。『You Are The Hero』をご参照あれ。
ゲームブックの構造の話が大部を占めますがが、キャラクターや世界観についても、もっと踏み込んで知りたくなりました。
Vol.2はドルアーガ3部作と『カイの冒険』について。鈴木直人作品の特徴を、熱っぽい文章でバランスよく伝えており、非ゲームブック直撃世代や初心者には、ひとまず一読を勧めたい内容です。
『ドルアーガの塔』式の双方向移動・隅々までマッピング可のゲームブックは双葉社の『ウィザードリィIII』や『ディープダンジョンIII』等がある。なお、ドルアーガ3部作は、「ウォーロック」誌や「剣社通信」でも読者によるアツい記事が散見され、それらを紹介しても面白いかもしれません。
対して『カイの冒険』評は辛口だが、そもそも原作のコンピュータゲームからして、まったくゲーム性が異なるので(こっちの方が難しいとすら思う次第です)、単体でのレビューを読みたかったという気もします。
(お返事:田林洋一)
もったいないお言葉、どうもありがとうございます。そして、ゲームブックとTRPGソロアドベンチャーとの差異についてのご教示も、とても興味深いです。「ドルアーガの塔」以外にも隅々までマッピングできるゲームブックがあったのですね。ゲームブックブーム時代は熱い作品がいくつもありましたね。『カイの冒険』はパズルや文章など素晴らしいところもたくさんあるのですが、アーケードゲームの原作も、そしてゲームブック版も、確かに別物と考えていいのかもしれません。お便り、どうもありがとうございました!
(ジャラル アフサラールさん)
同じくプレイした同志(笑)として緒方直人さんがどう攻略されるか楽しみです。現在放送中の『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』はジオンが勝利した世界での話ですが、ジョン・クエスト君はこの世界ではどうなんでしょかね? 要領が悪そうな若者なのでジオンの地球拠点(この世界ではジオン軍の駐留基地や工廠が地球の要所に居座る)で整備兵してそうですが、下手にギレン総帥に気に入られていれば第10話で…。でも地球にいても後の話で悲惨なことになるかも。
(お返事:緒方直人)
同志ジャラルさん、お便りありがとうございます。
ジークアクス私も楽しく見てます。ジョン君はまぁ、ソーラレイも鉄のサソリ反乱もなかったのなら今もイチ整備兵としてヒロインとアフリカ基地でいちゃこらしてるんでしょうな。
ということでぼくのかんがえたジークアクス最終回は「なんやかやでマチュとニャアンが仲良くMAVって間男のシュウジに鉄槌を下す!」に一票。
(忍者福島さん)
名付けられるべきではないものリプレイ1と2を読んでみました。
髪切ったか?とタモリさんみたいな挨拶をするヴィド。ミン・メーショ・ボーの本をいくつも知ってたりして、実は日本人なんじゃなか?と思ったり(笑)
人を襲うほどの巨大なジガバチ、ウィザードリィのダイヤモンドの騎士の敵でジャイアントワスプってのがいて、4グループ9体で36匹を相手にしないといけないのでめんどくさい敵でした(苦笑)
ギルサリオンは、カザン帝国辺境開拓記のプレーヤーとしては高慢なヤツとは思いつつも行動を共にするなら頼りになるというような関係だったなあと思い出します。
あと、アテリツィみたいな名前の長い同行者しか仲間にせず、銀毛イタチを捕まえて金の算段をするクワニャウマがいつも通り強欲で良かったです、捕獲時に獲ったどー!と叫べば最高だったのですが(笑)
(お返事:齊藤飛鳥)
今回も御感想を下さり、まことにありがとうございます。励みになりますm(_ _)m♪
ヴィドはきっと、まじない師の修行をしていた時に精神だけ平成初期日本へトリップしてしまったことがあったとかなかったとかなのでしょう(笑)
巨大ジガバチが36体……とんだ悪夢ですね;
バックナンバーで『カザン帝国辺境開拓記』リプレイを拝読しましたが、ギルサリオンはこちらでも生真面目で高慢だけれども信念はある苦労人属性という、おいしいキャラクターでしたね^^
獲ったどー!と叫ぶクワニャウマを想像したところ、「無人島0円生活」ならぬ「《太古の森》1G生活」という謎のシナリオが妄想できました^^b
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2025年6月20日金曜日
FT新聞・編集部員募集のお知らせ FT新聞 No.4531
FT新聞をお読み頂いているあなたへ。
FT新聞編集長の水波流です。
いつも金曜日は、投稿記事募集のご案内を掲載しておりましたが、今日は別のご案内です。
いまFT新聞編集部は、水波流、葉山海月、中山将平の3名を中心に分担して各曜日の記事を担当しておりますが、
そのお手伝いをしてくださる方を募集いたします。
・ゲームブックやTRPG、ファンタジーに関する記事が大好きな方
・FT新聞の記事をいち早く読みたいという方
・新作ゲームブックやシナリオの校正や編集、テストプレイに興味があるという方
・創作活動をしていて(はじめたくて)文章力を磨きたいという方
そんなあなたに、ぜひお力を貸して頂ければ嬉しいです。
もちろん私をはじめ、FT書房のメンバーが全力でバックアップ致します。
ご相談をしながら、まずはできる範囲からお手伝い頂く形で考えています。
ただFT新聞は完全無料で運営している媒体ですので、執筆や編集作業に対して謝礼はございません。その点だけご容赦ください。
もし少しでも「興味があるぞ」と思われた方はぜひ下記のお便りフォームからご連絡下さい!
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2025年6月19日木曜日
齊藤飛鳥・小説リプレイvol.35『名付けられるべきではないもの』 その3 FT新聞 No.4530
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児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによる
TRPG小説リプレイ
Vol.35
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〜前回までのあらすじ〜
超絶危険モンスターの似我蜂(じがばち)の探索を請け負って《太古の森》へ冒険していた、冒険家乙女のクワニャウマとその相棒のエルフの少女イェシカ。途中、樹人の従者・アテリツィを仲間に加え、さらに冒険を進めたところ、似我蜂の群れと戦うエルフ部隊を発見。助けに行ったが、アテリツィが似我蜂にさらわれ、クワニャウマも危うく似我蜂に襲われかけた。その危機を、エルフ部隊の隊長の弟・ファラサールに助けてもらったクワニャウマは、仲間と恩人を救出するため、似我蜂の棲み処を目指して突き進むのだった。
もはや、その2の後半からずっとクライマックスな気がしてならない『名付けられるべきではないもの』リプレイその3です。
仲間と恩人の拉致、子連れで危険な追跡行、無残な犠牲者の遺体発見……と、どんどん過酷な状況になってきたところで、満を持して登場してくれるあのキャラクターに、物語的にもゲーム的にも精神的にも、非常に救われました^^v
このタイミングであのキャラクターが登場してくれていなければ、このリプレイが本日最終回、しかも主人公たちの葬儀という面白みを出すのが難しい内容になるところだったので、リプレイ的にも救われました(笑)
そして、エルフの隊長・ギルサリオンとの絡みがここから増えていきます。クワニャウマを登場人物からツッコミを入れられるボケ属性に設定しているので、育ちがよくて生真面目なツンデレ属性のギルサリオンは、どんなツッコミを彼女へ入れさせたら彼の個性が際立つか、プレイ中に楽しみながら妄想したのを覚えています。
ところで、似我蜂に襲われた人間は卵を植えつけられ、孵化した成虫に顔を取られて死亡……と、解釈していたのですが、作者の水波流先生から先日、成虫になる際に宿主である人間と同化しているので、宿主は似我蜂の成虫と同化して再生しているので死んでいないという生態を御教授いただきました。
この似我蜂の生態を頭に入れておくと、さらに絶望も物語もテーマ性も深みが増し、ズッシリと心に残る冒険になること請け合いです。
これから『名付けられるべきではないもの』を冒険予定の方々も、この生態を念頭に入れておくことを推奨します^^b
最後になりますが、このたび7月30日に、国土社様から拙作『シニカル探偵安土真』6巻が刊行予定となりました!
今回は、謎の暗号を解読して行方不明になった子どもたちを探す物語です。
人生初の児童書のシリーズが、ここまで続きましたのも皆様のおかげでございます。ありがとうございますm(__)m
※以下、冒険の核心部分に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意下さい。
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ローグライクハーフ
『名付けられるべきではないもの』リプレイ
その3
齊藤(羽生)飛鳥
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5:絡まる下草
食糧を食べ、体力を回復させてから、わたしとイェシカは小川の上流を目指した。
「アテリツィとファラサールを助けるために、ちょっと無茶な前進を続けるけど、がんばってついてきてね、イェシカ!」
早歩きで進み続けることに対し、イェシカは健気にも頷く。いい子だ。
でも、イェシカがいい子だからって、こっちは図に乗ってはいけない。疲れが見えたら、休憩を入れよう。アテリツィとファラサールも大事だけど、イェシカも大事だしね。
しばらくして、鬱蒼と下草が茂る地帯に出た。
そこで、下草の中を掻き分けて進んでいると、不意に足首に草が絡みつき、そのまま物凄い早さで全身から血を吸われ始めた!
まずい! これは〈血吸い草〉だ!
「イェシカ、こっちへ来たらダメ! すぐに下がって!」
わたしを助けるために駆け寄ろうとするイェシカをとどめ、わたしは全力で絡みついてきた下草を引きちぎった。
そのはずみで〈血吸い草〉がない方へ転がると、そこにはトレントキノコ、またの名をケルタヴァハヴェロが生えていた!
前の冒険で手に入れたトレントキノコも合わせると、これで2つ。
幸先明るいぞ!
6:刃花草
トレントキノコを入手できて、すっかり気力が充実してきたところで、わたしはイェシカのいる方へ戻ろうとして、気がついた。
〈刃花草〉が4本、はえている!
一難去って、また一難とはまさにこのこと。
刃花草は、自分の縄張りを荒らされたと判断したが最後、刃のように鋭い花びらを飛ばして攻撃してくる。
絡まる下草の次は、刃花草。
サービスやおかわり、オマケの類は大好きだけど、こういうのはいらない。
わたしは、息を殺して刃花草たちに気づかれないよう、その場を離れた。
ようやくイェシカの許へ戻れた時、どっと疲れが出てきたし、何なら腰が抜けた。
そんなわたしを、イェシカはよくやったと言わんばかりに頭を撫でてくれた。
回復機能はついていないけれど、数値化できない領域の癒しは得られた。
7:喰い散らかされた死体
森の清廉な空気に、むっとする血の匂いが混じってきた。
足を速めてその臭気を追ううちに、わたしはエルフの一団が何かを取り囲んでいるところに行き当たった。
エルフの巡視隊は足音を聞きつけ振り返ると、わたしたちを冷ややかな視線でじっと見つめる。
(外なる者か……如何とする?)
(ファラサール様は我らの邪魔をせぬ限りは好きにさせろとの仰せだ)
(然らば)
小声のエルフ語でやり取りが交わされると、エルフたちは取り囲んでいたものがわたしたちに見えるよう、少し隙間を空ける。
彼らがファラサールの意思を汲み取って便宜を図ってくれているので、わたしは彼にまた救われたことになる。
どんだけ恩人なんだ、ファラサール。しかも、ただだし。わたしもただで助けよう。
改めて決意を固めてから、わたしはイェシカにその場で待っているように伝え、エルフの一団に混ざって臭いの元凶を見に行く。
足元に横たわる血生臭さの元凶を目にし、わたしは思わず口元を押さえる。
まるで野獣に貪り喰われたかのように肉片や骨をそこらに散乱させ、元はオークであったろう肉体が転がっている。
イェシカに見せなかったのは、我ながらいい判断だった。
「太古の森の集落のオークだろう」
「奴らの死体が転がっていることなど珍しくも無いが……」
エルフたちの無言の視線を追うと、特に酷く損壊しているのは頭部で、顔面は判別不能なほどだ。
また腹部は何かに切り裂かれたように裂傷が走り、そこからは血だけでなく白い粘液がじくじくと漏れ出して、大地を汚している。
粘液の中を蠢くように、蛆虫のような幼生がモゾモゾと這い回っている。
さっき、こいつらを吐き出せてよかった。本当に、よかった。
さもなければ、今頃わたしもイェシカも、今はここにいないアテリツィも、このオークのようになっていた。
そして、やがては似我蜂の尻に顔を張り付けられ、死後の尊厳も打ち砕かれていた。
エルフの一人が顔をしかめながら清めの言霊を唱えると、シュウシュウと煙を上げながら汚らしい蟲は消え失せる。
あの蟲、そういう手段でないと完全に退治できないのか。だったら、くつの裏でグリグリと踏みつぶすだけで済ませず、焼いておけばよかったな。
「ファラサール様がおられれば……」
「しっ」
なにか言いたげな者に、厳しい視線が集まる。どうやらエルフたちも一枚岩ではないようだ。
ていうか、わたしが原因で、彼らにファラサール不在という大損をさせてしまっているので、いたたまれなくなる。
「ギルサリオン隊長に出くわす前に、さっさと失せるのだな」
「無料忠告、ありがとう。参考にさせてもらうわ」
「ちっ、変な女だ」
エルフたちは吐き捨てるようにそう言ってから立ち去る。
でも、わたしは気にしなかった。
罵声を浴びせられることになれているからではない。
彼らの足下に、トレントキノコを見つけたからだ!
「これで3つ! アテリツィとファラサールを助けに行く役に立つわ。ウィーッヒッヒッヒッ!!」
イェシカは、そんなわたしを呆れながらも微笑ましそうに眺めていた。天使だ。
8:最終イベント
小川を遡っていくと、やがて苔むした洞窟が見えてきた。巨体が乱暴に何度も出入りしたのか、入口付近の苔が剥がれ落ち、地肌が露出している。
「立ち去れと言ったはずだぞ」
藪の中から小さいが鋭い囁きが聞こえた。見れば潜んでいるのは手傷を負ったギルサリオン一人だ。
「……怪我の酷いものは集落へ帰らせた。私一人で十分だ」
「馬鹿な———」
———さっきわたしが会った連中がその怪我の酷い者たちだと思うけど、けっこう元気そうにオークの死体を見てしゃべっていたから、仮病を使われたんじゃない?……と反論しかけたわたしを押しとどめるように、ギルサリオンは洞窟前の広場を指さした。
似我蜂が何かに伸しかかり、ぼりぼりと嫌な音を立てて咀嚼している。よく見れば、喰われているのは先ほどまで戦っていた雄の似我蜂だ。
わたしは、すぐにイェシカにここから離れて安全な場所へ行くようにジェスチャーで伝える。
イェシカは、素直に頷くとすぐに遠ざかっていく。
それを見届けてから、わたしはもう一度雄の似我蜂を見る。目を離していたほんのわずかな間に、雌に食われて体がほとんどなくなっていた。
思わず息を呑んだわたしたちの方に振り返ると、雌の似我蜂は奇怪な金切り声を上げる。
小煩い羽音を伴い、小蜂どもも洞窟からうようよと飛び出してきた。
「———今は細かいことは後にして、奴らを倒しましょう」
「貴様に命令されずとも、そのつもりだ」
わたしとギルサリオンは、身構える。
雌の似我蜂は、2匹。
忌まわしき小蜂は、3匹。
「ギルサリオン。あなた、弓を持っているわよね? それで小蜂を仕留めてくれる? わたしは炎球で似我蜂の雌たちを焼く」
「……変ではあるが、馬鹿ではないようだな、女。いいだろう。その進言、聞き入れた」
話は、これでまとまった。
わたしたちは、いっせいに蜂たちへ襲いかかった。
「炎球!」
「三連射!」
わたしの炎球もギルサリオンの矢も、似我蜂と小蜂の群れに見事に当たる。
うまい具合に小蜂はすべてしとめられたものの、残る問題は似我蜂だ。
炎球で焼いてやったのはいいけれど、その後が問題だ。
さっきも、似我蜂にとどめを刺し損ねたせいで、アテリツィもファラサールも奴らに攫われてしまった。
二人で手分けして似我蜂を攻撃するも、こちらも攻撃を食らい、そのたびに攻撃の手を休め、あの老まじない師の女神様から無料提供してもらった〈ムスティッカの魔法ジャム〉で麻痺や体力の回復にあたった。
「私にも〈ムスティッカの魔法ジャム〉を施す奴があるか、愚か者め」
「これはわたしたちが生存するための投資。施しなんかじゃないわ。さあ、3ラウンド目行くわよ!」
「言われるまでもない!」
わたしとギルサリオンが、それぞれ剣と弓を構えたところだった。
風斬り音とともに、どこからか飛翔した信じられないほど邪悪な形をした投げナイフが、わたしたちに纏わり付こうとしていた小蜂の群れを切り裂く。
「ちぇっ、やはり俺がやってもあいつみたいにうまくはいかんか」
足元に突き立ったナイフに目をやる間もなく、森の木立から銀狼のまじない師ヴィドが姿を現した。
「ヴィド! どうしてここに?」
「君たちの援軍をしに森へ入ったら、そこでイェシカが手をふっていたんでね」
ヴィドは私に片目をつぶって合図すると、まじないを唱え始める。
たちまち、わたしとギルサリオンの防御力が上がった。
「使えるようだな、まじない師」
「抜群にね」
思わぬ援軍に力を得て、わたしとギルサリオンはついに似我蜂の雌を倒すことができた。
「来てくれて助かったわ、ヴィド。集落に帰ったら特別料金を払わせて」
「別にいいって。任せっぱなしってのは性にあわなくてよ」
「あれれ? 気のせい? ヴィドがいつになくいい男に見えてきたわ」
「おまえの視力、金次第かよ」
「否定できないわ。ところで、あんたがここへ来て街の守りは大丈夫なの?」
ヴィドはにやりと笑みを浮かべる。
「おあつらえ向きのタイミングで、"男の中の男"が帰ってきてくれたんでな」
そう言うとヴィドは視線を移し、洞窟の奥へ歩を進めようとしているギルサリオンに背後から声を掛ける。
「だから言ったろ、ギルサリオン。厄介ごとになる前に手を組もうと」
「要らぬ世話だ。蛮族のまじない師ごときの施しは受けぬ」
不機嫌な顔を隠そうともせずギルサリオンは吐き捨てる。
「馬鹿か。くだらねえ意地はってる場合かよ」
ヴィドはわたしの肩を軽く叩くと、ギルサリオンの横に並ぶ。
「俺が援護してやる。気合い入れろや。せり負けたら張り倒すぞ」
「きゃー、怖い。じゃあ、その前にトレントキノコで回復しとくわ。ギルサリオン、あなたにも、トレントキノコね」
「先程、貴様から施してもらったばかりだ。二度もいらん」
「施し? 何のこと? わたしは生存のための投資をしただけよ? これもまたその投資」
「……まじない師よ。この女、腹の底で何を企んでいる?」
「と、思うだろう? 実は、善悪よりも損得勘定で行動するから、口で言った以上のことを考えていないんだ、これが」
「失礼な。今日より明日より金が欲しい、夢より愛する金が欲しい。そんな強欲を美徳とする、一介の冒険家乙女なだけ。それを珍獣を紹介するみたいに言わないでくれる? いけない。それで思い出した。似我蜂と小蜂の群れが宝を落としていってないかな?」
わたしが奴らの屍の周囲をあさると、似我蜂の雌と忌まわしき小蜂の群れから金貨25枚相当の小さな宝石を1個と、金貨50枚相当の大きな宝石を1個発見することができた。
「……貴様について真面目に考えるのも馬鹿らしくなってきた」
わたしの背後で、ギルサリオンはそう力なく笑ってから、トレントキノコを食べ始めた。手のかかる男だが、こちらの投資を遠慮するほど無欲なのだから、あれこれ望むのは贅沢というものだ。
わたしは回復を済ませてからイェシカを呼び寄せ、ランタンに灯りをつけさせると、全員で洞窟の中へと足を踏み入れた。
(続く)
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
齊藤飛鳥:
児童文学作家。推理作家。TRPG初心者。ゲームブックは児童向けの読書経験しかなかったところへ、『ブラマタリの供物』『傭兵剣士』などの大人向けのゲームブックと出会い、啓蒙され、その奥深さに絶賛ハマり中。
現在『シニカル探偵安土真』シリーズ(国土社)を刊行中。2024年末に5巻が刊行。
大人向けの作品の際には、ペンネームの羽生(はにゅう)飛鳥名義で発表し、2024年6月に『歌人探偵定家』(東京創元社)を、同年11月29日に『賊徒、暁に千里を奔る』(KADOKAWA)を刊行。2025年5月16日刊行の「小説すばる」6月号(集英社)に、読切『白拍子微妙 鎌倉にて曲水の宴に立ち会うこと』が掲載。同年7月31日に『女人太平記』(PHP研究所)が刊行予定。
初出:
本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。
■書誌情報
ローグライクハーフd33シナリオ
『名付けられるべきではないもの』
著 水波流
2024年12月1日FT新聞配信
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
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児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによる
TRPG小説リプレイ
Vol.35
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
〜前回までのあらすじ〜
超絶危険モンスターの似我蜂(じがばち)の探索を請け負って《太古の森》へ冒険していた、冒険家乙女のクワニャウマとその相棒のエルフの少女イェシカ。途中、樹人の従者・アテリツィを仲間に加え、さらに冒険を進めたところ、似我蜂の群れと戦うエルフ部隊を発見。助けに行ったが、アテリツィが似我蜂にさらわれ、クワニャウマも危うく似我蜂に襲われかけた。その危機を、エルフ部隊の隊長の弟・ファラサールに助けてもらったクワニャウマは、仲間と恩人を救出するため、似我蜂の棲み処を目指して突き進むのだった。
もはや、その2の後半からずっとクライマックスな気がしてならない『名付けられるべきではないもの』リプレイその3です。
仲間と恩人の拉致、子連れで危険な追跡行、無残な犠牲者の遺体発見……と、どんどん過酷な状況になってきたところで、満を持して登場してくれるあのキャラクターに、物語的にもゲーム的にも精神的にも、非常に救われました^^v
このタイミングであのキャラクターが登場してくれていなければ、このリプレイが本日最終回、しかも主人公たちの葬儀という面白みを出すのが難しい内容になるところだったので、リプレイ的にも救われました(笑)
そして、エルフの隊長・ギルサリオンとの絡みがここから増えていきます。クワニャウマを登場人物からツッコミを入れられるボケ属性に設定しているので、育ちがよくて生真面目なツンデレ属性のギルサリオンは、どんなツッコミを彼女へ入れさせたら彼の個性が際立つか、プレイ中に楽しみながら妄想したのを覚えています。
ところで、似我蜂に襲われた人間は卵を植えつけられ、孵化した成虫に顔を取られて死亡……と、解釈していたのですが、作者の水波流先生から先日、成虫になる際に宿主である人間と同化しているので、宿主は似我蜂の成虫と同化して再生しているので死んでいないという生態を御教授いただきました。
この似我蜂の生態を頭に入れておくと、さらに絶望も物語もテーマ性も深みが増し、ズッシリと心に残る冒険になること請け合いです。
これから『名付けられるべきではないもの』を冒険予定の方々も、この生態を念頭に入れておくことを推奨します^^b
最後になりますが、このたび7月30日に、国土社様から拙作『シニカル探偵安土真』6巻が刊行予定となりました!
