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歓楽のハレム

ハレム小噺「ソープランド~泡の国に誘われて~」

 (1)序章 ~始まりは「赤い玉」~

 

「え~!?ソープか~?」

「そうだよ、お前こっちなんだから店くらい知ってるだろ」

「せっかくこっちまで来たんだから、ぱあっと行こうぜ、な?」

 大学以来の友人は、そういってしきりに自分を誘う。しかし、正直あまりこちらの風俗に通い慣れているわけではない自分は、果たしてどこに連れて行けばいいのかちょっと困っていた。

 しかし、本人も言うようにせっかく久しぶりに会った友人のリクエストに何とか応えられないか、としばらく記憶を辿る。

 大学時代に知り合ったその友人は、卒業までの間常に行動を共にしていたグループのメンバーの一人だった。学部も同じで講義の代返もお互いよく行っていたし、コンパなどでもいつも一緒に参加しては、互いに相手なしで寂しく帰ったりしたりもしていた。

 しかし、卒業してから自分は東京の企業に就職し、友人達も地元に戻ったりしてグループの面々はバラバラになってしまった。卒業してすぐの間は、会社の新人研修期間で関東近郊にいたメンバーもおり、少しの間会っていたりもしていたのだが、数年経った今ではごくたまに電話でやり取りをする程度で、顔も合わせないので忘れそうになってる友人もいる位だった。

 ところが、つい先日グループの中でも一番よく行動を共にしていた友人から、「今度東京へ出張に行く」という連絡が入った。無論、仕事がメインなのでずっと一緒というわけにはいかなかったが、折角なので日を合わせて有給休暇をとり、連れ立って遊びに行く事にしたのだ。

 そして、ちょっと年を取った事を見て取れた友人との久々の再会を喜び合い、日中は東京ならではの観光名所を慣れないながらも案内して周り、ちょっと早めに居酒屋で一杯飲んでいい気分になってきた所で、友人が「ソープランドへ行こう」と言い出したのだった。

 自分はもちろん仕事の付き合いとかもあって、全く風俗も行っていなかったわけではないが、正直ソープランドはというと、ちょっと料金や雰囲気的に敷居も高くて、今まで候補には上がらなかった。

 しかし、今日はせっかく友人が遠方からやって来てくれたのだ。給料日前という訳でもないので、懐にもそこそこ余裕はある。

「・・・わかった、俺もあんまり詳しくは無いけど、ちょっと調べてみようか」

「頼むぜ、何せこっちは電車の路線もよく分からないもんでな」

 そういって自分は近くのコンビニで風俗情報誌を買い、めぼしいソープランドの情報を見てみた。そして、その中でもわりとはっきり情報が載っている優良そうな店に電話をかけてみる。予約などで一杯ではないか、システムはどうなってるかなどの確認を行い、これから店まで向かう事を連絡した後、2人で電車で店まで行く事にした。


 それから数刻後、自分達は電話を入れたお店に到着した。

「ここが電話したお店のはずだと思うんだけど・・・」

「ふーん、・・・『カドカニ』って読むのか?」

建物の看板を見ながら、友人はつぶやいた。

 電車を降りてしばらく歩くと、ソープランドやヘルスなどのお店の集まった風俗街に入った。そしてその中をしばらく歩き、しつこいポン引きをかわしながら何とかここまで辿りついたのだ。

 ここのお店は関東を中心に展開している大手グループの内の一軒で、変に高級すぎるわけでもないので、最初に行くには丁度良いかと思って決めたのだ。

 店舗は少し大きめのビルで、表の壁にはネオンの看板がある。友人は、そこの店名を見上げていたのだ。

「電話した時に聞いたんだけど、今何か特別なイベントもやってるんだって」

「へえ、それって何かサービスしてくれるのかな?」

「どうだろう?電話では、『幸運な方には』とか言ってたと思うから、全員が全員サービスってわけじゃないかもしれないけど」

「まあ、いいんじゃないか?それより、早く行こうぜ」

 そういって彼がせかしてくるで、自分達は2人で連れ立って店内へと入っていった。


 店に入ると、そこはそこそこの大きさのロビーだった。予め連絡をしておいたおかげか、すぐにボーイの男性が出てくる。

「いらっしゃいませ、ご予約の方は御座いますか?」

 先ほど電話を入れた事と名前を告げると、

「ようこそいらっしゃいませ、新出様、泡囲様。本日は、私がお客様のお世話をさせて頂きます」

と彼は改めて挨拶をした。

「特に御指名の子はいませんか?」

「いえ、どんな子がいるか確認させて欲しいんですが・・・」

 自分が話してるときに、不意に友人が言葉を挟んできた。

「何か、今特別なイベントをしてるって聞いたんですけど・・・」

 それを聞いたボーイが、何かに気付いたようにはっとした表情をする。

「あ、これは失礼しました。ご説明させて頂きますので、こちらへどうぞ」

 そういって、彼はロビーの一角に設けられたカウンターに案内した。

 そこには、あまりソープランドでは見かけないものが置いてあった。よく年末の商店街などである福引き大会とかで使われるガラガラ、あのレバーを回転させて出てきた玉の色で何等かを見る奴だ。

