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  『 17 』







今日はね、珍しくちゃあんと家事をしてみようかな、って。
だって、あたし、奥さんなんだもん。
それも新妻よ!に・い・づ・ま!!
おろし立ての白いエプロンも、バッチリ似合ってるじゃないの。


う~んと、まずはねえ・・・
人差し指を口に当てて考える。
お掃除は、悠河クンが昨日の日曜にやってくれたのよね。
下手にあたしが手を出すと、かえって汚れちゃうし。
お夕食はまだ作る時間じゃないわ。
アイロンかけ・・・でも、火傷とかしたらきっと悠河クンが怒っちゃうわ。
お裁縫・・・これも怪我とかしかねないし。
ああん、どおしよう。
あたしにできることっていえば、ワードロ-ブの整理くらいじゃない?
でもね、自分のはウォークインクロゼットにぶち込んであるから
下手にいじらない方が、いいのよね。


そうだっ!!

悠河クンのを整理してあげよう。
心をこめてブラシかけて、一枚一枚きちんとたたんで。
これならあたしにも、できるに違いないわ。




鼻歌でスキップしながら、悠河くんのクロゼットに向かう。
流石あたしの悠河クン、趣味のいいものばっかだわ。
あたしのはね、結構玉石混交なんだけど。
悠河クンのは、ちょっととんがってても仕立ても生地もいいのばっか。
カシミヤのセーター、は新婚旅行で買ったんだっけ。
こっちのスーツは、ああ誕生祝いに英国屋でオーダーしたやつね。
ワイシャツはきちんと重ねてあって。
セーターもふんわり折り重なって。
ネクタイは柄物色物、見事なグラデーションで並んでる。
そうよ、どうして気がつかなかったの?
あの悠河クンよ、あたしなんかより、
こーゆーことはよっぽどマメにきまってるじゃないよ!



困っちゃったな~、とか思いながらクロゼットに顔を突っ込むあたし。
そしたら奥に、カバーのかかったヤケにかさばる服があるの。
あったっけ?こんなの。
形からして、コートでもないわよねえ。
よいしょ、よいしょ、って引っ張り出してみる。
ベッドに出して、カバーを解く。


あああ、やだわ、モロにあたしの好みじゃない。
どうして、どうして、悠河クンこんなのもってるの?

いやん、欲しい、着たい、可愛い。


あたしはうっとりそれを眺め、午後のお茶を飲むことにした。












ああ、もうこんな時間だよ。
今日はちょっと手の込んだもの作ろうと思ってたのに。


スーパーの袋をぶんぶん振り回して、俺は階段を又も二段抜かし。



「たっだいまああ~~~りかちゃん~~っ!!」

ぱたぱたってスリッパをひっかけて、
奥さんは白いエプロン。
染み一つ無いとこが、りかちゃんらしくてかわいいなあ。
「おかえりっ!!」
お、今日はご機嫌かな?ってくらいの勢いで俺に飛びついてくる。
「お帰りの、ちゅう。」
「ん。」
スーパーの袋持ったまんまで、奥さんのちゅうはちょっと熱烈。
俺、目がかまぼこみたいになんながら笑っちゃった。
「なんか可笑しいの?」
「ううん、嬉しいの。」
「じゃ、着替えたら、ご飯一緒に作ろうね。」
「うん。」
優しい悠河クン、一緒にって言ってくれる。
それだけで、あたしは幸せ指数急上昇なの。
ううん、いつも幸せなんだけどね。






俺はネクタイを解きながらダイニングへ。


りかちゃん上着を脱がせながら、ちょっと上目。
「ねえ・・・悠河クン?」
「ん?また、ちゅう?」
でもって、またりかちゃんのすべすべの頬っぺたやぷっくりした唇に、
ちゅっ、ちゅっ。
「んん、それもだけど・・・・」
おっきな黒目、ちょっと上目。
「それも、ってどしたの?」
奥さん腕を引っ張って寝室へ。


きょ・・今日はいきなりかな。
りかちゃん、積極的だな、でもそれもいいな。



ほわ~とか考えてた俺の目に、飛び込んできたのは、
あ、あれって・・・


クローゼットの奥深くにしまいこんだ、あれ。





「ゆ・う・が・クン。」



奥さん人差し指を口元に。
「り・・・りかちゃん、あれ・・・」
「あのね、今日ね、ちょっとお部屋片付けようと思ったの。」
りかちゃん、たたたってそのドレスにかけよって、
うれしそうにレースに頬擦りして、うふん、って顔をする。

「見いつけちゃったっ。」
「あ・・・あの・・・・それ・・・。」
「すってきよねえ。」
肩口の緑のリボンに、指なんか絡めながら。
「そ・・・・そう・・・・?」


そう、これは去年の忘年会の余興で無理やり着させられた。
霧矢先輩とかが、皆やるからやらんかい!!ってことで。
んで俺に、一番胸開いたヒラヒラのが回ってきたってわけ。
ああ、恥ずかしくて隠しておいたってのに。



「ねえ、ねえ、悠河くうん。」
奥さん、嬉しそうな猫みたいに目を細めて唇を尖らせる。
「な・・・何?」
「これ・・・あたしへのプレゼント?」
顎上げて、甘あい声で。
そうだ!そういや俺たちサイズそんなに変わらないはず。
胸さえちょっといじれば・・・いや・・・いじらなくても・・・むにゃむにゃ。
俺は首をぶんぶん縦に。


「嬉しいっ!」


奥さん飛び上がって抱きついて。
なんか、まあ、喜んでくれたしよかったかな。
俺のお古なんかでいいのかなあ。
でも、確かに・・・確かにりかちゃん似合うかも。



嬉しいっ、って身体中でいってくれる奥さん。
こういうとこが、可愛くてたまんない。

エプロンのリボンをしゅるっ、て外す。
ネクタイをしゅっ、て外される。





ちょっと早とちり、だけど可愛い俺の奥さん。
















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