今回は、謎の暗号を解読して行方不明になった子どもたちを探す物語です。
人生初の児童書のシリーズが、ここまで続きましたのも皆様のおかげでございます。ありがとうございますm(__)m
※以下、冒険の核心部分に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意下さい。
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
ローグライクハーフ
『名付けられるべきではないもの』リプレイ
その3
齊藤(羽生)飛鳥
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
5:絡まる下草
食糧を食べ、体力を回復させてから、わたしとイェシカは小川の上流を目指した。
「アテリツィとファラサールを助けるために、ちょっと無茶な前進を続けるけど、がんばってついてきてね、イェシカ!」
早歩きで進み続けることに対し、イェシカは健気にも頷く。いい子だ。
でも、イェシカがいい子だからって、こっちは図に乗ってはいけない。疲れが見えたら、休憩を入れよう。アテリツィとファラサールも大事だけど、イェシカも大事だしね。
しばらくして、鬱蒼と下草が茂る地帯に出た。
そこで、下草の中を掻き分けて進んでいると、不意に足首に草が絡みつき、そのまま物凄い早さで全身から血を吸われ始めた!
まずい! これは〈血吸い草〉だ!
「イェシカ、こっちへ来たらダメ! すぐに下がって!」
わたしを助けるために駆け寄ろうとするイェシカをとどめ、わたしは全力で絡みついてきた下草を引きちぎった。
そのはずみで〈血吸い草〉がない方へ転がると、そこにはトレントキノコ、またの名をケルタヴァハヴェロが生えていた!
前の冒険で手に入れたトレントキノコも合わせると、これで2つ。
幸先明るいぞ!
6:刃花草
トレントキノコを入手できて、すっかり気力が充実してきたところで、わたしはイェシカのいる方へ戻ろうとして、気がついた。
〈刃花草〉が4本、はえている!
一難去って、また一難とはまさにこのこと。
刃花草は、自分の縄張りを荒らされたと判断したが最後、刃のように鋭い花びらを飛ばして攻撃してくる。
絡まる下草の次は、刃花草。
サービスやおかわり、オマケの類は大好きだけど、こういうのはいらない。
わたしは、息を殺して刃花草たちに気づかれないよう、その場を離れた。
ようやくイェシカの許へ戻れた時、どっと疲れが出てきたし、何なら腰が抜けた。
そんなわたしを、イェシカはよくやったと言わんばかりに頭を撫でてくれた。
回復機能はついていないけれど、数値化できない領域の癒しは得られた。
7:喰い散らかされた死体
森の清廉な空気に、むっとする血の匂いが混じってきた。
足を速めてその臭気を追ううちに、わたしはエルフの一団が何かを取り囲んでいるところに行き当たった。
エルフの巡視隊は足音を聞きつけ振り返ると、わたしたちを冷ややかな視線でじっと見つめる。
(外なる者か……如何とする?)
(ファラサール様は我らの邪魔をせぬ限りは好きにさせろとの仰せだ)
(然らば)
小声のエルフ語でやり取りが交わされると、エルフたちは取り囲んでいたものがわたしたちに見えるよう、少し隙間を空ける。
彼らがファラサールの意思を汲み取って便宜を図ってくれているので、わたしは彼にまた救われたことになる。
どんだけ恩人なんだ、ファラサール。しかも、ただだし。わたしもただで助けよう。
改めて決意を固めてから、わたしはイェシカにその場で待っているように伝え、エルフの一団に混ざって臭いの元凶を見に行く。
足元に横たわる血生臭さの元凶を目にし、わたしは思わず口元を押さえる。
まるで野獣に貪り喰われたかのように肉片や骨をそこらに散乱させ、元はオークであったろう肉体が転がっている。
イェシカに見せなかったのは、我ながらいい判断だった。
「太古の森の集落のオークだろう」
「奴らの死体が転がっていることなど珍しくも無いが……」
エルフたちの無言の視線を追うと、特に酷く損壊しているのは頭部で、顔面は判別不能なほどだ。
また腹部は何かに切り裂かれたように裂傷が走り、そこからは血だけでなく白い粘液がじくじくと漏れ出して、大地を汚している。
粘液の中を蠢くように、蛆虫のような幼生がモゾモゾと這い回っている。
さっき、こいつらを吐き出せてよかった。本当に、よかった。
さもなければ、今頃わたしもイェシカも、今はここにいないアテリツィも、このオークのようになっていた。
そして、やがては似我蜂の尻に顔を張り付けられ、死後の尊厳も打ち砕かれていた。
エルフの一人が顔をしかめながら清めの言霊を唱えると、シュウシュウと煙を上げながら汚らしい蟲は消え失せる。
あの蟲、そういう手段でないと完全に退治できないのか。だったら、くつの裏でグリグリと踏みつぶすだけで済ませず、焼いておけばよかったな。
「ファラサール様がおられれば……」
「しっ」
なにか言いたげな者に、厳しい視線が集まる。どうやらエルフたちも一枚岩ではないようだ。
ていうか、わたしが原因で、彼らにファラサール不在という大損をさせてしまっているので、いたたまれなくなる。
「ギルサリオン隊長に出くわす前に、さっさと失せるのだな」
「無料忠告、ありがとう。参考にさせてもらうわ」
「ちっ、変な女だ」
エルフたちは吐き捨てるようにそう言ってから立ち去る。
でも、わたしは気にしなかった。
罵声を浴びせられることになれているからではない。
彼らの足下に、トレントキノコを見つけたからだ!
「これで3つ! アテリツィとファラサールを助けに行く役に立つわ。ウィーッヒッヒッヒッ!!」
イェシカは、そんなわたしを呆れながらも微笑ましそうに眺めていた。天使だ。
8:最終イベント
小川を遡っていくと、やがて苔むした洞窟が見えてきた。巨体が乱暴に何度も出入りしたのか、入口付近の苔が剥がれ落ち、地肌が露出している。
「立ち去れと言ったはずだぞ」
藪の中から小さいが鋭い囁きが聞こえた。見れば潜んでいるのは手傷を負ったギルサリオン一人だ。
「……怪我の酷いものは集落へ帰らせた。私一人で十分だ」
「馬鹿な———」
———さっきわたしが会った連中がその怪我の酷い者たちだと思うけど、けっこう元気そうにオークの死体を見てしゃべっていたから、仮病を使われたんじゃない?……と反論しかけたわたしを押しとどめるように、ギルサリオンは洞窟前の広場を指さした。
似我蜂が何かに伸しかかり、ぼりぼりと嫌な音を立てて咀嚼している。よく見れば、喰われているのは先ほどまで戦っていた雄の似我蜂だ。
わたしは、すぐにイェシカにここから離れて安全な場所へ行くようにジェスチャーで伝える。
イェシカは、素直に頷くとすぐに遠ざかっていく。
それを見届けてから、わたしはもう一度雄の似我蜂を見る。目を離していたほんのわずかな間に、雌に食われて体がほとんどなくなっていた。
思わず息を呑んだわたしたちの方に振り返ると、雌の似我蜂は奇怪な金切り声を上げる。
小煩い羽音を伴い、小蜂どもも洞窟からうようよと飛び出してきた。
「———今は細かいことは後にして、奴らを倒しましょう」
「貴様に命令されずとも、そのつもりだ」
わたしとギルサリオンは、身構える。
雌の似我蜂は、2匹。
忌まわしき小蜂は、3匹。
「ギルサリオン。あなた、弓を持っているわよね? それで小蜂を仕留めてくれる? わたしは炎球で似我蜂の雌たちを焼く」
「……変ではあるが、馬鹿ではないようだな、女。いいだろう。その進言、聞き入れた」
話は、これでまとまった。
わたしたちは、いっせいに蜂たちへ襲いかかった。
「炎球!」
「三連射!」
わたしの炎球もギルサリオンの矢も、似我蜂と小蜂の群れに見事に当たる。
うまい具合に小蜂はすべてしとめられたものの、残る問題は似我蜂だ。
炎球で焼いてやったのはいいけれど、その後が問題だ。
さっきも、似我蜂にとどめを刺し損ねたせいで、アテリツィもファラサールも奴らに攫われてしまった。
二人で手分けして似我蜂を攻撃するも、こちらも攻撃を食らい、そのたびに攻撃の手を休め、あの老まじない師の女神様から無料提供してもらった〈ムスティッカの魔法ジャム〉で麻痺や体力の回復にあたった。
「私にも〈ムスティッカの魔法ジャム〉を施す奴があるか、愚か者め」
「これはわたしたちが生存するための投資。施しなんかじゃないわ。さあ、3ラウンド目行くわよ!」
「言われるまでもない!」
わたしとギルサリオンが、それぞれ剣と弓を構えたところだった。
風斬り音とともに、どこからか飛翔した信じられないほど邪悪な形をした投げナイフが、わたしたちに纏わり付こうとしていた小蜂の群れを切り裂く。
「ちぇっ、やはり俺がやってもあいつみたいにうまくはいかんか」
足元に突き立ったナイフに目をやる間もなく、森の木立から銀狼のまじない師ヴィドが姿を現した。
「ヴィド! どうしてここに?」
「君たちの援軍をしに森へ入ったら、そこでイェシカが手をふっていたんでね」
ヴィドは私に片目をつぶって合図すると、まじないを唱え始める。
たちまち、わたしとギルサリオンの防御力が上がった。
「使えるようだな、まじない師」
「抜群にね」
思わぬ援軍に力を得て、わたしとギルサリオンはついに似我蜂の雌を倒すことができた。
「来てくれて助かったわ、ヴィド。集落に帰ったら特別料金を払わせて」
「別にいいって。任せっぱなしってのは性にあわなくてよ」
「あれれ? 気のせい? ヴィドがいつになくいい男に見えてきたわ」
「おまえの視力、金次第かよ」
「否定できないわ。ところで、あんたがここへ来て街の守りは大丈夫なの?」
ヴィドはにやりと笑みを浮かべる。
「おあつらえ向きのタイミングで、"男の中の男"が帰ってきてくれたんでな」
そう言うとヴィドは視線を移し、洞窟の奥へ歩を進めようとしているギルサリオンに背後から声を掛ける。
「だから言ったろ、ギルサリオン。厄介ごとになる前に手を組もうと」
「要らぬ世話だ。蛮族のまじない師ごときの施しは受けぬ」
不機嫌な顔を隠そうともせずギルサリオンは吐き捨てる。
「馬鹿か。くだらねえ意地はってる場合かよ」
ヴィドはわたしの肩を軽く叩くと、ギルサリオンの横に並ぶ。
「俺が援護してやる。気合い入れろや。せり負けたら張り倒すぞ」
「きゃー、怖い。じゃあ、その前にトレントキノコで回復しとくわ。ギルサリオン、あなたにも、トレントキノコね」
「先程、貴様から施してもらったばかりだ。二度もいらん」
「施し? 何のこと? わたしは生存のための投資をしただけよ? これもまたその投資」
「……まじない師よ。この女、腹の底で何を企んでいる?」
「と、思うだろう? 実は、善悪よりも損得勘定で行動するから、口で言った以上のことを考えていないんだ、これが」
「失礼な。今日より明日より金が欲しい、夢より愛する金が欲しい。そんな強欲を美徳とする、一介の冒険家乙女なだけ。それを珍獣を紹介するみたいに言わないでくれる? いけない。それで思い出した。似我蜂と小蜂の群れが宝を落としていってないかな?」
わたしが奴らの屍の周囲をあさると、似我蜂の雌と忌まわしき小蜂の群れから金貨25枚相当の小さな宝石を1個と、金貨50枚相当の大きな宝石を1個発見することができた。
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わたしの背後で、ギルサリオンはそう力なく笑ってから、トレントキノコを食べ始めた。手のかかる男だが、こちらの投資を遠慮するほど無欲なのだから、あれこれ望むのは贅沢というものだ。
わたしは回復を済ませてからイェシカを呼び寄せ、ランタンに灯りをつけさせると、全員で洞窟の中へと足を踏み入れた。
(続く)
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
齊藤飛鳥:
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初出:
本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。
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著 水波流
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2025年6月18日水曜日
第1回【素敵なおパンツ同盟】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4529
第1回【素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜】ローグライクハーフリプレイ
※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。
■ローグライクハーフとは
「ローグライクハーフ」は、TRPGのように遊ぶこともでき、ゲームブックのように遊ぶこともできるという両者の中間のような位置づけのルールです。
1人でもプレイできますし、3人まででTRPGのように遊ぶこともできます。
その内容はランダムダンジョン。サイコロを振ってイベントを決め、起きた出来事に対処します。
同じイベントに行き当たらないような工夫がされているのもポイント高いですね。
簡単に遊ぶには、とても良くできたシステムなのです。
●作品紹介
ぜろです。
「ローグライクハーフ」のリプレイの時間がやってまいりました。
今回挑みますは、「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」という、なんとも奇抜なタイトルの作品です。
こちらは、「竜鍵諸島 〜フェスティバルだよ大集合!〜」に収録されている作品です。
「竜鍵諸島 フェスティバルだよ大集合!」は、すごい作品集なんですよ。
まず、ローグライクハーフのシナリオ集であると同時に、海底キメラさんのイラスト集でもあること!
そしてそのイラストが、フルカラーなこと!
海底キメラさんの魅力的なキャラクターと世界観が、フルカラーで余すところなく表現されています。
海底キメラさんが描いているのはイラストだけではありません。
なんと、この作品の舞台である「竜鍵諸島」そのものが、海底キメラさんが創造したオリジナルワールドなのです。
そこに、ロア・スペイダー氏が加わり、2本のd33シナリオが作成され、この冊子になりました。
そんなミラクルな1冊なわけです。
私がまっさきに魅力を感じたのが、そのワールドマップ。
竜鍵諸島のワールドマップ、本当に素晴らしいのです。
竜の姿を模した大陸と、鍵の形をした小島。それを取り巻く島々からなる竜鍵諸島の魅力がマップに詰まっています。
ワールドマップ好きな私の中でも上位に食い込むマップと言えましょう。
マップの魅力をさらに高めるのは、そのマップにまつわるストーリーでもあります。
それについてはこの作品と、今後の展開も含めて期待したいところです。
さて、そんな竜鍵諸島ですが、読み進めると「惑星イロアス」にあるという情報が飛び込んできます。
宇宙船も登場しますし、だいぶSF的な要素も含んだ作品のようです。
しかし、ガッチガチに考証を固めたような作品というよりも、海底キメラさんの考えた、バラエティに富んだ人種たちが雑多に存在できる場所として設定した、という印象を受けました。
そう。登場人物たちが、本当にバリエーションが豊かなのです。
人間タイプの者たちだけでなく、動物的な外見をしている者、機械っぽい者、そういった形状に当てはまらない者。
まるで、おもちゃ箱の中から飛び出してきたかのようなキャラクターたちです。
そんなキャラクターたちが、カラーイラストで生き生きと描かれています。
これから、このおもちゃ箱の中に入って、びっくり箱のような冒険をするんだな、と思うと、期待に胸がふくらみますね。
この作品から漂う雰囲気は、いつものローグライクハーフとは明らかに異なります。
いつものローグライクハーフというのは、従者を引き連れ、次から次へと死んでいったり、弱いクリーチャーは一撃死させてしまったりといった仕様です。
なにしろ今回の作品タイトル「素敵なおパンツ同盟」ですからね。
とてもそんな殺伐とした内容とは思えません。
むしろタイトルだけみたら、ちょっぴりえっちな方向性を想像するかもしれませんが、それもありません。
モンスターズインクに登場するモンスターたちがおパンツはいててもえっちな感じしませんよね。
おぱんちゅうさぎだってそうですよね。
感じ方には個人差がありますので、それが良いと言う方を否定はしません。ひとまず胸の内にしまっておいていただいて。
さて、作品の空気は大事にしたいので、死亡とかに関わる判定は少し緩めに扱うこととしました。
基本的には「死亡」という扱いは極力減らし、「戦闘不能」や「戦線離脱」という表現で取り扱おうと思います。
もちろん作中で明らかに死亡するような話があるのであれば、そちらの表現を優先しようと思います。
●キャラクター作成
それではここからは、キャラクターの作成に移りましょう。
アランツァ世界を離れた別の世界でもありますから、これまでのキャラクターの続投はなしで、新規にキャラクターを作成することにします。
昨今の異世界転生系の作品にならえば、サクラと秋霖がいきなり異世界転移してこのストーリーを遊ぶというのも、それはそれで有りだし面白そうと思ってしまいましたが、今回はやりません。
それよりも、せっかく非人間的な造形も含めた雑多な人種が登場する作品なのですから、主人公だって、普通の人間キャラクターにする必要ないじゃないですか。
幸い、ローグライクハーフのルールには、種族による制限であるとか特性であるとかのルールはまったくありません。
だから、ルールにのっとって作成したキャラクターが人間でなかろうと、まったくかまわないわけです。
今、おや? って思いましたよね。ローグライクハーフに種族あるじゃんって。
そうなんです。これ書いた時点はけっこう前で、まだ種族ルール、登場してなかったんですよ。
なので、自由にやらせていただきました。
そんなことを考えていたら、キャラクターのアイディアが降ってきました。
ザリガニが二足歩行をしている感じのキャラクターです。
名前はポストん。宇宙忍者です。
この設定をXでつぶやいたところ、元ネタはバルタン星人と思われたりもしましたが、違います。
どちらかというと、宇宙忍者にして、ハサミつながりでバルタン星人のイメージも追加したのは後付けです。
イメージ元は、「ロマンシングサガ3」というゲームに登場する、ロブスター族の戦士ボストンです。
ところで、郵便局のキャラクターで、7桁の郵便番号の枠のある赤い帽子をかぶったキャラクターを「ポストン」といいますが、まったく関係ありません。
さて、副能力値を決めましょう。
筋力点、器用点、幸運点、魔術点の中から選びます。
今回は、宇宙忍者という設定にしたので、そのイメージから器用点を選択しました。
順番に点数を割り振っていき、キャラクターを完成させます。
【ポストん レベル10 技量点:1 生命点:6 器用点:5 従者点:8】
【装備】
シュリケン(弓矢扱い)
忍者刀(片手武器・斬撃)
シノビ装束(革鎧・生命点+1 器用ロール+1)
【食料】0
【金貨】0
【持ち物】
【未使用経験点】0
【従者】
黒子(弓兵・射撃+1・斬撃)
こんな感じのキャラクターができました。
手がハサミなのに忍者刀やシュリケンが使えるのでしょうか?
問題ありません。
ハサミの中にちゃんと手があります。
ハサミ部分は手を守るプロテクターのようなものです。データ的にはなにもありません。
従者の黒子は正体を隠した黒装束。
格闘ゲーム「サムライスピリッツ」の審判のようなイメージです。
影からポストんを支えてくれることでしょう。
従者点が8点あるのに従者を1人しか連れていないのは、この作品では従者点7点分の相棒を選択して連れていけることを、あらかじめ確認していたためです。
それがどんな相棒になるかは、本編に入った後に決めていきましょう。
食料は、この作品ではゼロでのスタートになるようです。
所持金は、従者と片手武器で使い切りました。
さあ、だいたい準備も整いました。
さっそく挑戦を始めましょう。
「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」はd33シナリオです。
d66シナリオは3回のダンジョンアタックが基本ですが、d33だとそれが1回になります。
この1回にすべてを賭けることになります。
プレイを始める前のおことわりを。
「ローグライクハーフ」のルールは、FT新聞誌上の発表も含み、追加要素などもいろいろ発表されています。
しかし忙しい私はあれこれ参照しきれません。
なので私は冊子版の基本ルールと、竜鍵諸島の冊子を参照にプレイしています。
たまにインターネット上で、ローグライクハーフwikiを参照することもあります。
ローグライクハーフwiki
https://ftbooks.xyz/ftwiki/index.php
さて、私はうっかりさんなので、基本的なところで根本的な勘違いをしたまま、あるいは堂々と間違った解釈をして突き進んでしまうことがあるかもしれません。
だから、私のプレイにとらわれず、みなさんはみなさんのローグライクハーフライフを送ってください。
リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。
あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。
●アタック01-1 ポストんと素敵なおパンツ同盟
やあ。
私の名はポストん。
宇宙忍者なんてものをやっている。
シノビだから、普段は家の中に忍んでいるよ。
その日私は液晶クラゲで、宇宙配信されているバラエティ系のニュース番組をなんとなく見ていた。
そこに映っていたのは銀幕のスター、ベル・ロックベー氏。
ベル・ロックベー氏は、おパンツ同盟の一員で、私の憧れでもある。
おパンツ同盟。
そうそれは、素敵なデザインパンツを好む人たちのファンクラブのようなものだ。
洗練されたデザインのおパンツを装着し、互いに見せ合いほめ合いたたえ合う。
今も液晶クラゲの画面には、ベル・ロックベー氏が奇抜でカラフルなデザインのおパンツを見せびらかしていた。
おパンツを見せること、それは大宇宙の誇り!
いいなぁ。私もあんなおパンツほしいなー。
ベル・ロックベー氏の素晴らしいのはそこだけではない。
お腹に生えた神々しいほどに立派なヒゲ!
これがおパンツのデザインに見事にシンクロして、最高のコラボレーションを演出しているのだ。
ああ、あのおパンツ。そして神々しいヒゲ。両方ほしい!
