FAP療法は現代催眠が元になっています。
FAP療法の初級では「感情を喚起する指のツボを押さえて無意識に記憶の整理をしてもらう」という方法を使います。
「不快なことや不快な人が繰り返し思い出されてしまう」という時に、指を抑えて、その心の傷を記憶の引き出しへと整理することで、心の傷から解放されて、その体験が学習として活かされます。
FAP療法の上級は、現代催眠と同じように言葉だけで催眠状態に誘導していきます。
悩みを抱えている方は、その悩みの感情を喚起する言葉を繰り返し唱えます。
治療者の方は、心の傷の感情を喚起させるキーワード(母親の下の名前など)を5つのセットを繰り返し、その悩みを抱えている方の前で声を出して唱えていきます。
通常の記憶は「状況記憶(例:交通事故の場面)」と「感情記憶(恐怖や怒り)」の二つがセットになっていて、感情に合わせて記憶の引き出しに整理されていきます。交通事故の場面でしたら「恐怖の引き出し」に整理されることで「あの時は怖かった!」といつでも思い出そうと思えば引き出せますが、引き出しにしまわれたものはどんどん美化されて「あの時はよく生き残れた!」という具合に変わっていきます。さらに記憶として整理されることで、学習されて「事故を避ける運転」が自動的にできるようになるわけです。
心の傷になると「感情記憶が強烈すぎる」となってしまいます。すると「記憶の引き出しに整理できない」で状況記憶が記憶の引き出しへとしまわれないので記憶が断片化してしまいます(記憶の断片化というのは、部分部分しか覚えていない、とか体験、感覚、思考の関係が混乱したり、時系列の順序がバラバラになったりする状態のことです)。
そして、心の傷で整理されなかった感情は、記憶として整理されないので常にそこにある感じで、日常のさまざまなストレス刺激に結びついてしまいます。例えば交通事故の死にそうな恐怖を感じた場面で「死の恐怖」が断片化して心の傷になると、日常のストレス刺激の「上司から怒られた」が死の恐怖になってしまって、ものすごい恐怖を感じてしまう。そして、そんな恐怖を与えてくる上司にものすごい怒りを感じるようになる。
FAP療法で悩みを抱えていらっしゃる方が「頭の中でストレスとなっているキーワードを唱える」というのは、心の傷が結びついてしまった日常のストレスに注目することが目的。ストレスのキーワードを唱えることで、一緒になっていた「心の傷」と「ストレス刺激」を別々にします。
その別々にした「心の傷」の部分を治療者が「心の傷を喚起させるキーワード5つ」を声を出して唱えると、悩んでいる人の中で心の傷は喚起されます。でも、悩んでいる人は「ストレス刺激のキーワード」を唱えて心の傷とは別々にしているので、喚起された心の傷には引っ張られません。
この喚起された心の傷は、治療者が脳のネットワークで受け取って心の傷の状態を真似します(これは緊張している人のそばにいると緊張するのと同じことで、意図してやらなくても心の傷の人のそばにいると自動的に真似ることになります)。
この時に、治療者の呪文のようなキーワードを聞いている相談者も治療者の真似をすることになります。
心の傷を真似た治療者の真似を悩んでいる方がすることによって、無意識に「こんな感情を感じていますよ!」と伝えることになります。無意識は「この感情はこの記憶じゃない!」という感じに断片化してしまった心の傷の記憶を整理してくれます。
FAP療法で治療をした後、夜、深い睡眠で記憶に残らない悪夢を見ている時に、無意識は無意識が断片化した記憶を統合してくれるので、心の傷の場面を再体験して苦しむことは一切ありません。この無意識が記憶を統合するのに4日間ぐらいかかるので、治療後の4日間は「寝ても寝ても寝足りない」という状態になったりすることがあります。
心の傷の記憶が無意識さんの力で統合されることで、心の傷から解放されて、その体験が活かされ本来の自分らしく自由に生きられるようになります。
(つづく)