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車両計画に暗雲…山形新幹線トラブル、補助電源の半導体素子損傷

車両計画に暗雲…山形新幹線トラブル、補助電源の半導体素子損傷

山形新幹線新型車両「E8系」

JR東日本は山形新幹線車両「E8系」が17日に走行不能となったトラブルについて、補助電源装置の半導体素子が損傷していたと明らかにした。補助電源装置は1編成に2台設置されており、4編成のうち6台の内部にある半導体素子が激しく損傷。E8系は17日に4編成がほぼ同時に走行不能となり、現在もE8系の単独運転は取りやめている。損傷の原因は調査中で、単独運転再開の見通しは立っていない。

走行不能となった車両はE8系11編成のうち、2024年12月と3月に営業運転を開始した車両と、これから営業運転を始める予定だった2編成の計4編成。いずれも新しい車両であるのが共通点だ。新幹線統括本部新幹線運輸車両部の小谷德隆車両ユニットリーダーは「4編成で同時に損傷が起きるのは、これまでに例がない」と、異例の事象に困惑を隠さない。

損傷した半導体素子は、形が大きく崩れているものの、熱などで溶解したような形跡はなく、「温度センサーのモニタリングでは異常はなかった」(小谷車両ユニットリーダー)としている。走行不能となった車両は、補助電源装置の故障により主転換装置への電力供給が絶たれ、モーターが駆動できなくなった。JR東日本では、半導体素子の製造工程や、当日の気温などのあらゆる観点から原因究明を進める。

E8系はE3系の後継車両で、25年度中に15編成まで拡大し、全車両の置き換えを完了する計画だった。だが、今回のトラブルで計画が後ろ倒しになる可能性も出ている。

日刊工業新聞 2025年6月27日
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