人はいつ死ぬか分からないから言っておくね・・・私の気持ち。
~もう一つの思い~
「きゃああぁぁぁっ。」
少女の悲鳴の後にがたごとっとんという大きな音がする。
「何事ですか。」
日向の人々は何があったのか知る為に音がした場所を探す。
「ヒナタ様っ。大丈夫ですかっ。」
ヒナタ様と呼ばれた少女が階段の下で倒れていた。
彼女を見つけたのは彼女の従兄弟であるネジだった。
ヒナタの体の上や階段の回りには多くの本が散らばっていた。
ネジの声を聞いてヒナタの妹であるハナビや日向当主でありヒナタとハナビの父であるヒアシが駆けつけた。
「姉上っ。」
ハナビはそう言ってヒナタの側に寄る。
「父上っ、大変です。姉上、意識がないみたいですっ。」
ハナビは慌てて言う。
それを聞いた日向の者も大慌てである。
ネジの顔は青ざめていた。
「皆の者、落ち着け。とりあえず医療班を呼べ。」
ヒアシが冷静にそう言うと日向の者の何人かが医療班を呼びに言った。
「ん・・・っ。」
ヒナタはうっすらと目を開ける。
彼女の視界にネジ、ハナビ、ヒアシの三人が映る。
「姉上、大丈夫ですか。」
ハナビは心配そうに意識の戻ったヒナタに言う。
「・・・ここは。」
ヒナタはぼんやりした目で辺りをキョロキョロと見回す。
「病院です。貴方は階段から落ちて気を失っていたんです。」
ネジがヒナタに説明する。
「私って馬鹿ね。・・・本当に馬鹿っ。」
ヒナタが普段とは違った口調で言う。
回りにいたネジ、ハナビ、ヒアシを始めとする日向の者は一瞬戸惑った表情をした。
「姉上、そんなことないですよ。あそこの階段は少し急でしたから。」
ハナビが少し戸惑いながら言う。
「でも、今までにあの階段から落ちた人なんかいなかったじゃない。急って気づいていたなら直すべきでしょう、お父様。」
ヒナタが珍しくイライラしながら言った。
話をふられたヒアシは驚いていた。
「そうだな・・・直しておくべきだったな。それじゃあ、早速直してもらうか・・・。」
ヒアシが言葉を探すように言う。
「良いわよ、直さなくても。」
ヒナタがきっぱりと言った。
回りの人々はおどおどしていた。
こんなヒナタ様初めて見たと・・・。
「ヒナタ様、貴方はまだ全快していないのでしょう。ゆっくりお休みになって下さい。」
ネジが心を落ち着けて言った。
ヒナタは何も言わずに布団を被ってしまった。
「まだ、意識が戻って間もないので精神が不安定なんでしょう。」
医者がヒアシに言った。
「そうですか・・・なら良いのですが。」
ヒアシは不安そうに言った。
その後日向家一同は病室を後にした。
月が美しく輝いていた。
だだだだっと誰かが走る音がする。
がらっとネジの部屋の襖が開けられる。
「何事だ。」
ネジは真剣な目をしていた。
「大変ですっ。ヒナタ様が病院からいなくなったそうです。」
日向の者が肩で息をしながら言った。
「何だと。また誘拐か。」
ネジが少し不安そうに問う。
「いえ・・・ヒナタ様自ら病院を抜け出したそうです。」
「なんでまた・・・。」
「そこまでは分からないのですが。それでネジさんにもヒナタ様を捜して欲しいとヒアシ様が言っております。既にヒアシ様やハナビ様を始めとする日向の者が捜しております。」
「分かった。」
ネジはそう言うと部屋を後にした。
ヒナタ様、貴方がどうして・・・。
ネジは木の葉のあちらこちらを走り回っていた。
まだヒナタを見つけたという連絡はない。
ふとネジの耳にカタという小さな音が入った。
音がした方に目を向けると古い橋の上に少女がいるのが分かった。
「ヒナタ様・・・?」
ネジが声を掛けると少女がネジを見た。
「ネジ兄さん。どうしんたんですか、こんな時間に。」
ヒナタは微笑んだ。
「どうして病院を抜け出したんですか。」
ネジは真剣な目で言った。
ヒナタはネジから目を反らし月を見た。
「あの白くて狭い部屋にいるとね、もうこの部屋から出ることが出来ないって思うの。私は外の広い世界が好きだから逃げ出したのよ。」
ヒナタはうっすらと笑っていた。
「今の貴方はおかしい。早く病院に戻った方が良い。」
ネジが冷静に言う。
「違うのよ、ネジ兄さん。これが本当の私なの。いつも心ではこんな事を思っているのよ。口には出さないけどね。」
ヒナタが少し悲しそうに言った。
