生成AIの学習にフェアユースを認めたアンソロピック判決の直後に出た、Metaの生成AI(Llama)の著作権訴訟の判決を、やっとざっくり読みました。
これは・・・すでに解説を書いた方もいるかもしれませんが、一部報道されたようなフェアユース肯定の2つめの判決、とは本質が違いますね。むしろ真逆に近い部分があるか。
判決文はこちら:courthousenews.com/wp-content/upl
冒頭5ページで、このカリフォルニア連邦地裁の判事は基本的な立場を明確にしています。「著作物を著作権者の許可を得ることなく、また報酬を支払うことなくAIモデルに投入することは、大多数の場合は違法である」と。
・フェアユースは、著作権者が作品から利益を得る能力を著しく損なうような行為には通常適用されない
・たとえ変容的であっても、原作品の市場に深刻な打撃を与え、人間の創作意欲を損なう製品を生み出すために作品が学習されるケースを例示
・アンソロピック判決がいう「書籍を用いて子どもたちに文章を教えること」と「一個人が無限に競合作品を瞬時に生み出せる製品を作ること」は全く異なり、本質的に見当違い(!)
・仮に著作権で保護された作品を訓練に使うことが企業にとって本当に不可欠であるならば、彼らは必ず著作権者に対価を支払う方法を見出すので開発は害されない
・しかし、フェアユースの最も重要な判断要素は原作品の市場がいかに損なわれるかであるところ、原告は2つのみ主張した:①Llamaが彼らの書籍の断片を再現する能力を持つ点、②著者が自らの作品をAI訓練用データとしてライセンス提供する能力が損なわれた点。そして、いずれも立証に失敗
・勝つ可能性のあった主張は、Metaが原告作品を学習して、似た作品で市場をあふれさせる製品を作ったため市場が希釈されたという点にあるが、原告はこの点をほとんど論じておらず希釈化の証拠を提出しない
・よって、本件ではフェアユースを認めるほかない。ただし、全体として見れば、この判断の影響は限定的で、原告13名のみに適用される。Metaによる著作物の使用が合法であるという判断ではない。単に、原告が適切な主張と立証をし損ねたにすぎない
踏み込みましたね。無論、この後の変容性や市場での打撃の個別判断も重要なのですが、むしろ「いくら変容的な生成でも、市場で原作品の価値を希釈化させる場合にはフェアユースは成立せず、大多数はそうなる」と述べている点が、最大の特徴とも言えそうです。
こうなると、むしろ市場での打撃を重視してフェアユースを否定したデラウェア判決や連邦著作権局の報告書に親和性があるともいえ、他方、では「希釈化」とはどの程度のことを言うのかはまだわからず、今後ともいえる。
やはり生成AIの米国著作権判決は一筋縄ではいきませんね。ただ「どの程度であれば原作品への市場での打撃か」という本質論に、かなり焦点があたって来たとは思えます。
以上、取り急ぎなので不足の点などあればご指摘を。
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