ここまででおわかりいただけたかと思うが、私は無類のおパンツ好き。
おパンツのことを語らせたらそれだけでこの紙面終わっちゃうよ。それくらいに大好きなのだ。
いつかあんな風に、自分にぴったりのおパンツを装着して街を歩きたいものだ。
そんなことを思っていると、まさにベル・ロックベー氏がおパンツ語りを始めた。
ベル・ロックベー氏が身に着けているのは、かの有名な服飾デザイナー、ビビエが手がけたものなのだそうだ。
ビビエ氏は特におパンツへの造詣が深く造形にこだわった職人だ。
オーダーメイドで、その人に合ったおパンツを作ることで名をはせた。
私にはとても手が出ないな。無限に広がる大宇宙。会うだけだって難しい。
でもきっと、いつかは……。
そんなことを思っていると、次のニュースが始まった。
「あの歴戦の職人であるビビエさんが、竜鍵諸島の町マックルーで、作品の展示・即売会を開くそうです。もしかしたら、ビビエさん本人に会えるかも?」
さらに。
「竜鍵諸島の町マックルーにあるゴマンデル診療所では、創立12周年を記念して、今月1,212人目のお客様に、治療費12分の1にする企画を立ち上げました。移植手術も整形手術もお手のものです」
ときた。
これは、これは、これはあ!
来た。来た来た。
たった今、すごいチャンスが私の前に転がり込んできたのを感じた。
竜鍵諸島の町マックルーに行けば、神々しいヒゲの移植手術ができるかもしれない!
そしてビビエさんに会えたなら、私にぴったりのおパンツを作ってもらえるかもしれない!
いつかきっとと思っていた。
でも……。いつかって、今さ!
私は大急ぎで身支度を整えると、惑星イロアス、竜鍵諸島行きの定期就航便の宇宙船型生物「オ・スッシー」に飛び乗った。
これがまさか、あんな大冒険のはじまりになろうとは、この時の私は思いもしなかった。
次回、宇宙船は惑星イロアスに到着。しかし早速トラブルに見舞われる!?
【ポストん レベル10 技量点:1 生命点:6 器用点:5 従者点:8】
【装備】
シュリケン(弓矢扱い)
忍者刀(片手武器・斬撃)
シノビ装束(革鎧・生命点+1 器用ロール+1)
【食料】0
【金貨】0
【持ち物】
【未使用経験点】0
【従者】
黒子(弓兵・射撃+1・斬撃)
■登場人物
ポストん 宇宙忍者。おパンツ大好き。ベル・ロックベー氏のおパンツに魅了され、手に入れるため竜鍵諸島へ。
ベル・ロックベー 銀幕のスター。おパンツ同盟の一員で、おパンツを広める啓蒙活動に一役買っている。
ビビエ 服飾デザイナー。特におパンツへの造詣が深いおパンツ職人。おパンツ界の神。
■作品情報
作品名:「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」
著者:ロア・スペイダー
監修:杉本=ヨハネ
原案・設定:海底キメラ
ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編
https://booth.pm/ja/items/4671946
竜鍵諸島 〜フェスティバルだよ大集合!〜
https://booth.pm/ja/items/5331098
※「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」が収録されています。
本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg
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ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
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※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。
■ローグライクハーフとは
「ローグライクハーフ」は、TRPGのように遊ぶこともでき、ゲームブックのように遊ぶこともできるという両者の中間のような位置づけのルールです。
1人でもプレイできますし、3人まででTRPGのように遊ぶこともできます。
その内容はランダムダンジョン。サイコロを振ってイベントを決め、起きた出来事に対処します。
同じイベントに行き当たらないような工夫がされているのもポイント高いですね。
簡単に遊ぶには、とても良くできたシステムなのです。
●作品紹介
ぜろです。
「ローグライクハーフ」のリプレイの時間がやってまいりました。
今回挑みますは、「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」という、なんとも奇抜なタイトルの作品です。
こちらは、「竜鍵諸島 〜フェスティバルだよ大集合!〜」に収録されている作品です。
「竜鍵諸島 フェスティバルだよ大集合!」は、すごい作品集なんですよ。
まず、ローグライクハーフのシナリオ集であると同時に、海底キメラさんのイラスト集でもあること!
そしてそのイラストが、フルカラーなこと!
海底キメラさんの魅力的なキャラクターと世界観が、フルカラーで余すところなく表現されています。
海底キメラさんが描いているのはイラストだけではありません。
なんと、この作品の舞台である「竜鍵諸島」そのものが、海底キメラさんが創造したオリジナルワールドなのです。
そこに、ロア・スペイダー氏が加わり、2本のd33シナリオが作成され、この冊子になりました。
そんなミラクルな1冊なわけです。
私がまっさきに魅力を感じたのが、そのワールドマップ。
竜鍵諸島のワールドマップ、本当に素晴らしいのです。
竜の姿を模した大陸と、鍵の形をした小島。それを取り巻く島々からなる竜鍵諸島の魅力がマップに詰まっています。
ワールドマップ好きな私の中でも上位に食い込むマップと言えましょう。
マップの魅力をさらに高めるのは、そのマップにまつわるストーリーでもあります。
それについてはこの作品と、今後の展開も含めて期待したいところです。
さて、そんな竜鍵諸島ですが、読み進めると「惑星イロアス」にあるという情報が飛び込んできます。
宇宙船も登場しますし、だいぶSF的な要素も含んだ作品のようです。
しかし、ガッチガチに考証を固めたような作品というよりも、海底キメラさんの考えた、バラエティに富んだ人種たちが雑多に存在できる場所として設定した、という印象を受けました。
そう。登場人物たちが、本当にバリエーションが豊かなのです。
人間タイプの者たちだけでなく、動物的な外見をしている者、機械っぽい者、そういった形状に当てはまらない者。
まるで、おもちゃ箱の中から飛び出してきたかのようなキャラクターたちです。
そんなキャラクターたちが、カラーイラストで生き生きと描かれています。
これから、このおもちゃ箱の中に入って、びっくり箱のような冒険をするんだな、と思うと、期待に胸がふくらみますね。
この作品から漂う雰囲気は、いつものローグライクハーフとは明らかに異なります。
いつものローグライクハーフというのは、従者を引き連れ、次から次へと死んでいったり、弱いクリーチャーは一撃死させてしまったりといった仕様です。
なにしろ今回の作品タイトル「素敵なおパンツ同盟」ですからね。
とてもそんな殺伐とした内容とは思えません。
むしろタイトルだけみたら、ちょっぴりえっちな方向性を想像するかもしれませんが、それもありません。
モンスターズインクに登場するモンスターたちがおパンツはいててもえっちな感じしませんよね。
おぱんちゅうさぎだってそうですよね。
感じ方には個人差がありますので、それが良いと言う方を否定はしません。ひとまず胸の内にしまっておいていただいて。
さて、作品の空気は大事にしたいので、死亡とかに関わる判定は少し緩めに扱うこととしました。
基本的には「死亡」という扱いは極力減らし、「戦闘不能」や「戦線離脱」という表現で取り扱おうと思います。
もちろん作中で明らかに死亡するような話があるのであれば、そちらの表現を優先しようと思います。
●キャラクター作成
それではここからは、キャラクターの作成に移りましょう。
アランツァ世界を離れた別の世界でもありますから、これまでのキャラクターの続投はなしで、新規にキャラクターを作成することにします。
昨今の異世界転生系の作品にならえば、サクラと秋霖がいきなり異世界転移してこのストーリーを遊ぶというのも、それはそれで有りだし面白そうと思ってしまいましたが、今回はやりません。
それよりも、せっかく非人間的な造形も含めた雑多な人種が登場する作品なのですから、主人公だって、普通の人間キャラクターにする必要ないじゃないですか。
幸い、ローグライクハーフのルールには、種族による制限であるとか特性であるとかのルールはまったくありません。
だから、ルールにのっとって作成したキャラクターが人間でなかろうと、まったくかまわないわけです。
今、おや? って思いましたよね。ローグライクハーフに種族あるじゃんって。
そうなんです。これ書いた時点はけっこう前で、まだ種族ルール、登場してなかったんですよ。
なので、自由にやらせていただきました。
そんなことを考えていたら、キャラクターのアイディアが降ってきました。
ザリガニが二足歩行をしている感じのキャラクターです。
名前はポストん。宇宙忍者です。
この設定をXでつぶやいたところ、元ネタはバルタン星人と思われたりもしましたが、違います。
どちらかというと、宇宙忍者にして、ハサミつながりでバルタン星人のイメージも追加したのは後付けです。
イメージ元は、「ロマンシングサガ3」というゲームに登場する、ロブスター族の戦士ボストンです。
ところで、郵便局のキャラクターで、7桁の郵便番号の枠のある赤い帽子をかぶったキャラクターを「ポストン」といいますが、まったく関係ありません。
さて、副能力値を決めましょう。
筋力点、器用点、幸運点、魔術点の中から選びます。
今回は、宇宙忍者という設定にしたので、そのイメージから器用点を選択しました。
順番に点数を割り振っていき、キャラクターを完成させます。
【ポストん レベル10 技量点:1 生命点:6 器用点:5 従者点:8】
【装備】
シュリケン(弓矢扱い)
忍者刀(片手武器・斬撃)
シノビ装束(革鎧・生命点+1 器用ロール+1)
【食料】0
【金貨】0
【持ち物】
【未使用経験点】0
【従者】
黒子(弓兵・射撃+1・斬撃)
こんな感じのキャラクターができました。
手がハサミなのに忍者刀やシュリケンが使えるのでしょうか?
問題ありません。
ハサミの中にちゃんと手があります。
ハサミ部分は手を守るプロテクターのようなものです。データ的にはなにもありません。
従者の黒子は正体を隠した黒装束。
格闘ゲーム「サムライスピリッツ」の審判のようなイメージです。
影からポストんを支えてくれることでしょう。
従者点が8点あるのに従者を1人しか連れていないのは、この作品では従者点7点分の相棒を選択して連れていけることを、あらかじめ確認していたためです。
それがどんな相棒になるかは、本編に入った後に決めていきましょう。
食料は、この作品ではゼロでのスタートになるようです。
所持金は、従者と片手武器で使い切りました。
さあ、だいたい準備も整いました。
さっそく挑戦を始めましょう。
「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」はd33シナリオです。
d66シナリオは3回のダンジョンアタックが基本ですが、d33だとそれが1回になります。
この1回にすべてを賭けることになります。
プレイを始める前のおことわりを。
「ローグライクハーフ」のルールは、FT新聞誌上の発表も含み、追加要素などもいろいろ発表されています。
しかし忙しい私はあれこれ参照しきれません。
なので私は冊子版の基本ルールと、竜鍵諸島の冊子を参照にプレイしています。
たまにインターネット上で、ローグライクハーフwikiを参照することもあります。
ローグライクハーフwiki
https://ftbooks.xyz/ftwiki/index.php
さて、私はうっかりさんなので、基本的なところで根本的な勘違いをしたまま、あるいは堂々と間違った解釈をして突き進んでしまうことがあるかもしれません。
だから、私のプレイにとらわれず、みなさんはみなさんのローグライクハーフライフを送ってください。
リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。
あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。
●アタック01-1 ポストんと素敵なおパンツ同盟
やあ。
私の名はポストん。
宇宙忍者なんてものをやっている。
シノビだから、普段は家の中に忍んでいるよ。
その日私は液晶クラゲで、宇宙配信されているバラエティ系のニュース番組をなんとなく見ていた。
そこに映っていたのは銀幕のスター、ベル・ロックベー氏。
ベル・ロックベー氏は、おパンツ同盟の一員で、私の憧れでもある。
おパンツ同盟。
そうそれは、素敵なデザインパンツを好む人たちのファンクラブのようなものだ。
洗練されたデザインのおパンツを装着し、互いに見せ合いほめ合いたたえ合う。
今も液晶クラゲの画面には、ベル・ロックベー氏が奇抜でカラフルなデザインのおパンツを見せびらかしていた。
おパンツを見せること、それは大宇宙の誇り!
いいなぁ。私もあんなおパンツほしいなー。
ベル・ロックベー氏の素晴らしいのはそこだけではない。
お腹に生えた神々しいほどに立派なヒゲ!
これがおパンツのデザインに見事にシンクロして、最高のコラボレーションを演出しているのだ。
ああ、あのおパンツ。そして神々しいヒゲ。両方ほしい!
ここまででおわかりいただけたかと思うが、私は無類のおパンツ好き。
おパンツのことを語らせたらそれだけでこの紙面終わっちゃうよ。それくらいに大好きなのだ。
いつかあんな風に、自分にぴったりのおパンツを装着して街を歩きたいものだ。
そんなことを思っていると、まさにベル・ロックベー氏がおパンツ語りを始めた。
ベル・ロックベー氏が身に着けているのは、かの有名な服飾デザイナー、ビビエが手がけたものなのだそうだ。
ビビエ氏は特におパンツへの造詣が深く造形にこだわった職人だ。
オーダーメイドで、その人に合ったおパンツを作ることで名をはせた。
私にはとても手が出ないな。無限に広がる大宇宙。会うだけだって難しい。
でもきっと、いつかは……。
そんなことを思っていると、次のニュースが始まった。
「あの歴戦の職人であるビビエさんが、竜鍵諸島の町マックルーで、作品の展示・即売会を開くそうです。もしかしたら、ビビエさん本人に会えるかも?」
さらに。
「竜鍵諸島の町マックルーにあるゴマンデル診療所では、創立12周年を記念して、今月1,212人目のお客様に、治療費12分の1にする企画を立ち上げました。移植手術も整形手術もお手のものです」
ときた。
これは、これは、これはあ!
来た。来た来た。
たった今、すごいチャンスが私の前に転がり込んできたのを感じた。
竜鍵諸島の町マックルーに行けば、神々しいヒゲの移植手術ができるかもしれない!
そしてビビエさんに会えたなら、私にぴったりのおパンツを作ってもらえるかもしれない!
いつかきっとと思っていた。
でも……。いつかって、今さ!
私は大急ぎで身支度を整えると、惑星イロアス、竜鍵諸島行きの定期就航便の宇宙船型生物「オ・スッシー」に飛び乗った。
これがまさか、あんな大冒険のはじまりになろうとは、この時の私は思いもしなかった。
次回、宇宙船は惑星イロアスに到着。しかし早速トラブルに見舞われる!?
【ポストん レベル10 技量点:1 生命点:6 器用点:5 従者点:8】
【装備】
シュリケン(弓矢扱い)
忍者刀(片手武器・斬撃)
シノビ装束(革鎧・生命点+1 器用ロール+1)
【食料】0
【金貨】0
【持ち物】
【未使用経験点】0
【従者】
黒子(弓兵・射撃+1・斬撃)
■登場人物
ポストん 宇宙忍者。おパンツ大好き。ベル・ロックベー氏のおパンツに魅了され、手に入れるため竜鍵諸島へ。
ベル・ロックベー 銀幕のスター。おパンツ同盟の一員で、おパンツを広める啓蒙活動に一役買っている。
ビビエ 服飾デザイナー。特におパンツへの造詣が深いおパンツ職人。おパンツ界の神。
■作品情報
作品名:「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」
著者:ロア・スペイダー
監修:杉本=ヨハネ
原案・設定:海底キメラ
ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編
https://booth.pm/ja/items/4671946
竜鍵諸島 〜フェスティバルだよ大集合!〜
https://booth.pm/ja/items/5331098
※「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」が収録されています。
本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
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2025年6月17日火曜日
『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol.3 FT新聞 No.4528
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『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol.3
(田林洋一)
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FT新聞の読者のあなた、こんにちは、田林洋一です。
全13回を予定しております東京創元社から出版されたゲームブックの解説「SAGBがよくわかる本」、3回目の記事をお届けいたします。今回は林友彦氏の大著、「ネバーランドシリーズ」を主に扱います。
なお、前回の「ドルアーガの塔」の拙解説で、「第1巻のクオックスと無限に戦えるのはバグではなく、作者が意図したものである」及び「マップは六十階の全てを描けるわけではない」というご指摘を頂きました。私の事実誤認へのご指摘に感謝するとともに、この場を借りて訂正いたします。
また、第1回の『ドラゴンバスター』での「経験値稼ぎの抑制」についてですが、「敵と再び遭遇するたびに敵のポイントが2倍、3倍になる」のは、それを繰り返すと「原理的にプレイヤーが勝利することができなくなるから」です。説明不足で申し訳ありませんでした。
本連載は「名作」と呼ばれるものを最初に集中的に扱っている関係上、連載の後半になるに従って厳しい批評が多くなりますこと、ご寛恕ください。作品そのものを全否定する意図は全くないことをご理解いただければと思います。「私はそうは思わない」という感想がございましたら、ぜひともお寄せいただければ嬉しく思います。
毎回の私事ではありますが、アマゾンにてファンタジー小説『セイバーズ・クロニクル』とそのスピンオフのゲームブック『クレージュ・サーガ』を上梓しておりますので、そちらもご覧いただければ嬉しく思います。なお、『クレージュ・サーガ』はこの記事の連載開始後に品切れになってしまいました。ご購入くださった方には、この場を借りてお礼申し上げます。
『セイバーズ・クロニクル』https://x.gd/ScbC7
『クレージュ・サーガ』https://x.gd/qfsa0
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3.項目数一〇〇〇を誇る大作 -林友彦の世界
主な言及作品:『ネバーランドのリンゴ』(1986)『ニフルハイムのユリ』(1987)「ウルフヘッドの冒険」シリーズ『ウルフヘッドの誕生』(1989)『ウルフヘッドの逆襲』(1989)『ネバーランドのカボチャ男』(1990)
双方向移動のゲームブックの大作として「ドルアーガの塔」の名前を挙げたのならば、それに匹敵する傑作として、猫妖精ブーカの勇者ティルトを主人公とした林友彦著「ネバーランド」シリーズも挙げなければならないだろう。売り文句は「項目数一〇〇〇、世界最大のゲームブック」。その看板通りに分厚いゲームブックであり、項目数一〇〇〇は伊達ではない。
『ネバーランドのリンゴ』では、プレイヤーは勇者ティルトに扮し、異境の魔道師バンパーに奪われたガラスが丘のリンゴの樹を取り戻してバンパーを倒すという使命が与えられる。「ドルアーガの塔」にも似たこの任務だが、ハイファンタジーの要素を数多く取り入れた本作品は、「ドルアーガの塔」のように閉ざされた密閉空間(ないしは『火吹山の魔法使い』の地下迷宮などの閉鎖空間)での冒険ではなく、広大なネバーランドという大陸(島)を捜索して、バンパーの根城である蜃気楼城を探さなければならない。
まずは簡単にルールを概観しよう。特筆すべき特徴は、「キーNo.」と「勇者は三度死ぬ」という装置だろう。このうち、「キーNo.」は後に鈴木直人が似たようなシステムを導入してイベントのフラグ管理をしているが、ルール上で明確に打ち出した作品は『ネバーランドのリンゴ』が初めてである。
スティーブ・ジャクソンやイアン・リビングストンの作品はそのほとんどが単方向の冒険を描いており、イベントの成否などをフラグ管理する必要はあまりない。よって、彼らの作品にはこうした「チェックリスト」や「キーNo.」「フラグ」といったものはほぼ出現しない。両者の共著である『火吹山の魔法使い』では「番号が振られた鍵」によって、ある意味「どの鍵を持っているか」のフラグ管理をしていたとも言いうるが、むしろこれらは「プレイヤーが本当に鍵(ないしはアイテム)を持っているかどうか」(いわゆる「ズル」をしていないかどうか)を判定するために導入されたように思われる。鍵の存在は、クライマックスでパラグラフ・ジャンプをする際に重要な役割を果たすからだ。
鈴木直人も「ドルアーガの塔」執筆中にその辺りの重要性には気づいていたようだが、三部作の途中でルールを改変するわけにはいかなかったのか、「ナンバーが振られた鐘」やそれ以外のアイテムを持っているかどうかでイベントのフラグ管理をしていた。ところが、こうしたアイテムによる管理は、「主人公がアイテムを自由に捨てる権利」を奪うことにも繋がる。
原理的に考えてみれば、ゲームブックの「あなた」には敵が落としたアイテムをいちいち拾う義務はないわけで、それを敢えて強制に転化させた「ドルアーガの塔」は、システムとしては(ごく小さなものであるが)綻びと言っていい。更に言えば、手に入れたアイテムが呪いのアイテムでない限り、捨てる自由もあっていいはずなのだ。だが、「ドルアーガの塔」において、鐘が(何の説明もなく)プレイヤーに捨てられてしまうのは甚だ困る。鐘を捨ててしまうと、倒したはずの敵が蘇ったり、前にも体験したイベントが再度発生したりと齟齬が出てしまうからである。
もっとも、「ドルアーガの塔」の第一巻『悪魔に魅せられし者』を執筆している最中は、鈴木直人も含めて誰もチェックリストでフラグ管理をしようなどとは思いつきもしなかっただろうし、仮にあったとしても、プレイヤーに過度な負担をかけるので敬遠された可能性も否定できない。
