これの件です。長々と引用することはしませんが、山田太郎は散々このツイートを批判された後、以下のように付け加えています。
子ども食堂の役割は「地域交流の拠点」と「子どもの貧困対策」。これまでの行政主体だと「貧困だと思われたくない」と周りの目を気にし子どもが来にくい状況も。貧困対策を出しすぎず誰もが集える場所が重要。今回、料亭が始めたのは子ども食堂の新しい視点を予見させる素晴らしい試みだと思います。
子ども食堂の役割は一層増してます。しかし運営費等は多くの場合、ボランティアや寄付が現状で日々子どもたちのために運営してくださっている皆さんには頭が下がります。本来、行政がもっと支援すべきですが、地方自治体等が予算を組んで財政的に支援している地域とそうでない地域には大差があります。
子ども食堂の存在の背景には母子家庭の58%が年間就労収入200万円未満という状況。子どもの相対的貧困は7人に一人です。相対的とはいえ親子二人世帯で月額14万という水準の子供が7人に1人というのは事実です。自治体の支援に格差がある状況を放置ぜず国が全面的に子どもの貧困に責任を持つべきです。
子ども食堂が今目の前の子どもたちの為にしっかりと継続される仕組みや体制作りを政治として早急に取り組むべきです。そして、子ども食堂が民間と共に輪を広げ、真に地域交流の為であって、貧困対策としては不用となる日本になるよう根本的な貧困対策を目指して行きます。
安倍がこども食堂タダ乗りで批判されたのは……
そもそもの話の前提として、こども食堂と自民党のかかわりは平成28年、つまり5年ほど前に遡ります。このとき、当時の首相だった安倍晋三は「子供の未来応援基金」を募集、広報に2億円かけて2000万円集めるという華々しい成果を上げました。この基金の1周年の集いで、安倍晋三が発したメッセージが上に引用した有名な手紙でした。
もちろん、この超他人事なメッセージはボロクソに非難されたわけですが、山田太郎はこれとまったく同じことをやったわけです。
繰り返すように、安倍がこの件で批判されたのは5年ほど前の話であり、この出来事は福祉にかかわる民間の人々の間では自民党の冷徹さと無能さの象徴として強く記憶されていることと思います。山田太郎は与党の国会議員という立場であるにもかかわらず、このことをすっかり忘れ二の舞を演じたわけです。
まぁ、仮にこのことをすっかり忘れていたとしても、まともな思考力があればこども食堂を素晴らしいなどと称賛するような間抜けはしません。このケースだけでも彼に国会議員としての資質がないことは明白でしょう。
こども食堂は本来存在すべきでないもの
こども食堂は、子供に満足に食べさせることができない貧困層の人々のため、せめてもの対策としてボランティアが始めたものです。裏を返せば、こども食堂が広がっているということは、それだけ貧困が広がっているということです。こども食堂は本来存在すべきものではありませんし、この活動が盛んになっていることを国会議員であれば恥じるべきです。山田太郎は言い訳として、まずこども食堂の「地域の拠点」としての役割を強調します。が、別にこれはこども食堂でなくともいいだけの話なので何の理由にもなっていません。
『子ども食堂が今目の前の子どもたちの為に』という文章からは、こども食堂の迅速さ、つまりいま現在困っている子供を支援するという役割に注目しているとも解釈できますが、やはりこれも理由になっていません。予算さえあれば行政のほうが広く早く対応できるのは自明だからです。生活保護等の支援を受けるのに時間がかかる現状は、社会保障費を少しでも削りたい政府の意向を受けた水際作戦などが横行しているためであり、政府がこの方針を転換し迅速な支援のために手続きを緩和すれば済むだけの話です。
『地方自治体等が予算を組んで財政的に支援している地域とそうでない地域には大差があります』という文章からは、予算の少ない自治体でもボランティアでカバーできるという主張が読み取れますが、これこそ噴飯ものでしょう。三食満足に食べるという最低限の生活保障は自治体の予算規模にかかわらず実現されるべきであり、それを実現するのが国会議員の仕事だからです。ボランティアが自治体の脆弱さをカバーできることを売りにするのは、国会議員が自らの業務を怠っていると白状するのと同じです。
そもそも、民間のボランティアの成否はその活動に習熟した支援者の有無に大きく左右されます。そういう意味で、業務として行う行政よりも支援を受けられるかどうかが安定しません。ボランティアだからやむを得ないことです。最低限の生活のベースラインを守るという目的から考えれば、そのためにボランティアを利用するのはむしろ不適当であるといえるでしょう。それでもボランティアがやらなければいけないのは、政治家が無能で怠慢だからです。
