第3章

 監禁室を出されたすみれは手術室の横の例のSルームへと連れて行かれ、その場で衣服を脱ぐように指示された。
「ああ・・・」
 これから自分に行われる行為をすみれは、眼前の壁窓の向こうに見える手術室で行われたディーナの改造実験を目の当たりにしていて理解していた。
 しかし抵抗したところで逃げられるはずもない。
 彼女の周りは屈強そうな黒服の男達が厳しい視線で見張っており、さらに扉の内と外も複数の男達で固められていたのである。
「早く服を脱ぎたまえ。」
 黒服の男の一人が呆然とするすみれに対して冷たく言い放った。
 しかしすみれの指は恐怖のためにボタンひとつ外すことができない。
 これを見かねた男の一人が口元を歪めると部屋の隅に待機していた別の男に何か目配せして合図を送った。
「今、服を脱がすのを手伝う者を呼んだ。これから先、俺達は実験材料にふれることが許されていないのでな。」
 そう言われたとき、すみれは不意に開かれた扉の向こうに姿を見せた女性の人影を見て「あっ」と声をあげた。
「リンダ!?」
 
    

そこにいたのは一緒に捕われ、ここに連れてこられてすぐに離ればなれになっていた同級生のリンダであったのだ。
 しかし名前を呼ばれたリンダの反応とその身体を見たとき、すみれは彼女がすでに人間ではなくなっていることを悟る。
 リンダは所長のグリエフの趣味であろうか、肩を露出させた裾の長いシンプルなドレスを着せられていたが、その瞳は生命の輝きの無い冷たいレンズの義眼である。
また首は頭部とのジョイントになっているのか耳の後ろから完全に機械化されていた。
「MSS-9、次の仲間になる娘だ。服を脱がす手伝いをしてやれ。」
 男がニヤニヤと笑いながら命令すると、型式番号で呼ばれたリンダはモーターの駆動音を鳴らしながらぎこちなくおじぎをした。
「カシコマリ・・・マシタ。」
 その声は電子音混じりであったが間違いなくすみれの知っているリンダの声であった。
 リンダがゆっくりとすみれに近づき、彼女の服の胸元に手をのばす。
すみれは咄嗟にリンダの手を握りしめた。
「ああ・・・」
 すみれはリンダの姿を間近で見て瞳を潤ませ、声を詰まらせた。
 彼女の美しかった長い金髪は明らかに人工の毛髪にされており、その腕も所々金属パーツが露出していた。
 すみれの目から見ても、リンダはすでに全身を完全に機械化されていることは一目瞭然であった。
「リンダ・・・私がわかる?」
 すみれが小声で問いかける。
 しかしリンダは瞳を数度明滅させると、人形のようにぎこちなく微笑みつつ口を開いた。
「オテツダイ・・・サセテ・・・イタダキマス」
 哀れな機械人形となったリンダに絶望の表情を見せるすみれに向かって、男の一人が苦笑を浮かべながら言った。
「そいつに話かけても無駄だ。手術中のトラブルで身体だけでなく脳の半分以上を改造されちまってるからな。教えてやるよ、そいつの型式番号はメイド・セクサボーグの9号機の略だ。」
「セクサボーグ?」
「単純に言えば性処理専門サイボーグってこった。まあ、ここにいる男達はみんなそいつに遊ばせてもらってるよ。」
 ヒヒッと男は卑屈に笑った。 
「そいつに取り付けられている人工性器は試作品だが特に念入りに造られている逸品だよ。知っているか?その人工性器の最新改良型にあんたのモノも改造されるって話だからな。まあ、楽しみにしてるこった。」
「え!?」
 すみれは息を飲んだ。最新改良型の人工性器がこの身体に取り付けられる。
 自分はセクサボーグという性処理人形に改造されてしまうのか、もしもそうだとすればこの事実にすみれは驚きと恐怖で一言も発することができなかった。
 その間もリンダは低いモーターの可動音を発しながらすみれの衣服のボタンを外し、下着を下着をも脱がせにかかる。
 数分後、すみれはあえなく全裸にされていた。
 すると白衣を着た男達が部屋に入って来てすみれの両脇を固める。
「よし、いいだろう。さあ、行こうか。」
 男に促されすみれは震える足で何度もよろめきながら引きずられるように手術室へと連れて行かれた。
 手術室のドアが開く。
 手術室にはすでに手術着に手袋、マスクを装着した研究者たちが改造材料の到着を待ちわびていた。
 そしてそのうちの一人は紛れもなくあのグリエフ博士であった。
「すみれさん、お待ちしてました。大抵の娘は泣き叫んだり失神したりするものだが、さすがは侍の国日本のお嬢さんだ。あなたならきっと改造手術に耐え抜いて素晴らしいサイボーグとして生まれ変われることでしょう。」
 嬉々として話しかけてくるグリエフをすみれは必死ににらみつける。
 これがすみれにとって最後のささやかな抵抗であったのかもしれない。
 これを見てグリエフはふうと息をついた。
 それが合図なのかグリエフに後ろに待機していた白衣の研究者達が進み出ると、すみれの身体を押さえ込むように手術台の上に押さえつける。
「きゃあっ!?」
 すみれは驚いて、必死に抵抗するが研究者達は強引に彼女の両手両足を手術台に押さえ込むと素早くベルトで拘束する。
「いや!離して!!」
 すみれの視界にまぶしい天井の手術用照明が映り、その周りを不気味な研究者たちの顔が囲んだ。
 このとき必死に押さえ込んできた恐怖が遂に彼女の心を押しつぶし、それは悲鳴へと変わった。
「いやああああっ!!お願い!助けてぇぇっ!!」
「マスクを。」
 すみれの悲痛な叫びを無視してグリエフの指示が飛んだ。

