歯学

「歯の解剖学」では、3Dプリンターが活躍中!

日本大学 歯学部 山崎 洋介 准教授

この記事でわかること

1年生の必修科目「歯の解剖学」では、講義と実習(観察、スケッチ等)を通じて歯のかたちを学修します。
ヒトの歯をCTでスキャンして、そのデータを3Dプリンターで出力した、本物とまったく同じ形の模型を、実際に見たり触ったりしてもらいます。デジタルデンティストリーと呼ばれる歯科治療のデジタル化の中で、3Dプリンターも用いられています。歯科医師が行う治療は、患者一人ひとりに合わせたカスタムメード。一つひとつの物を細かく作る3Dプリンターは歯科治療にとても向いているのです。「歯の解剖学」は歯のかたちを学ぶという基礎知識修得のほかに、デジタルデンティストリーを早期体験できる授業でもあります。

実際に見たり触ったりすることが大切

「歯の解剖学」の授業は、現在1年生の必修科目として開講しています。講義と実習(観察、スケッチ等)を通じて歯の形態を学修します。みなさんはニュースやメディアで3Dプリンターのことを耳にしたことがあるのではないでしょうか。私は、見て楽しむ実習にしたいので、3Dプリンターで、他にはないオリジナルの歯の模型をつくって積極的に授業に取り入れています。
授業では、模型や教科書を見て、一本ずつ違う歯の形をスケッチしながら特徴を捉えていきます。歯をCTでスキャンし、3Dプリンターで作った本物そっくりの歯の模型も授業に取り入れています。それらを見たり触れたりすることができます。実際に手に取ると、学生のみなさんの表情は変わります。本物の歯は、まったく同じものを学生全員に配るということができませんが、3Dプリンター製のリアルなレプリカ模型歯ならそれが可能です。

市販の模型歯(写真左)を観察・スケッチするほか、抜去歯とよばれる本物の歯やデジタル教材も取り入れています。3Dプリンターならば、こんなに大きな歯の模型も作れるんですよ(写真右)。単に、大きいというだけでなく、細かな歯の構造も拡大して見えるので、理解の助けになります。

伝えたいのは、人体の美しさやスゴさ

私は、最先端のデジタル技術に興味を持っています。
ですから、授業では3Dプリンターの仕組みや可能性についても説明したり、裸眼で立体視ができるデバイスを展示して、3D画像の医用応用についても解説したりしています。
また、学生全員にiPadを持っていただき、インタラクティブな画像や3Dモデルが閲覧できるオリジナルの解剖学教材の提供や、私が自作したアプリを使って、シラバスの提示、課題の提出なども行っています。

一方で、デジタル一辺倒なわけではなく、板書も大切にします。歯や内臓などの絵を多色のチョークで時間をかけて黒板に書くこともあります。
そこにあるのは、解剖学を専門とする私の、物のかたちへのこだわりです。絵を描いたり3Dプリンターで造形したりと、手をかえ品をかえ表現するのは、とにかく人体のかたちの美しさやすごさを伝えたいからです。

歯科治療と3Dプリンターの相性

歯科医療にデジタル技術を応用する「デジタルデンティストリー」の一環として、スキャナーによって口腔内を3次元データとして型取りして、3Dプリンターを使って義歯や被せ物、あるいはその元となる型を作るという新しいやり方が広がっています。学生のみなさんが歯科医師になるころには、もっとデジタル化が進んで、診断や治療に3DプリンターやAIがますます応用されているでしょう。
歯科医師が行う治療は、患者一人ひとりに合わせて、型をとり、義歯や被せ物を作るというカスタムメードです。ですから、一つひとつの物を細かく作る3Dプリンターは、歯科治療にとても向いているのです。作業効率化・自動化や高精度化、廃棄物が減るなど、ほかにも多くのメリットが3Dプリンターにはあります。

おすすめの記事