林友彦は項目数一〇〇〇の双方向型ゲームブックを執筆する際に、「ドルアーガの塔」とは違う形で敢えてプレイヤーに負荷をかける「キーNo.」を導入した。これは1から36の番号が振られたボックスにそれぞれ指示された数字を記入していくというもので、これによって主人公がアイテムを持っているかどうか、あるイベントをクリアしたかどうか、などがゲーム的に処理できる仕組みになっている。また、この「キーNo.」はパラグラフ・ジャンプをする時にも用いられる。
パラグラフ・ジャンプは「ソーサリー」四部作などでもお馴染みだが(かつ、積極的にパラグラフ・ジャンプを取り入れた最初の作品であるが)、『ネバーランドのリンゴ』ほどパラグラフ・ジャンプが必要な国産ゲームブックは稀だろう。本田成二の「ワルキューレの冒険」シリーズや古川尚美の『ドラゴンバスター』は、呪文を唱える際にパラグラフ・ジャンプの操作が必要だったが、魔法を使う時に明確にパラグラフ・ジャンプを採用した作品は、『ネバーランドのリンゴ』が恐らく初めてだろう。主人公の勇者ティルトは初期状態では魔法は使えないものの、冒険の途中で様々な魔法を覚える機会に遭遇する。この辺りのシステムは『ドラゴンバスター』や「ワルキューレの冒険」シリーズも踏襲しており、『ネバーランドのリンゴ』の影響力の強さを感じさせる。
何はともあれ、この「キーNo.」システムを導入したことで、『ネバーランドのリンゴ』はこれまで以上にゲーム的な側面に特化したゲームブックとなった。これは、当時のファミコンゲームの主流ともなっている「残機数」にも表れている。「勇者は三度死ぬ」と銘打たれたルールの項目では、「主人公のティルトは大半のTVゲームのユーザーズキャラクターと同じに、三つの命を持っています」と書かれているように、作者がストーリーを味わう小説的な冒険譚よりもゲーム的なクリアの要素を重視していることが伺えよう。この特性のため、例えばデッドエンドでプレイヤーが死亡したとしても、大半のゲームブックがそうであるように一からやり直したり、あるいは指を挟んでおいた場所に戻ったり、覚えている番地まで戻ったりする必要がない。「もしティルトがまだ残っているなら○○から再スタートしてください」という指示がされているからだ。
プレイヤーにフラグ処理を任せることで負荷がかかるのを避けたのだろうか、戦闘システムはファイティング・ファンタジー・シリーズ方式のように「敵の分とプレイヤーの分の二回、サイコロを振る」という作業は要求されていない。戦闘ターン一回分として、サイコロ二個を一回振って、出た目に自分の戦力ポイントを加えた値とあらかじめ設定された敵の攻撃ポイントを比較して数値の高かった方が勝利する、という方式を取っている。その代わり、ダメージポイントが武器の種類によって変化するなどの工夫も行っており、作者がここでもゲーム性を強く意識していることが示唆される。
林友彦は、ゲームブックに必要なのはまず「面白いゲームを作る」ことであって、小説的な描写やストーリー展開以上にゲーム性を重視したように思われる。例えば二冊で合計項目数一〇〇〇の「ウルフヘッドの冒険」シリーズでは、プレイヤーは人間と狼の両方に変身できるファーストボーン(ワー・アニマルの第一世代をこう呼ぶという設定になっている)のウルフヘッドになるのだが、狼に変身できる条件は月が出ている時だけという夢幻的な要素を取り入れつつも、回数は三回だけというゲーム的な要素を組み込むことを忘れない。また、この作品では能力値がゲームデータ的なパラメーター表記(ブロック)になっている他、『ネバーランドのリンゴ』や『ニフルハイムのユリ』と同じく、主人公は三つの命を持っていたり、「キーNo.」が導入されていたりとやはりゲーム的な要素が前面に押し出されている。
もう一つゲーム的な要素が色濃く出ている部分は、『ネバーランドのリンゴ』の蜃気楼城(あるいは『ニフルハイムのユリ』の「地の底の迷宮」)に潜入してからの迷路だろう。余計な描写や背景の説明は一切なく、非常に簡素なのだ。後半のパラグラフの多くがこの迷路の番地になっており、「通路は南(八五〇)、北(八六七)、上(九〇四)に続いています」などと一行で終わっていることが多い。
この「史上最大の迷路」は『ネバーランドのリンゴ』や『ニフルハイムのユリ』の売りの一つになっているだけでなく、これによって番地数が飛躍的に増え、結果として項目数一〇〇〇という大著を生み出す原因にもなっているが、ストーリー的に見て(あるいはゲームブック全体として)成功しているかどうかは疑問である。事前に情報を得ておかないと独力で突破するのはほぼ不可能に近く、また「ドルアーガの塔」と違って距離に関する指示が描写されていないために正確なマップを書くことも困難なのだ。この「意味のない迷路」はゲーム性と難易度を上げるために導入されたものだろうが、実際にプレイするとただの作業をしている感がどうしても出てしまう。
同時期の作品にもそうした迷路がかなり登場する。ゲームブックブーム隆盛の流れで「出せば売れる」という風潮もあったのか(供給の過多)、あるいは読者から次々と新しい作品を求められたことも影響したのか(需要の過多)、そうした「無意味な迷路」や「ストーリーに寄与しない敵」を付け加えることでパラグラフ数を増やし、容量をアップさせた作品が大幅に現れたという結果を招いたようである。実際、ゲームブックを大量生産するには、「イベントやストーリーに直接踏み込んでこない迷路を投入してパラグラフを稼ぐ」という手法が一番手っ取り早いが、同時に作品の質を損ねることにも繋がる。
杉本=ヨハネ氏がその時期から活躍されているゲームブック作家であるHUGO HALL氏に伺ったところによると、「ゲームブックが隆盛を極めていた当時、マニアックな読者層がゆるいゲームブックに飽き足らず、仕掛け・文章ともにより高度な内容を求め始めた。その要求に応えるべく生み出されたのが東京創元社の作品群だった。日本のゲームブックの進歩は、機械式腕時計が精度を上げ、ミニッツリピーター、トゥールビヨンといった複雑機能を搭載していった課程を思い起こさせるものがある。」とのことである。その「より高度な内容」を目指す分水嶺ともなったのが、ゲームブックのパラグラフの使い方、即ち意味の希薄なイベントや複雑ではあるがストーリー性には寄与しない迷路などにパラグラフを消費するかどうか、という点であった気もする。
ゲームブックの楽しみ方として「未開の地域の探索」は確かに一つの魅力的な提案だが、それだけでは読者を引っ張る力が強くないのも事実だろう。例えば『火吹山の魔法使い』の後半の迷路などは、ただあてもなく闇雲に複雑化した迷路を右往左往させられるだけで、「魅惑的な冒険」になっていたかどうかは疑問が残る。紙と鉛筆を片手にパラグラフごとの繋がりをメモしていくだけの、ただの「作業ゲーム」と化してしまうのだ。
『火吹山の魔法使い』だけでなく、この時期のゲームブックの一部の作品は「双方向の迷路の解明」を読者に提供することで、満足できる「ゲーム」が作れると考えていた節がある。それと同じ轍を『ネバーランドのリンゴ』や『ニフルハイムのユリ』は踏んでしまっている気がするのである。
この「迷路」と後述する謎解きによって、『ネバーランドのリンゴ』は難易度が極めて高い作品になっているが、それを補うかのように語り口は極めて優しい。国産のゲームブックだけでなく、海外のゲームブックの翻訳でもおそらく見られないであろう丁寧口調、いわゆる「ですます調」で物語が展開していくのである。
丁寧口調だけでゲームの内容が変わるわけではないが、醸し出す雰囲気は劇的に変化する。例えば、J・R・R・トールキンの傑作ファンタジー小説『指輪物語("The Lord of the Rings")』の最初の翻訳は、瀬田貞二によって評論社から出版されているが、重厚なハイファンタジーでありながら「ですます調」の翻訳によって、雰囲気がかなり柔らかくなっている。それと同様の効果が、林友彦の一連の作品では見受けられるのだ(「ウルフヘッドの冒険」シリーズだけは「である調」になっている)。
『ネバーランドのリンゴ』や『ニフルハイムのユリ』はそれに加えて、遭遇するイベントや事件が極めて童話的で、選択肢もそれに合わせてほんわりとした温かいものが多い。例えば、じっと動かないエルクの娘に対して「娘にキスをする」という選択肢があったり、相手に正体を明かさないようにする場面では「おれは怖いものなしのブーカで、ぞおっとすることを経験したくて旅をしている」といった描写が出てきたりする。イベント自体も殺気立ったものは少なく、お茶を一緒に飲んだり音楽を一緒に聞いたりといった「事件」に遭遇しながら牧歌的な雰囲気で物語が進んでいく。これは、特に『ニフルハイムのユリ』で顕著に現れている特徴で、ややもすると「やるか、やられるか」という恐ろしげなゲームブックが数多く出版されている中で、一服の清涼剤のように心を和ませる働きをする(逆に、刺激を求める読者には退屈かもしれない)。
登場するキャラクターも、魅力では「ドルアーガの塔」に出てくる人物たちに負けず劣らずとも、その性質は大きく異なる。おばあさんの魔法使いに偏屈な画家、つっけんどんな研究者ににこにこと笑顔を絶やさないあめ屋など、ファンタジー色が極めて強いのだ。当然のことながら、素晴らしい挿絵の効果もあって相対する敵も微笑ましいものが多く、まさに子供的な童話の世界に足を踏み入れたような気分にさせてくれる。
「ウルフヘッドの冒険」シリーズでは、このほんわりとした雰囲気はやや影を潜めるものの、その代わりに個性豊かなフェロウ・トラベラーが八人も登場し、舞台に彩りを与えてくれる。これらのフェロウたちは冒険のどこかでほぼ必ずと言っていいほど濃密に主人公と絡み、一行について来る理由も様々である。付言すると、スミア姫というごく一部の例外を除いてフェロウが死んでも冒険がおしまいになることはなく、「あなた」以外は奴隷のような扱いをさせることもできる(例えば、体力が少ないのに積極的に戦闘に参加させたり、荷物持ち要員として連れ歩いたりといった、ほとんど拷問的なプレイも可能である)。
もう一つ、牧人小説的な雰囲気に拍車をかけているのが、数々の謎解きである。「ドルアーガの塔」三部作でも魅力的な謎かけが次々と登場したが、あちらはあくまでも冒険や探索の途中で偶発的に遭遇するといった感が強く、主要な流れはそのままに物語に沿う形で導入されていた。ところが、『ネバーランドのリンゴ』や『ニフルハイムのユリ』で登場する謎かけは(そして「ウルフヘッドの冒険」シリーズや『ネバーランドのカボチャ男』でも)「謎解きのための謎解き」という要素が強く、かなり頭をひねらないと解けないものが多い。
『ネバーランドのカボチャ男』には、巻末にかなりの量を割いた「パズルブック」が付け加えられており、このパズルも解かないと致命的なもの(クリアにほぼ必要不可欠なもの)からどうでもいいようなものまで多岐に渡る。特に「ウルフヘッドの冒険」シリーズの下巻『ウルフヘッドの逆襲』に出てくるタングラムのパズルは、独力で解くには非常に難しいものでありながら、物語をクリアするのには必須な謎解きである。
迷路と謎解き、この二つの要素によって、林友彦の一連の作品はどれもが高難度のものとなった。唯一の救いは、答えが必ず巻末に付されている点だろう。これによってライトなプレイヤーは、仮に謎解きが分からなくても「カンニング」によってクリアすることができる。林友彦の素晴らしさは、仮に読者がズルをしたとしても、作品自体の魅力が一切減じないところにある。だがその一方で、明らかにうろうろさせられるだけの迷路の存在や「答えの分かってしまったクイズ」によって、再びプレイしようと引っ張る力が他の作品に比べて弱いのも事実であろう。
この「繰り返しの魅力」は、全般的にゲームブックが徐々に容量的な面でボリュームアップしていくにつれて減じていくことになるが、その端緒を開いたのが『ネバーランドのリンゴ』ということになるのではないだろうか。それでも、項目数一〇〇〇という名実ともに巨大な作品であり、かつ「キーNo.」や「(当時としては)世界最大の迷路」という野心的な試みをいくつも行ったこと、極限まで突き詰めたゲーム性に牧歌的なストーリーを交えたという点で、『ネバーランドのリンゴ』をはじめとする一連のシリーズはやはり傑作と言っていいだろう。
※第4回は、主に「ゴールデン・ドラゴン・ファンタジイ・シリーズ」に触れる予定です。
◆書誌情報
『ネバーランドのリンゴ』
林友彦(著)
東京創元社(1986/7/4)絶版
Soba Labs(Kindle版)(2017/10/28)
『ニフルハイムのユリ』
林友彦(著)
東京創元社(1987/7/28)絶版
『ウルフヘッドの誕生』
林友彦(著)
東京創元社(1989/2/17)絶版
『ウルフヘッドの逆襲』
林友彦(著)
東京創元社(1989/6/5)絶版
『ネバーランドのカボチャ男』
林友彦(著)
東京創元社(1990/6/15)絶版
■参考文献
スティーブ・ジャクソン・イアン・リビングストン(著)浅羽莢子(訳)
『火吹山の魔法使い』
社会思想社(1984/12/30)絶版
扶桑社(2005/3/26)絶版
SBクリエイティブ(再生産版)安田均(訳)(2024/3/28)
指輪物語『旅の仲間』(上)(下)『二つの塔』(上)(下)『王の帰還』(上)(下)
J・R・R・トールキン(著)瀬田貞二(訳)
評論社(1977/4/1)絶版
評論社(最新版)(2022/10/19)他
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『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol.3
(田林洋一)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
FT新聞の読者のあなた、こんにちは、田林洋一です。
全13回を予定しております東京創元社から出版されたゲームブックの解説「SAGBがよくわかる本」、3回目の記事をお届けいたします。今回は林友彦氏の大著、「ネバーランドシリーズ」を主に扱います。
なお、前回の「ドルアーガの塔」の拙解説で、「第1巻のクオックスと無限に戦えるのはバグではなく、作者が意図したものである」及び「マップは六十階の全てを描けるわけではない」というご指摘を頂きました。私の事実誤認へのご指摘に感謝するとともに、この場を借りて訂正いたします。
また、第1回の『ドラゴンバスター』での「経験値稼ぎの抑制」についてですが、「敵と再び遭遇するたびに敵のポイントが2倍、3倍になる」のは、それを繰り返すと「原理的にプレイヤーが勝利することができなくなるから」です。説明不足で申し訳ありませんでした。
本連載は「名作」と呼ばれるものを最初に集中的に扱っている関係上、連載の後半になるに従って厳しい批評が多くなりますこと、ご寛恕ください。作品そのものを全否定する意図は全くないことをご理解いただければと思います。「私はそうは思わない」という感想がございましたら、ぜひともお寄せいただければ嬉しく思います。
毎回の私事ではありますが、アマゾンにてファンタジー小説『セイバーズ・クロニクル』とそのスピンオフのゲームブック『クレージュ・サーガ』を上梓しておりますので、そちらもご覧いただければ嬉しく思います。なお、『クレージュ・サーガ』はこの記事の連載開始後に品切れになってしまいました。ご購入くださった方には、この場を借りてお礼申し上げます。
『セイバーズ・クロニクル』https://x.gd/ScbC7
『クレージュ・サーガ』https://x.gd/qfsa0
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3.項目数一〇〇〇を誇る大作 -林友彦の世界
主な言及作品:『ネバーランドのリンゴ』(1986)『ニフルハイムのユリ』(1987)「ウルフヘッドの冒険」シリーズ『ウルフヘッドの誕生』(1989)『ウルフヘッドの逆襲』(1989)『ネバーランドのカボチャ男』(1990)
双方向移動のゲームブックの大作として「ドルアーガの塔」の名前を挙げたのならば、それに匹敵する傑作として、猫妖精ブーカの勇者ティルトを主人公とした林友彦著「ネバーランド」シリーズも挙げなければならないだろう。売り文句は「項目数一〇〇〇、世界最大のゲームブック」。その看板通りに分厚いゲームブックであり、項目数一〇〇〇は伊達ではない。
『ネバーランドのリンゴ』では、プレイヤーは勇者ティルトに扮し、異境の魔道師バンパーに奪われたガラスが丘のリンゴの樹を取り戻してバンパーを倒すという使命が与えられる。「ドルアーガの塔」にも似たこの任務だが、ハイファンタジーの要素を数多く取り入れた本作品は、「ドルアーガの塔」のように閉ざされた密閉空間(ないしは『火吹山の魔法使い』の地下迷宮などの閉鎖空間)での冒険ではなく、広大なネバーランドという大陸(島)を捜索して、バンパーの根城である蜃気楼城を探さなければならない。
まずは簡単にルールを概観しよう。特筆すべき特徴は、「キーNo.」と「勇者は三度死ぬ」という装置だろう。このうち、「キーNo.」は後に鈴木直人が似たようなシステムを導入してイベントのフラグ管理をしているが、ルール上で明確に打ち出した作品は『ネバーランドのリンゴ』が初めてである。
スティーブ・ジャクソンやイアン・リビングストンの作品はそのほとんどが単方向の冒険を描いており、イベントの成否などをフラグ管理する必要はあまりない。よって、彼らの作品にはこうした「チェックリスト」や「キーNo.」「フラグ」といったものはほぼ出現しない。両者の共著である『火吹山の魔法使い』では「番号が振られた鍵」によって、ある意味「どの鍵を持っているか」のフラグ管理をしていたとも言いうるが、むしろこれらは「プレイヤーが本当に鍵(ないしはアイテム)を持っているかどうか」(いわゆる「ズル」をしていないかどうか)を判定するために導入されたように思われる。鍵の存在は、クライマックスでパラグラフ・ジャンプをする際に重要な役割を果たすからだ。
鈴木直人も「ドルアーガの塔」執筆中にその辺りの重要性には気づいていたようだが、三部作の途中でルールを改変するわけにはいかなかったのか、「ナンバーが振られた鐘」やそれ以外のアイテムを持っているかどうかでイベントのフラグ管理をしていた。ところが、こうしたアイテムによる管理は、「主人公がアイテムを自由に捨てる権利」を奪うことにも繋がる。
原理的に考えてみれば、ゲームブックの「あなた」には敵が落としたアイテムをいちいち拾う義務はないわけで、それを敢えて強制に転化させた「ドルアーガの塔」は、システムとしては(ごく小さなものであるが)綻びと言っていい。更に言えば、手に入れたアイテムが呪いのアイテムでない限り、捨てる自由もあっていいはずなのだ。だが、「ドルアーガの塔」において、鐘が(何の説明もなく)プレイヤーに捨てられてしまうのは甚だ困る。鐘を捨ててしまうと、倒したはずの敵が蘇ったり、前にも体験したイベントが再度発生したりと齟齬が出てしまうからである。
もっとも、「ドルアーガの塔」の第一巻『悪魔に魅せられし者』を執筆している最中は、鈴木直人も含めて誰もチェックリストでフラグ管理をしようなどとは思いつきもしなかっただろうし、仮にあったとしても、プレイヤーに過度な負担をかけるので敬遠された可能性も否定できない。
林友彦は項目数一〇〇〇の双方向型ゲームブックを執筆する際に、「ドルアーガの塔」とは違う形で敢えてプレイヤーに負荷をかける「キーNo.」を導入した。これは1から36の番号が振られたボックスにそれぞれ指示された数字を記入していくというもので、これによって主人公がアイテムを持っているかどうか、あるイベントをクリアしたかどうか、などがゲーム的に処理できる仕組みになっている。また、この「キーNo.」はパラグラフ・ジャンプをする時にも用いられる。
パラグラフ・ジャンプは「ソーサリー」四部作などでもお馴染みだが(かつ、積極的にパラグラフ・ジャンプを取り入れた最初の作品であるが)、『ネバーランドのリンゴ』ほどパラグラフ・ジャンプが必要な国産ゲームブックは稀だろう。本田成二の「ワルキューレの冒険」シリーズや古川尚美の『ドラゴンバスター』は、呪文を唱える際にパラグラフ・ジャンプの操作が必要だったが、魔法を使う時に明確にパラグラフ・ジャンプを採用した作品は、『ネバーランドのリンゴ』が恐らく初めてだろう。主人公の勇者ティルトは初期状態では魔法は使えないものの、冒険の途中で様々な魔法を覚える機会に遭遇する。この辺りのシステムは『ドラゴンバスター』や「ワルキューレの冒険」シリーズも踏襲しており、『ネバーランドのリンゴ』の影響力の強さを感じさせる。
何はともあれ、この「キーNo.」システムを導入したことで、『ネバーランドのリンゴ』はこれまで以上にゲーム的な側面に特化したゲームブックとなった。これは、当時のファミコンゲームの主流ともなっている「残機数」にも表れている。「勇者は三度死ぬ」と銘打たれたルールの項目では、「主人公のティルトは大半のTVゲームのユーザーズキャラクターと同じに、三つの命を持っています」と書かれているように、作者がストーリーを味わう小説的な冒険譚よりもゲーム的なクリアの要素を重視していることが伺えよう。この特性のため、例えばデッドエンドでプレイヤーが死亡したとしても、大半のゲームブックがそうであるように一からやり直したり、あるいは指を挟んでおいた場所に戻ったり、覚えている番地まで戻ったりする必要がない。「もしティルトがまだ残っているなら○○から再スタートしてください」という指示がされているからだ。
プレイヤーにフラグ処理を任せることで負荷がかかるのを避けたのだろうか、戦闘システムはファイティング・ファンタジー・シリーズ方式のように「敵の分とプレイヤーの分の二回、サイコロを振る」という作業は要求されていない。戦闘ターン一回分として、サイコロ二個を一回振って、出た目に自分の戦力ポイントを加えた値とあらかじめ設定された敵の攻撃ポイントを比較して数値の高かった方が勝利する、という方式を取っている。その代わり、ダメージポイントが武器の種類によって変化するなどの工夫も行っており、作者がここでもゲーム性を強く意識していることが示唆される。
林友彦は、ゲームブックに必要なのはまず「面白いゲームを作る」ことであって、小説的な描写やストーリー展開以上にゲーム性を重視したように思われる。例えば二冊で合計項目数一〇〇〇の「ウルフヘッドの冒険」シリーズでは、プレイヤーは人間と狼の両方に変身できるファーストボーン(ワー・アニマルの第一世代をこう呼ぶという設定になっている)のウルフヘッドになるのだが、狼に変身できる条件は月が出ている時だけという夢幻的な要素を取り入れつつも、回数は三回だけというゲーム的な要素を組み込むことを忘れない。また、この作品では能力値がゲームデータ的なパラメーター表記(ブロック)になっている他、『ネバーランドのリンゴ』や『ニフルハイムのユリ』と同じく、主人公は三つの命を持っていたり、「キーNo.」が導入されていたりとやはりゲーム的な要素が前面に押し出されている。
もう一つゲーム的な要素が色濃く出ている部分は、『ネバーランドのリンゴ』の蜃気楼城(あるいは『ニフルハイムのユリ』の「地の底の迷宮」)に潜入してからの迷路だろう。余計な描写や背景の説明は一切なく、非常に簡素なのだ。後半のパラグラフの多くがこの迷路の番地になっており、「通路は南(八五〇)、北(八六七)、上(九〇四)に続いています」などと一行で終わっていることが多い。
