土砂災害被災者への励まし

2日目は平成26年(2014年)8月の土砂災害でとくに被害が大きかった広島市安佐南区八木地区を訪れられた。同地区では、23人が亡くなった。両陛下は頭を下げて犠牲者に黙礼された。

その後、砂防堰堤えんてい(砂防ダム)の整備状況を視察された。さらに近くの広島市豪雨災害伝承館をご視察。

同館では、被害の伝承や防災対策の啓発に加えて、被災者同士がそれぞれの思いを語り合う場を提供する。語り合うことで、悲しみを和らげ、心を安らかにすることが目的という。

天皇陛下は「素晴らしい活動です。語り合うことで安らぐこともあるのですね」と地元の取り組みをねぎらわれていた。

災害で家族を失った被災者らとも、懇談の機会を持たれた。お声をかけていただいた人たちは、それぞれ励みになり、救われるようなお言葉をいただいた、と感想を述べている。

その後、広島市内の原爆養護ホームを訪問され、10人の被爆者らと懇談された。その中には、今年の10月に百歳になる女性(森永ヨシコさん)もおり、陛下にお声をかけていただいたことを、「嬉しかったですねー」と笑顔で手を合わせて感謝していた。

皇后陛下の和歌に込められた思い

両陛下の広島への行幸啓をめぐっては、被爆者で元原爆資料館の館長だった原田浩氏のコメントが興味深い。同氏は平成7年(1995年)に上皇上皇后両陛下が天皇皇后として、平成8年(1996年)に天皇皇后両陛下が皇太子同妃として訪れられた時に、それぞれご案内していた。

その原田氏が目を向けたのが、皇后陛下が昨年の歌会始でお詠みになった和歌だ。

広島を
はじめてひて
平和への
深きおもひを
吾子あこは綴れり

このみ歌について、宮内庁は以下のような解説をしている。

「愛子内親王には、中学3年生5月の修学旅行の折に初めて広島を訪れられました。広島では、原爆ドームや広島平和記念資料館の展示などをご覧になって平和の大切さを肌で感じられ、その時のご経験を深められた平和への願いを中学校(学習院女子中等科)の卒業文集の作文にお書きになりました。
日頃から平和を願われ、平和を尊ぶ気持ちが次の世代に、そして将来にわたって受け継がれていくことを願っていらっしゃる天皇皇后両陛下には、このことを感慨深くお思いになりました。この御歌は、皇后陛下がそのお気持ちを込めてお詠みになったものです」

この解説にあるように、このみ歌には皇后陛下お一人だけではなく、両陛下のお気持ちが込められていると拝察できる。

原田氏は、これが敬宮殿下の作文「世界の平和を願って」を踏まえられたものである事実から、「親子3代にわたって、広島の願いをきちっと受け止めていただいていた」との感慨を述べている。