~天使が護るべき者~


〔2.学校にはたくさん〕


キラキラと眩しい太陽が輝いている。
昨日の雨風のオンパレードが嘘のようだ。
これこそ台風一過と言える程に晴れていた。
チュンチュンと鳥達が歌っている。











「ネジ兄さん~。」
ヒナタは部屋で寝ていたネジの体を揺する。
「・・・んっ。」
「おはよう御座います。ネジ兄さん。」
ヒナタは花のような笑顔で言う。
「昨日の天使っ!」
ネジは大きな声を出す。
「そうですよ。」
ヒナタはさらっと言う。
「それに“ネジ兄さん”って呼び方は何だ。」
「ネジ兄さんは私より年上なんですね。だから兄さんって呼ばせて頂きました。気に入りませんか。」
ヒナタは心配そうに問う。
「・・・嫌別に。」
「良かった。」
ヒナタは安堵する。
「そうそう、朝ご飯を作ったんです。食べて下さい。」
「お前が作ったのか。」
「はい。」
「そうか。」
ネジとヒナタは朝ご飯が用意されている一階に向かう。











一階には朝ご飯の良い香りが漂っていた。
ネジはふとこんな香りは久しぶりだと思う。
テーブルの上にはフレンチトーストとサラダ、ヨーグルトといった朝ご飯がきちんと用意されていた。
「ネジ兄さん、食べましょうか。」
ヒナタはそう言うと椅子に着く。
ネジも椅子に着く。
「では、いただきます。」
ヒナタは両手を合わせて言う。
「あれ、ネジ兄さんは言わないのですか。」
「何をだ。」
「いただきますって。」
「言わない。」
「駄目ですよ。いただきますというのは食材を作った方々に感謝の意を示す言葉なんですよ。ちゃんと言って下さい。」
ヒナタはまるで母親のように言う。
「・・・いただきます。」
ネジは仕方なく言った。
“いただきます”なんて事言ったのは何年ぶりだろうか。
こんなちゃんとした朝飯を食べるのは何年ぶりだろうか。
「おいしいですか。」
ボーっとしていたネジの頭の中にヒナタの声が聞こえる。
「ああ。」
考えるより先に言葉に出していた。
それは嘘ではなく本当にヒナタの朝ご飯は美味しかった。
美味しいという感覚を久しぶりに感じた。
「それは良かったです。」
ヒナタはニコリと笑った。
その笑顔にネジは一瞬ドキッとした。
瞬間的に顔が赤くなるのも感じていた。
「ご飯を食べ終わったら学校へ行くんですよね。」
ヒナタは当たり前のように聞く。
「学校へは行くつもりはない。」
ネジは冷たくヒナタの問いに答える。
「どうしてですか。」
ヒナタは驚いて目をパチパチさせる。
「学校は俺の居場所じゃない。」
ネジのその言葉には悲しさが感じられた。
心に闇がまた出来ていることにヒナタは気づいていた。
「行かなきゃ駄目です。」
ヒナタはきっぱりと言う。
「行かない。」
「行かなきゃ駄目。」
「行かない。」
「行って下さい。」
「行かない。」
「私も行きますから。」
「行かな・・・。」
ネジの言葉が途切れる。
「お前も行くのか、学校に。」
「はい、勿論。ネジ兄さんを悪魔から護らなくてはなりませんから。」
「学校に行けるのか。」
「そんなことは心配しないで下さい。学校に行きますよね、ネジ兄さん。」
ヒナタはネジの目を真っ直ぐに見つめながら問う。
ネジはその可愛さに負けてかコクリと頷いていた。











「ネジ兄さん。行きますよ。」
ヒナタは大きな声で言う。
「分かっている。」
学校に行くのは何カ月ぶりかとネジは思う。
ずっと学校にネジは行っていなかったのだった。
「制服、何処で手に入れたんだ。」
ネジは学校への道のりで問う。
「制服ですか。これは天使様の力があればなんとかなるんですよ。」
ヒナタの制服姿は本当に可愛かった。
学校の中で一番制服がよく似合うだろうとネジは思う。
ヒナタにときめいている自分がいることにネジはまだ気づいていなかった。











ガラガラッとネジは教室のドアを開ける。
そのドアにクラスの視線が集まる。
「おい、日向ネジだぜ。」「不登校じゃなかったの。」と言うひそひそ声が教室に響き渡る。
やはりなとネジは思う。
やっぱりこんな所に来るんじゃなかったと・・・。
「ネジじゃないですか。」
ふいに後ろから声がした。
「久しぶり、ネジ。」
もう一つ声がした。
ネジはめんどくさそうに後ろを見る。
「リー、テンテン。」
二人の声の主はネジのクラスメイトのロック・リーとテンテンだった。
「ネジが学校に来るとは思っていませんでしたよ。良かったです。」
リーは笑顔で言う。
「全く心配掛けちゃって。」
テンテンもクスリと笑う。
この二人だけは俺のことを変な目で見たりはしない・・・天才と言われて嫌われているこの俺を。
「さあさあ、こんなドアの所で立ち話もなんだから、教室に入りましょ。」
テンテンはネジとリーの背中を押す。
ネジの机は昔と同じように有った。
あそこだけが時が止まったかのように机が置かれていた。
迷うことなくネジはその椅子に腰を下ろす。
前にはリーが座り、リーの横にテンテンが座る。
嫌われているネジの隣には誰もいない。
ぽっかりと空いていた。
クラスはネジのことでざわついていた。











