あの頃の自分を見た。



~虹の橋~



ザーザーと激しく雨が降っている。
一人の少女が雨に打たれている。
体に付着している血と少女の体から流れている血が雨に流されている。
少女が赤く赤く染まっている。
『誰かっ――。うわ――んっ。』
少女の耳に声が聞こえる。
少女はふと視界に過去の自分が映ったような気がした。
どうして貴方は泣いているの―――――――――――。
何の為に泣いているの――――――――――――――。
貴方は過去の私なの―――――――――――――――。
少女は居ないはずの過去の自分を見つめていた。
分かっているよ、何で泣いているかぐらい―――――。
だって、昔の自分だもの―――――――――――――。
自分の居場所を伝えて居るのよね―――――――――。
少女はまるで過去の自分が居るかのように微笑んだ。
『泣かないで』という風に。






















「ヒナタ、かくれんぼしようぜ。」
金色の髪を持つ少年が笑顔で言う。
「えっ・・・。」
ヒナタと呼ばれた少女は戸惑いを見せる。
「サクラちゃんもサスケも居るってばよ。それにキバやシノ、シカマルにチョウジにいの。沢山居るってばよ。」
金色の髪を持つ少年の後ろには沢山の子供達がいた。
少年の友達が居た訳である。
「じゃあ、私も。」
ヒナタは小さな声で言う。
「じゃあ、鬼はキバだから、見つからないような。」
「うっ、うん。」
ヒナタは小さく頷いた。
「いーち、にーい・・・。」
キバの声と共に子供達は散らばって行く。
ヒナタもまた隠れる場所を探す為に走り出していた。
鉛色の雲が空を覆っていた。


















ポツリ、ポツリと鉛色の空から雫が落ちてきた。
雫達は自分たちの存在に気づいてもらうかの如く大量に落ちてきた。
木の葉の里はあっという間に水に包まれた。
かくれんぼをしていた子供達は『早く、帰らないと』と言いながら家へ向かっていた。
かくれんぼなんて忘れしまったようだった。
その頃ヒナタは雨に濡れていた。
「誰かっ――。うわ――んっ。」
ヒナタは木の上に隠れようとしていた。
丁度その時だった雨が降り出したのは。
雨に驚いたヒナタは木から雫の如く落ちてしまった。
足をひねってしまい立ち上がれない状態になってしまった。
「助けて―――――。」
ヒナタは大きな声で叫ぶ。
目からは大粒の雨が流れていた。
雫と同様に自分の存在に気づいてもらうかの如く大量の雨を降らせていた。
未だに雨の勢いは止まらない。


















あの泣いていたヒナタは中忍になっていた。
あの時と同じように今、雨に濡れている。
ヒナタは忍務の帰りだった。
中忍にしては難易度の高いAランクの忍務を命じられていた。
ヒナタ自身血を流す結果となってしまったが忍務は無事こなしていた。
その帰り道で雨と出会ってしまった。
ヒナタは足を止めて何故か雨に濡れていた。
そしてヒナタは居ないはずの過去の自分を見つめていた。
貴方を誰かがきっと助けに来てくれるから――――――――――。
待っていて――――――――――――――――――――――――。
きっと誰か来てくれるから―――――――――――――――――。
泣くことを忘れていたヒナタの目に雨水が当たっていた。
まるでヒナタの涙を作るかのように。


















あれからしばらくの間ヒナタは泣き叫び続けていた。
でも、誰一人迎えには来てくれなかった。
「どうして、誰も来てくれないの。」
ヒナタはこれでもかこれでもかというぐらい泣いていた。
自分の居場所に誰か気づいてと・・・。
「ヒナタっ。」
突然ヒナタを呼ぶ声がした。
「なっ、ナルト君っ。」
ヒナタは思わず憧れの人の名を言う。
「ナルトじゃなくて悪かったな。」
声の主がヒナタの視界に映る。
「さっ、サスケ君。」
ヒナタは意外な人物の登場に驚く。
「サスケ君、どうして・・・。」
「なんか、お前の声が聞こえたから、探しただけだが。」
サスケ君には私の声が聞こえたんだとヒナタは喜ぶ。
「帰るぞ。」
サスケは手を差し伸べる。
「あっ、うん。でも。」
ヒナタは自分の足を見る。
「怪我、してるのか。」
ヒナタは小さく頷いた。
「よっと。」
サスケはヒナタを抱きかかえた。
「サスケ君、ごめんね。」
「別に。」


