この「史上最大の迷路」は『ネバーランドのリンゴ』や『ニフルハイムのユリ』の売りの一つになっているだけでなく、これによって番地数が飛躍的に増え、結果として項目数一〇〇〇という大著を生み出す原因にもなっているが、ストーリー的に見て(あるいはゲームブック全体として)成功しているかどうかは疑問である。事前に情報を得ておかないと独力で突破するのはほぼ不可能に近く、また「ドルアーガの塔」と違って距離に関する指示が描写されていないために正確なマップを書くことも困難なのだ。この「意味のない迷路」はゲーム性と難易度を上げるために導入されたものだろうが、実際にプレイするとただの作業をしている感がどうしても出てしまう。
同時期の作品にもそうした迷路がかなり登場する。ゲームブックブーム隆盛の流れで「出せば売れる」という風潮もあったのか(供給の過多)、あるいは読者から次々と新しい作品を求められたことも影響したのか(需要の過多)、そうした「無意味な迷路」や「ストーリーに寄与しない敵」を付け加えることでパラグラフ数を増やし、容量をアップさせた作品が大幅に現れたという結果を招いたようである。実際、ゲームブックを大量生産するには、「イベントやストーリーに直接踏み込んでこない迷路を投入してパラグラフを稼ぐ」という手法が一番手っ取り早いが、同時に作品の質を損ねることにも繋がる。
杉本=ヨハネ氏がその時期から活躍されているゲームブック作家であるHUGO HALL氏に伺ったところによると、「ゲームブックが隆盛を極めていた当時、マニアックな読者層がゆるいゲームブックに飽き足らず、仕掛け・文章ともにより高度な内容を求め始めた。その要求に応えるべく生み出されたのが東京創元社の作品群だった。日本のゲームブックの進歩は、機械式腕時計が精度を上げ、ミニッツリピーター、トゥールビヨンといった複雑機能を搭載していった課程を思い起こさせるものがある。」とのことである。その「より高度な内容」を目指す分水嶺ともなったのが、ゲームブックのパラグラフの使い方、即ち意味の希薄なイベントや複雑ではあるがストーリー性には寄与しない迷路などにパラグラフを消費するかどうか、という点であった気もする。
ゲームブックの楽しみ方として「未開の地域の探索」は確かに一つの魅力的な提案だが、それだけでは読者を引っ張る力が強くないのも事実だろう。例えば『火吹山の魔法使い』の後半の迷路などは、ただあてもなく闇雲に複雑化した迷路を右往左往させられるだけで、「魅惑的な冒険」になっていたかどうかは疑問が残る。紙と鉛筆を片手にパラグラフごとの繋がりをメモしていくだけの、ただの「作業ゲーム」と化してしまうのだ。
『火吹山の魔法使い』だけでなく、この時期のゲームブックの一部の作品は「双方向の迷路の解明」を読者に提供することで、満足できる「ゲーム」が作れると考えていた節がある。それと同じ轍を『ネバーランドのリンゴ』や『ニフルハイムのユリ』は踏んでしまっている気がするのである。
この「迷路」と後述する謎解きによって、『ネバーランドのリンゴ』は難易度が極めて高い作品になっているが、それを補うかのように語り口は極めて優しい。国産のゲームブックだけでなく、海外のゲームブックの翻訳でもおそらく見られないであろう丁寧口調、いわゆる「ですます調」で物語が展開していくのである。
丁寧口調だけでゲームの内容が変わるわけではないが、醸し出す雰囲気は劇的に変化する。例えば、J・R・R・トールキンの傑作ファンタジー小説『指輪物語("The Lord of the Rings")』の最初の翻訳は、瀬田貞二によって評論社から出版されているが、重厚なハイファンタジーでありながら「ですます調」の翻訳によって、雰囲気がかなり柔らかくなっている。それと同様の効果が、林友彦の一連の作品では見受けられるのだ(「ウルフヘッドの冒険」シリーズだけは「である調」になっている)。
『ネバーランドのリンゴ』や『ニフルハイムのユリ』はそれに加えて、遭遇するイベントや事件が極めて童話的で、選択肢もそれに合わせてほんわりとした温かいものが多い。例えば、じっと動かないエルクの娘に対して「娘にキスをする」という選択肢があったり、相手に正体を明かさないようにする場面では「おれは怖いものなしのブーカで、ぞおっとすることを経験したくて旅をしている」といった描写が出てきたりする。イベント自体も殺気立ったものは少なく、お茶を一緒に飲んだり音楽を一緒に聞いたりといった「事件」に遭遇しながら牧歌的な雰囲気で物語が進んでいく。これは、特に『ニフルハイムのユリ』で顕著に現れている特徴で、ややもすると「やるか、やられるか」という恐ろしげなゲームブックが数多く出版されている中で、一服の清涼剤のように心を和ませる働きをする(逆に、刺激を求める読者には退屈かもしれない)。
登場するキャラクターも、魅力では「ドルアーガの塔」に出てくる人物たちに負けず劣らずとも、その性質は大きく異なる。おばあさんの魔法使いに偏屈な画家、つっけんどんな研究者ににこにこと笑顔を絶やさないあめ屋など、ファンタジー色が極めて強いのだ。当然のことながら、素晴らしい挿絵の効果もあって相対する敵も微笑ましいものが多く、まさに子供的な童話の世界に足を踏み入れたような気分にさせてくれる。
「ウルフヘッドの冒険」シリーズでは、このほんわりとした雰囲気はやや影を潜めるものの、その代わりに個性豊かなフェロウ・トラベラーが八人も登場し、舞台に彩りを与えてくれる。これらのフェロウたちは冒険のどこかでほぼ必ずと言っていいほど濃密に主人公と絡み、一行について来る理由も様々である。付言すると、スミア姫というごく一部の例外を除いてフェロウが死んでも冒険がおしまいになることはなく、「あなた」以外は奴隷のような扱いをさせることもできる(例えば、体力が少ないのに積極的に戦闘に参加させたり、荷物持ち要員として連れ歩いたりといった、ほとんど拷問的なプレイも可能である)。
もう一つ、牧人小説的な雰囲気に拍車をかけているのが、数々の謎解きである。「ドルアーガの塔」三部作でも魅力的な謎かけが次々と登場したが、あちらはあくまでも冒険や探索の途中で偶発的に遭遇するといった感が強く、主要な流れはそのままに物語に沿う形で導入されていた。ところが、『ネバーランドのリンゴ』や『ニフルハイムのユリ』で登場する謎かけは(そして「ウルフヘッドの冒険」シリーズや『ネバーランドのカボチャ男』でも)「謎解きのための謎解き」という要素が強く、かなり頭をひねらないと解けないものが多い。
『ネバーランドのカボチャ男』には、巻末にかなりの量を割いた「パズルブック」が付け加えられており、このパズルも解かないと致命的なもの(クリアにほぼ必要不可欠なもの)からどうでもいいようなものまで多岐に渡る。特に「ウルフヘッドの冒険」シリーズの下巻『ウルフヘッドの逆襲』に出てくるタングラムのパズルは、独力で解くには非常に難しいものでありながら、物語をクリアするのには必須な謎解きである。
迷路と謎解き、この二つの要素によって、林友彦の一連の作品はどれもが高難度のものとなった。唯一の救いは、答えが必ず巻末に付されている点だろう。これによってライトなプレイヤーは、仮に謎解きが分からなくても「カンニング」によってクリアすることができる。林友彦の素晴らしさは、仮に読者がズルをしたとしても、作品自体の魅力が一切減じないところにある。だがその一方で、明らかにうろうろさせられるだけの迷路の存在や「答えの分かってしまったクイズ」によって、再びプレイしようと引っ張る力が他の作品に比べて弱いのも事実であろう。
この「繰り返しの魅力」は、全般的にゲームブックが徐々に容量的な面でボリュームアップしていくにつれて減じていくことになるが、その端緒を開いたのが『ネバーランドのリンゴ』ということになるのではないだろうか。それでも、項目数一〇〇〇という名実ともに巨大な作品であり、かつ「キーNo.」や「(当時としては)世界最大の迷路」という野心的な試みをいくつも行ったこと、極限まで突き詰めたゲーム性に牧歌的なストーリーを交えたという点で、『ネバーランドのリンゴ』をはじめとする一連のシリーズはやはり傑作と言っていいだろう。
※第4回は、主に「ゴールデン・ドラゴン・ファンタジイ・シリーズ」に触れる予定です。
◆書誌情報
『ネバーランドのリンゴ』
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東京創元社(1986/7/4)絶版
Soba Labs(Kindle版)(2017/10/28)
『ニフルハイムのユリ』
林友彦(著)
東京創元社(1987/7/28)絶版
『ウルフヘッドの誕生』
林友彦(著)
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『ウルフヘッドの逆襲』
林友彦(著)
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■参考文献
スティーブ・ジャクソン・イアン・リビングストン(著)浅羽莢子(訳)
『火吹山の魔法使い』
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指輪物語『旅の仲間』(上)(下)『二つの塔』(上)(下)『王の帰還』(上)(下)
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2025年6月16日月曜日
★コミケ落選のお知らせ★ FT新聞 No.4527
おはようございます、枚方市のスターバックスから杉本です☆
思いがけない〈できごと〉が起こったことと、それに対応するお知らせです★
◆コミケ、落ちました!
FT書房ですが、夏のコミケに落ちてしまいました!
多分、初めての抽選漏れです★
どのように対応していくか、大わらわの状態です☆
◆ひとつ、決めたこと☆
新刊をお披露目する場が、失われてしまった。
それならば!
私たちは新刊の刊行を1週間ほど早めて、2025年8月10日(日)で行われるTGFF(テーブル・ゲーム・ファン・フェスタ)で、新刊を出すことに決めました!
コミケでも委託先を検討しております……正式に決まり次第、またご連絡いたしますね!
◆「エメラルド海の探索」は確定!
夏のコミックマーケットでは毎回、2冊の新刊を出してきました。
そのうちの1冊は確定しておりまして、「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」の最新シナリオ「エメラルド海の探索」を予定しています☆
舞台はエメラルド色の大海原(おおうなばら)!
拠点は異国情緒溢れる貿易都市ビストフ!
【新職業】は【異国魔法使い】!
作者は杉本=ヨハネ、気になるイラストレーターは「KILLING ME / KILLING YOU」などで知られる漫画家、成田芋虫先生です!
ローグライクハーフでは『ドラゴンレディハーフ』『〈四猫亭〉の幽霊』などのイラストを手がけていただき、いずれも好評発売中です!
◆もう1冊は……?
夏に出したい「もう1冊の作品」は、「モンスター!モンスター!TRPG」の名著『ズィムララのモンスターラリー(仮)』か、ローグライクハーフのモンスター種族で遊べる『ヒーローズオブダークネス』のどちらかです☆
2つの作品は別ラインで進行しておりますが、〆切が1週間ほど早まってしまった関係で、どちらも急にハードモードとなりました。負けない。
両方とも出せる状況になった場合には、『ズィムララのモンスターラリー(仮)』を優先する予定です。
◆まとめ。
急にはじまった修羅場ですが、心配はご無用です☆
修羅場というものはいつだって、自分のそばにあるもの。
そこで全力を出し切って生まれる力が、次の創作に役立つもの。
……でも、なるべくなら避けたいもの☆
最後に本音を漏らしてしまいましたが、それではまた!
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◆ひとつ、決めたこと☆
新刊をお披露目する場が、失われてしまった。
それならば!
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夏に出したい「もう1冊の作品」は、「モンスター!モンスター!TRPG」の名著『ズィムララのモンスターラリー(仮)』か、ローグライクハーフのモンスター種族で遊べる『ヒーローズオブダークネス』のどちらかです☆
2つの作品は別ラインで進行しておりますが、〆切が1週間ほど早まってしまった関係で、どちらも急にハードモードとなりました。負けない。
両方とも出せる状況になった場合には、『ズィムララのモンスターラリー(仮)』を優先する予定です。
◆まとめ。
急にはじまった修羅場ですが、心配はご無用です☆
修羅場というものはいつだって、自分のそばにあるもの。
そこで全力を出し切って生まれる力が、次の創作に役立つもの。
……でも、なるべくなら避けたいもの☆
最後に本音を漏らしてしまいましたが、それではまた!
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2025年6月15日日曜日
Re:アランツァワールドガイドVol.8 自治都市トーン FT新聞 No.4526
おはようございます、編集長の水波流です。
杉本=ヨハネより預かりまして、今日配信するのは「アランツァワールドガイド」。
来月のd66シナリオの舞台となる「自治都市トーン」の再配信です。
トーンはアランツァの南東部にある、神聖都市ロング・ナリクから独立してつくられた新しい街。
そして音楽の都市でもあります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
死霊都市フアナ・ニクロを抜けて、カメルとアレスは次の街へと歩を進めていた。
目的地は自由闊達な精神に溢れた都市、トーンである。
アランツァのメイン大陸であるラドリドの南東部に位置する街だ。
◆トーンとの「出会い」。
草のうえに風が、柔らかく跡を残しながら走っていく。
その向こうに見えてくる、新しく美しい街。
カメルは足をとめて、緑の草原のなかにある美しい街を眺める。
「ヴェルデセローナ」
感動に息を呑んだ後に、カメルは小さくつぶやく。
自治都市トーンのふたつ名である。
たったひと目見ただけで、カメルは感じ取ることができた。
トーンの人々がもつ、熱狂的なまでの故郷愛。
誇りの高さと、街を守ろうとするモチベーションの高さ。
彼らはこの美しい街を、心底から愛しているのだ。
たった200年足らずのうちに、ここまで発展したこの街を。
自治都市トーンは自分たちの街を、愛を込めて「ヴェルデセローナ」と呼ぶ。
セローナとはトーンの街の足もとに存在する小高い丘の名称で、190年前にこのセローナの丘を発見したニューラント2世は、美しい緑が広がるこの丘を「ヴェルデ(緑の)セローナ」と呼んだ。
それ以来、街の人々は、会話のなかで街への愛情を示すさいに、トーンを「ヴェルデセローナ」と呼ぶ。
◆飛翔騎士。
城門を守る2人の騎士たちは、兜のバイザー(目庇{ルビ:まびさし})を上げて誰何する。
空を飛ぶ鳥たちと同じ顔が、兜のなかに見える。
その顔は凛々しく、同時に愛らしいかわいさも感じさせる。
自治都市トーンが誇る勇猛果敢な守護者、{ルビ:スカイナイト}鳥人騎士たちだ。
スパロウホーク(ハイタカ)の騎士がアレスと言葉を交わし、ほどなく2人は街のなかへと通される。
◆「白い部屋」。
カメルは街を歩き、トーンならではの「名所」へと向かう。
街の中央にある大広場から、少しはずれた小道へ。
人通りが一気に少なくなる。
そこにあるのは、素っ気ない白い家。
屋根もなく、扉や木窓もない。
ただ扉のない入口があって、外からでもなかが見える。
出入口にはカゴがあって、使い込まれた片手武器が無造作に放り込まれている。
部屋のなかには2人の男が、ひとつのテーブルを挟んで向かい合っている。
奇妙なのは、そのそばに武装した僧兵が立っていることだ。
ゴツゴツしたスパイクのついた鈍器(メイス)を腰にぶら下げて、壁にもたれかかって2人を見守っている。
2人はなにかを話し合っている。
ときどき激昂しかけては、立ち上がって部屋のなかをうろつき、テーブルに戻る。
その繰り返しをしながら、何かを決めるために話し合い続けているのだ。
ここは二神教の教会が運営する場所で、「白い部屋」と呼ばれている。
誰でも利用することができる……他の街では見かけない。
非武装地帯(アジール)と呼ばれる、特殊な場所である。
どんなに敵対していても、この部屋のなかでは暴力を振るわない「掟」がある場所だ。
僧兵は暴力に対する抑止力だが、いないこともある。
「しきたり」を破る者は、一人前とはみなされない……街の無法者たちでさえ、そのことを知っている。
敵対するグループどうしであっても、ここであれば話し合う機会を得られるのだ。
それがいいことなのかは分からない。
「ギャングどうしは殺し合ってくれるのが一番いい」と、考える者もいる。
だから、他の街でこういったアジールを見かけないのかもしれない。
しかし、他はともかくトーンの二神教の教会は、「誰であってもほんのひととき息をつけ、歩み寄り合う可能性のある、安全な場所」を提供することに決めた。
よしあしはともかく、これがこの街の文化のひとつなのだ。
◆宗教的自由。
カメルは街の広場に戻って、ぐるりと見渡す。
エスパダとエスクードの大理石の像が入口に立つ、二神教の大聖堂。
ソロンドオル神の信徒が建てた、魔法学校。
自然神ヴェルディアを祀る教会。
広場の隅にある獣神セリオンの彫像。
噴水に縁取られた彫刻は、海神ホリィドゥーンをあらわしている。
それらがお互いに見える位置に、存在する。
「我々は宗教的に対立しない」と、強く主張しているかのように。
だが……本当にそう主張しているとしたら、足りないものがある。
◆独立。
「セルウェー教がないからな」
アレスがそうつぶやいて、少し笑う。
考えを読み取られたカメルは顔を上げて、あたりを見渡してから、やはり笑う。
今から約200年前、神聖都市ロング・ナリクから離反した人々がいた。
ロング・ナリクではセルウェー教が主流で、他の宗教を信仰する者たちは低い地位を与えられるのが常だった。
アランツァ世界の中央部にあるロング・ナリクを捨てて、彼らは大陸の東部まで歩き続けた。
そこで出会った「セローナの丘」に、小さな集落を作った。
そんな背景を持っているから、トーンではセルウェー教だけが「存在しないかのように」扱われる。
街の人々は遠く離れた神聖都市の影響が、自分たちの新しい街に影を落とすことを何よりも恐れているのだ。
◆豊かな魔法の装備品。
カメルは広場にある、別の特徴に目を移す。
装備品を売る大きな店舗が見える。
客は多く、品揃えも豊富だ。
魔法装備店である。
この世界で魔法の装備品を製作する方法は、大きく2つに分かれている。
ひとつは錬金術だ。
魔法の薬のような形状の定まらないものは、錬金術によって生み出される。
もうひとつは、ソロンドオルのような中立の、魔法を象徴する神から与えられた力を、装備品に注入する方法である。
神聖都市ロング・ナリクから独立した人々の多くは、二神教か、あるいは中立神ソロンドオルを信仰する。
自治都市トーンに住むソロンドオル神の信徒たちは、魔法の装備品を製作するための組織的な工房を造り、上質な魔法の装備品をこしらえ続けている。
その品質は、他の街からわざわざ購入者が訪れるほどに優れている。
じっさい、カメルたちの目の前にある店は活況だ。
店の奥にあるカウンターに、行列ができている。
その多くは冒険者だが、この街の者も並んでいるように見える。
◆人気急上昇中の〈四猫亭〉。
カメルとアレスは連れ立って歩きながら、今晩の宿へとやってくる。
いい意味で古びた、雰囲気のいい宿である。
顔を毛づくろいする黒猫の絵がついた看板に、〈四猫亭〉と書かれている。
「いらっしゃい!」
宿にはたくさんの客がいる。
冒険者が多いが、トーンの市民もいるだろう。
カメルたちに近づいてくるのは、色白の女性だ。
大きな瞳と笑顔、大きな胸を店の制服が強調している。
看板娘だろう……人間女性に魅力を感じないカメルは、冷静にそう受け止める。
宿の奥はステージとして一段高くなっていて、目隠しをした色白の女性がリュートを奏でている。
ゆっくりと低く、少しずつテンポを上げながら、だんだん高く。
内側から溢れるような情熱が、胸をかき立てる。
にぎやかな店内をさっそうと歩く、背の高い色黒の女性。
用心棒だろう……目立たないように、周囲に目を配っている。
店のいちばん奥には、理知的な顔立ちの痩せた女性。
カメルたちが店についたのはまだ昼だったが、店はほとんど満員だった。
最後の宿泊客として滑り込んだ2人は、幸運に胸をなで下ろす。
◆夜ふけに。
満月がてっぺんをまわって、さらに数時間が経ったころ。
カメルがすっかり夢の世界に入り浸っている時間に、部屋をノックする音がする。
扉を開くと、店の奥に立っていた痩せた女性が「こんばんは」と言う。
こんな時刻に、ではない。
カメルとアレスが、頼み込んで呼んだのだ。
仕事が終わってから、来てくれないかと。
「遅くなってごめんなさい」
思ったよりも低い声で、彼女は言う。
この女性はウタ、〈四猫亭〉の店主だ。
「こちらこそ、お仕事の後に申し訳ない」と、カメルは謝罪する。
「他の街から来られた先生方とお話ができるんですもの。なんでもないわ」
そう答えるウタの疲れた瞳に、生気が宿る。
◆広大なネメディ平原と「戦」の話。
ウタは20代の終わりぐらいの年齢で、働く女性特有のエネルギッシュさと、少し疲れた雰囲気の両方を持っていた。
しかし、よほど体力のある人物らしく、これから朝まででも話に付き合う、と宣言する。
明日は明日で〈四猫亭〉の仕事が待っているだろうに。
ウタは外の世界の話を聞きたがり、カメルとアレスはトーンの実情を話してもらう。
ウタの話し方は劇的ではないが、理路整然としていて、とても分かりやすい。
カメルたちは漠然と知る自治都市トーンの現状を、はっきりとした輪郭をもって把握できるようになっていった。
これから述べるのは、ウタが話してくれたことをカメル・グラントがまとめたものである。
◆前王の暗殺。
パイク・ヴェローナ王の父であるメゾット・ヴェローナ前王は、記念式典のパレード中に暗殺された。
この暗殺の首謀者は神聖都市ロング・ナリクの手の者であると、根拠なく多くの者が考えた。
しかし、「飛翔騎士」の活躍によって正体が割れた実際の犯人は、遠く「還らずの森」からやってきた不死の貴族だった。
「飛翔騎士」はこの吸血鬼を葬り去って、前王の仇をとった。
◆広大なネメディ平原で起こる「戦」の話。
この街の周りに広がる広大な土地は、ネメディ平原と呼ばれている。
この土地にも【悪の種族】や【少数種族】が生息しているものの、大きな集落や組織的な集団は存在しない。
「危険な【巨大生物】が、生息しているからです」
と、ウタは言う。
ネメディ平原には想像をはるかに上まわる、船ほどもあるような【巨大生物】が数種類、生息している。
過去には〈ハリアー〉と呼ばれる巨大なイモムシが、平原の北部で人間の集団を食い荒らした。
直近では〈荒野の巨人〉と呼ばれる、常軌を逸した大きさの巨人が現れたという。
アランツァの世界では{ルビ:ノード}魔力だまりの活性化にともなって、クリーチャーが異常な巨大化をすることがある。
