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『 12 』
溶けちゃうの、あなたの腕の中で。
蕩けるの、あなたの胸の中で。
悠河クンはとっても気持ちよさそうに、
レースから零れる、あたしの胸に顔を埋めてる。
閉じた睫が、結構長い。
柔らかい唇、結構熱い。
奥さんの肌が、今日は一段と真っ白で。
真っ赤なレースとのコントラストに、それだけで俺はどきどきしてる。
鮮やかな肌の白さに、吸い込まれそうになる。
女の人の肌、っていうより、これはりかちゃんの肌。
そっと唇を這わせると、ちょっと控えめな胸の谷間に薄く汗。
外向けに色っぽいのは、もちろんなんだけど、
時々、思いもかけない色気が滲むことがある。
ちいさく息をするその刹那、口元が尖る、
そんなとこがくるんだよなあ。
そんなとこって?
・・・いいの、だあれも分からなくて。
俺だけの、秘密のりかちゃんだから。
「やあん、なあに笑ってるの ?」
「ん。 何でもない。」
「悠河クン、気が散ってるっ?!」
「散ってないっ!」
がばっと、悠河クンは被さって。
するするって、綺麗な指がレースを剥いでいく。
そうなの、この人って結構器用なの。
生まれたまんまのあたしを抱き寄せて。
ああん、そうして、雨あられのキスの嵐。
いきなり大胆になってみる、こんなところも堪らない。
あなたってば案外、繊細で器用。
格好良くて、時には大胆で。
年下とか年上とか、軽く飛び越えてくれる。
あたしを溺れさせてくれる。
本当はとっても危険ね、あなた。
だから思い切り、抱きしめ返す。
あなたの首にむしゃぶりつくように。
「・・・・・・・りかちゃん、苦しい・・・」
あたしはうふふって、微笑を返す。
「苦しくても、・・・・・・・・・愛してる?」
「あ・・ったりまえ、じゃんっ !」
苦しい息の下のあなた。
片眉があがるところが、たまらなく粋よ。
こんなにパーフェクトなあなたですもの、
あたしは安心して、溺れてしまえる。
さあ、一緒にあなたも溺れてね。
「あああああ――――――――んっ !!
何にもできてないいっっ!」
奥さんが叫ぶ。
真っ白な脚をすんなり伸ばしながら。
ばたばたっとシャツをひっかけて、健気にエプロンをひっぱりだす。
「いいよ、何か作るから。」
「でも・・・・」
「んじゃ、一緒に作ろ。」
「・・・ん。」
「お肉にする?」
「・・ん。」
薄切りの牛肉を、エプロンのあなたはさっとソテー。
「うわ、いい匂い。」
「じゃ、りかちゃんはお野菜。」
とかいって、殆ど下ごしらえは悠河クンしてくれた。
あたしは言われたとおり、アボガドとシュリンプを黙々とあえるだけ。
「ちょっと、味見。」
あたしは一欠けら、彼の口元に。
「ん、美味しい。
りかちゃん、上手。」
笑窪を浮かべるあなたに、あたしってばはにかんでみる。
たわいないくらい、簡単に幸せにしてくれる。
いいの、だあれもわからなくて。
「やだなあ、思い出し笑いとかしてるでしょ。」
「ううん。」
あなたにも、教えてあげないわ
本当は、とっても危険なあなた。
あたしだけの、秘密の悠河クンだから。
秘密のあなたを胸に抱きしめ、幸せにあなたに溺れよう。
誰よりも、何よりも、
あたしの素敵なダンナ様。
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