~天使が護るべき者~


〔6.真実を語る〕


あれから暫くして空が泣きやんだ。
さっきの荒らしのような天気が嘘のようだ。
水たまりが星と共に輝いていた。

「・・・ヒナタ」
自分の名前を呼ばれたヒナタは声のした方を見る。
ヒナタを呼んだのはサスケだった。
彼の目が真剣さに満ちていた。
「あいつは・・・イタチだった」
サスケが天上を見ながら言った。
気づいたんだとヒナタは思った。
だったら説明は早い。
「サスケ君、私の話聞いてくれるかな?信じてもらえないかもしれないけど」
ヒナタがそう言うとサスケは黙って頷きヒナタの座っている椅子の前に腰を降ろした。
ネジはまだ眠っている。
体が万全ではないのだろう。
ヒナタは今までにネジに話したことを言った。

この世には天使と悪魔がいること。
自分は天使であること。
ネジが悪魔に狙われていること。
悪魔の好物が人の憎しみや怨みといった感情であること。
自分はネジを守るためにこちらの世界に来たこと。

サスケは驚いた表情をせずに黙って聞いていた。
「ここからは私の考えなんだけど・・・」
ヒナタは自分の考えを述べる。
サスケの兄であるイタチは悪魔であること。
イタチは怨みや憎しみを持つ人間を増やすために一年前に連続殺人事件を起こしたこと。
そして、一年経った今・・・被害者の遺族を狩ろうとしていること。
「でもね、一つだけ分からないことがあるの。兄弟であるサスケ君は悪魔じゃないってことなんだけど」
ヒナタは疑問符を浮かべて問う。
「分からない。俺も今、兄貴が悪魔って知ったしな」
「そうだよね・・・」
「俺、お前の力になれないか?」
サスケの突然の発言にヒナタは驚く。
「俺の兄貴のことだ。手伝えることがあるなら手伝いたい」
「駄目だよ。天使は一般人を巻き込んではいけないの。サスケ君の身にもしものことがあったら大変だから」
そしてヒナタは「その気持ちは嬉しいよ」と微笑んだ。
サスケは何も出来ない自分を悔やんだ。

静かな時間が流れた。
星が輝いている。

ネジがハッとして飛び起きる。
ヒナタとサスケは驚いてネジを見る。
「何があったんだ・・・?」
ネジはキョロキョロと辺りを見回す。
彼の視界に映るのは正常な家だった。
「大丈夫ですよ、ネジ兄さん。悪魔は去りました」
ヒナタは優しく言った。
「そうか」
ネジはそう言うと立ち上がろうとする。
だが、彼はフラフラと倒れ込んでしまう。
「大丈夫か?ネジ」
サスケが心配そうに言う。





あれからネジは元気になり学校に行けるようになった。
悪魔も行動を起こさない。
だが、イタチは普通に学校に通っている。
もちろんヒナタも学校に行っている。
犠牲者が出ていないことがヒナタを安心させていた。





サスケが学校に来なくなった。





「すいません、うちは会長はいらっしゃいますか?」
ヒナタは生徒会室に来て言った。
「さっきまでいたんだがな。今はいないな・・・」
テマリが辺りを見回して言う。
「お前がネジの従兄妹か?」
テマリがにこにこ笑顔で問う。
ヒナタは「はい」と頷く。
テマリは「そうかそうか」と笑った。
「暫く待っていれば会長は戻ってくると思うよ。此処にいて良いから。私はちょっと職員室に行って来るから」
テマリはそう言うと生徒会室を後にした。
彼女には悪魔の気配を感じなかった。
ヒナタは生徒会室を歩いて回る。
普通の生徒会室だった。

ガラガラという音がした。
ヒナタはハッとして扉を見る。
「どうかしたのか?ヒナタ」
イタチが優しそうに言う。
こういう彼は悪魔には見えない。
「質問があってきたんです」
「なんだ?勉強のことかそれとも学校のことか」
イタチはあくまでも良い生徒会長を演じる。
「サスケ君・・・どうして学校に来ないんですか?」
ヒナタがそう言うと部屋の空気が一気に変わった。
背筋がゾクッとした。
「ああ、サスケか。あいつ、俺が悪魔だという意味不明なことを言い出してな・・・」
イタチは冷笑を浮かべて話を止める。
「まだ生きてるだろうか?あいつ」
イタチはそう言うとヒナタに近づく。
彼はヒナタを壁に押しつける。
「優しい天使様なら我が弟を救ってくれないか?」
相変わらずイタチは冷笑を浮かべている。
彼の赤い目が嫌い。
ヒナタは黙って生徒会室を後にし、サスケの家へと向かった。

