「ヒナタ様・・・キスして良いですか?」
ヒナタは驚いた。

~幸せリップクリーム~

「ネジ兄さん・・・」
ネジは後ろからこっそり着いて来ていたヒナタを見る。
「何でしょうか?」
ネジが問うとヒナタは口ごもる。
言おうとしているのだが言えない。
そんな彼女も可愛らしい。
「か、買い物・・・」
口を噤む。
言おうか言うまいか。
「何を買ってくれば良いんですか?」
ヒナタはネジの発言にふるふると首を振る。
髪の毛がキラキラと舞う。
「付き、あって・・・下さい」
ネジは一瞬固まったがすぐに先ほどの言葉と合わせて理解した。
「良いですよ。どこに行かれるんですか?」
ヒナタはパァッと顔を輝かせる。
無邪気に喜ぶ幼い子供のように。
「明日で大丈夫ですか?」
さっきまでのおどおどした感じが薄れた。
「大丈夫ですよ」
ヒナタは「じゃあ、明日」と言い残して嬉しそうにその場を後にした。
ネジもどこか嬉しそうだった。
こ、これはデートじゃないか・・・。





待ち合わせ場所は木の葉のとある公園。
数人の子供が遊んでいる。
昔のヒナタ様と自分を思い出しそうになった。
小さな花のようなヒナタ様。
「ネジ兄さん、すいません。・・・待ちましたか?」
心配そうにヒナタは問う。
目が綺麗。
「俺もさっき来たところですから」
お決まりの男の台詞。
女性に気を使わせてはいけない。
中に黒いパーカー。その上から緑色のチェックライダースジャッケトを着ている。
薄緑を少し濁したミニスカートにブーツ。
今日のヒナタ様は一段と可愛かった。

ヒナタ様の歩幅に合わせて歩き出す。
彼女は秋ものの服が欲しいようだ。
「これなんかどうですか?」
ヒナタは目を子供のように輝かせて言う。
服選びは楽しい。
色々なヒナタが見ることが出来るのでネジも飽きてはいなかった。
むしろ楽しんでいた。
「あ、それ良いですね」
ネジがそう言ったのはオレンジ色のキャミソールとレモン色のカットソーのアンサンブル。
普段は静かな感じの服を着ているヒナタだったので暖色の服は久しぶりだった。
確かにそれはヒナタに似合っていた。
「ネジ兄さんが選んでくれたから・・・買いますね」
ヒナタは嬉しそうに微笑んだ。
ネジも笑った。





帰る途中ヒナタは小さな露店の前で足を止めた。
小さな小物がたくさん並んでいる。
女性なら喜びそうなものばかり。
ヒナタは目を宝石のように輝かせている。
ネジは黙って彼女を見守っている。
ヒナタは一つ手に取る。
「お嬢さん」
露天商が優しく微笑んだ。
「それは幸せになるリップクリームだよ」
どこにでもありそうなお話。
信じる信じないはその人の勝手。
ヒナタは物珍しそうにそのリップクリームを見る。
「それ下さい」
ネジが突然言う。
「え、そんな良いですよ」
ヒナタが慌てて言う。
ネジはお構いなしで金を払う。
露天商は「有り難うございました」と頭を下げる。
「俺からのプレゼントは気に入りませんか?」
ネジは買ったリップクリームをヒナタに渡す。
「とっても嬉しいです。有り難うございます」
ヒナタは嬉しそうに笑うと頭を下げる。

暫く歩いて二人は小さな丘の上にいた。
「さっそく使ってみますね」
ヒナタはそう言うと先ほど買った幸せのリップクリームを唇に塗る。
その仕草の一つ一つがネジには愛おしく感じられた。
リップクリームのほんのりと甘い香りが辺りを包んだ。
果物の香り?花の香り?
分からないが癒してくれる香り。
そのリップクリームをしたヒナタ様はとても美しく見えた。
輝く絵画のよう。
「ヒナタ様・・・キスして良いですか?」
ネジは突然そんな発言をしてしまった。
ヒナタは驚いた。
何が起こったのか分からなかった。
「そ、その・・・」
なんとか搾り出せた声。
「突然すいません・・・ヒナタ様があまりにも綺麗なので」
ネジは顔を顔赤くして言う。
でも、素直な気持ち。
「ね、ネジ兄さんが・・・良ければ、良いですよ」
ヒナタは照れながら言う。
どこか嬉しそうだった。
ネジは暫くしてヒナタの言ったことを理解する。
「良いんですか?」
ネジは改めて言う。
ヒナタはこくりと頷く。
ネジは優しくヒナタにキスをした。
口に甘い香りが広がった。
ネジはいつの間かにヒナタ様を抱きしめていた。
幸せリップクリーム。

(終わり)

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突然、浮かんだ話です。
なんと言ったら良いのでしょう?
なんかこっちが照れますね。
秋っぽい静かな話を書きたかったんですね。
ちなみに私はレモン&ライムの香りのリップクリームを使ってますv
此処まで読んでいただき有り難うございました。
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