 そして、側らの壁には天井近くまで達するほど大きな張り紙が貼られていた。

「スペシャルキャンペーン・・・抽選で様々なサービスをプレゼント中・・・」

「はい、ただ今私共『カドカニ』グループ全店で行っているキャンペーンでして、1度のご利用につき1回、こちらの方でくじを引いて頂いております。出た内容によりまして、こちらに掲示しておりますような、様々なサービスをお付けさせて頂いてます」

「もちろん、くじにハズレはありません。必ずお得なサービスをさせて頂いてますので、安心してチャレンジ下さいませ」

 ボーイが丁寧に説明する。友人は張り紙を下から順に眺めていた。

「白・・・喉を潤すミネラルウォーター進呈、黒・・・3千円割引、緑・・・5千円割引、・・・青がダブル料金サービスで・・・、あ、銀色で『2輪車プレイ』だって、すげえ!!」

「はい、そちらの方は、賞が出た時に2輪車の可能な女の子を、こちらで選ばせて頂くようになります。・・・よろしければ、さっそくくじを引いてみて頂けますでしょうか?」

 ボーイも勧めるので、とりあえずくじを引いてみることになった。まずは友人がチャレンジする。彼はレバーを握って、何やらしばらく気合を入れて念を込めると、グルンとレバーを回転させた。

コロン!

 出てきた玉は瞬間、空中でキラリと光ったように見えた。そして、受け皿に落ちたそれを見ると、それは黄色っぽく鈍く輝いていた。まさしく、金色に他ならなかった。

「金色って・・・」

 張り紙に目をやると、さっきの銀色の「2輪車プレイ」のさらに上に、「金色:豪華3輪車プレイ!」と目立つ色で書かれていた。

「金色・・・3輪車プレイ・・・、3輪車って・・・、3輪・・・・、3人・・・」

 友人も張り紙をしばらく見ていたが、やがて意味を解したようだ。

「3輪車だって!すっげえ!やったー!!」

と、大声で喜びだした。ボーイが慌てて傍らのラジカセのようなもののボタンを押すと、ファンファーレのラッパの音が流れ出す。

「おめでとうございまーす!!1等、豪華3輪車プレイでございます!」

 ボーイは懐から出したクラッカーを鳴らしながら、友人を祝福した。自分も思わず拍手を送ってしまう。

「おめでとう、ラッキーだなあ!」

「ありがとう!いやー、これもお前のおかげだよ!!」

 友人は自分の両手を握って、ぶんぶんと振り回す。

 ・・・そうして、ひとしきり友人のお祝いが終わり、次の自分の番になった。しかし、友人はというと、今起こった幸運な出来事にすっかり舞い上がっていて、妙にテンションが高くなっている。

「よーし、新出もすごいの引き当てろよ!!一緒に豪華サービスとるんだ!!」

 そういって、両手でそれぞれ握り拳を作って、気合を入れるようなポーズで大声を出す。

 しかし肝心の自分はというと、すっかり舞い上がってしまっている友人の姿を見て、返って冷静になっていた。

「いや、こういうのっていい奴はそうそう出るもんじゃないから・・・」

 そう、さっきの金色だってこのガラガラの中に一個あるかどうかなんだろう。そんなにポンポン出てくるわけが無い。何よりさっき出てきて、また連続なんてまずあり得ない。自分はあまり期待せずに、レバーを軽く回してみた。

コロン!

 出てきたのは、やはり光っても居ないごく普通の玉だった。その刺激的な色はしかし、どこにでもあるありふれた色でもある。

「ほら、そんなそうそういいのは出ないだろ?赤色なんてどうせスカ・・・」

 そう言いながら顔を上げて友人の方を見ると、彼はなぜか口を開けてポカンとした感じで、張り紙を見ていた。

 ボーイを見てみると、ボーイも同じようにポカンとした感じで張り紙を見ていた。

 自分も釣られて張り紙に目をやろうとした時、2人の視線が張り紙とは微妙に方向がずれている事に気付く。彼らは先ほどの張り紙の少し横の方を見ていたのだ。

 自分もそちらの方を向くと、何とそこにはもう一枚、大きな張り紙が貼られていた。そちらには、さっきの金色の玉の説明書きよりさらにド派手な、目が痛くなるような彩色で何か書かれている。

