12歳の約束で離島に赴任 「ナイトスクープ」20年目の医師の原点

初見翔
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 「変なおっちゃん」でいる。谷均史さん(67)の医師としての信念だ。

 腎臓を患い、地元大阪の病院に入院した12歳のときのこと。鹿児島県の離島、徳之島の男の子と相部屋になり、島に小児科がないと聞いた。「医者になって島に行く」と約束した。

 「食べていくのに精いっぱいだった」という家庭で、受験勉強への理解は十分ではなかった。東京で働きながら4浪の末に新潟大医学部(新潟市)に合格。勉強の傍らバイトで学費を稼ぐ日々にも自らを奮い立たせた。

 卒業後、約束を果たし徳之島へ。小児科をつくり、医師不足のなかで島の医療の発展に力を注いだが、家の事情で7年ほどで大阪に戻ることになった。

 「都会の病院の方針にカルチャーショックを受けた」。マンガ家や落語家の仲間とともに、子どもがいる施設を訪ねて世界を旅した。島にいた頃から子どもたちが病院に来たくなるように練習していた手品や風船ショーを披露して回った。

 それが大阪・朝日放送の目に留まり、「探偵!ナイトスクープ」に出演するように。今年で20年目になる。

 視聴者からの依頼であらゆることを調査し、体を張ることもしばしば。それでも続ける理由を、「医者ではなく『変なおっちゃん』がいいんです」。病院が苦手な子でもかかりやすい存在でいたい。だから、「死ぬまで出演したい」。

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この記事を書いた人
初見翔
ネットワーク報道本部
専門・関心分野
食料生産、製造業