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『 4 』
うお、もうこんな時間。
昨日会社でもらったチョコは全部生ゴミで、りかさんが捨てちゃった。
なあんにも気にしてないわよ!とか言いながら、そーゆーとこも可愛いんだよな。
ふくれっつらのりかさんの顔なんか、ぼうっと思い出し、
にやけながらキーホルダーを取り出した。
「たっだいまぁ―――――っ!
りかさー・・・・んじゃなくて、りかちゃあん!」
アレ電気つけてないの?
うたた寝でもしちゃたのかな、りかさん睡眠不足だと肌が~ってよく叫んでるし。
昨晩もね、ほら、結局・・・・・・・いや、その、なんつうか・・・・・・・・
ほら、新婚さんだから、ってことで。
リビングのテーブルにキャンドルが一つだけ。
その向うに、気だるく座るうちの奥さん。
「り・・・・りか・・ちゃん ? 」
独身時代から、面白いカッコ(?)してたけど。
レストランとかではもうめちゃくちゃ目立ってたけど。
うっわあ、これは初めて見た。
緑のぴかぴかのチャイナドレスに網タイツ。
ピンヒールの彼女がすくっと立ち上がる。
「ど・・どしたの・・今日は?」
どもる俺にゆらゆらした瞳で近づいて。
甘ーい香水、真っ赤な唇。
「昨日ね、チョコあげそこなっちゃったから。
・・・・おめかししたの。」
うーん、論理の飛躍が時々わからないけど、
そこもまた魅力的。
「綺麗?」
「うん、すっごく綺麗だよ。」
「ほんとう?」
長い爪で俺の顎を掠めるように包む。
「うんっ!りかちゃん、女王さまみたい。」
・・・・・・・・・ じょ、女王様って、なんか違わない~?
ううん、悠河クンはむさい男どもと違ってフーゾクとか行かないのよ。
あたしがいるんですもん、必要ないじゃないっ!
そうね、彼の世界であたしは女王さまなのよね。
ああ、いやだわ、あたしってば低俗で。
気を取りなおし、あたしはソファに彼を誘う。
「悠河ク・・ン。」
りかちゃんはすっかりなにかになりきって、
ソファで高く脚をあげて見せる。
もう、なにやりだすか分かんないとこもたまらなく可愛いよな。
傍に座って、そおっとやさしく脚にタッチ。
こんなに綺麗な身体に、迂闊に触ったら罰当たりそうな気がして。
もお、あたしはあなたの奥さんなのに、
どうしてそんな恐る恐る触るの?
手を重ねて、ぐっとひっぱって、ぎゅうっと抱きついて。
トドメに耳を舌でぐりぐりぐりっ!!
「 あうっ。 りか、ちゃ・・ん。」
あとはもう、言葉になんかならない。
ねぇ、一緒に昇天しましょ。
――――――――――――――
「ああん、お夕食忘れてたあああ―――――っ!」
ソファでひっくり返るあたしに、今更だけどお帰りのちゅうをして、
悠河クンはエプロンを手馴れたように身につける。
「今日はね、焼き魚でいい?」
「ねえ、なんで、ケッコンしたの?」
テーブルに肘をつけたまま、お行儀悪くあたしは尋ねてみる。
「愛してるから。」
あたしの魚をほぐしながら、あったりまえという顔で彼は言う。
「はい、りかちゃん。口あけて。」
あたしは、彼から魚をもらう。
そして、あたしは明日も明後日も問いかけて。
あなたは明日も明後日も答えてくれる。
いつまでもどこまでも、あたしの素敵なダンナ様。
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