 その内容を見て、自分も思わずポカンと口を開けてしまう。そして、茫然自失になっている自分の周りで、友人は大騒ぎとなり、ボーイは慌ててラジカセのボタンを押して、店の裏へと走っていってしまった。最大音量でファンファーレが鳴り、友人は自分の肩を掴んでブンブンと揺するが、自分はそれにも全く反応する事もできなかった。

 ただ呆然としている自分の視線の先、ド派手な張り紙には

「赤:特等 時間&人数無制限!!めざせ??輪車!『赤玉』でるまで搾り取ります!!生殖能力の限界へ挑戦コース」

と書いてあった・・・。


 結局、特等についてはその場ですぐというわけにはいかないらしく、準備のためにその日は手続きだけ行って帰ることになった。名前・連絡先や好みの女性のタイプなど、質問事項について紙に書いていく。

 友人は、というと、しっかり3輪車プレイをしていく事になった。そこでここでお開きにする事にした。彼は従業員に近くのカプセルホテルを紹介してもらい、翌早朝に帰る事になったので、彼が分かる所までの道順をメモに残して渡しておく。

 彼は、もちろん自分も3輪車プレイができるという事ですごく喜んでいたようだったのだが、口にするのは、

「いーよなー、お前は」

というなんとも羨ましそうな声だけだった。

 しかし、当の本人はというと、自分に降りかかった幸運がどれほど素晴らしいものかいまいち掴み切れず、なんだか夢の中でフワフワしているような、そんな気分で家路に着いたのだった。


 翌日、あの店から連絡が入ってきた。そして、「2週間後の週末に、ご希望の場所までお迎えに上がります」という事で、自分は近くの駅を指定した。

「はい、では駅の東口で、午後3時に迎えの者を待たせておきます。お声をかけて頂いて、お名前で確認をお願いします」

「分かりました。では・・・」

「あ、新出様。一つ、プレイの際のお時間についてなのですが・・・」

「はい?時間なら別に土日ですし、多少遅くなっても・・・」

「いえ、そうではなくですね。もし、お仕事をされてるのでしたら、できれば来週の、1週間くらいはお時間を頂きたいのですが・・・」

「来週1週間って、そんなに休み取って一体・・・って、え・・・、ま、まさか・・・」

その言葉の意味する所を思いついて、驚愕で固まりそうになる。

「あと、もう一点ですが、新出さまは「ご自分でされる」事はありますか?」

「え・・・あ・・・、あの、自分でってのは、アレですか?・・・まあ、普通の若い男なので、そこそこは・・・」

「そうですか。では。これからプレイまでは一切されませんよう、お願いできますか?健康に関わってくる事ですので、ぜひご了承頂きたいのですが・・・」

「健康って・・・一体何が・・・」

「よろしいでしょうか?」

 電話の声の有無を言わさない調子に、自分はつい返事をしてしまう。

「わかりました・・・何とか・・・します・・・」

「はい、では、当日お待ちしております。それでは失礼します」

 その言葉を最後に、電話は切れてしまった。

(そんな、1週間もって・・・それに2週間ヌいちゃ駄目なんて・・・。・・・人数と時間無制限・・・1週間・・・ヌいたらだめ・・・。も・・・もしかして・・・1週間も・・・何人もの女の子相手にずっとSEXするのか・・・う、うそ・・・、そんなバカな事・・・本当に・・・オレが・・・)

 頭の中で状況を考えれば考えるほど、とんでもない結論に行き着いてしまい、自分はしばらく震えが止まらなかった。

 その後、自分は2週間後に備えて色々なことをした。それらはまず、会社に休暇を取る事から始まった。
 
 自分は会社で開発業務をしており、つい先日まである製品の納期のため残業また残業の毎日だった。そのため、代休と有休を合わせて2週間近い休みを取る事が出来た。

 また、その納期を終えて一段楽した部署では、長期の休みといっても割りとすんなりと取る事が出来た。ただ、同僚に「海外旅行にでも行くのか?」としつこく理由を聞かれて、それらをかわすのに苦労した。

 次に、身体を鍛え始めた。たった2週間とはいえ少しでも体力をつけた方がいいと、近所のランニングや簡単なトレーニングを仕事から帰った後に行った。食べ物も、できるだけ高蛋白質で精力増強効果のある物を取るようにした。

 そして、とにかく自慰行為を我慢し続けた。刺激を避けるためその手の店も避け、エロ本なども処分してしまった。どうしても悶々とした思いが溜まって眠つけず、朝に学生時代以来となる夢精までしてしまった事もあった。

 これらのどれもこれも、頭に描く「たくさんの女性とSEXしまくる」という妄想こそが原動力となっていた。会社などでもその状況を妄想して、仕事が全く手に付かない日々が続いた。

 そして、2週間後の土曜日、自分にとって「運命の日」がやってきた・・・。

 

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