  
 麻酔マスクがすみれの鼻と口に押し当てられる。
「う、うぐっ!!」
 すみれの涙で潤んだ瞳が大きく見開かれたる。
「うっ・・・ううう・・・」
 視界が歪み、意識が遠のいてゆく。やがて大好きな家族の顔が一瞬、すみれの脳裏に浮かびそしてそれは闇に消えて行った。
「全身麻酔完了しました。」
「脈拍、脳波正常です。」
「うむ。諸君、承知していると思うが今回の改造手術の正否は我々の死活がかかっている。この娘の改造に全力を注いでくれたまえ。」
「はい。」
 グリエフの言葉に周囲の研究員たちがうなずいた。
「まずは臓器を摘出、人工臓器への改造を行う。人工心臓の準備を怠るな。」
 手術が開始される。
 グリエフの持つレーザーメスによって、すみれの胸部から腹部が容赦なく切り開かれた。
 露わになったすみれの体内にマニピュレータが延びて行き、まるで腑分けを行うように機械的に臓器を次々に摘出してゆく。
「心臓摘出。」
「人工心臓への切り替え急げ。」
 研究者たちの手によって、人工心臓へ血液のチューブが接続される。
 この作業と並行して肋骨もまた切除された。そこに金属骨格フレームが埋め込まれる。
 これまでの研究の成果であろうか、グリエフの指揮の元、すみれの肉体は瞬く間に冷たい機械へと造り変えられて行ったのである。
 内臓器官の改造が続けられる中、別の研究員がすみれの両手両足を切断、人工骨格及び人工筋肉を持つ手足を取り付けにかかっていた。
「循環器系の人工心臓への接続完了しました。」
「人工血液への交換を開始したまえ。」
 グリエフの指示したのはサイボーグ機関に合わせた人工血液の注入である。
 すみれの胸部にはAタイプサイボーグ専用の乳房を形作る外郭が取り付けられた。

