prayer
ほんま ムカつくわ オドレがワイの何を知っとるっちうねん
まるで高みから見下ろすみたいに 事も無げにのたまいよる
「 殺しちゃダメだ。君だって辛い筈だ。なのに… 」
そら ほとんど不死身の誰かさんと違いますよってなぁ
相手殺さな 自分が殺られるねん
ワイかてほんまは 早いとこオドレを連れてくとこまで連れてって「ほな、サイナラ」といきたいんや
まぁ どだいムリやろうけど?
だから
やたらなつくな
知った顔すな
オドレの訳知り顔見る度に 反吐が出そうになる
だけど
ほんまはあかん 全部バレとる あいつはワイの全てを見透かしとる
ワイ自身 目を背けてきたものを 直視して 直視させる
「 好きだよ ウルフウッド 」
正直と言う名の土足で
ワイの最後の一線を 遠慮会釈なく乗り越えてくる
本気と言う名の刃を振りかざして
ワイの逃げ道を断ち ワイを袋小路へと追い込んでいく
「好き」っちゅう言葉で 何もかもが許されると 思いな
その言葉は いつだって甘く響くとは 限らないんや
そんでも「好き」や言うなら
ワイを大切だとか抜かすなら
ワイを見んなや
ワイに触れんといてや
これ以上は もう 息するんもシンドイわ
「 おんどれの腕ん中は、甘ったるくて吐き気がする 」
少し心外そうな 傷ついた様な顔 唇尖らせて 頬膨らませて
「 そうやなあ。甘いもんばっかぎょうさん食いよるもんなあ。納得や 」
「 なんだよ。君のヤニ臭いのだって、相当なもんだよ? 」
ここまで好き勝手されて そないに言われる筋合いやないわ!
言いかけて 冷たいギミックの掌が 皮膚の薄い部分をまさぐる感覚に 声が詰まる
「 もっとも 」
再び覆いかぶさってくる 傷痕だらけの肌
一瞬閉じた目を開くと 最短距離で交錯する 澄んだアイスグリーン
それは 窓から差し込む月明かりに 不思議な深さをたたえて
「 君の匂いだからイヤじゃないけどね 」
息と共に吹き込まれる こんな他愛もない戯言さえ ぷつりぷつりと 蝕んで
ほら もう 逃げられへん
なぁ
どうせどっちに転んでも ワイに先はあらへん
前にも言うたよな? 「キッカケ」になったるって
その通りや ワイの役目はきっと オドレに最初に「選ばせる」こと
そうしたらまた オドレは泣きながら拒むやろうけど
得意の「ゴリ押し」を通そうとするやろうけど
そん時が来たら オドレも選ばなあかんのや
選んでもらわなならんのや
そうやって ワイに同情するなら ワイを可哀想がるなら
せめて 選んだってや
どうしようもないワイの行く先
そうしたら 少しはワイも救われる気がすんねん
いつも魅せられてばかりのオドレに せめてもの意趣返しと
ささやかな祈りと
憧憬をこめて
オマエに託すわ
だから どうか
どうか。
END