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  『 20 』










夢の中で、あたしは悠河クンにべたべたで。
ふたりでスカーレットのお衣装で草原で花なんか摘んでいた。
悠河クンが花の冠をそうっと頭に、
あたしはそのあまりの心地よさにまた眠りの淵へ。
カレによりかかり眠りの淵へと



「・・・・かちゃん?」



「・・・りかちゃん・・・・・・?」



不安げな悠河クンの声、アップ付き。
手には鍋つかみ、あつあつのおじやのお盆。
腋の下に氷嚢と洗面器。
「これなら食べれられそう?」
「ん。」
あたしをそうっと起こしてくれて。
一匙すくって、ふうふうしてくれる。
あたしは大きな枕に、顔をめりこませたままぼんやりと、
だけど幸せにそれをみてる。



「はい。」



悠河クンのつくってくれたおじやは、ほんわかとあたたかで、
梅干と細かく切ったお野菜がとろとろに溶かしてあって。

「あーんして。」
素直に、あたし。
「あーん」
ん、おいしい。
さっきまでのが嘘みたいに、身体があったまる。
身体の中で渦巻いてた汗が、すうっと出てゆくみたい。


あたしってば食欲なかった筈なのに、ぺろぺろってたべちゃった。
「ん、大分よくなった、カンジ。」
「そう、でも油断しちゃだめだよう。」
そういって悠河クンはレンジでチンした、蒸しタオルを持ってくる。

「部屋あっためて、着替えようね。」
そう言ってまたあたしをするすると脱がす。
あたしは体力なくなってるから、カレのなすがまま。
身体をあずけて、赤ちゃんみたいに拭いてもらうの。
首筋から、肩、胸、お腹、そおはそれは丁寧に。

「あ、もう自分でできる」
「それどこじゃないじゃん。はい、横になって。」

妙に手際の良いあなた、さっさかあたしを拭いてゆく。
ああ、、いろんな意味で気持ちいいとか、あたしっておめでたいったら。




「はい、下着。探すの苦労したんだよう。」
やだ、どっかに忘れ果ててたババシャツとヘソまでのパンツじゃない。
「だめ、風邪引いてるんだから、レースは!
 吸収力のいいもんにしとかないとね。」
だって、いやよ。
悠河クンの前でこんなカッコ。





そう思った瞬間、また頭がぼうっとしてきて、あたし甘えたがりになってきた。
「じゃ、もっと、汗かいたら着てもいいわ。」
そう言って、悠河クンの首に噛りつく。
ちょっとまだ世界がぐるぐるしてるから、
「じゃなきゃ、レースじゃないと、いやあぁん。」
なんか魚眼レンズみたいに悠河クンしか見えないのよ、あたしの目。
「でもさ、風邪だし・・・」
「いやあ、汗かきたいのおっつ!!」
そういって寝転がったままネグリジェなんかで胸を隠す。
ぐったりどうにでもしてって、潤んだ瞳、半開きの唇よっ。
さっきまでの奥さんらしい決心は何処へやらもいいところ。
あら、又世界がぐるぐるしてきそう。
「ゆう・が・くぅん・・・」
息も絶え絶えの喘ぎ声。
悠河クン、ちょっと考えてるふり。
「ちゃんと、着る?」
「なにを~?」
「ババシャツとヘソパンツ。」
「着る~。
 だ・か・ら・あ・・・」




あたしってばいつになくおねだり。
病気の時ってこんなんよ、ねえ?!
抱きしめられた腕の中でべたべたべた。
うつっちゃうからちゅうはダメ。
だから、他の処を一杯愛してね、あなた。
このりかさまが、へとへとでふらふらでばたんきゅーになっちゃうまで。
で、やはりあたしはばたんきゅうで、昇天。
悠河クンに上から下まで着替えさせてもらった。
こんなんなら風邪も悪くは無いわね、とか思いながら、
カレの腕で眠りにつきなおす。


「ね、こんなワガママでも好き?」
「ううん、ワガママだから好き。」
「あん、眠くなってきたぁ。」
「うん、うん。」
揺りかごみたいにあたしを摩る手が、心地よい。
「ねえ。」
「ん ?」
くらくらしながら、唇を耳元へ。
「なんか、歌って、子守唄。」
「うーん、なにがいい?」
「えっとね・・・・世界にひとつだけの花。」
「んと、まだ覚えてないから、適当だよ。」
「いいの、それで。」
ちょっと調子のずれたハミング、


      ナンバー・ワンにならなくてもいい


あなたの声がゆらゆらする頭を優しく静めてくれる。


      りかちゃんはただ一つの、オンリーワン



悠河クン仕様の歌詞を聞きながら、
あたしは安心して眠りに入る。


あしたは元気に愛してあげるから、
今日はちょっと甘えさせてね。





ああ、いつまでもどこまでも愛してるあたしの素敵な旦那さま。















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