「もう病院には戻りたくない。私はやっと日向の籠の中から開放さたのよ。病院という名の白い籠に閉じこめられるのは嫌なの。今の私は本当に幸せなんだ。普通に笑えるようになったし、お父様も私のことをみてくれるようになったし、ネジ兄さんとも話せるようになった。」
ネジはヒナタがこんなことを思っているとは思ってもいなかった。
ヒナタ様にもこんな気持ちがあったとは・・・。
貴方のことを分かったつもりで俺はいた。
全く貴方のことを俺は理解していなっかた。
突然ネジの耳にミシッという嫌な音がした。
「えっ。」
ヒナタの驚いた声がした。
古い橋がミシミシという音をたてて壊れ始める。
ヒナタは橋の下の川に落ちる。
「ヒナタ様っ。」
ネジがとっさに手を差し伸べたが遅かった。
バッシャンッと大きな音がした。
「大丈夫ですか、ヒナタ様。」
ネジがビショビショになったヒナタを抱えながら言う。
ネジも川に飛び込んでいた。
「けほっ、こっほっ。」
ヒナタは苦しそうにむせる。
「大丈夫。」
ヒナタは小さな声で言った。
「そうですか、それなら良かったです。」
ネジは安心した。
「ねぇ、ネジ兄さん。今みたいに人はいつどうなるか分からないから言っとくね。」
ヒナタが真剣にネジの目を見ながら言った。
ネジは疑問符を浮かべていた。
「ネジ兄さんは私の為に死なないでね。お願いだからね。それと今、こんな性格だから言える事なんだけどネジ兄さんに伝えたいから言うね。」
ヒナタはにっこりと笑った。
「ネジ兄さんってナルシストだし、頑固だし、嫌味なことばかり言うけど・・・。」
ネジはヒナタが自分のことをそんな風に思っていたと知って少しショックを受けた。
「でも、私・・・ネジ兄さんのこと大好きだからっ。」
ヒナタはそう言うとネジのことを抱きしめた。
ネジは驚きつつもヒナタの事を抱きしめていた。
「俺も貴方のことが大好きです。」
ネジはヒナタの目を真っ直ぐに見つめて言った。
ネジはとても嬉しかった。
そして、ネジとヒナタは長い口づけを交わした。
ヒナタはありがとうと言ってふっと気を失った。
「ヒナタ様っ。」
ネジは思わず声を上げる。
また、気を失ってしまったのですか・・・。
ネジはヒナタを抱えて病院に向かった。
「姉上っ。」
ヒナタが見つかったという連絡を聞いて一足先に病院に来ていたハナビが言う。
「どうして姉上とお前こんなにビショビショなんだ。」
ハナビが疑問符を浮かべて言う。
「ヒナタ様が橋の上から落ちてしまいました。」
ネジが申し訳なさそうに言う。
「はっ、橋から落ちたっ。」
ハナビとヒアシが同時に言った。
「でも大丈夫だと・・・思います。」
ネジがそう言うとハナビが急いで医者を呼んでこいと側にいた日向の者に言った。
ヒナタはその後再び病院で眠った。
彼女の側にはネジ、ハナビ、ヒアシの三人が付き添っていた。
鳥の歌声がした。
キラキラと太陽が光っていた。
太陽の光で目を覚ましたネジが顔を上げると窓を眺めているヒナタがいた。
「ヒナタ様、起きていらっしゃったのですか。」
ネジが眠そうな目を擦りながら言った。
「おはよう御座います、ネジ兄さん。」
元のヒナタに戻っていた。
「昨日は変な・・・迷惑を掛けてしまってすいません。」
ヒナタが少し恥ずかしそうに頭を下げた。
「いえ、俺は気にしてませんがヒナタ様は昨日のこと覚えていらっしゃったんですか。」
ネジがそう聞くとヒナタはコクリと小さく頷いた。
ヒナタの顔は赤くなっていた。
「あの・・・ネジ兄さんが・・・昨日おっしゃったことは・・・嘘じゃないですか。」
ヒナタが顔を赤くしつつ、不安そうに言った。
ネジはうっすらと笑ってヒナタをぎゅっと抱きしめた。
「嘘じゃないですよ。俺は貴方のことが好きです。」
ネジはヒナタの耳元でそう囁いた。
ヒナタはますます顔を赤くしたが嬉しそうだった。
(終わり)
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久しぶりにネジヒナを書きました。
気持ちをはっきりと言ってしまうヒナタ様はどうでしたでしょうか?
スレヒナではないですよ♪
でも、スレネジヒナも書きたいんですよね。
人間は本当に頭を強く打ったりすると記憶がなくなったり性格が変わったりするのでしょうか?
んー人間って不思議ですよね。
此処まで読んでいただき有り難う御座いました。
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