~天使の護るべき者~


〔4.ある教師のお話〕


「ネジ兄さん~、行きますよ。」
ヒナタの明るい声で今日という日は始まった。
ここのところずっと天気は良い。
キラキラと太陽が光っている。
「俺は行かない。」
「またですか。ちゃんと行かなきゃ駄目です。」
ずっと天気は良いのだがネジの心の天気は非常に悪い。
毎日のように『学校に行かない』と言っている。
そんなネジをヒナタはまるで母親のように連れて行く。
今日もまたネジはヒナタに腕を掴まれて学校へ行った。











平凡な毎日・・・。
特に学校に来たからといって俺の生活に変化は無かった。
ネジはボーっと窓越しに空を眺めていた。
「おい、知ってるか。」
突然、教室に男子生徒の声が響く。
「何々。」
女子生徒が反応して集まる。
「何かな。」
ヒナタは側に居たテンテンに聞く。
「さあ、どうせ、くだらないことでしょう。」
テンテンはあっさりと言う。
「一年前にさ、連続殺人事件があったじゃん。」
男子生徒が教室に全生徒に聞こえるような声で言う。
ネジは目を大きく見開く。
同時にサスケも心臓がドクンと鳴ったような気がした。
「殺人事件・・・?」
ヒナタは疑問符を浮かべる。
テンテンはガタガタ震えていた。
「テンテンさん。」
ヒナタの声でテンテンは我に返る。
「えっ。」
「どうかされましたか。」
「何でもないの。」
テンテンは無理に笑って見せる。
ヒナタはネジ、サスケ、テンテンを含めた何人かの生徒の心にどす黒い闇が広がるのにヒナタは気づく。
教室全体が暗い雰囲気に包まれた。
「で、それがどうしたの。」
女子生徒が問う。
「また、有ったらしいんだ。全く昔と同じ殺され方だったらしいぜ。」
「えっ、同じ殺され方って。」
クラス全体が凍り付いた。
そこに表れた眼鏡を掛けた教師。
彼は静かに話し出す。
「まずは心臓を鋭利な刃物で刺し、その後は首にある大動脈をザックリと斬る。中途半端な斬り方をされているから首と頭は骨と皮で繋がっている状態。」
突然の話に皆、恐怖の混じった驚きの表情をする。
「そして、その死体の周りには赤く染まったコウモリがっ。」
「止めてっ。」
テンテンの怯えた叫び声によりその話は中断される。
「あまり良い話じゃなかったようだね。」
「そうですよ、カブト先生。」
側に居た女子生徒が言う。
「すまなかったよ、テンテン。」
カブトは優しげな表情で言う。
テンテンは黙っていた。
「じゃあ、兎に角みんな席について。」
カブトの声によりみんな席に着いた。
テンテンは未だに震えていた。
そして、ネジやサスケも怯えた表情をしていた。
ヒナタはそんなクラスの様子を冷静に見ていた。
何のためにイタチがこの学校の生徒会長になったのかも分かったような気がした。
何人の生徒が辛い過去を持っているのだろうか。











「カブト先生。」
放課後ヒナタはカブトの元へ向かった。
連続殺人事件について聞く為に。
「どうかしたかい。」
「聞きたいことがあるのですが。」
「どうぞ。」
何か授業で分からなかったことの質問かとカブトは思ったのか快く承諾する。
「この地域であった連続殺人事件のことなんですが・・・。」
ヒナタは躊躇いながら聞く。
カブトは一瞬、驚いた表情をする。
「日向・・・ヒナタだっけ、君。」
カブトは窓の外を見ながら言う。
「はい。」
「知らないのも無理ないか。この地域に来たばっかりなんだろう。」
カブトは優しげな顔で言う。
「はい、そうです。」
「あれは、丁度一年前の出来事だよ。」











その日は大雨だった。
良く覚えている。
次の日こんな大事になるとは思っていなかったから。
一番最初の犠牲者は・・・。
『うちは兄弟のご両親』だった。
サスケ君は側に居たらしいが、イタチ君はたまたま友人の家にいたらしい。
サスケ君が一体何を見たのか僕には分からない。
少なくとも彼は両親が殺される瞬間を見たんだろう。
その日を境に次々とこの地域の人々は死んでいった。
全て同じ命の奪われ方で。
今日の授業の前に言ったけど、心臓を鋭利な刃物で刺し、その後は首にある大動脈をザックリと斬られている。
中途半端な斬り方をされているから首と頭は骨と皮で繋がっている状態だった。
そして、その死体の周りには赤く染まったコウモリが沢山居たよ。
飛んでいるコウモリも居れば息絶えているコウモリも居た。
こんな死体現場を見た警察は言った。
まるで悪魔に殺されたようだと。
この学校にはその殺人犯によって両親や祖父母を失った者が多いんだ。
君の良く知っているネジ君もその一人だよ。
まあ、僕の両親もその事件で死んでますけどね。
また、こんな殺人事件が起こったとするとゾッとするね。











カブトは悲しそうにヒナタに話してくれた。
「それって、全て真実ですか。」
ヒナタは恐る恐る問う。
「本当だよ。」
「そうですか。」
ヒナタは俯く。
この明るそうな学校の裏にはこんな苦しい過去があったとは思いもしなかった。
ネジ兄さん・・・。
多分、テンテンさんも、サスケ君も苦しい過去を背負っていたんだ。
先生であるカブト先生の両親まで。
ヒナタは心が苦しめられるような気がした。
自分が護らなければ、自分が護らなければ。
ヒナタは心に決めていた。











「あっ、ネジ兄さん。」
ヒナタは教室に戻って来た。
教室でただ一人ネジが居た。
「生徒会のお仕事は。」
「雨が振り出しから早く帰れと言われたのでな。」
ヒナタは外を見る。
朝の天気が嘘のようだった。
初めてネジに会った時のような天気だった。
雨風のオンパレードである。
「もしかして待っててくれたの。」
ヒナタは期待しながら問う。
「嫌な事件が有ったからな。もう・・・。」
ネジは口を噤む。
「どうかしましたか。」
「いや、何でもない。」
「ところで、傘はお持ちですか。」
ヒナタは笑顔で聞く。
「持って、無い。」
「濡れて帰りますか。」
ヒナタは苦笑いした。
「それしかないだろう。」
「そうですね。」
二人は走って家に帰っていた。


(〔ある教師のお話〕終わり)


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これから暫くは過去シリーズでいこうかと思ってます。
そうそう!カブトさん登場です。
私的にカブトさんは好きなので良い人として登場です。
ヒナタの味方・・・なのでしょうかね。


兎に角、まずはこの学校生徒の全体的な過去を明らかにしました。
サスペンス物ではありませんよ(笑)
サスケとテンテンの過去に注目です!
勿論ネジの過去にもです。
それ以上にヒナタの過去を書くのが楽しみです。
どうして天使になったのかとか・・・?
ネジとヒナタの進展も楽しみですよ-。


此処まで読んでいただき有り難う御座いました。
(最近、後書きが滅茶苦茶だ・・・)
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