俺の記憶の中のお前は小さくて…。
いつも泣いてばかり。

~咲いた花に会いたくて~

「うっ、ひっく…」
泣いている少女が一人。
涙を必死に拭うが止まらない。
「お前のような奴は日向にはいらん」と言った父を思い出す。
怒りと呆れが混じったような顔。
余計に涙が零れた。
土の色が円形に濃くなる。
ぽろぽろ。悲しいメロディー。
「どうして泣いてるんだ?」
「イタチお兄ちゃん…」
イタチとヒナタの出会いは日向とうちはの定例集会の時だった。
まだ小さいヒナタは花の蕾のようだった。
心も目もキラキラと美しい。

「お父さまに…私は日向にはいらないって言われたの。」
ヒナタは一生懸命涙を堪えて言う。
泣くことを我慢できる少女が弱いとは思わない。
日向の当主もひどい事を言うな。
イタチは涙濡れた頬を拭いてやる。
彼女の赤い目が俺を見つめる。
イタチは一瞬自分の心臓が大きく鳴ったことに気づく。
「大丈夫だ、ヒナタ。お前は少し遅咲きなんだ。ゆっくりゆっくり綺麗な花を咲かせば良い」
イタチはそう言うとヒナタの頭をくしゃりと撫でる。
いつの間かにか彼女の涙は止まっていた。
「ありがとう、イタチお兄ちゃん」
ヒナタは微笑んだ、花のように。

あれから暫くしてイタチは里を抜けた。
うちは一族は滅びた。一人の少年を残して。
ヒナタはどう思っただろう?
俺には分からない。
彼女には会っていないのだから。





「あのね!聞いてよ。シカマルったら・・・」
金色の美しい髪を持ったいのが不興顔で言う。
側で三色団子を食べているサクラが「はいはい」と適当に相槌を打つ。
ヒナタは団子を食べる手を止めて真面目に聞いている。
テンテンは「そうよね、だいだい男は」と話し出す。
くのいち達のお喋りタイム。



暖簾をひらっと動かしてお客が入ってくる。
話に夢中な彼女達は誰一人として客に注意を放たない。
「全く、イタチは団子が好きなんだな・・・うん」
長い前髪で左目を隠している男が呆れ口調で言う。
話しかけれたイタチは何も言わない。
どうやらお品書きを見ているようだ。
そんな彼を見てデイダラはやれやれと溜息を一つ。
「ヒナタは何か言いたいこと無いの?」
サクラが隣に座っているヒナタに問う。
イタチはその発言に反応する。
お品書きに向けていた目を声のした方に向ける。
「わ、私は別に・・・」
イタチの視界に少し俯いているヒナタが映った。
ヒナタは美しくなっていた。
長い髪。さらさらと川のようだ。
何年ぶりだろうか?
成長とは早いものだ。
彼女は花を咲かせることが出来ただろうか?
「イタチ、イタチ?」
デイダラはぼーっとしているイタチの名を呼ぶ。
その声でイタチは我に帰る。
「どうしんだな・・・うん」
デイダラは問う。
イタチは暫く黙る。
「悪い・・・」
イタチはそう言うとヒナタの方に向う。
デイダラは疑問符を浮かべる。



「それにしても・・・えっ?」
サクラの表情が豹変する。
驚愕。
「どうしたのよ?」
いのが心配そうに問う。
ヒナタはサクラの視線の先を見て気づく。
どうして?イタチお兄ちゃんがここに・・・?
イタチは疾風の如くヒナタの気を失わせ、さらう。
サクラは悲鳴を上げていた。





「何でそんな行動したんだな・・・うん」
デイダラがイタチの珍しい行動について問う。
「そいつ誰?」
「日向ヒナタ。日向家の嫡子だ」
イタチは短く言う。
「あれ、日向を誘拐してこいって言われたっけ・・・うん」
デイダラは考える。
「これは俺の勝手な行動だ」
イタチはそう言うとデイダラの側を離れ自分の部屋へと向った。
デイダラは少しばかり驚いていた。



イタチは優しくベッドにヒナタを寝かせる。
ヒナタは天使のようだった。
イタチは優しくヒナタを撫ぜる。
ヒナタがピクリと反応する。
「・・・んっ」
天使はうっすらと目を開ける。
ほんのりと目に映る景色は見慣れない。
ヒナタはことの経緯を察し起き上がる。
彼女の目にイタチの姿が映る。
「イタチお兄ちゃん・・・」
ヒナタはぽつりと言う。
「久しぶりだな。元気だったか?」
ヒナタはこくりと頷く。
何が起こっているか分からないといった表情。
「どうして、どうして・・・?こんなことを」
「どうしても、どうしてもお前を手に入れたかった。」
「え?」
ヒナタは耳を疑った。
「俺は・・・お前が好きだ」
イタチはそういうと我慢できないといった感じでヒナタを抱きしめる。
「会いたかった」
ヒナタから素直な気持ちが零れる。
涙も共に。
イタチは優しくヒナタの頭を撫でた。
昔のように。

(終わり)

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この話の最初の部分は携帯で打ってました。
それをパソコンに送りました。
イタヒナを急に書きたくなって・・・。
ヒナタのことが好きでしょうがないイタチが希望。
ヒナタは年上とも合うから良いですよね!
此処まで読んでいただき有り難う御座います。
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