  
 チューブがすみれの胸部に埋め込まれた乳房の乳首部の端子に接続される。
 そのときビクリと一瞬、すみれの身体が反応したのを見てグリエフは満足げに目を細めた。
「生命反応は?」
「若干、脳波脈拍が乱れていますが、まだ大丈夫です。人工血液への交換は順調です。」
「人工心臓も正常に起動しています。」
 グリエフはニタリと笑った。
「よし、ここまで主要内臓機関が機械化できれば一つ山を越えたという物だ。だが諸君、気は抜くなよ。」
「はい。」
 研究者たちはそれぞれの役割をもってすみれの身体をさらに容赦なく機械化する作業に戻る。
 グリエフはほぼ外郭の改造を終えた胸部の改造を別の者に任せると、自分はすみれの下腹部の改造へと取りかかることにした。
 すでに彼女の下半身もほとんど機械化が終了している。
 女性の象徴の子宮とその生殖器官もすでに切除摘出されていた。
 骨盤を模した金属フレームの中心に空いた空洞箇所から神経回路へとつながるコードが接続されている。
 セクサボーグにとって人工性器は命とも呼べる回路である。
「意識回路の接続チェック。これより人工性器を取り付ける。」
「了解しました。覚醒レベルはいくつにしますか?」
「いきなり覚醒させて自分のこの身体を見たらどうなると思う。発狂するのがオチだ。」
「申し訳ありません。」
「脳神経への接続は?」
「レベル2で完了しています。」
「十分だ。覚醒レベル2だ。」
 グリエフの指示を研究員の一人がコンソールパネルに打ち込む。
 同時にまるでスイッチが入ったように、すみれがゆっくりと瞳を開いた。
しかしその瞳はどろりと濁っており、輝きはない。
「う・・・」


 頭部はまだ未改造であったが、このときすでに背骨は強化金属骨格へ改造されており、脊髄の大半もこのとき機械化されていたため電子情報を脳に送り込むことは容易であった。
「すみれ君。今から君の新しい生殖器を取り付ける。神経回路をつなげるからたっぷりと快感に身を委ねたまえ。君の反応がさらに君を美しく改造するデータとなるのだからね。」
 グリエフの言葉が聞こえているのかどうかもわからないまま、すみれは頭を上げて冷たい金属に変わった自分の乳房を見つめた。
 そのとき暗く澱んでいた瞳にかすかな光が戻り、それが確かな光へと変化してゆく。
「・・・そ、そんな・・・いや・・・いやぁぁぁぁーっ!!こんなの・・・こんなの・・・私じゃない!いやぁぁぁぁっ!!」
 狂ったように絶叫するするすみれを無視するようにグリエフが研究者に目で合図を送る。
「ひいっ!」
 その研究者がすみれの首に注射器で薬品を注入したのだ。
「すみれくん、静かにしていたまえ。」
 薬品は強力な鎮静剤らしく、すみれは涙を流したまま口を開閉させることしかできない。
「心配しなくていい。その薬はすぐに切れる。苦しいのは一瞬だよ。」
 もちろんこのときのすみれにこのグリエフの説明が耳に入るはずがなかった。
「い、いいぃぃぃぃぃっ!!」
 突然、すみれが声にならない声をあげて頭をのけぞらせた。
 機械化された両手両足を含め身体もまた金属のリングで拘束されているため、動かせたのは首から上だけであり、すみれは機械の身体を小刻みに振るわせる。
「くはっ、くはっ!あうっあううううううっ!!」
 彼女の声の原因。
 それはグリエフの作業にあることは言うまでもなかろう。

