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岡村晴美弁護士講演「ちょっと待って!共同親権~安心・安全な運用のため、私たちができること~」

 以下は、2025年6月22日に開催された共同親権問題を考える学習会@滋賀における岡村晴美弁護士による講演の文字起こしです。
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 今日は1時間ぐらい、ちょっと若干伸びて70分ぐらいになるかもしれないですけれども、3時10分か15分ぐらいまでお話しさせていただければと思いますので、よろしくお願いします。今日の全体なんですけれど、共同親権を含む家族法改正についてお話ししますが、前提として、ドメスティックバイオレンス(DV)と家族ということの基礎知識がやっぱり分かっていないと、なかなか問題点が見えにくいところがありますので、前半はDVについてのお話が中心になるかと思います。

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 私が、ハラスメントに関する事件に取り組む背景として、自分が小学校時代に遭ったいじめの経験があります。これはこれで話してると1時間でも2時間でも話しますので、ちょっと割愛させていただきます。代わりに、配布資料のスライド3枚目の「詳しくはこちらから」という2次元コードにスマホのカメラ画面をかざしていただきますと、ホームページに飛びまして、過労死防止学会というところで、私が職場のハラスメントについて報告した講演録を文字起こしをして、それを論文形式にまとめたものがありますので、そちらを読んでいただきますと、今日のお話は家族とDVの話なんですけれど、職場のパワーハラスメントとも繋がっているなというところ、私がハラスメントにかける意気込みですとか、小学校時代にいじめにあった経験ですとか、そういったものを話しております。おまけみたいな、付録みたいなお得感があったという感想も聞いていますので、お読みいただけると幸いに思います。【リンクはこちら
 で、「詳しくはこちらから」を読んでいただくと書いてあることからの抜粋なんですけれども、私が自分がいじめの被害に遭ってその経験から得たことが5つあります。
 1つ目に、ハラスメントは人間関係だというものです。一つ一つの事実を捉えて、「今のセクハラだよ」とか、「今のはDVだよ」とか、そういう言葉を発しますが、これはある意味正しいけれども、ある意味間違っていて、そういったいじめとかDVが起こってる状態だと何もしていない状態でも圧迫的に感じて、相手の顔色を伺って、自分の意思表明や意見表明ができない状態になっているということなので、人間関係そのものということになります。小さい嫌がらせと言われるものも、その一つ一つをこういうことがあった、ああいうことがあったと言って、些細なことのようにみえて、それが日常生活の中で累積していくと非常に圧迫的に感じて、心が傷ついていくということがあります。DVは人間関係であるというところが、共同親権の問題を考える上で、非常に重要なポイントになるところです。 
 そして、2、3については、裏返しの問題ですけれど、パワハラでもいじめでもDVでも、加害者は加害の自覚がありません。もしくは自覚があったとしても、DVの加害者、パワハラでも加害者というのは、要するに自己保身の塊みたいになった人で、「自分は絶対に間違ってない」「自分は正しいんだ」っていうことを脳内にもう何度も何度も反芻します。言い訳はもちろん、経験とかすら捏造して、それを信じ込んでいくというところがありまして、本当に加害の自覚がなくなっていくというところがあります。
 そして、被害者は被害に自信が持てない。それはもう、加害者から「お前が悪いんだぞ」ということを繰り返し言われることもありますし、空気のように嫌がらせを受けるので、これがDVであるのか、いじめであるのかという自覚が非常に持ちにくく、「私が弱いせいじゃないか」「私が余分なことを言ったからこういうことになるんじゃないか」「他の人はもっと上手にやってるんじゃないか」ということで、被害の自信が持てないというところがあります。
  4つ目として、被害は時間差で生じ、後々まで残ることがある。これがですね、本当に特に家庭内だと起こってもなかなか理解されていないなと感じるところです。いじめの事件なんかをやっていると、いじめられていて、学年変わってクラスが変わるとか、いじめが原因で転校するとか、そういったことをすると安全な空間に置かれて初めて不登校になるということが生じます。専門のお医者さんのお話を聞くと、むしろその真っ只中にいる時にはその自分の心の傷ついていること自体にも向き合えないということがあって、それがようやく安心な場所に行って向き合えるということが起こるそうです。これはDVでも同じで、DVの家庭から逃げるために、同居する片方の親が子どもを連れ出したりすると、連れ出した先で不登校になったり、問題行動が起こったりするということが起こります。で、それを「やっぱり1人で育てるから良くないんだ」「2人揃ってた時には学校に通ってたのに、ひとり親になった瞬間から学校に通えなくなったじゃないか」とか、そういう短絡的なものの見方がまだまだ司法の分野でも見られることがあります。
  そして、ハラスメントでついた傷は後々まで残ります。一生残る傷です。そのことを知ること、病識と言いますけれど、自分が長期に渡って集団の中で傷ついた心の傷というのは、ずっと残るんだけれど、人との間で良い関係を構築することによって癒されてくという側面もあります。ですので、治らない/治るでいうと、治らないんですけれども、社会生活を楽しくやっていくことはできるようになるので、それを支えるのはその問題に直面した人だけじゃなくて、その後に関わった全ての人がそのことを理解して、傷ついた人が社会で生き生きのびのびと生きてくための働きをすることができます。
  5つ目。ハラスメントには、周囲の人にも関係があります。この「詳しくはこちらから」のところでも書いたんですけれど、いじめやDVの真っ只中にいる人は、自分はまだ理解してなくても、見ている周囲の人は傷つくということがあります。で、それのことを、職場のハラスメントに関しては、「間接パワハラ」という言葉で表したりします。自分がターゲットになっていなくても、集団の中でハラスメントがあったらそれを見ている人も傷ついていくという意味で周囲に関係があります。これは家庭で起こるとDVを見させられてる子どものことを面前DVと呼んでいます。なので、子どもがターゲットになっていなくても、家庭の中でDVがあれば子どもは傷ついていくということになります。
  もう1つの意味として、周囲の人が、被害者に対して、きちんとその被害の本質を理解して接することが、その人の傷つきを和らげたり、その人の希死念慮を和らげたりして生きることができるということもあります。なので、その意味でもこの4と5というのは、自分は関係ないということではなくて、社会で生きていく以上、当然に理解しておくべきことかなという風に思っています。