8年間も与党なのに
批判がやまないのに焦ったのか、山田太郎はさらに言葉を重ねます。しかし、墓穴を掘っているようにしか見えません。9日今朝のNHK日曜討論でも西村大臣から「フードバンク、こども食堂へも国が直接支援する」と明言。今コロナ禍で党がこども食堂についても毎週の様に政府に直接支援を強く働き掛けている結果です。困窮家庭や困難な状況にある子どもたちを助ける為、これを恒久的な措置にする様、働き掛けていきます。まず、彼は「提言しました」といつもの「仕事しているふりムーブ」を炸裂させます。しかし、当然ふりでしかないのでなんの実績もありません。
民間任せにするな、国営こども食堂を作るべきだとの指摘も有ります。しかし、こども食堂の役割は、積極的な取り組みをしてきた湯浅誠さんが政府会合でも指摘しています。(以下「」一部引用)「地域のお祭りに行くような感覚で黄信号の子どもも青信号の顔をして行ける」事が大切だとしています(続く)
こども食堂の役割で、(以下「」湯浅誠さん発言引用)「長年赤信号対応を行ってきた行政や福祉専門職は黄信号対応を不得手としています。‥黄信号から赤信号への転落を予防する子ども食堂と赤信号対応を専門とする行政、福祉専門職が連携して子どもの貧困対策に取り組むのが理想的な形だ」(続く)
私もこども食堂を全て国が運営するには限界と思います。困難な状態の家庭に行政がアウトリーチすべきとの議論も党内でも始まっています。が現場担当者や専門家から様々なケースで直ぐには難しいとの現状も指摘あり。いかにNPOと自治体、国が連携できるのか、こども庁構想の中でも検討していきます。
そもそも、自民党は与党に復帰してからすでに8年以上が経過しています。その間、福祉対策ができたでしょうか。いや、まったくできていません。むしろ悪化したからこそこども食堂が生まれたのです。「悪夢の民主党政権」はたった3年でしたが、その間に不十分ながらもこども手当や高校無償化を実現しましたし、もちろんこども食堂なんて活動は広がっていませんでした。その悪夢より3倍近い時間を費やしながら何もできなかった政党が、今になって『積極的に動いています』とはへそで茶を沸かすつもりでしょうか。
もっと恐ろしいのは、散々こども食堂が不要になる社会を作れと批判されたのに、後続のツイートで『これを恒久的な措置にする様、働き掛けていきます』と書いていることです。こども食堂にただ乗りする現状を解消するのではなく、人々の善意に寄生することを恒久化すると宣言しているのです。問題を解決する気もなければ、そもそも何が問題なのかを理解する気もないのでしょう。
『こども食堂を全て国が運営するには限界と思います』に至っては恥を知れと言うべきです。現在、国によって運営されているこども食堂はただの一つも存在しません。当然ですが。にもかかわらず、まるで少しは国がこども食堂を運営しているかのように語るのは、市民の善意を簒奪にほかなりません。
まとめると、山田太郎のこども食堂に対する一連のツイートは、こども食堂という善意にタダ乗りし、それによって福祉に税金を使うことを否定し、挙句市民の活動の成果を奪い去ろうとすらしているものです。はっきり言ってクソです。
自民党はクソ
これはもうほんと耳タコだと思うんですが、山田太郎は典型的な自民党議員で、つまり自分が得をすればあとはどうでもいいという人間です。彼が自民党から出馬した時点で、すでに自民党は複数の疑獄や公文書の破棄偽造を行っておりそのことは確実視されていたわけですから、彼はそんな組織から出馬できる程度の倫理観しかないということです。これは、現在自民党に所属している全員に言えることですが。アメリカはトランプという巨大な無能に悩まされましたが、選挙で彼を追い落とした結果急速に感染症対策が進みました。物事の多くは突然よくなるものではありませんが、政治は数少ない例外といえます。選挙の結果によって、政治を支配する人間の大多数がごそっと入れ替わる可能性があるからです。
我々も自民党という巨大な無能に悩まされています。が、この無能さえ取り除けばぐっと社会がよくなる可能性があるということでもあります。今年は選挙の年です。やることはもうわかりますね?
コメント
コメント一覧 (2)
「子ども食堂は貧困対策だと勘違いされている。地域交流の場であり行政の目が行き届かない虐待などを発見できる」
最初の料理店に対する「今度食べに行ってやるよ」という異様に偉そうな引用ツイートは何だったのでしょうか