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『 23 』
今日は待ちに待った日曜日。
あたしは陽の光がさんさんと降り注ぐリビングで、お花に埋もれて座ってる。
その前にはキャンパスと絵筆の悠河クン。
そう、彼って絵を書くこと好きだったのよ。
急にね、ベッドで呟くの。
「久しぶりに、描きたいなあ~」
「何を?」
一応聞いてみたわ、あたし。
そしたら予想通りの答え。
「りかちゃん。」
満足なあたしは、ちゅうで答えるの。
「どんなあたしなの?」
「ううんとね、思いっきり可愛いりかちゃん。」
「じゃあ、明日準備しとく!!」
で土曜日あたしたちは別行動。
悠河クンは画材一揃い。
あたしは・・・・沢山の春の花一抱え。
後はクロゼットの山でなんとかなるわよね。
「りかちゃん、用意できたああ~?」
悠河クン白衣なんかひっかけて、すっかり画家な気分。
絵の具なんか飛ばしてて。
色彩はキレイなんだけど、かなり前衛的なのよね、
彼の趣味って。
まあいいや、悠河クンが描いてくれるんだもん。
あたしはやりたかったオシャレをせいいっぱいやっちゃうの。
かわいいビスチェの下に、チュールのレース。
ふわふわのペチコート、長い脚にはサテンのトウシューズ。
首にバロックな真珠のチョーカーとネックレス、腕にもお揃い。
仕上げは花の冠、ウエストには可愛いコサージュ。
鏡を見る。
可愛いわ。
完璧だわ。
なんだかちょっと大人になったティンカーベルみたいじゃなくて?
「お・ま・た・せ」
あたしは優雅にくるんとトウで回ってみせる。
「どお?」
「すんごく、かわいい!りかちゃん!!!」
もうビックリマーク沢山つけて驚いてくれるんだからあ。
うふふって顔になって、あたし床に撒いてある花の真中でポーズ。
「すごーい!なんか俺創作意欲バリバリ湧いてきたよ。」
そういいながらもこっちばっか見てて、手がお留守よ、ア・ナ・タ。
面白くてあたし色んなポーズとってみるの。
トウで立ってみたり、膝抱えて座ってみたり。
気取ってみたり、目を丸くしてみたり。
そのたんびに彼は、喜んでくれる。
悠河クンてば、ねえ、描いてるの?
一杯のお花の香りに誘われて、蝶がひらひら舞い込んできた。
冠の周りをくるくるしてて、可愛いけどくすぐったい。
でね、ちょうど顔のまわりにきたからね・・・
「ああああ~~~~っ!」
あん、悠河クンてば大声だすから逃げちゃったじゃない。
折角蝶とちゅうしてたのにい。
とか思ってる間に、悠河くん絵筆放り出して飛んでくる。
ぎゅうっとあたしを抱きしめて。
「だめだよう、りかちゃん。ちゅうは!」
「だって、蝶よ。」
「でも、だめ。りかちゃんのちゅうは!!」
そういってあたしの唇を唇で塞ぐ。
油彩の匂いが、なんとなく心地いい。
だからあたしはティンカーベルのまま、悠河クンに抱きしめられたまま。
「・・・・・ごめんね、急に。」
「ううん、でも、悠河クンどしたの?」
そしたらあなたってば、いきなり頭抱えて。
「ああ、俺って、こないだは行き詰まってたかと思ったら、
今度は独占欲丸出しだよね。ああああ、情けね~」
ぶつぶつ苦悩し出しちゃった。
大らかで穏やかなあなた。
あたしにはあるのね独占欲。
なんだかあたし、とっても嬉しい。
「じゃあ、独占して。」
あなたの肩に手をかけて、あたしはズルズルって座り込む。
ふわふわのペチコートに手を誘って、あたしからちゅう。
絵の仕上がりはまだまだ先になりそうだけど。
あたしはカレの白衣に手をかけて。
まっ黄色のジャケットをするりと外す。
「でも・・・・絵・・・・」
「お楽しみはとっておくの。」
あなたとあたし、ちょうちょみたいに、
お花にまみれて愛しあいましょ。
ティンカーベルの薄い皮が、一枚一枚剥がされて。
あたしはあなたのりかちゃんになって。
油彩と花の薫りの中で、あなたと二人戯れる。
ねえ、これってアダムとイヴみたいじゃなくて?
なんだかくるくる考えながら、行き着くところはいつもおんなじ。
いつまでもどこまでも愛してね、
あたしの素敵な旦那さま。
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