■早く人形だけ供養して!と悲鳴
依頼主の奇妙な言葉は気になったが作業は進められた(写真はイメージ)。
画像:近藤さん提供
電話口で作業の日取りを決め、約束の日に現地へと再び赴いた近藤さん。一軒家で家財道具の量も多いので、片付けは2日間に渡って行なわれることとなった。
事前の打ち合わせでは、貴重品の確認のため、依頼者の女性も作業に立ち会う予定だったという。しかし……、
「トラックを運転して現場へ向かうと、なぜか依頼者の方が家の外で待っていたんです。『あれ? なんで外にいるんだろう?』と思いつつ挨拶すると、鍵を渡され、『あとはお願いします』と……。
立ち会っていただく予定だったので確認すると、『もういいです。人形だけ供養してください』って言うんですよ」
女性は「終わったら、戸締りだけしといてくださいね。明日も朝イチで鍵を開けて作業してください。終わったら連絡くださいね」とだけ言い残し、家の中にも入らず、逃げるように去っていった──。
■そこにあったはずの人形が…
「何かあったのか気になりましたが、とにかく家の中へと入りました。骨壺のある祭壇以外はすべて撤去する予定で作業を開始したんです。
例の人形は、故人の寝室のベッドの横にちょこんと座っていました。打ち合わせのときと同じく、こちらをじっと見ているような気がして、怖かったです」
作業を始めた近藤さんと遺品整理のスタッフたち。ところが、ある異変が起こった。
「寝室にあったはずの人形が、なぜか別の和室に移動していたんです。他のスタッフに聞いても、誰も動かしていない。しかも人形は相変わらずこっちを見ていて……。
本当は初日の作業が終わったら、会社に人形を持って帰るはずでしたが、なんだか気味が悪かったので、最終日に持って帰ることにしました」
人形を和室に置いたまま、その日は作業を終えた近藤さんたち。次の日、再び現場へ訪れると、真っ先に和室へ向かったそうだ。
「人形のことがどうしても気になってしまって……気が付けば無意識のうちに、和室に足を運んでいました。でもね、前日にそこにあったはずの人形が、なかったんです……」