ガラガラと教室のドアが音をたてる。
一瞬にして教室が静まり返る。
このクラスの担任である夕日紅が教室の中に入って来る。
「今日はみんなに新しい仲間が出来るわ。」
クラスは転校生かとざわつき始める。
「静かにしなさい。」
紅は声を張り上げる。
その声でシーンとクラスは静まり返る。
「入っていらっしゃい。」
紅の呼びかけで転校生であるヒナタが教室に入って来る。
制服のよく似合うヒナタは男子の注目の的になった。
所々で「可愛い」と言う声が上がっていた。
紅はチョークを握り黒板に“日向ヒナタ”の文字を書く。
「日向ヒナタさんです。みんな、仲良くしてあげてちょうだい。」
紅は更に続ける。
「ヒナタさんはネジ君の従兄妹でもあるの。そうよね、ネジ君。」
紅はネジに問う。
クラスの視線はネジに集まる。
“日向”という名字に皆驚いたようだった。
「まあ、俺の従兄妹です。」
ネジは言う。
再びクラスはざわつき始める「あの日向の従兄妹」だと。
「ほら、ヒナタさんが挨拶するから静かにしなさい。」
紅は声を張り上げる。
「どうぞヒナタさん。」
紅に言われてヒナタは口を開く。
「初めまして、皆さん。日向ネジの従兄妹の日向ヒナタです。趣味は押し花です。宜しくお願いします。」
ヒナタは頭を下げる。
クラスに拍手が広がる。
ネジはヒナタの趣味が押し花だということを知った。
自分はまだヒナタのことを何にも知らないことに気づかされた。
「じゃあ、ヒナタさんはネジ君の隣の席ね。」
紅はネジの横の席を指差す。
「はい。」
ヒナタはそう答えてネジの隣の席に座る。
「じゃあ、授業を始めるよ。」
紅の声が教室に響いていた。











時は数時間前・・・。
「ネジ兄さん。では、私は校長室に行きますので教室で会いましょうね。」
ヒナタは笑顔で言う。
「分かった。」
「顔色が悪いですよ。」
ヒナタは下からネジの顔をのぞき込む。
ネジは顔を赤くしてしまう。
「だっ、大丈夫だ。」
「それなら良いのですが。」
ヒナタはそう残して校長室へ向かう。
ネジは教室へと向かった。











時は現在に戻る・・・。
紅の一限目の授業は終わり休み時間を迎えていた。
「ヒナタちゃん。」
前の席のテンテンが声を掛ける。
「何ですか。」
「私はテンテンって言うの。宜しくね。」
テンテンは笑顔で言う。
「で、こっちがロック・リーよ。」
テンテンはリーを指差す。
「ロック・リーです。宜しくお願いします。」
リーは歯を輝かせる。
「こちらこそ宜しくお願いします。」
ヒナタはぺこりと頭を下げる。
「それにしてもネジにこんな可愛い従兄妹がいるなんてびっくりよ。」
「全くですね。」
「本当にそうだってばよ。」
テンテンとリーの会話に割ってはいる声がした。
「俺はうずまきナルトだってばよ。宜しくな、ヒナタ。」
ナルトは元気良く言う。
「全く五月蠅いわねアンタは。」
桜色の髪を持つ少女がやれやれといった表情で言う。
「あっ、ちなみに私は春野サクラ。宜しくね。」
サクラはニコリと笑う。
「それでこれがうちはサスケだってばよ。」
ナルトはサスケの服を引っ張り、ヒナタの側に連れてくる。
サスケは機嫌の悪そうな顔をしていた。
「宜しくね。サスケ君。」
「ああ。」
サスケは素っ気なく答えた。
ヒナタの席の周りにはいつの間にかに沢山の生徒で溢れていた。
ネジは日向という名字を持つヒナタの周りにこんなにも生徒が集まることに驚いていた。
これも天使の力なのか。
ネジに対しても数人の生徒が話し掛けてくれた。
これにも驚いた。
今まで話し掛けてくるのはリーかテンテンしかいなかったのだから。
ふとネジはヒナタに感謝していた。
突然ガラガラとドアの開く音がした。
ヒナタの心臓がドクンと鳴った。
嫌な感覚がすると思った。
開いたドアの側に人影が見えた。
「あの、あれは誰ですか。」
ヒナタは問う。
「あれは生徒会長さん。格好いいからいつでもみんなの注目の的よ。」
テンテンが答える。
ヒナタはふと思う、この学校の生徒会長は悪魔ではないかと・・・。



(〔学校にはたくさん〕終わり)


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「天使が護るべき人」の第二話目です。
ヒナタとネジは一緒に暮らすことになりました。
もう夫婦ですね!
しかし、まだ二人の間には強い恋愛感情はありません。
自分もこれからの展開が楽しみです。
さて、ネジは今まで学校に行ってなかった訳です。
つまり、不登校。
今回、ヒナタの天使様の力というかヒナタの可愛さの力というかでなんとか学校に行きました。
で、まあヒナタはクラスメイトとうち解けた訳ですね。
そして、悪魔様登場です。
誰なんでしょうね・・・?
楽しみにお待ち下さい。


話は変わりますがいつも私は小説を先にノートに書いてからパソコンで書いているのですが、今回は一気にパソコンで書いてみました。
なんか変な感じがします。
しかし、早く終わるのが良いところかと思います。
では、このへんで後書きを停止したいと思います。
ここまで読んでいただき有り難う御座いました。
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