ネメディ平原ではこれが起こりやすいらしい……一説によるとトーンのような住みやすい土地に先住者の姿が見られなかったのも、不定期に出現する【巨大生物】を知的種族が嫌ったからだとも、言われている。
自治都市トーンにとって目下の敵は、神聖都市ロング・ナリクでも、遠く山の向こうにある「かづら森」の吸血鬼たちでもない。
軍隊が集結する先にあるのは、いつ姿を見せるか分からない【巨大生物】なのである。
◆7人の「投票」によって決定する、街の「意思」。
自治都市トーンの王はパイク・ヴェローナ。
建国の父であるニューラント・ヴェローナ2世の血を引く正当な後継者だ。
自治都市トーンはしかし、王の考えだけですべてを決める街ではない。
王の下には7人の大臣がいて、「王の負担を減らす」ために、王をわずらわせるほど重大ではないとみなされる事柄に対しては、彼ら7人が投票によって政治的判断を下す。
「だけど、都市が『重要じゃない』と判断することのなかにも、大事なことが混ざっていることはあるわ」
〈四猫亭〉のあるじはそう言って、カメルとアレスを交互に見やる。
「そういうときには、7人の権力者のうち4人以上を、自分の味方につけるの。そうすることができれば、政治的な『たくらみ』に成功する」
ウタは悪い顔──悪人のような表情──をわざとしてみせてから、ほがらかに笑う。
「可能性があるのよ、この街には」
【巨大生物】はたしかに脅威だ。
対応を誤れば、街は壊滅的な打撃を受けるだろう。
しかし、たとえば、常に混沌との戦いを強いられている「混沌都市ゴーブ」などと比べたら、ましな負担のようにも見える。
カメルにはウタの言葉が、この街の人々が持つどこか楽観的な未来感、将来を信じて生きる前向きな明るさを端的に表しているように思えた。
※……メゾット・ヴェローナの暗殺に関するエピソードは『飛翔騎士』に登場(現在絶版)。
※※……ネメディ平原の【巨大生物】はFT新聞上のイベント「スプリットタンの攻防」に登場。
※※※……自治都市トーンの地下水道を探索する短編ゲームブック「トーンの地下水道」は、『ゲームブック短編集 Hunted Gardenheart』に収録。
※※※※……自治都市トーンと〈四猫亭〉を舞台にした冒険は「ローグライクハーフ」d66シナリオ「〈四猫亭〉の幽霊」に登場予定。
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トーンはアランツァの南東部にある、神聖都市ロング・ナリクから独立してつくられた新しい街。
そして音楽の都市でもあります。
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死霊都市フアナ・ニクロを抜けて、カメルとアレスは次の街へと歩を進めていた。
目的地は自由闊達な精神に溢れた都市、トーンである。
アランツァのメイン大陸であるラドリドの南東部に位置する街だ。
◆トーンとの「出会い」。
草のうえに風が、柔らかく跡を残しながら走っていく。
その向こうに見えてくる、新しく美しい街。
カメルは足をとめて、緑の草原のなかにある美しい街を眺める。
「ヴェルデセローナ」
感動に息を呑んだ後に、カメルは小さくつぶやく。
自治都市トーンのふたつ名である。
たったひと目見ただけで、カメルは感じ取ることができた。
トーンの人々がもつ、熱狂的なまでの故郷愛。
誇りの高さと、街を守ろうとするモチベーションの高さ。
彼らはこの美しい街を、心底から愛しているのだ。
たった200年足らずのうちに、ここまで発展したこの街を。
自治都市トーンは自分たちの街を、愛を込めて「ヴェルデセローナ」と呼ぶ。
セローナとはトーンの街の足もとに存在する小高い丘の名称で、190年前にこのセローナの丘を発見したニューラント2世は、美しい緑が広がるこの丘を「ヴェルデ(緑の)セローナ」と呼んだ。
それ以来、街の人々は、会話のなかで街への愛情を示すさいに、トーンを「ヴェルデセローナ」と呼ぶ。
◆飛翔騎士。
城門を守る2人の騎士たちは、兜のバイザー(目庇{ルビ:まびさし})を上げて誰何する。
空を飛ぶ鳥たちと同じ顔が、兜のなかに見える。
その顔は凛々しく、同時に愛らしいかわいさも感じさせる。
自治都市トーンが誇る勇猛果敢な守護者、{ルビ:スカイナイト}鳥人騎士たちだ。
スパロウホーク(ハイタカ)の騎士がアレスと言葉を交わし、ほどなく2人は街のなかへと通される。
◆「白い部屋」。
カメルは街を歩き、トーンならではの「名所」へと向かう。
街の中央にある大広場から、少しはずれた小道へ。
人通りが一気に少なくなる。
そこにあるのは、素っ気ない白い家。
屋根もなく、扉や木窓もない。
ただ扉のない入口があって、外からでもなかが見える。
出入口にはカゴがあって、使い込まれた片手武器が無造作に放り込まれている。
部屋のなかには2人の男が、ひとつのテーブルを挟んで向かい合っている。
奇妙なのは、そのそばに武装した僧兵が立っていることだ。
ゴツゴツしたスパイクのついた鈍器(メイス)を腰にぶら下げて、壁にもたれかかって2人を見守っている。
2人はなにかを話し合っている。
ときどき激昂しかけては、立ち上がって部屋のなかをうろつき、テーブルに戻る。
その繰り返しをしながら、何かを決めるために話し合い続けているのだ。
ここは二神教の教会が運営する場所で、「白い部屋」と呼ばれている。
誰でも利用することができる……他の街では見かけない。
非武装地帯(アジール)と呼ばれる、特殊な場所である。
どんなに敵対していても、この部屋のなかでは暴力を振るわない「掟」がある場所だ。
僧兵は暴力に対する抑止力だが、いないこともある。
「しきたり」を破る者は、一人前とはみなされない……街の無法者たちでさえ、そのことを知っている。
敵対するグループどうしであっても、ここであれば話し合う機会を得られるのだ。
それがいいことなのかは分からない。
「ギャングどうしは殺し合ってくれるのが一番いい」と、考える者もいる。
だから、他の街でこういったアジールを見かけないのかもしれない。
しかし、他はともかくトーンの二神教の教会は、「誰であってもほんのひととき息をつけ、歩み寄り合う可能性のある、安全な場所」を提供することに決めた。
よしあしはともかく、これがこの街の文化のひとつなのだ。
◆宗教的自由。
カメルは街の広場に戻って、ぐるりと見渡す。
エスパダとエスクードの大理石の像が入口に立つ、二神教の大聖堂。
ソロンドオル神の信徒が建てた、魔法学校。
自然神ヴェルディアを祀る教会。
広場の隅にある獣神セリオンの彫像。
噴水に縁取られた彫刻は、海神ホリィドゥーンをあらわしている。
それらがお互いに見える位置に、存在する。
「我々は宗教的に対立しない」と、強く主張しているかのように。
だが……本当にそう主張しているとしたら、足りないものがある。
◆独立。
「セルウェー教がないからな」
アレスがそうつぶやいて、少し笑う。
考えを読み取られたカメルは顔を上げて、あたりを見渡してから、やはり笑う。
今から約200年前、神聖都市ロング・ナリクから離反した人々がいた。
ロング・ナリクではセルウェー教が主流で、他の宗教を信仰する者たちは低い地位を与えられるのが常だった。
アランツァ世界の中央部にあるロング・ナリクを捨てて、彼らは大陸の東部まで歩き続けた。
そこで出会った「セローナの丘」に、小さな集落を作った。
そんな背景を持っているから、トーンではセルウェー教だけが「存在しないかのように」扱われる。
街の人々は遠く離れた神聖都市の影響が、自分たちの新しい街に影を落とすことを何よりも恐れているのだ。
◆豊かな魔法の装備品。
カメルは広場にある、別の特徴に目を移す。
装備品を売る大きな店舗が見える。
客は多く、品揃えも豊富だ。
魔法装備店である。
この世界で魔法の装備品を製作する方法は、大きく2つに分かれている。
ひとつは錬金術だ。
魔法の薬のような形状の定まらないものは、錬金術によって生み出される。
もうひとつは、ソロンドオルのような中立の、魔法を象徴する神から与えられた力を、装備品に注入する方法である。
神聖都市ロング・ナリクから独立した人々の多くは、二神教か、あるいは中立神ソロンドオルを信仰する。
自治都市トーンに住むソロンドオル神の信徒たちは、魔法の装備品を製作するための組織的な工房を造り、上質な魔法の装備品をこしらえ続けている。
その品質は、他の街からわざわざ購入者が訪れるほどに優れている。
じっさい、カメルたちの目の前にある店は活況だ。
店の奥にあるカウンターに、行列ができている。
その多くは冒険者だが、この街の者も並んでいるように見える。
◆人気急上昇中の〈四猫亭〉。
カメルとアレスは連れ立って歩きながら、今晩の宿へとやってくる。
いい意味で古びた、雰囲気のいい宿である。
顔を毛づくろいする黒猫の絵がついた看板に、〈四猫亭〉と書かれている。
「いらっしゃい!」
宿にはたくさんの客がいる。
冒険者が多いが、トーンの市民もいるだろう。
カメルたちに近づいてくるのは、色白の女性だ。
大きな瞳と笑顔、大きな胸を店の制服が強調している。
看板娘だろう……人間女性に魅力を感じないカメルは、冷静にそう受け止める。
宿の奥はステージとして一段高くなっていて、目隠しをした色白の女性がリュートを奏でている。
ゆっくりと低く、少しずつテンポを上げながら、だんだん高く。
内側から溢れるような情熱が、胸をかき立てる。
にぎやかな店内をさっそうと歩く、背の高い色黒の女性。
用心棒だろう……目立たないように、周囲に目を配っている。
店のいちばん奥には、理知的な顔立ちの痩せた女性。
カメルたちが店についたのはまだ昼だったが、店はほとんど満員だった。
最後の宿泊客として滑り込んだ2人は、幸運に胸をなで下ろす。
◆夜ふけに。
満月がてっぺんをまわって、さらに数時間が経ったころ。
カメルがすっかり夢の世界に入り浸っている時間に、部屋をノックする音がする。
扉を開くと、店の奥に立っていた痩せた女性が「こんばんは」と言う。
こんな時刻に、ではない。
カメルとアレスが、頼み込んで呼んだのだ。
仕事が終わってから、来てくれないかと。
「遅くなってごめんなさい」
思ったよりも低い声で、彼女は言う。
この女性はウタ、〈四猫亭〉の店主だ。
「こちらこそ、お仕事の後に申し訳ない」と、カメルは謝罪する。
「他の街から来られた先生方とお話ができるんですもの。なんでもないわ」
そう答えるウタの疲れた瞳に、生気が宿る。
◆広大なネメディ平原と「戦」の話。
ウタは20代の終わりぐらいの年齢で、働く女性特有のエネルギッシュさと、少し疲れた雰囲気の両方を持っていた。
しかし、よほど体力のある人物らしく、これから朝まででも話に付き合う、と宣言する。
明日は明日で〈四猫亭〉の仕事が待っているだろうに。
ウタは外の世界の話を聞きたがり、カメルとアレスはトーンの実情を話してもらう。
ウタの話し方は劇的ではないが、理路整然としていて、とても分かりやすい。
カメルたちは漠然と知る自治都市トーンの現状を、はっきりとした輪郭をもって把握できるようになっていった。
これから述べるのは、ウタが話してくれたことをカメル・グラントがまとめたものである。
◆前王の暗殺。
パイク・ヴェローナ王の父であるメゾット・ヴェローナ前王は、記念式典のパレード中に暗殺された。
この暗殺の首謀者は神聖都市ロング・ナリクの手の者であると、根拠なく多くの者が考えた。
しかし、「飛翔騎士」の活躍によって正体が割れた実際の犯人は、遠く「還らずの森」からやってきた不死の貴族だった。
「飛翔騎士」はこの吸血鬼を葬り去って、前王の仇をとった。
◆広大なネメディ平原で起こる「戦」の話。
この街の周りに広がる広大な土地は、ネメディ平原と呼ばれている。
この土地にも【悪の種族】や【少数種族】が生息しているものの、大きな集落や組織的な集団は存在しない。
「危険な【巨大生物】が、生息しているからです」
と、ウタは言う。
ネメディ平原には想像をはるかに上まわる、船ほどもあるような【巨大生物】が数種類、生息している。
過去には〈ハリアー〉と呼ばれる巨大なイモムシが、平原の北部で人間の集団を食い荒らした。
直近では〈荒野の巨人〉と呼ばれる、常軌を逸した大きさの巨人が現れたという。
アランツァの世界では{ルビ:ノード}魔力だまりの活性化にともなって、クリーチャーが異常な巨大化をすることがある。
ネメディ平原ではこれが起こりやすいらしい……一説によるとトーンのような住みやすい土地に先住者の姿が見られなかったのも、不定期に出現する【巨大生物】を知的種族が嫌ったからだとも、言われている。
自治都市トーンにとって目下の敵は、神聖都市ロング・ナリクでも、遠く山の向こうにある「かづら森」の吸血鬼たちでもない。
軍隊が集結する先にあるのは、いつ姿を見せるか分からない【巨大生物】なのである。
◆7人の「投票」によって決定する、街の「意思」。
自治都市トーンの王はパイク・ヴェローナ。
建国の父であるニューラント・ヴェローナ2世の血を引く正当な後継者だ。
自治都市トーンはしかし、王の考えだけですべてを決める街ではない。
王の下には7人の大臣がいて、「王の負担を減らす」ために、王をわずらわせるほど重大ではないとみなされる事柄に対しては、彼ら7人が投票によって政治的判断を下す。
「だけど、都市が『重要じゃない』と判断することのなかにも、大事なことが混ざっていることはあるわ」
〈四猫亭〉のあるじはそう言って、カメルとアレスを交互に見やる。
「そういうときには、7人の権力者のうち4人以上を、自分の味方につけるの。そうすることができれば、政治的な『たくらみ』に成功する」
ウタは悪い顔──悪人のような表情──をわざとしてみせてから、ほがらかに笑う。
「可能性があるのよ、この街には」
【巨大生物】はたしかに脅威だ。
対応を誤れば、街は壊滅的な打撃を受けるだろう。
しかし、たとえば、常に混沌との戦いを強いられている「混沌都市ゴーブ」などと比べたら、ましな負担のようにも見える。
カメルにはウタの言葉が、この街の人々が持つどこか楽観的な未来感、将来を信じて生きる前向きな明るさを端的に表しているように思えた。
※……メゾット・ヴェローナの暗殺に関するエピソードは『飛翔騎士』に登場(現在絶版)。
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※※※……自治都市トーンの地下水道を探索する短編ゲームブック「トーンの地下水道」は、『ゲームブック短編集 Hunted Gardenheart』に収録。
※※※※……自治都市トーンと〈四猫亭〉を舞台にした冒険は「ローグライクハーフ」d66シナリオ「〈四猫亭〉の幽霊」に登場予定。
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2025年6月14日土曜日
FT新聞1ウィーク! 第644号 FT新聞 No.4525
From:水波流
なかなか読書が進まないので、別の本を交互に読んでいる。吉本隆明と大塚英志とサリンジャーという、それぞれ口直しになっているのかは分からない取り合わせですが……。
from:葉山海月
『間違いだらけの自転車えらび』と表紙にでかでかと載っているのに、中味は『君たちはどう生きるか』だった衝撃!
from:中山将平
僕らの次回参加予定イベントは、6月22日(日)に開催の「コミックライブin名古屋アーリーサマー2025」内「オリComi Nagoya45」です。
ゲームブックや1人用TRPG『ローグライクハーフ』を扱います。ぜひ遊びにお越しいただけましたら。
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■6/8(日)~6/13(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2025年6月8日(日)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4519
アランツァクリーチャー事典 Vol.17
・本日は日曜日。ローグライクハーフ関連記事として、アランツァクリーチャー事典の第17回です。
今回のジャンルは『動物』!
ファンタジー世界の動物ですので多岐にわたります。
かなり多いため、前後編にわけてお届けします。
どうぞお楽しみ下さいませ。
2025年6月9日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4520
今年の後半戦に備えつつ☆
・FT書房に「サブライン」を作る! と宣言したら、さっそくエールが!
ありがとうございます!
その声にお返事しつつ、
・すでに刊行された2冊
・刊行する可能性のある作品
なとなど、今回も情報みっちり!
詳細は本文をぜひ!
2025年6月10日(火)かなでひびき FT新聞 No.4521
これはゲームブックなのですか!? vol.121
・バーチャル図書館委員長かなでひびき氏がゲームブックに関係ありそうでなさそうな周辺のよもやま話をしていきます。
今回の本は、ゲームブック『機動戦士ガンダム0079 灼熱の追撃』(山口宏 著 角川書店)
「宇宙世紀0079、一年戦争のアフリカ戦線終結間際、ジオン軍第18補給基地は、味方の特別攻撃部隊"鉄のサソリ"の襲撃を受け全滅した! 生き残ったキミは、その身を復讐心で燃やし、モビルスーツに乗り、立ち上がる!」
(表紙より)
国民的ロボットアニメ『機動戦士ガンダム』の外伝ともいえる本ゲームブック。
ガンダム歴0な、かなで氏も納得させるストーリー。
プラス、練りこまれた戦闘システムの調和の妙!
プレミアな値段になってしまったこともなっとくな本書が、1000円以内で復刻!
「君は生き残ることができるか!?」
2025年6月11日(水)ぜろ FT新聞 No.4522
第4回【戦場の風】ローグライクハーフリプレイ
・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第442回をお届けしました。
今回挑戦する作品は、丹野佑 著「ローグライクハーフ」の『戦場の風』です。
今回の主人公はウォーレン。ロング・ナリクで当代一と言われた聖騎士と同名の若き騎士です。
国王からの密命は、戦場に置き去りになっている王女コーデリアを救い出し、離脱すること。
前回までに、その密命は達成。それどころか、ウォー・ドレイク騎兵に勝利し、ウォー・ドレイクを王都に持ち帰ることができました。
はてさて、その顛末は?
そして、「ローグライクハーフ」化されたことで生まれた新しい要素を分析いたします。
2025年6月12日(木)岡和田晃 FT新聞 No.4523
子どもと遊ぶ『甲竜伝説ヴィルガストRPG』1
・4月から娘さんと一緒に過ごす時間が飛躍的に伸びた岡和田氏。
それを受けて(?) 今回紹介する本は、『甲竜伝説ヴィルガストRPG』。
もともとガシャポンから始まり、背景を解説するケイブンシャの大百科との連動、「コミックボンボン」での連載コミック。そしてスーパーファミコン等、マルチに展開された作品です。
幼少のころ、何かの形で触れた読者の方もおられるかも?
というわけで、現代の目から本作を考えてみます!
2025年6月13日(金)緒方直人 FT新聞 No.4524
機動灼熱追撃日記その1
・火曜日に紹介いたしましたガンダムファン刮目のゲームブック『灼熱の追撃』。
さっそく名手、緒方直人氏によるリプレイの開始です!
時はファーストガンダム一年戦争末期。主人公はまだ十代のジオン学徒兵であるジョン・クエスト。
最終的には鉄のサソリのリーダーである猛将クランベリー大佐(熟練ポイント:22)とのガチバトルを制さなければクリアは無いため、そこまでにどれだけこの熟練ポイントを上げに上げて来られるか、という構造。
しかし出てくる敵キャラがスライムとか一角ウサギとかの優しいザコから始まらないのがこのゲームブックの恐ろしいところ。
いかに「強敵」を避けながら熟練度を上げるか?
今回はその解析からです!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(ジャラル アフサラールさん)
2025年6月現在、「ジオンが勝利した」ファーストガンダムのマルチバースを描いた『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』が放送中で絶好のタイミングですね。ちなみに私は同じシリーズ・作者で同じく新装版が出る『機動戦士ガンダム 最期の赤い彗星』の方が好きです。まあ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX --』にもシャア出ますが。赤いガンダムに乗って(笑)。
(お返事:かなでひびき)
ありがとうございます!
今、ファーストガンダム見てる途上のド素人なので、アニメの方はなんともわかりませんが、えっ!? ジオンが勝ったんですか!? 「ぼうや」だったからですか!?(イミフ)驚天動地ですねー!
そしてまた、『機動戦士ガンダム 最期の赤い彗星』! 期待できますねー!
かなでなんか、今から予約入れてますもの!
(緒方直人)
『これはゲームブックなのですか!?』vol.121、今回も面白かったです。灼熱の追撃、私も大好きでした。機体や武装が自由にカスタマイズできるロボットものならでは醍醐味、ルート選択に引くか進むか戦況に応じたシビアな見切りに燃えたあの頃を思い出しました。
拙記事のご紹介もありがとうございました。かなでさんの表現力には到底およびませんが、この熱を引き継いで本作の魅力をお伝えできればとがんばります。
(お返事:かなでひびき)
ありがとうございます!
本当に多彩な戦略が取れて、その点でも傑作でしたよねー!
レビューの方、いえいえかなでより緒方さんの流れるような臨場感ある文が上ですよー! かなでの見つからなかった視点からの話も、勉強になりますものね! ありがとうございます。
楽しみにさせていただきますね!
(緒方直人さん)
子どもと遊ぶ『甲竜伝説ヴィルガストRPG』1、面白かったです。
また懐かしい名前がでてきましたね。30年前もの作品のどの当たりが現代のちびっ子に刺さったのか興味あります。ルールか世界観かはたまたビジュアルか、そのへんの深淵を覗いてみたいですね。連載、期待しております。
(お返事:岡和田晃)
ご高評ありがとうございます。あまり書くと今後のネタバレになってしまうのですが、娘にとって決定打だったのは「女性向けの装備が充実していること」です。パーティ内では(当時としては)ジェンダー・バランスに配慮されており、だからこそ自分が活躍しても違和感がないと思えたのではないかと。
(ジャラル アフサラールさん)
甲竜伝説ヴィルガスト、懐かしいですね〜。漫画版でしたか、確かネコ系キャラの女性キャラが魅力的でした。OVA全盛期でしたので、この作品もOVA化しています。Wikiで見ると何この豪華キャストとスタッフ(笑)と言いたくなるメンツでゲーム終了したら配信で見せてあげるのもよいかもしれませんね。
(お返事:岡和田晃)
ねこまたのリュキアですね。OVAに付録でついているガシャポンのプロモーションビデオでは、戦士としての魅力も解説されていました。
(ポール・ブリッツさん)
「ヴィルガストRPG」、ルール通りにキャラクターを作成してプレイしようとすると完全にルールが破綻しているとしか思えないのですが、どうやってバランスを取ってプレイしているのですか?!