  
 グリエフは機械のすみれの股間に顔をうずめるように黙々と作業を続けていた。
 そう、彼は人工性器と彼女の股間から延びる神経コードの接続を行っていたのである。
「や、やめて、いやあ・・・こんな、私、何をされているの!?あううっ!ああん、あああっ!ひいいいっ!」
 薬の効果が薄らいできたのであろう。
 すみれは頭を狂ったように振り動かし、涙と涎を流しながら嬌声をあげ続ける。
「覚醒レベル2でこのよがりようとは。君は幸せだね、最高の人工性器を手に入れるのだから。」
 研究者の一人がすみれの耳元にささやく。
 やがてグリエフが接続を終えると一本のマニピュレーターがその人工性器を掴み、すみれの股間の空洞に挿入して行き、接続固定作業に入った。
 マニピュレーターにより人工性器が固定されたのを確認すると、つぎにグリエフは手に持った棒状のセンサーをその人工性器に無造作に押し込んだ。
「あ、あうううっ!」
「粘膜組織、疑似体液の分泌、人工陰芯全て正常に可動しています。」
「いやあっ!こんなに感じてる!?ちがう!こんなの私じゃない!!たすけてええっ!!うああああっ!」
 あまりのすみれのもだえように周囲の研究者たちも思わず改造の手を休めそうになる。
「続けたまえ。」
 グリエフの警告が冷たく飛んだ。
 研究者たちはギョッとして止めていた手を動かし始める。
「どうだ、膣内データの結果は?」
「完璧です。フフフ、この娘の前では落ちない男はいないと断言できます。」

    
「ふん。」
 グリエフは鼻で笑った。
 この人工性器を造るために多くの若い娘を実験材料に使ったのだ。それぐらいの性能が無くては困るではないか。
「機械体の各部反応をチェック。」
 研究者の一人が装置のボタンを押す。
「ひあああああああああっっ!!」
 すみれが両目を見開いてのけぞる。そのときすみれの胸部に埋め込まれた乳房パーツの乳首部分がツンと起ち始めたのである。

    

その光景をグリエフ達は満足そうに眺めていた。
「機械体の反応、問題ありません。」
「見事な出来映えだ。」
 グリエフがそう言ってすみれの金属の乳首を強くつまみ上げたとき、すみれが全身を震わせた。

    


「い、いくうううっ!!」
 頭をのけぞらせたすみれが硬直し、静かになる。
 全身に埋め込まれた電子回路を快感の電磁パルスが駆け抜け、彼女の脳に絶頂感を与えたのである。
すでに肺も機械化されているので人工肺が回路を点滅させながら激しく膨縮している。
「さて、いよいよ頭部切開にかかろうか。」
「はい。」
 研究員の一人が彼女の美しい黒髪を剃り落とし始める。


 グリエフは僅かに覚醒しているすみれの耳元に顔を近づけささやきかけた。
「すみれ君、どうだったかね、新しい性器の感触は?」
「いや・・・いやよ・・・こんなの・・・もう、やめて・・・」
「もう遅いよ。君はもはや人間ではない。心配はいらない、これから頭部を切開して、脳を取り出す。そして君の首から上も全て、そう目も鼻も耳も口も機械化する。次に目が覚めるとき君は九条すみれから全く新しい存在として生まれ変わっているだろう。」
「そ、そんなっ、ううっ・・・」
 すみれの瞳から涙が落ちる。
「涙か。まあこれが最後だ。意識回路を切るまでの間、好きなだけ流すがいい。」
 数分後すみれの髪は全て剃り落とされた。
「申し訳ないが、君の記憶は全て消去させてもらうからね。君もその方が幸せだろ?Aタイプサイボーグになる君にとってはその方がいい。」
 グリエフのその言葉が終わるとすみれの頭に激痛が襲った。
「ぐ、うああああっ・・・・・・」
 意識回路が閉ざされたのである。
 すみれが意識を失うのを確認してグリエフは一度だけ彼女の頬をなで上げた。
「それでは脳の摘出にかかる。」
 グリエフの手のレーザーメスが光る。
 そして再び冷たい機械の腕-マニピュレーターがすみれの頭部へと延びていくのであった。
第三章/終

 

 

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