ひらひらと舞うのは愛の形。
目に見えぬは愛の形。
目に見えるのは愛の形。

~愛の形は銀杏型~

くるくる回す。
黄色に染まった銀杏の葉を。
彼女の綺麗な髪が風にひらひらと靡く。
「あっ」
黄色の心は飛んで行く。
くるっと一回り。
青い空に良く映える。
白い雲。





「うわぁ、綺麗」
ヒナタは目を輝かせて言う。
「そうですね。すっかり黄色になりましたね」
ネジも大きな銀杏の木を見上げる。
色づいた葉は星の塊のよう。
風が少し肌寒い。
「あ、ヒナタ様」
ネジはそう言うとヒナタの頭に付いている銀杏の葉を取ってやる。
そして、それを彼女に渡す。
「ありがとうございます」
ヒナタはぺこりと頭を下げる。
とても嬉しそうだ。
「ネジ兄さん?」
「何ですか?」
ヒナタはじっと銀杏の葉を見る。
まるでそれと睨めっこをするように。
「銀杏って不思議な形・・・何ていうのかな?」
ヒナタは葉をくるくる回す。
「ハート型じゃないですか」
ネジは踊る銀杏を見ながら言う。
「ハート?」
ヒナタは首を傾げる。
ネジは小さく笑う。
「ヒナタ様はハートを知らないんですね」
「うん・・・」
ヒナタは残念そうに言う。
ネジは近くに落ちていた枝を拾うとハートを書く。
「これがハート?」
ヒナタが興味津々な目で問う。
銀杏の葉と地面に書かれたハートを見比べる。
「はい。似てますよね」
「似てる。似てる」
ヒナタはきゃっきゃっと嬉しそうだ。
彼女の動きが急にぴたりと止まる。
「でも、初めてこんな形見たよ。」
ヒナタはネジが持っていた枝を取って何やら地面に書き出す。
星とダイヤとクローバー、それにスペード。
「星はお空のお星様の形。ダイヤはきらきらの石。クローバーは三つ葉。あ、ネジ兄さん知ってる?四葉のクローバーを見つけると幸せになれるんだって!それで、スペードは木に似てる・・・クナイにも似てるかな」
ヒナタは先生になったようにネジに言う。
「ハートは何の形か分からない・・・」
彼女はうーんと悩む。
その仕草が可愛らしい。
「ヒナタ様、ハートは心です」
ネジは自分の心臓辺りに手をあてる。
「心?」
ヒナタは疑問符を浮かべる。
「何て言ったら分かるかな・・・うーん。・・・愛情って言うのか」
ネジは真剣に悩んでしまう。
じっと銀杏の葉を見る。
「ネジ兄さんは私のこと好きですか?」
「うえぇ?」
ネジは突然の発言に変な声を上げる。
ヒナタの宝石のような二つの目が彼を見つめる。
ネジは大きく一つ息を吸う。
「・・・好きです、よ」
彼はどきどきする心臓を落ち着けながらやっとの思いで言う。
ヒナタは花のように笑った。
「良かった。私もネジ兄さんのこと好き。みんな好き。・・・これがハートの形?」
彼女の発言をまともに受け取っていたネジはぐにゃりとなりそうだった。
「僕にも良く分かりませんが、多分そうだと思います」
ネジは笑った。
「じゃあ、銀杏さんは好きって気持ちをたくさん伝えているんだね。はい、ネジ兄さん。好きって証だよ」
ヒナタは持っていた銀杏をネジに渡すと風に舞う銀杏とともにくるくると回っていた。
まるで天使のように。
ネジは暫くの間は石のように固まっていたが嬉しそうに微笑むとヒナタの元へ駆け寄った。

銀杏は今日も舞う。
愛を伝えるために。





ヒナタは飛んでいった銀杏の葉を拾うとふふっと笑ってしまった。
あんな発言をしていた自分を恥ずかしいと照れていた。
いったいあの時のネジ兄さんはどう思ったのだろうか?
ふと、気になった。
銀杏はハートの形かぁ。ネジ兄さんも可愛いことを言っていたんだなぁとしみじみと思う。
また、笑みが零れる。
「奇遇ですね。ヒナタ様も銀杏の葉をお持ちで?」
彼は風とともにやってきた。
彼は銀杏とともにやってきた。
「ね、ネジ兄さん。ちょ、ちょっと・・・恥ずかしいんですけど、誰かに見られてたら」
ヒナタは辺りをきょろきょろと見る。
目に映るは銀杏の葉。
「誰もみてませんよ・・・多分」
ネジはヒナタを後ろから抱きしめていた。
彼の腕の中にいるお姫様は顔を赤くして照れている。
「貴方は・・・俺のことをどれくらい愛してますか?」
「え?」
ヒナタはネジの唐突な発言に戸惑う。
「俺は何本の銀杏の木があっても足りないくらい貴方が好きです」
ネジはぎゅっとヒナタを抱きしめる。
ヒナタはうっすらと微笑む。
「だったら・・・全部の銀杏の葉が取れるくらいの袋が必要ですね。誰にも・・・その葉はとられたく、ないか・・・ら」
ヒナタは自分で言った言葉に照れる。
「心配しなくてもその葉は全て貴方のもとに届きますよ」
「それなら・・・安心です」
風が吹いて銀杏の葉が踊る。
ヒナタが持っていた銀杏の葉が飛んでしまう。
彼女は手を伸ばしたが掴んだのは秋風。
でも、心配ない。
だって・・・。
「貴方の愛は全部俺のものです」
ネジはしっかりとヒナタのハートを掴んでいた。
ヒナタはどこか恥ずかしそうに微笑んだ。
「じゃあ、ネジ兄さんの銀杏の葉・・・私に、くれます、か?」
ヒナタは途切れ途切れに言う。
照れている彼女は愛おしい。
「もちろん」
ネジはそういうと秋風のように、舞う銀杏のようにヒナタに口付けをした。

銀杏は今日も舞う。
愛を伝えるために。





それから私は自分の分とネジ兄さんの分の銀杏のしおりを作りました。
このしおり見るたびにネジ兄さんの顔が浮かんで大変です。
窓からふわりと銀杏の葉が一枚。
ヒナタはもしかしてと思って窓の外を見る。
彼がいた。
「あ、気づきましたか?」
と悪戯っぽい笑みを浮かべた。
ヒナタは微笑み頷いた。

銀杏は今日も舞う。
愛を伝えるために。

(終わり)

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今日、自転車をこぎながら考えた小説ですね。
街路樹が銀杏なんで。
黄色く色づいて綺麗なんですよ。
私は銀杏の葉の色も形も好きなのですが・・・銀杏の匂いと味は嫌いです。

ラブラブなネジヒナは好きですv
此処まで読んでいただきありがとうございました。
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