「やれやれ・・・サスケを救うのも良いが真に守るべき人はどうなるのか」
イタチは笑った。





サスケ君、無事でいて・・・。





ヒナタはうちは家に付くとチャイムを押す。
ピンポーンと音がする。
うちは家は闇に包まれていた。
チャイムを何度押しても返事は返ってこない。ドアは開かない。
ヒナタはドアノブを回す。
驚いたことに鍵はかかっていなかった。
ヒナタは恐る恐る家の中へと入る。
「サスケ君?」
ヒナタはサスケの名を呼ぶ。
「ヒナタか?俺は此処にいる」
サスケの声がした。
感情のこもっていない声。
ヒナタは家の奥へと進み、リビングに足を踏み入れる。
彼女の目は真っ赤なリビングを映し出していた。
ヒナタは驚いて自分の口を塞ぐ。
リビングのソファに血まみれのサスケが人形のように座っていた。
「サスケ君っ、大丈夫?」
ヒナタは慌ててサスケの側に駆け寄る。
サスケは力無く頷くと突然ヒナタに襲いかかった。
「どうしたの、サスケ君っ」
ヒナタはとっさに後ろへと退く。
サスケの手には血まみれの日本刀が握られていた。
その血はきっとサスケ自身の血だろう。
サスケは怪我人とは思えない動きでヒナタに襲いかかる。
「ヒナタだよっ」
ヒナタはサスケの攻撃を避けながら言う。
しかしサスケは何も言わずに攻撃を続ける。
ヒナタは怪我をしているサスケに攻撃をすることが出来なかった。
「マインドコントロール・・・」
ヒナタはサスケの虚ろな目を見て呟く。
サスケとイタチは兄弟だ。
サスケがマインドコントロールされてもおかしくない。
「サスケ君っ、もう良いよ」
ヒナタはそう言うとサスケの日本刀を受けた。
彼女の腹部に痛みが走った。
どろどろと黒い血が流れる。
ヒナタは母親のようにサスケを抱きしめる。
そして彼女はサスケの額にキスをする。
サスケの目が大きく見開き、光を取り戻していた。
「ヒナタ・・・」
サスケが呟いた。
彼の意識がだんだんとはっきりしてくる。
「大丈夫、サスケ君?血だらけだけど」
ヒナタはそう言いながらサスケの傷を治癒する。
スーッとサスケの傷が癒える。
「ヒナタは大丈夫なのか?俺の所為で」
サスケは悔しそうに言う。
ヒナタは気にしないでとフルフルと首を振る。



ドタドタと人の走ってくる音がした。
ヒナタとサスケは驚き、音のする方を見る。
「ヒナタっ。早く、ネジのところに・・・イタチが」
突然、テマリが現れた。
ヒナタは驚いた顔をする。
何でテマリさんが・・・?
「サスケのことは私に任せろ。お前はネジのところに行け。ネジを守るのがお前の役目だろ」
テマリが天使の証である綺麗な羽を見せて言う。
「テマリさんって天使だったのっ」
ヒナタが驚いて大きな声を出す。
目をパチパチさせる。
サスケも唖然としている。
「私は天界裁判官。前々からイタチが怪しいと思って様子を伺っていた」
テマリがヒナタに説明する。
天界裁判官は悪魔の調査と罪の裁きを行う。
しかし、悪魔に直接手を下すことは出来ないことになっている。
その為、天使隊がいる。
ヒナタは慌てて家を出る。
「ヒナタは大丈夫なのか?」
サスケが心配そうにテマリに問う。
「心配するな。天使隊副隊長をなめるな」





「それにしても良い天気だ」
イタチが側にいたネジに言う。
彼は生徒会の買い出しと言ってネジを外に連れ出していた。
学校に近い公園に二人はいる。


(〔6.真実を語る〕終わり)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
久しぶりのupです。
お待たせしました。
イタチが行動を起こしましたね。
今回書きたかったのは・・・サスヒナv
ネジヒナ小説なのにサスヒナ(笑)
次は多分イタヒナ、でも最終的にはネジヒナ。
何、書いてるんだろう?
テマリは味方で天使様でした!
天使姿のテマリは美しいと思う。
むしろ彼女は悪魔でも良いかなぁと思っていたんですけど。
でも、ヒナタの味方にしたかったので!

此処まで読んでいただき有り難う御座いました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
SEO