自分も再トライしたいのでぜひ、そのコツなりハウスルールなりをお教えください。真剣にいってます。
(お返事:岡和田晃)
そこに触れてしまいますか! キャラクターメイキングの際、「基本体力」と「基本HP」の二つの数値があって混乱しますよね。推測するだに、「基本体力」は推奨される基本装備(男性向けのもの)を一通り装備した際の標準的なHPを指しているようです(確証はありませんが)、「基本HP」は防具などを身につける前のHP。こう考えればキャラクターは作成できるはずです。それ以降は今後の連載で触れていければと思います。
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今回の本は、ゲームブック『機動戦士ガンダム0079 灼熱の追撃』(山口宏 著 角川書店)
「宇宙世紀0079、一年戦争のアフリカ戦線終結間際、ジオン軍第18補給基地は、味方の特別攻撃部隊"鉄のサソリ"の襲撃を受け全滅した! 生き残ったキミは、その身を復讐心で燃やし、モビルスーツに乗り、立ち上がる!」
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2025年6月11日(水)ぜろ FT新聞 No.4522
第4回【戦場の風】ローグライクハーフリプレイ
・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第442回をお届けしました。
今回挑戦する作品は、丹野佑 著「ローグライクハーフ」の『戦場の風』です。
今回の主人公はウォーレン。ロング・ナリクで当代一と言われた聖騎士と同名の若き騎士です。
国王からの密命は、戦場に置き去りになっている王女コーデリアを救い出し、離脱すること。
前回までに、その密命は達成。それどころか、ウォー・ドレイク騎兵に勝利し、ウォー・ドレイクを王都に持ち帰ることができました。
はてさて、その顛末は?
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2025年6月12日(木)岡和田晃 FT新聞 No.4523
子どもと遊ぶ『甲竜伝説ヴィルガストRPG』1
・4月から娘さんと一緒に過ごす時間が飛躍的に伸びた岡和田氏。
それを受けて(?) 今回紹介する本は、『甲竜伝説ヴィルガストRPG』。
もともとガシャポンから始まり、背景を解説するケイブンシャの大百科との連動、「コミックボンボン」での連載コミック。そしてスーパーファミコン等、マルチに展開された作品です。
幼少のころ、何かの形で触れた読者の方もおられるかも?
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2025年6月13日(金)緒方直人 FT新聞 No.4524
機動灼熱追撃日記その1
・火曜日に紹介いたしましたガンダムファン刮目のゲームブック『灼熱の追撃』。
さっそく名手、緒方直人氏によるリプレイの開始です!
時はファーストガンダム一年戦争末期。主人公はまだ十代のジオン学徒兵であるジョン・クエスト。
最終的には鉄のサソリのリーダーである猛将クランベリー大佐(熟練ポイント:22)とのガチバトルを制さなければクリアは無いため、そこまでにどれだけこの熟練ポイントを上げに上げて来られるか、という構造。
しかし出てくる敵キャラがスライムとか一角ウサギとかの優しいザコから始まらないのがこのゲームブックの恐ろしいところ。
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(緒方直人)
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(緒方直人さん)
子どもと遊ぶ『甲竜伝説ヴィルガストRPG』1、面白かったです。
また懐かしい名前がでてきましたね。30年前もの作品のどの当たりが現代のちびっ子に刺さったのか興味あります。ルールか世界観かはたまたビジュアルか、そのへんの深淵を覗いてみたいですね。連載、期待しております。
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(お返事:岡和田晃)
ねこまたのリュキアですね。OVAに付録でついているガシャポンのプロモーションビデオでは、戦士としての魅力も解説されていました。
(ポール・ブリッツさん)
「ヴィルガストRPG」、ルール通りにキャラクターを作成してプレイしようとすると完全にルールが破綻しているとしか思えないのですが、どうやってバランスを取ってプレイしているのですか?!
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2025年6月13日金曜日
機動灼熱追撃日記その1 FT新聞 No.4524
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
《機動灼熱追撃日記 その1》
緒方直人
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
機動戦士ガンダムゲームブック、灼熱の追撃がKADOKAWAから復刊された。やれめでたや。
若き日の引っ越しの際に、浅はかにも売っぱらっちゃってそれっきりだったんだよね。他のシャアとかジェリドの奴とかは買い戻せたけど、コイツばかりは値段が高すぎてどうにも手がだせないままだったんだよねー。
ということで、せっかく買ったので久々にがっつりやるぜい。プレイ日記まで書いちゃうぜい。
ちなみに旧版についてのクリア経験はアリ。細かい部分までは覚えてないけど旅の道筋には大きく3ルートあって、途中で機体乗り換えイベントもあったなーって。あとラストは悲しい結末だったぜーってとこまではなんとなく覚えてる。そんな感じ。
@あらすじ@
時はファーストガンダム一年戦争末期。主人公はまだ十代のジオン学徒兵であるジョン・クエスト。
彼は単なるイチ整備兵見習いとして地球はアフリカ戦線を支えるべくジオン地上基地にて奮闘していたのだが、戦況はすっかりジオン軍劣勢の撤退ムード。もう地球なんぞはすっぱり諦めて基地もすべて放棄ー! 全ジオン兵は勝手にロケット発射場まで集合してサイド3まで帰れよー! ってな、そんな負けイクサ状況。
そんな中、突如われらがジオンの精鋭部隊【鉄のサソリ】がまさかの裏切りを慣行した。ジョン君のいた味方基地を襲い、重要機密データの入ったコンテナボックスを、敵である連邦軍への取引材料とすべく奪い去っていったのだった。
戦える正規兵のすべてが全滅という絶望的状況のなかで、基地司令は奇跡的に生き残ったジョンひとりに対し勅命をくだす。「単独で鉄のサソリを追い、コンテナボックスを奪還せよ!」
かくして熱波渦巻くアフリカの広大な砂漠を舞台に、彼ひとりの孤独な灼熱の追撃作戦が幕を開ける。。。。。。
主人公はニュータイプでもなんでもないただのド素人一般学徒兵。
実戦経験は皆無であり、戦闘の要である【熟練ポイント】はまったくのゼロからのスタートです。
そのくせ、最終的には鉄のサソリのリーダーである猛将クランベリー大佐(熟練ポイント:22)とのガチバトルを制さなければクリアは無いため、そこまでにどれだけこの熟練ポイントを上げに上げて来られるか、という構造。
いかにもヒロイックRPGチックですが、しかし出てくる敵キャラがスライムとか一角ウサギとかの優しいザコから始まらないのがこのゲームブックの恐ろしいところ。
なんせ基地をスタートしてまず最初に遭遇する敵が、いきなり熟練ポイントが【6】もあるベテラン連邦兵ジムだったりします。こんなんいつもの調子でまともに戦ってたら確実に殺られます。ここは無茶せず逃げの一手が正解です。
とまぁこんな調子で、ジョン君の道中には明らかなオーバーキルな強エネミーがそこかしこにたっぷり配置されております。戦場に放り出された哀れな学徒兵がオロオロ翻弄される様子がリアリティたっぷりに描かれるのです。
じゃあどーせぇっちゅーかと言いますと、確実に狩れる弱い敵だけを狙っていけ! ってな戦略的ルート設計が必要となってくるのであったのですとよ。ベンベン。
ということで明日のためにその1。メンドくさがらずにまずはしっかりロケハンしましょうね。
パラグラフのつながりや敵配置と戦闘データ、そしてルート解析といったマッピングを完璧に調べつくしてから、本番に臨むのです。
ふんふん、攻撃数、回避数ともに+2もしてくれるココの高機動バックパックは絶対欲しいな。。。。
山の砲台護衛してるこの銀狐のハルトマンって完全に負けイベントじゃん。強すぎ。。。
一方でココのバルカンジムはカモだな。ココのガンタンクIIもカモ。でもココで出てくる超絶ビーム戦車だけはカンベンな。。。。
ふぅ、終わりましたよ。解析完了です。
鉄のサソリを追うためのコードネーム、トム、ディック、ハリーの3ルート。そしてラストダンジョンとなるゲド要塞内の構図までをばっちり紙に書き込みました。
こいつを眺めながら最適な攻略ルートをウンウン検証するのが一番楽しい時間ですよねー。
。。。。。よっし! 決まったゼ!!
湖ジムはもちろん無視し、ハリーのバルカンジムとキャノンIIを狩って熟練Pアップ、んでディックに移って高機動バックパックをゲットし、お次はトムに移って勇者ロベルトさんからたっぷり稽古をつけてもらうのさ。そしたらまたディックに戻ってククスの街で味方エージェントのエレミアと遭遇。連邦基地で乗り換えイベントをこなしたら、いざ、ゲド要塞へ!
この流れが最適解と判断しますた。それでは次回からが本番のれっつらプレイスタートですよ。
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
■書誌情報
『機動戦士ガンダム0079 灼熱の追撃』
著 山口宏
出版社:角川書店 2025/3/26
新書 968円(税込)
Kindle版 949円(税込)
旧版:
勁文社(新書) 1986/9/1・絶版
バンダイ出版(文庫) 1989/10/1・絶版
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緒方直人
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若き日の引っ越しの際に、浅はかにも売っぱらっちゃってそれっきりだったんだよね。他のシャアとかジェリドの奴とかは買い戻せたけど、コイツばかりは値段が高すぎてどうにも手がだせないままだったんだよねー。
ということで、せっかく買ったので久々にがっつりやるぜい。プレイ日記まで書いちゃうぜい。
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そんな中、突如われらがジオンの精鋭部隊【鉄のサソリ】がまさかの裏切りを慣行した。ジョン君のいた味方基地を襲い、重要機密データの入ったコンテナボックスを、敵である連邦軍への取引材料とすべく奪い去っていったのだった。
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そのくせ、最終的には鉄のサソリのリーダーである猛将クランベリー大佐(熟練ポイント:22)とのガチバトルを制さなければクリアは無いため、そこまでにどれだけこの熟練ポイントを上げに上げて来られるか、という構造。
いかにもヒロイックRPGチックですが、しかし出てくる敵キャラがスライムとか一角ウサギとかの優しいザコから始まらないのがこのゲームブックの恐ろしいところ。
なんせ基地をスタートしてまず最初に遭遇する敵が、いきなり熟練ポイントが【6】もあるベテラン連邦兵ジムだったりします。こんなんいつもの調子でまともに戦ってたら確実に殺られます。ここは無茶せず逃げの一手が正解です。
とまぁこんな調子で、ジョン君の道中には明らかなオーバーキルな強エネミーがそこかしこにたっぷり配置されております。戦場に放り出された哀れな学徒兵がオロオロ翻弄される様子がリアリティたっぷりに描かれるのです。
じゃあどーせぇっちゅーかと言いますと、確実に狩れる弱い敵だけを狙っていけ! ってな戦略的ルート設計が必要となってくるのであったのですとよ。ベンベン。
ということで明日のためにその1。メンドくさがらずにまずはしっかりロケハンしましょうね。
パラグラフのつながりや敵配置と戦闘データ、そしてルート解析といったマッピングを完璧に調べつくしてから、本番に臨むのです。
ふんふん、攻撃数、回避数ともに+2もしてくれるココの高機動バックパックは絶対欲しいな。。。。
山の砲台護衛してるこの銀狐のハルトマンって完全に負けイベントじゃん。強すぎ。。。
一方でココのバルカンジムはカモだな。ココのガンタンクIIもカモ。でもココで出てくる超絶ビーム戦車だけはカンベンな。。。。
ふぅ、終わりましたよ。解析完了です。
鉄のサソリを追うためのコードネーム、トム、ディック、ハリーの3ルート。そしてラストダンジョンとなるゲド要塞内の構図までをばっちり紙に書き込みました。
こいつを眺めながら最適な攻略ルートをウンウン検証するのが一番楽しい時間ですよねー。
。。。。。よっし! 決まったゼ!!
湖ジムはもちろん無視し、ハリーのバルカンジムとキャノンIIを狩って熟練Pアップ、んでディックに移って高機動バックパックをゲットし、お次はトムに移って勇者ロベルトさんからたっぷり稽古をつけてもらうのさ。そしたらまたディックに戻ってククスの街で味方エージェントのエレミアと遭遇。連邦基地で乗り換えイベントをこなしたら、いざ、ゲド要塞へ!
この流れが最適解と判断しますた。それでは次回からが本番のれっつらプレイスタートですよ。
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
■書誌情報
『機動戦士ガンダム0079 灼熱の追撃』
著 山口宏
出版社:角川書店 2025/3/26
新書 968円(税込)
Kindle版 949円(税込)
旧版:
勁文社(新書) 1986/9/1・絶版
バンダイ出版(文庫) 1989/10/1・絶版
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2025年6月12日木曜日
子どもと遊ぶ『甲竜伝説ヴィルガストRPG』1 FT新聞 No.4523
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
子どもと遊ぶ『甲竜伝説ヴィルガストRPG』(1)
岡和田晃
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
私の娘は現在8歳で、4月から小学3年生になりました。思い返せば、保育園に入るか入らないかの3歳の頃から、子どもと接する際はコミュニケーションの一環として、アナログゲームを取り入れてきました。
最初はごく簡単で、ほぼ自動的に進むが「お母さんカード」の登場がほっこりと楽しい、カードゲームの『バルーン』から始めて、さまざまなボードゲームとカードゲームを愉しんできました。一人っ子なので、ママやいとこを交えてプレイすることもありますが、基本的にはパパ(私)と娘の2人で遊びます。
ただしアナログゲームの多くは、3人以上でプレイすることが想定されており、2人だと若干盛り上がりに欠ける。そこで娘が集めているお人形さんたちをプレイヤーに見立てて、4人以上で遊ぶこともしばしばです。もっとも、お人形さんたちも大半は私が動かすので、大忙しではありますが(笑)。ただ、子どもとのコミュニケーション以外にも、システムを研究する役に立ちます。
ゲームを用いた子どもとの関わり方には様々なやり方がありますが、対戦型のゲームの場合、特に年齢が低いうちは子どもに自己肯定感を育ててもらうため、私はわざと子どもを勝たせるようにしていました。
——と申しますか、私が勝ちそうになったら、子どもの方が私からカードを奪って自分が上がったりすることも日常茶飯事(笑)。友だち同士で遊ぶときはそのようなズルはしないので、相手が親だから、ということでしょうか。
対戦型ゲームは、当たり前の話ですが、最後には勝ち負けが決まってしまいます。しかも、慣れている大人がプレイすると、とかく小さい子どもを相手なら簡単に勝ち筋が見えてしまいます。なので、圧倒してしまわないように、盛り上げて、最後は勝ってもらわねばなりません。このあたりは八百長というより、エンターテインメントとしての盛り上がりをどう演出していくか、ということになりましょうか。
しかし、協力型のゲームの場合、こうした「配慮」はほとんど必要がないのです。物語を紡ぎ上げること、相手に勝つのではなく一緒に楽しむことが目的になるのですから。
さて、私は4月から家族で海外にて暮らしているのですが、私と娘が一緒に過ごす時間は日本にいるときよりも飛躍的に増えました。そうしたなか、娘はRPGにいっそう強い興味を示し、私が促さなくても自分からルールブックをめくるようになっています。そんななかでもお気に入りが、日本から持参した『甲竜伝説ヴィルガストRPG』(ケイブンシャ、1990年)です。もう10回以上(!)、キャンペーンゲームを遊んできましたし、暇さえあればルールブックを眺めていて、ゲームマスターの私よりも娘の方が、固有名詞やデータには詳しくなっている始末です。
『甲竜伝説ヴィルガスト』(1990〜1993年)とは、もともとガシャポンから始まり、背景を解説するケイブンシャの大百科との連動、「コミックボンボン」での連載コミック等、マルチに展開された作品です。特定の原作から派生しているのではなく、一種のシェアードワールドとして展開される形になっているのが大きな特徴でしょうか。
私は1981年生まれで、親に同行して買い物に出かけた先で『ヴィルガスト』のガシャポンを買ってもらう機会はありましたし、幼馴染の家で『大百科』に触れて、世界観に親しんでいました。導入こそ異世界往復ファンタジーのマナーを踏襲していますが、内容は本格ファンタジーRPGそのもの。私にとっては『ダンジョンズ&ドラゴンズ』や『トンネルズ&トロールズ』をはじめとする海外RPGに触れる前に接した作品の一つでした。世界観はD&D的なアーキタイプをふまえていますが、同時代の『聖珠伝説パールシード』ほか国産RPGとも共通する雰囲気をたたえています。
もっとも、『パールシード』は基本的にはボックス1箱で完結した内容ですが(復刻後に有志によるサポートブックが出されていますが、ひとまず措くとします)、『甲竜伝説ヴィルガスト』は膨大な関連作品が出ており、今からそれをフォローし直すのは至難の業。しかも、ガシャポンはシリーズ2の途中で打ち切られており、そういった意味では未完の作品です(漫画版は完結していますが)。
それこそSNSで子どもとプレイするRPGは『甲竜伝説ヴィルガストRPG』がいいと実際に遊んでみる前に答えたら、もともとは児童を対象に発売されたとはいえ、「今日の初心者向きではない」というお叱りや反対の声を、少なからずいただいてしまいそうであります。
けれども、子どもが気に入ったのは、自分が生まれるよりも四半世紀以上前に発売された、本作なのでありました。
こうした意外な(?)現実に、今後のRPGを占うといったら大げさですが、何かしら私たちが学ぶべきことがあるのではないかと思いまして、覚え書きを兼ねて、思うところを文章化していければというのが、今回からの新連載の趣旨であります。これまでの私の連載は1回4000〜8000字程度の長いものが多かったのですが、本コラムはもう少しささやかに、2000字程度を1回としていければと思います。よろしくお付き合いください。
■書誌情報
ケイブンシャの大百科別冊
『甲竜伝説ヴィルガストRPG』
ゲームデザイン:佐藤俊之(怪兵隊)
出版社:勁文社
1992年5月15日・絶版
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子どもと遊ぶ『甲竜伝説ヴィルガストRPG』(1)
岡和田晃
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私の娘は現在8歳で、4月から小学3年生になりました。思い返せば、保育園に入るか入らないかの3歳の頃から、子どもと接する際はコミュニケーションの一環として、アナログゲームを取り入れてきました。
最初はごく簡単で、ほぼ自動的に進むが「お母さんカード」の登場がほっこりと楽しい、カードゲームの『バルーン』から始めて、さまざまなボードゲームとカードゲームを愉しんできました。一人っ子なので、ママやいとこを交えてプレイすることもありますが、基本的にはパパ(私)と娘の2人で遊びます。
ただしアナログゲームの多くは、3人以上でプレイすることが想定されており、2人だと若干盛り上がりに欠ける。そこで娘が集めているお人形さんたちをプレイヤーに見立てて、4人以上で遊ぶこともしばしばです。もっとも、お人形さんたちも大半は私が動かすので、大忙しではありますが(笑)。ただ、子どもとのコミュニケーション以外にも、システムを研究する役に立ちます。
ゲームを用いた子どもとの関わり方には様々なやり方がありますが、対戦型のゲームの場合、特に年齢が低いうちは子どもに自己肯定感を育ててもらうため、私はわざと子どもを勝たせるようにしていました。
——と申しますか、私が勝ちそうになったら、子どもの方が私からカードを奪って自分が上がったりすることも日常茶飯事(笑)。友だち同士で遊ぶときはそのようなズルはしないので、相手が親だから、ということでしょうか。
対戦型ゲームは、当たり前の話ですが、最後には勝ち負けが決まってしまいます。しかも、慣れている大人がプレイすると、とかく小さい子どもを相手なら簡単に勝ち筋が見えてしまいます。なので、圧倒してしまわないように、盛り上げて、最後は勝ってもらわねばなりません。このあたりは八百長というより、エンターテインメントとしての盛り上がりをどう演出していくか、ということになりましょうか。
しかし、協力型のゲームの場合、こうした「配慮」はほとんど必要がないのです。物語を紡ぎ上げること、相手に勝つのではなく一緒に楽しむことが目的になるのですから。
さて、私は4月から家族で海外にて暮らしているのですが、私と娘が一緒に過ごす時間は日本にいるときよりも飛躍的に増えました。そうしたなか、娘はRPGにいっそう強い興味を示し、私が促さなくても自分からルールブックをめくるようになっています。そんななかでもお気に入りが、日本から持参した『甲竜伝説ヴィルガストRPG』(ケイブンシャ、1990年)です。もう10回以上(!)、キャンペーンゲームを遊んできましたし、暇さえあればルールブックを眺めていて、ゲームマスターの私よりも娘の方が、固有名詞やデータには詳しくなっている始末です。
『甲竜伝説ヴィルガスト』(1990〜1993年)とは、もともとガシャポンから始まり、背景を解説するケイブンシャの大百科との連動、「コミックボンボン」での連載コミック等、マルチに展開された作品です。特定の原作から派生しているのではなく、一種のシェアードワールドとして展開される形になっているのが大きな特徴でしょうか。
私は1981年生まれで、親に同行して買い物に出かけた先で『ヴィルガスト』のガシャポンを買ってもらう機会はありましたし、幼馴染の家で『大百科』に触れて、世界観に親しんでいました。導入こそ異世界往復ファンタジーのマナーを踏襲していますが、内容は本格ファンタジーRPGそのもの。私にとっては『ダンジョンズ&ドラゴンズ』や『トンネルズ&トロールズ』をはじめとする海外RPGに触れる前に接した作品の一つでした。世界観はD&D的なアーキタイプをふまえていますが、同時代の『聖珠伝説パールシード』ほか国産RPGとも共通する雰囲気をたたえています。
もっとも、『パールシード』は基本的にはボックス1箱で完結した内容ですが(復刻後に有志によるサポートブックが出されていますが、ひとまず措くとします)、『甲竜伝説ヴィルガスト』は膨大な関連作品が出ており、今からそれをフォローし直すのは至難の業。しかも、ガシャポンはシリーズ2の途中で打ち切られており、そういった意味では未完の作品です(漫画版は完結していますが)。
それこそSNSで子どもとプレイするRPGは『甲竜伝説ヴィルガストRPG』がいいと実際に遊んでみる前に答えたら、もともとは児童を対象に発売されたとはいえ、「今日の初心者向きではない」というお叱りや反対の声を、少なからずいただいてしまいそうであります。
けれども、子どもが気に入ったのは、自分が生まれるよりも四半世紀以上前に発売された、本作なのでありました。
こうした意外な(?)現実に、今後のRPGを占うといったら大げさですが、何かしら私たちが学ぶべきことがあるのではないかと思いまして、覚え書きを兼ねて、思うところを文章化していければというのが、今回からの新連載の趣旨であります。これまでの私の連載は1回4000〜8000字程度の長いものが多かったのですが、本コラムはもう少しささやかに、2000字程度を1回としていければと思います。よろしくお付き合いください。
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『甲竜伝説ヴィルガストRPG』
ゲームデザイン:佐藤俊之(怪兵隊)
出版社:勁文社
1992年5月15日・絶版
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2025年6月11日水曜日
第4回【戦場の風】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4522
第4回【戦場の風】ローグライクハーフリプレイ
※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「戦場の風」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。
ぜろです。
ローグライクハーフ版d33シナリオ「戦場の風」に挑戦中です。
今回の主人公はウォーレン。ロング・ナリクで当代一と言われた聖騎士と同名の若き騎士です。
国王からの密命は、戦場に置き去りになっている王女コーデリアを救い出し、離脱すること。
前回までに、その密命は達成。それどころか、ウォー・ドレイク騎兵に勝利し、ウォー・ドレイクを王都に持ち帰ることができました。
今回は、物語の結末と感想です。
【ウォーレン レベル10聖騎士 技量点2 生命点8/8 筋力点4/4 従者点7】
【装備】
片手武器
板金鎧(生命点2 防御1)
丸盾(生命点2)
【食料】2
【金貨】0
【持ち物】
0 黒いコイン
1 ロケットつきペンダント(金貨15枚)
2 宝石(金貨25枚)
【高潔な魂】【全力攻撃】【神の加護】
【未使用経験点】0
【従者】
弓兵 2人
兵士 4人
乗用馬 1頭(装備5つ)
●アタック01-8 秘密の凱旋
俺は王都へと帰還を果たし、国王の執務室に呼ばれていた。
ウォー・ドレイクを引き連れての帰還は驚かれはしたものの、軍とは完全に別行動を取っていたため、あまり目立ちすぎると言うことはなかった。
軍の方は、コーデリア王女の指揮のもと、撤退戦での犠牲者はかなり少なく抑えられたと聞いた。
「よくやってくれた。おぬしを選んだわしの目に狂いはなかった。おぬし以外の誰にも、困難な使命を達成することはできなかったじゃろう」
国王は、俺をほめたたえてくれた。
今回の任務は秘密裏に行われたものである。正式な武勲にはあたらないため、戦の論功行賞には組み込むことはできない。
だから、恩賞は、国王からの個人的なものになる。具体的には金貨20枚といった即物的なものだ。
「それから、娘がぜひ、おぬしに礼を言いたいと。入りなさい」
国王が声をかけると、コーデリア王女が室内に入ってきた。
王女とは、戦場で別行動を取って以来の再会となる。
コーデリア王女は、金髪を短く切っていた。
王女は俺に、戦場での助力へのお礼を言った。
「聞きました。ウォー・ドレイクを手懐けて戦場を離脱したと。あなたは、私の想像を超える方でした」
それはそうだろう。俺もびっくりだ。
まさか敵の陣中深くに潜り込んで大騒動を起こした後、ウォー・ドレイク騎兵に勝利してしまうなんて。
正直、俺程度の腕でこれだけのことができてしまうのなら、聖騎士ウォーレンにだってウォー・ドレイクを倒せたんじゃないかと思ってしまう。
ドラッツェン軍とも、戦いようはあったのでは、と思ってしまうくらいに、内部に潜り込んだら大した相手ではなかった。
「あなたのおかげで私はここにいます。それに、多くの兵たちも帰還することができました」
それでも、あのまま徹底抗戦していたら、さらに犠牲者が増えた挙句敗北するという最悪な結果に繋がることは避けられなかったのだ。
「今日の敗北は、いつかの勝利につながると信じています。あなたが救ってくれた命は、無駄にしません」
コーデリア王女は、俺にお礼をくれた。宝物表を振ったところ、それは金貨20枚の価値を持つ宝石だ。
「アクアマリン。聡明さと勇敢さを象徴する宝石です。これからもあなたの知略と勇気を、我が国のために生かしてください」
今回の手柄は、公式には残らない。
俺、ウォーレンが、当代一の聖騎士ウォーレンを継ぐ者として「小ウォーレン」と呼ばれるようになるまでには、まだもう少し時が必要であった。
ローグライクハーフd33シナリオ「戦場の風」完。
■登場人物
ウォーレン 主人公。ロング・ナリクの若き騎士。従者とアンドレ頼みで活躍の場は少ない。
ロング・ナリク王 コーデリア王女の父。主人公に密命をくだす。
コーデリア ロング・ナリクの王女。15歳で初陣。戦場から帰還を果たす。
■作品情報
作品名:『戦場の風d33』ローグライクハーフd33シナリオ
著者:丹野佑
初出:FT新聞2024年8月4日(No.4211)号
●感想
ローグライクハーフ版「戦場の風」クリアしました!