ほらね、誰かが助けに来てくれたでしょ―――――――――――――――。
良かったね――――――――――――――――――――――――――――。
ヒナタは微笑んだ。
過去の自分は過去のサスケと一緒に消えてしまった。
あの時の自分の涙は無駄ではなかった。
サスケが来てくれたから、無駄ではなかった。
じゃあ、今は―――――――――――――――――――――――――――。
ヒナタはふと思った。
今、泣いたら誰か来てくれるだろうかと。
でもね、今は涙なんか出て来ないのだから――――――――――――――。
涙なんか捨ててしまったから――――――――――――――――――――。
そう思ったらなんだか悲しくなった。
目が熱くなるのが感じられた。
スーッと冷たい雨と一緒に暖かい雨がヒナタの頬を伝わった。
あれ、なんで涙が―――――――――――――――――――――――――。
これは雨だよね、そうだよ。雨だよ。――――――――――――――――。
ヒナタは無理に思った。
誰も来ないのぐらいは知っていた。
きっと木の葉の里の忍は私のことを死んだと思っているんだと。
また、暖かい雨が頬を伝わった。
誰か来て欲しい――――――――――――――――――――――――――。
そう、ヒナタは突然思った。
忍らしくない気持ちだった。







『ヒナタっ』
ふと耳にそんな声が聞こえた。
「サスケ君っ。」
ヒナタは後ろ見た。
そこには誰も居なかった。
サスケ君が来る訳ないか―――――――――――――――――――――――。
ヒナタの腕が誰かに掴まれた。
「きゃあっ。」
ヒナタは声を上げる。
「俺が敵だったらお前、死んでたな。」
「さっ、サスケ君っ。」
ヒナタは昔と同じ様に驚く。
「どうして此処に。」
「なんか、お前の声が聞こえたから、探しただけだが。」
昔と同じ言葉だった。
サスケ君、覚えていてくれたんだ――――――――――――――――。
「サスケ君っ。」
サスケがヒナタを抱きしめた為ヒナタは驚きの声を出す。
鉛色の空が青空へと変わっていく。







過去のサスケとヒナタは鉛色の空が青空へ変わるのを見ていた。
「サスケ君、虹だよ。」
サスケに抱きかかえられたヒナタが指差しながら言う。
「綺麗だ。」
「うん、本当に綺麗。」
「ヒナタ、いつか一緒に虹の橋を渡ってみるか。」
「うん、勿論。」
過去のサスケとヒナタは微笑んでいた。







「サスケ君、虹。」
サスケは上を見上げる。
「俺はまだ忘れてねぇから。一緒に虹の橋を渡ること。」
サスケはそう言って先に歩き出す。
ヒナタは微笑んだ。
「私も忘れてないよ。」
「今から渡るか。」
「いいですね。」
過去のように二人は微笑んでいた。


(終わり)


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サスヒナ小説です・・・読めば分かりましたよね。
虹って良いですよね。
一度見たことがあるような気がします。
虹を見るとなんだか幸せになりますよね。
サスケもヒナタも虹を見て幸せになったんです、きっと。
虹の橋を渡るのが夢だなんて素敵ですよね。
私もサスケとヒナタと共に虹の橋を渡りたい・・・(願)
現在、サスヒナとキバヒナに夢中ですv
勿論、ネジヒナは年中無休ですよ(笑)
本当にヒナタはどんなCPも合うから良いですよね~。
此処まで読んでいただき有り難う御座いました。
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