りりりと虫たちが歌っている。
ひんやりと冷たい風が吹く。

~危険な夜道~

辺りは闇に包まれた。
暗くなるのが早くなったものだ。
風が冷たい。
ヒナタは真っ暗な道を歩いている。
忍務のために帰りが遅くなったのである。
彼女は忍。
しかし少女。
夜道を一人で歩くのに恐怖を感じないわけは無い。
足に闇が纏わり付く感覚。
前に進むことを許さない。
風が吹くたびに、虫が鳴くたびにびくりと反応してしまう。
自分の足音が無駄に大きく感じる。





近道をするために人の往来の道を進む。
先ほどまであった電灯は無くなった。
風の音、虫の声が消えた。
闇の世界にいるのは自分だけ?
足に纏わり付いていた闇が上半身にも手を出す。





「あははは・・・っ」
「何、言ってるんですかぁ」
ふとヒナタの耳に人の声が入る。
声の主が何者なのかは分からないが彼女はほっとする。
だんだんとヒナタと声の主が近づく。
電灯が現れる。
ピカピカと点灯していない。
しっかりと輝いている。
その光を見てヒナタはさらに安心する。

「全く、飲みすぎましたね~」
「そう、だなあ」
声の主の顔が分かった。
顔を赤く染めた二人の男性だった。
一人は中年位、もう一人は若い。
酒の匂いがぷんぷんする。
ヒナタは一瞬顔を顰めた。
彼女は足早にその場を去ろうとする。
「お、お嬢ちゃん可愛いねぇ」
ヒナタに気づいた中年の男が彼女の腕を掴む。
ヒナタは驚いて後ずさりしようとする。
「待ってくれよぉ。おじさん達と遊ばな~い?」
中年の男はヒナタを引き寄せる。
ヒナタが拒んでいるので彼女と中年の男の間に隙間が出来る。
彼女は忍だ。
だが、優しい彼女は一般人に手を出すことを躊躇ってしまう。
自分の安全は大切だ。
しかし人を傷つけたくない。
そんなことを考えていると若い男に抱きつかれる。
「きゃっ!」
ヒナタは小さな悲鳴を上げる。
「ほら、こっちにおいでよぉ」
二人の男はずるずるとヒナタを脇に連れて行こうとする。
「や、やめて下さいっ!」
ヒナタは拒む。
「離して下さいっ!誰か・・・助けて」





ボコッ、ドスッ、バキッ





ヒナタの目には倒れている男たちが映った。
「何者だあ、てめぇ」
男が問う。
「消えろ。俺の女に手を出すとは・・・いい度胸だ。これ以上此処にいるのなら・・・」
男たちは突然現れた人物を見てビクリと反応する。
「こいつ日向ネジだぁっ。す、すいませんでしたぁ」
男たちはそう言うと一目散に消え去った。
ヒナタはネジを見て安心したのかへなへなと座り込む。
ぽろぽろと涙が零れる。
「大丈夫ですか?ヒナタ様」
ネジはそう言うとヒナタを抱きしめる。
「・・・良かったぁ。ネジ兄さんが来てくれて」
ヒナタはにこっと笑う。
ネジは安心したような顔をしてヒナタの涙を拭ってやる。
「帰りましょう」
ネジはヒナタに手を差し伸べる。
ヒナタは頷いて彼の手を握る。

「・・・ネジ兄さん?」
ヒナタはふと言う。
「何ですか?」
ネジは疑問符を浮かべる。
ヒナタは俯いて言いにくそうな顔をする。
「あの、さっき・・・俺の女って・・・」
ヒナタはやっと言えたという感じ。
ネジは狼狽する。
「いや、それは・・・ああ言うと逃げるんですよ。そうです!逃げるんです!」
ネジはヒナタの肩を掴んで言う。
ヒナタは驚いた表情をする。
「そうだったんですか」
ヒナタがそう言うとネジははっとする。
「すいません」
ぽつりと彼は言う。

「・・・ヒナタ様?」
今度はネジがふと言う。
ヒナタは「なぁに」という表情をする。
「さっきのことですけど・・・」
ネジは言いにくそうに言う。
ヒナタは黙って聞いている。
「俺の女っていうのは・・・あいつら追い払うためではなく・・・」
ネジは口を噤む。
ヒナタは疑問符を浮かべる。
「俺の願望なんです!」
ネジはそう言うとヒナタを抱きしめる。
「えっ?」
ヒナタは驚きとも疑問とも思える声を出す。


沈黙。


「私・・・ネジ兄さんの女になっても良いですよ」
ヒナタは小さな声で言う。
ネジは驚き五割、喜び五割の顔をする。
「さっきもネジ兄さんが助けてくれるって思ってました」
ヒナタは照れながら笑った。
ネジはドキッと心臓が鳴ったのが分かった。
「ヒナタ様のことは俺が守る」
「はい、お願いしますね」



二人は手を繋いで一緒に帰った。
月明かりが二人を照らしていた。

(終わり)

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自信満々のネジ兄さんではなく、ヒナタ様にドキドキしてしまうネジ兄さんが書きたくて。
最初の方のの夜の描写は気に入ってます。
最近学校からの帰りが遅くて夜が怖いです。
でも、月とか見ると元気になります。
蝙蝠はびびりますが(笑)
怖いから突然歌を歌ったりします。
(↑お前が怖いよ!)

ネジはヒナタの王子様ってあって欲しいv
此処まで読んでいただき有り難うございました。
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