伊藤穣一氏、資金提供問題を「深く後悔」 デジタル庁の有識者委員
9月に発足したデジタル庁の有識者会議「デジタル社会構想会議」のメンバーに起用された、米マサチューセッツ工科大(MIT)メディアラボ元所長の伊藤穣一(じょういち)氏(55)が10日、朝日新聞のメールでの取材に回答を寄せた。所長を辞めるきっかけになった米資産家からメディアラボへの資金提供については「大きな間違いだったと深く後悔し、反省している」と語った。一方、デジタル庁の発足は「本当に画期的なことだ」とし、これまでの経験をいかして様々な分野で貢献していきたいと語った。
伊藤氏については政府がデジタル庁の事務方トップの「デジタル監」への起用を当初検討したが、少女への性的虐待などの罪で起訴された米資産家ジェフリー・エプスタイン氏(2019年に自殺)からの資金提供を巡ってMITメディアラボ所長を辞任した経緯が問題視され、見送りとなった。
この問題について、伊藤氏は「エプスタイン氏を資金提供者として開拓し、寄付や出資を募るという判断は大きな間違いだったと深く後悔し、反省している」と語った。経緯については「(エプスタイン氏が)08年に有罪判決を受けたことは知っていたが、紹介者である顧問委員会メンバーや信頼する人たちから、刑期をつとめた後は改心しているとの情報を得て寄付を募ることにした」とし、その後、18年秋に米紙がエプスタイン氏の犯罪の詳細を調査報道したことで「大きなショックを受けた」という。
それまでの間は「忠告する同僚もあったが、信憑(しんぴょう)性の低い記事に基づいたもので参考にならなかった。エプスタイン氏が出所後に再び犯罪行為を繰り返していたことを示す兆候や情報に接したことも一度もなかった」と釈明した。不適切な人物からの資金提供を隠すために隠蔽(いんぺい)工作をしていたという疑惑については「MITの上級管理者に相談し、(エプスタイン氏が)MITへの寄付を自分の宣伝に使わないよう匿名扱いにすることというガイダンスを示され、これに従った。大学側に寄付を隠したという事実はない」と答えた。
一方、デジタル庁の発足については「企業や大学を含む様々な団体と協力して日本のインターネット立ち上げに関わってきた一人として本当に画期的なことだ」とし、「日本のデジタル発展には、アクセス、プライバシー、セキュリティーなど、様々な側面で課題が残る。デジタル庁は非常に重要な役割を果たすと思う」と語った。
有識者委員への就任については「社会や政府が歩調をそろえて日本のデジタル化を推し進めるという歴史的な機会、日本や日本の人々に貢献できるまたとない機会だととらえている。今までの経験に基づく様々な意見やアドバイスを提供することが期待されていると思うので最大限、貢献したい」と語った。
伊藤氏はIT企業「デジタルガレージ」の共同創業者。ソニーや米紙ニューヨーク・タイムズの取締役を歴任し、ベンチャーキャピタリストとしても知られる。MITメディアラボの所長には11年に日本人として初めて就任したが、19年にエプスタイン氏からの資金提供の問題を巡り辞任した。
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- 【視点】
非常にセンシティブな問題ですが、今の日本の課題を露呈した1つの事例だと感じました。事実としては、エプスタインからの寄付を彼が更生したという前提で自ら求め、受けたこと、そして彼の名前を匿名にしたこと。そこに悪意があるかどうかわからないけれど怪
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