d33シナリオなだけに、全4回と、コンパクトな冒険となりました。
ゲームブック版が全11回、7人目のクリアだったことを思えば、だいぶスピーディな展開だったかと思います。
これはやはり、TRPGベースの作品と、繰り返し前提のゲームブックとの差が大きいでしょう。
さて、感想に入る前に少々事後処理を。
ウォーレンは今回、【ドレイクへの命令方法】を習得し、ロング・ナリクへウォー・ドレイクを持ち帰りました。
このウォー・ドレイクは、今後従者として連れて行くことができます。
しかし、従者点が12点必要なうえ、1回の冒険ごとに食費として、金貨40枚分の牛を買い与えなければなりません。
従者点12点というのは、初期キャラクターには到底持てる点数ではありません。初級ルールでは、従者点の上限は9点までですからね。
つまり、ここでウォー・ドレイクを手に入れても、すぐにそのまま従者として連れ歩くことはできないわけです。
だからってこのまま手放してしまうのは、あまりにもストーリーとの整合性が取れません。
ここは、主人公が乗りこなせるまで——具体的には従者点を12点にするまでは、ロング・ナリク王家に管理してもらっていることにしましょう。
いつかこのウォー・ドレイクに乗りこなせる騎士となった時こそが、このウォーレンが歴史に名を刻みはじめることになるのかもしれません。
さてここからが感想です。
まずは、ゲームブック版からローグライクハーフ版に落とし込むために、かなりの苦労のあとがしのばれました。
ゲームブック版ではストーリーラインがかなりかっちりと決められているのに対し、ローグライクハーフ版では基本はランダムイベント。
単に戦場を右往左往するのであれば、順不同なランダムイベントの集合体でも良さそうなものですが、このシナリオには明確な段階がありますからね。
王女に会うまでと、王女に会った後。
ゲームブックではもっと細分化されて5つの段階に分かれていましたが、主人公の行動の目的自体が変わるのはここになります。
それを1つのランダムイベント表に入れるのです。
なので、同じ文章でも、起きたタイミングによってその意味が変わってくることになります。
物語前半に敵陣に入った場合と、後半で入った場合では、プレイヤーの方でその意味づけの違いを考えたりも。
TRPGは想像する遊びなので、そこは自由な発想で楽しみたいものです。
私もあれやこれやと妄想がはかどりました。
そして、ゲームブック版とストーリーそのものにも手が加えられていました。
王女とともにする脱出行は、王女とは別行動で陽動をする形に。これがいちばん大きな変化に思いました。
また、ウォー・ドレイクを従えた英雄として凱旋するゲームブック版と、最後まで秘密の任務で終わるローグライクハーフ版。
ゲームブック版は、「敗北には英雄が必要なのだ」という気分にもなり、英雄に仕立て上げられた感がありました。
ローグライクハーフ版は、どこまでいっても秘密の任務ということで、国王と王女との親密度が上がる感じがありました。
同じミッションをこなしているはずなのに、読後感がまるで違うのが面白いですね。
あとは、ウォー・ドレイクまわりのことですね。
ここはやはり、作者の方でドラマの演出がしやすいゲームブック版の方に軍配が上がるでしょう。
序盤に決して勝てないウォー・ドレイクを登場させて、ウォー・ドレイクの無敵感を演出するのは見事と言うよりほかはありませんでした。
そのことで、ラストに再登場するウォー・ドレイクへの緊張感が、いやがおうにも高まります。
対してローグライクハーフ版は、ラスボス戦を除いては、ウォー・ドレイクの出番はほぼなく、出会えたとしても食事場面だけ。さらに、普通に戦って勝てる強さに調整されています。
これは、ウォー・ドレイクという存在そのものの扱いの大きさが、2つの作品で明確に異なっているということかと思いました。
ゲームブック版ではあんなに無敵な存在だったウォー・ドレイクに勝つことができる、ということ自体も十分な魅力ではあるのですけれどもね。
ローグライクハーフ版で工夫が凝らされていると感じたのは、ランダムイベントで、「次のイベントへの誘導」が行われた点ですね。
d33シナリオでは、3×3の9個のランダムイベントのうち、7個を通過し、2個は通過しません。
すべてランダムなイベントにすると、王女がかくまわれている聖堂にたどり着けない可能性もあるわけです。
そこで、あるイベントを通過すると、次は自動的に指定のイベントが起きる、というような誘導が組み込まれることで、聖堂を通過しやすい工夫がなされていました。
また、一度経験したイベントの場所には再度いつでも戻って来られるとルール上明記したのも面白かったですね。
これによって、一番最初に聖堂に到着し、王女に会えなかったとしても、後で聖堂に王女がいることをつかめば、そこに向かうことができるわけです。
誘導つきのイベントと、後から自由に戻れるイベントは、いろんなシナリオに組み込むことで、物語の幅がぐんと広がると思います。
複雑化することが良いことばかりとは思いませんが、たとえば、同じ番号のイベントに段階イベントを仕込むなんてことも可能になってくるアイディアだと思います。
ストーリーの基本的なラインは同じはずなのに、プレイの感覚も読後感もまるで違う2つの「戦場の風」。
ぜひ皆さまも、両方体験してみてはいかがでしょう。
ローグライクハーフのプレイヤーの方々はゲームブックの、ゲームブック好きの方々はローグライクハーフの、それぞれ新しいジャンルに繋がる懸け橋になる作品かもしれません。
どうでしょう。ゲームブック版とローグライクハーフ版を1冊にまとめた冊子版を発売してしまうなんてのは。両方のジャンルの読者からの購入が期待できるかもしれませんよ?
まあ、私は言いっぱなしなので、実現可能性に関してはFT書房様が、どの程度現実検討が可能な案と感じてくれるか、なのですが。
今回の主人公、ウォーレン君は、聖騎士として作成したキャラクターです。
その特殊技能も、せっかくなので、【高潔な魂】【神の加護】といった、聖騎士でしか取得できない技能を持たせました。
しかし、しかしですよ。
今回、その技能を使う機会がまったくおとずれませんでした!
せっかくの公開リプレイなのに、そこは残念でした。
とはいえ、【高潔な魂】のような、従者を蘇生させるような技能、使わないで済むに越したことはないんですけどね。
マッスルで魔法をはじく【神の加護】はどこかで演出入れてみたかったかも。
またの機会に期待しましょう。
それでは、話は尽きませんが、感想はこのくらいにして、今回のリプレイは終わりとさせていただきます。
また別の作品のリプレイでお会いしましょう。
本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg
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ぜろです。
ローグライクハーフ版d33シナリオ「戦場の風」に挑戦中です。
今回の主人公はウォーレン。ロング・ナリクで当代一と言われた聖騎士と同名の若き騎士です。
国王からの密命は、戦場に置き去りになっている王女コーデリアを救い出し、離脱すること。
前回までに、その密命は達成。それどころか、ウォー・ドレイク騎兵に勝利し、ウォー・ドレイクを王都に持ち帰ることができました。
今回は、物語の結末と感想です。
【ウォーレン レベル10聖騎士 技量点2 生命点8/8 筋力点4/4 従者点7】
【装備】
片手武器
板金鎧(生命点2 防御1)
丸盾(生命点2)
【食料】2
【金貨】0
【持ち物】
0 黒いコイン
1 ロケットつきペンダント(金貨15枚)
2 宝石(金貨25枚)
【高潔な魂】【全力攻撃】【神の加護】
【未使用経験点】0
【従者】
弓兵 2人
兵士 4人
乗用馬 1頭(装備5つ)
●アタック01-8 秘密の凱旋
俺は王都へと帰還を果たし、国王の執務室に呼ばれていた。
ウォー・ドレイクを引き連れての帰還は驚かれはしたものの、軍とは完全に別行動を取っていたため、あまり目立ちすぎると言うことはなかった。
軍の方は、コーデリア王女の指揮のもと、撤退戦での犠牲者はかなり少なく抑えられたと聞いた。
「よくやってくれた。おぬしを選んだわしの目に狂いはなかった。おぬし以外の誰にも、困難な使命を達成することはできなかったじゃろう」
国王は、俺をほめたたえてくれた。
今回の任務は秘密裏に行われたものである。正式な武勲にはあたらないため、戦の論功行賞には組み込むことはできない。
だから、恩賞は、国王からの個人的なものになる。具体的には金貨20枚といった即物的なものだ。
「それから、娘がぜひ、おぬしに礼を言いたいと。入りなさい」
国王が声をかけると、コーデリア王女が室内に入ってきた。
王女とは、戦場で別行動を取って以来の再会となる。
コーデリア王女は、金髪を短く切っていた。
王女は俺に、戦場での助力へのお礼を言った。
「聞きました。ウォー・ドレイクを手懐けて戦場を離脱したと。あなたは、私の想像を超える方でした」
それはそうだろう。俺もびっくりだ。
まさか敵の陣中深くに潜り込んで大騒動を起こした後、ウォー・ドレイク騎兵に勝利してしまうなんて。
正直、俺程度の腕でこれだけのことができてしまうのなら、聖騎士ウォーレンにだってウォー・ドレイクを倒せたんじゃないかと思ってしまう。
ドラッツェン軍とも、戦いようはあったのでは、と思ってしまうくらいに、内部に潜り込んだら大した相手ではなかった。
「あなたのおかげで私はここにいます。それに、多くの兵たちも帰還することができました」
それでも、あのまま徹底抗戦していたら、さらに犠牲者が増えた挙句敗北するという最悪な結果に繋がることは避けられなかったのだ。
「今日の敗北は、いつかの勝利につながると信じています。あなたが救ってくれた命は、無駄にしません」
コーデリア王女は、俺にお礼をくれた。宝物表を振ったところ、それは金貨20枚の価値を持つ宝石だ。
「アクアマリン。聡明さと勇敢さを象徴する宝石です。これからもあなたの知略と勇気を、我が国のために生かしてください」
今回の手柄は、公式には残らない。
俺、ウォーレンが、当代一の聖騎士ウォーレンを継ぐ者として「小ウォーレン」と呼ばれるようになるまでには、まだもう少し時が必要であった。
ローグライクハーフd33シナリオ「戦場の風」完。
■登場人物
ウォーレン 主人公。ロング・ナリクの若き騎士。従者とアンドレ頼みで活躍の場は少ない。
ロング・ナリク王 コーデリア王女の父。主人公に密命をくだす。
コーデリア ロング・ナリクの王女。15歳で初陣。戦場から帰還を果たす。
■作品情報
作品名:『戦場の風d33』ローグライクハーフd33シナリオ
著者:丹野佑
初出:FT新聞2024年8月4日(No.4211)号
●感想
ローグライクハーフ版「戦場の風」クリアしました!
d33シナリオなだけに、全4回と、コンパクトな冒険となりました。
ゲームブック版が全11回、7人目のクリアだったことを思えば、だいぶスピーディな展開だったかと思います。
これはやはり、TRPGベースの作品と、繰り返し前提のゲームブックとの差が大きいでしょう。
さて、感想に入る前に少々事後処理を。
ウォーレンは今回、【ドレイクへの命令方法】を習得し、ロング・ナリクへウォー・ドレイクを持ち帰りました。
このウォー・ドレイクは、今後従者として連れて行くことができます。
しかし、従者点が12点必要なうえ、1回の冒険ごとに食費として、金貨40枚分の牛を買い与えなければなりません。
従者点12点というのは、初期キャラクターには到底持てる点数ではありません。初級ルールでは、従者点の上限は9点までですからね。
つまり、ここでウォー・ドレイクを手に入れても、すぐにそのまま従者として連れ歩くことはできないわけです。
だからってこのまま手放してしまうのは、あまりにもストーリーとの整合性が取れません。
ここは、主人公が乗りこなせるまで——具体的には従者点を12点にするまでは、ロング・ナリク王家に管理してもらっていることにしましょう。
いつかこのウォー・ドレイクに乗りこなせる騎士となった時こそが、このウォーレンが歴史に名を刻みはじめることになるのかもしれません。
さてここからが感想です。
まずは、ゲームブック版からローグライクハーフ版に落とし込むために、かなりの苦労のあとがしのばれました。
ゲームブック版ではストーリーラインがかなりかっちりと決められているのに対し、ローグライクハーフ版では基本はランダムイベント。
単に戦場を右往左往するのであれば、順不同なランダムイベントの集合体でも良さそうなものですが、このシナリオには明確な段階がありますからね。
王女に会うまでと、王女に会った後。
ゲームブックではもっと細分化されて5つの段階に分かれていましたが、主人公の行動の目的自体が変わるのはここになります。
それを1つのランダムイベント表に入れるのです。
なので、同じ文章でも、起きたタイミングによってその意味が変わってくることになります。
物語前半に敵陣に入った場合と、後半で入った場合では、プレイヤーの方でその意味づけの違いを考えたりも。
TRPGは想像する遊びなので、そこは自由な発想で楽しみたいものです。
私もあれやこれやと妄想がはかどりました。
そして、ゲームブック版とストーリーそのものにも手が加えられていました。
王女とともにする脱出行は、王女とは別行動で陽動をする形に。これがいちばん大きな変化に思いました。
また、ウォー・ドレイクを従えた英雄として凱旋するゲームブック版と、最後まで秘密の任務で終わるローグライクハーフ版。
ゲームブック版は、「敗北には英雄が必要なのだ」という気分にもなり、英雄に仕立て上げられた感がありました。
ローグライクハーフ版は、どこまでいっても秘密の任務ということで、国王と王女との親密度が上がる感じがありました。
同じミッションをこなしているはずなのに、読後感がまるで違うのが面白いですね。
あとは、ウォー・ドレイクまわりのことですね。
ここはやはり、作者の方でドラマの演出がしやすいゲームブック版の方に軍配が上がるでしょう。
序盤に決して勝てないウォー・ドレイクを登場させて、ウォー・ドレイクの無敵感を演出するのは見事と言うよりほかはありませんでした。
そのことで、ラストに再登場するウォー・ドレイクへの緊張感が、いやがおうにも高まります。
対してローグライクハーフ版は、ラスボス戦を除いては、ウォー・ドレイクの出番はほぼなく、出会えたとしても食事場面だけ。さらに、普通に戦って勝てる強さに調整されています。
これは、ウォー・ドレイクという存在そのものの扱いの大きさが、2つの作品で明確に異なっているということかと思いました。
ゲームブック版ではあんなに無敵な存在だったウォー・ドレイクに勝つことができる、ということ自体も十分な魅力ではあるのですけれどもね。
ローグライクハーフ版で工夫が凝らされていると感じたのは、ランダムイベントで、「次のイベントへの誘導」が行われた点ですね。
d33シナリオでは、3×3の9個のランダムイベントのうち、7個を通過し、2個は通過しません。
すべてランダムなイベントにすると、王女がかくまわれている聖堂にたどり着けない可能性もあるわけです。
そこで、あるイベントを通過すると、次は自動的に指定のイベントが起きる、というような誘導が組み込まれることで、聖堂を通過しやすい工夫がなされていました。
また、一度経験したイベントの場所には再度いつでも戻って来られるとルール上明記したのも面白かったですね。
これによって、一番最初に聖堂に到着し、王女に会えなかったとしても、後で聖堂に王女がいることをつかめば、そこに向かうことができるわけです。
誘導つきのイベントと、後から自由に戻れるイベントは、いろんなシナリオに組み込むことで、物語の幅がぐんと広がると思います。
複雑化することが良いことばかりとは思いませんが、たとえば、同じ番号のイベントに段階イベントを仕込むなんてことも可能になってくるアイディアだと思います。
ストーリーの基本的なラインは同じはずなのに、プレイの感覚も読後感もまるで違う2つの「戦場の風」。
ぜひ皆さまも、両方体験してみてはいかがでしょう。
ローグライクハーフのプレイヤーの方々はゲームブックの、ゲームブック好きの方々はローグライクハーフの、それぞれ新しいジャンルに繋がる懸け橋になる作品かもしれません。
どうでしょう。ゲームブック版とローグライクハーフ版を1冊にまとめた冊子版を発売してしまうなんてのは。両方のジャンルの読者からの購入が期待できるかもしれませんよ?
まあ、私は言いっぱなしなので、実現可能性に関してはFT書房様が、どの程度現実検討が可能な案と感じてくれるか、なのですが。
今回の主人公、ウォーレン君は、聖騎士として作成したキャラクターです。
その特殊技能も、せっかくなので、【高潔な魂】【神の加護】といった、聖騎士でしか取得できない技能を持たせました。
しかし、しかしですよ。
今回、その技能を使う機会がまったくおとずれませんでした!
せっかくの公開リプレイなのに、そこは残念でした。
とはいえ、【高潔な魂】のような、従者を蘇生させるような技能、使わないで済むに越したことはないんですけどね。
マッスルで魔法をはじく【神の加護】はどこかで演出入れてみたかったかも。
またの機会に期待しましょう。
それでは、話は尽きませんが、感想はこのくらいにして、今回のリプレイは終わりとさせていただきます。
また別の作品のリプレイでお会いしましょう。
本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
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