TBS『報道特集』元編集長・曺琴袖さん

「ポスト真実」時代にメディアが信頼を得るには

――SNSはいわゆるフィルターバブルの中で、自分が見たいもの・聞きたいものしか流れてこないリスクもあります。そんな中、信じたいものだけを信じてエビデンスを軽視する人や、正確性が担保されないAIによるファクトチェックを利用する人も増えている中、マスメディアの役割についてどう考えますか。

曺:メディアを批判するキャッチコピーのついた斎藤知事に関する切り抜き動画を作成した大学生を番組で取材した際(「真実かどうかよりも、極端なコンテンツほどたくさん見られる」選挙期間中に拡散される誹謗中傷や虚偽を含む動画 作成に報酬も…背景を取材/2025年3月15日放送)、頭の良い方だと思ったんですね。
その方は、真実かどうかよりも、極端なコンテンツほどたくさん見られ、たくさん見られたものが真実になる、と言うんです。そういう時代になってしまったんですよね。だからこそ、私たちの経験をもってファクトチェックした情報を出すのが一番大事だと思うんです。

でも、マスメディアこそ大衆に迎合するんです。どこも視聴率や再生数、インプレッションが欲しい。だから、こういう時代には、少数派に寄り添って、どんなに攻撃を受けても声を届ける力のない人の声を届けるという役割を、一番大切にしなきゃいけない。
兵庫県知事選をめぐる問題に関しては、メディアがサボりすぎた面もあると思うんです。

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――どういうことでしょうか?

曺:選挙期間中のデマや誹謗中傷がSNSなどで拡散されることを放置してきたことは、選挙制度という民主主義の根幹に関わる大きな問題なんですよ。それなのにマスメディアは選挙期間中のファクトチェックをすることを重要視してこなかった。

問題意識がなく、社会に対するアンテナも鈍く、こんな大きな問題が起きていることに気づいてないメディア人が多かったと思います。SNSで世の中の動向を見ていらっしゃる方とそうじゃない方は、違う世界の住人だと感じます。オールドメディアの中には、SNSの影響力を軽く見て、その発信を尊重していない人たちがたくさんいるんだと思います。

今は誰もがメディアを語れる時代になっている中、ファクトを追求できるマスメディアが、報道機関として調査報道して他とは違う情報を発信していくことが大切だと思っています。

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