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共同親権を考える
~安心・安全な運用のため、私たちができること
弁護士法人名古屋南部法律事務所 弁護士 岡 村 晴 美
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自己紹介
名古屋南部法律事務所
弁護士 岡 村 晴 美 (弁護士経験19年目)
取扱分野: DV 性虐待 ストーカー
パワハラ セクハラ 学校のいじめ
ハラスメントに関する事件にとりくむことで、
個人が尊重される社会を目指していきたい
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ハラスメント防止に取り組む背景として、いじめに遭った経験
詳しくはこちらから
いじめの経験から得たこと
1 ハラスメントは人間関係
2 加害者は加害の自覚がない
3 被害者は被害に自信がもてない
4 被害は時間差で生じ、後々まで残ることがある
5 周囲の人にも関係がある
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共同親権問題を考えるために必要なDVの知識 その1
「DV=身体的暴力」ではない。
痛いから辛い、痛いから怖いのではない。
圧倒的な上下関係を強いられ、
屈辱的で、みじめで、逆らえない、
人格を軽んじられ傷つくことで生まれる恐怖
「精神的暴力=軽い暴力」ではない。
(設例) 家と公園のどちらが安全?
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共同親権問題を考えるために必要なDVの知識 その2
潜在的に性的DVが存在していることも
性的支配は、支配の最終形態
抵抗しないケースも、傷つきは小さくない
2023年の刑法改正で、不同意わいせつ罪・不同意性交等罪は、「婚姻関係の
有無にかかわらず」成立することが明記。不同意となる場合として、「虐待に起
因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること」が例示され、これに
DVが含まれると説明されていることから、性的DVは犯罪行為であるという認
識が必要(刑法176条、177条)。
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共同親権問題を考えるために必要なDVの知識 その3
すべてのDVは子どもに影響がある
子どもへの虐待と併存する場合
監護親にダメージを与え養育環境を悪化させる場合
子どもを味方にして被害者を孤立させる場合
面前DV(児童虐待防止法第2条4号)
児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭にお
ける配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関
係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又
は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動
をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
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DV被害によって生じる症状
PTSDの症状
・再体験(フラッシュバック、悪夢、強い情動や強い身体感覚)
・回避(関連することを考えたり、それを想起させる行動ができない、健忘)
・脅威感(脅威の継続感、過剰な警戒心、過剰な驚愕反応)
複雑性PTSDの症状
・感情の調節障害(感情の過剰もしくは無感情)
・認知の調節障害(自分に価値がないと信じ込む、強い恥、自責、挫折感)
・対人関係の障害(他人との関係を避ける、信用できない、無関心)
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DV被害によって生じる症状
具体的には、
・弁護士からのメールや郵便物が開けられない。
・子どもの面会交流のたびに被害を想起し、1週間寝込む。
・時系列に沿って理路整然と話をすることができない。
・打合せや尋問の後、記憶がない。
相手方への強い恐怖感や、神経質で不合理にみえる言動は、
PTSDや複雑性PTSDの症状である可能性がある。
回復に向けて進むには、信頼関係を築き共通の目標を見いだし、協働作業
の土台を構築する必要があるが、同時にそれは最も困難なことでもある。
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暴力にさらされる女性をめぐる法改正
2022年5月、売春防止法を改め、困難女性支援法が成立
2023年5月、DV防止法が抜本的改正
2023年6月、性犯罪に関する刑法の改正
→近年、暴力にさらされる女性の支援法は、被害の実態に
合わせる形で整備されてきた
2024年5月17日、共同親権制度の導入を含む
民法(家族法)改正が採択。77年ぶりの大改正
となったが、現場からは強い懸念の声があがった。
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DV被害者は、数年前から受難の時をむかえていた
ワンオペ育児で、DV・モラハラを受けても、子どもを連れて逃げ
れば、「連れ去り」「実子誘拐」などと非難され、刑事告訴、損害賠
償請求、児相通告、SNSでの誹謗中傷などを受ける
(=Post-Separation Abuse)
とりわけ、Post-Separation Legal Abuseは深刻化。
・同時期に複数の事件を量産する横展開
・面会交流の拡充を求めて次から次へとエンドレスな縦展開
・書面の記載による攻撃「実子誘拐」「虚偽DV」「片親疎外」
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そうした状況を憂いて、2020年10月、
ツイッター(現「X(エックス)」)を始める。
突如ツイッター界に舞い降りた天使こと、
弁護士小魚さかなこ
@KSakanako
投稿を始めて間もなく、誤った言説が流布されており、
共同親権に反対すると大変なことになることが分かった。
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