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 次に、共同親権問題を考えるために必要なDVの知識を3点まとめましたので、それについてお話をさせていただきます。
 まず1つ目として、DVは身体的暴力ではないということです。この偏見は、まだまだすごい社会にはびこっておりまして、例えばですけれども、「学校でうちの子がいじめに遭って学校に行けてないんだわ」と聞いた時にですね、「殴られたの?」って聞かないですね。いじめって聞くと、やっぱり言葉の暴力とか仲間外れとかそういうことされたのかなって想像をすると思います。で、例えば「うちの夫がパワーハラスメントにあって会社に行けてないんだわ」と言われても、「殴られてるの?」とは聞きませんよね。ノルマがきつかったのかなとか、叱責されたのかなと想像するわけです。けれども、DVはどうでしょうか?「うちの娘はDVにあって、家に帰ってきてる」と聞いた時に、「え?殴るような夫だったの?」って聞く人は、かなりいます。で、「いやなんかね。殴る蹴るはなかったみたいなんだけど、言葉の暴力があって」と言うとね、「ああ、じゃあ良かったね」って。これ結構言われてると思います。しかし全然そんなことはなくて、いじめでもパワハラでも、DVでも、尊厳が損なわれる状況が続くことに人の心は脆弱で傷つくんです。
  DVの本質は、自分という個人の尊厳が損なわれた状態が長く続くことによって生じる傷です。なので、痛いから辛いとか、痛いから怖いとかいうのではなくて、ここに書きました通り、圧倒的な上下関係を強いられて屈辱的で惨めで逆らえない状況、身体的暴力が家庭の中で振るわれるというそんな野蛮なことがあっても、毎日が平気で過ぎていく。その人権のなさ、人格尊重のなさ、そこに傷つくわけで、その傷によって生じる恐怖感というのは、「殴られるから怖い」っていう恐怖感とはまた別のものということになります。ですので、極論と言われますが、本質的だと思いますが、身体的暴力も、精神的暴力であるということが中核なんです。家庭の中で、身体的暴力なんてことを受ける自分のその存在の小ささ、ないがしろにされている感じ、それが、人間関係によって生じるハラスメントの本質です。ですので、人格を軽んじられて傷つくことで生まれる恐怖、これを社会が理解しないと、なぜDVを受けた人が、いつまでも離婚した後も相手が怖いのかということが分からないと思います。
  で、この設例。「家と公園のどちらが安全か」というのを書いたんですけれども、これは例えばですね、虐待がある人が家に帰ってくと、ガチャっとドアを開けた時に加害者の靴があるとするとですね、「怖いな」「機嫌いいかな?悪いかな?」って、すごくドキドキしながら入っていくということが起こります。また、家に被害者家族がいる時に加害者が帰ってきて、ドアがガチャって、ガチャッという音で、みんな怖い。背筋がもうピンと伸びて、テレビも変えたりして、小さいお子さんでもこう角を車がブゥオンって曲がる音が聞こえただけで、「もう帰ってくる」って怖がる。そういう切迫した状況というのがあります。そうするとですね。「家の中は危険」だということです。恐ろしい場所です。公園にいた方が気が楽なんです。だから公園と家のどっちが安全って言ったら公園の方が安全なんです。じゃあ、「家がそんな危険なら、今晩家で寝ずに公園で寝ますか?」って聞いたら、そんなことはしないんです。それは公園が危険だからです。鍵もかけないで公園で寝るわけにはいかないんです。このことがどう違うか、「危険」とか「安全」とか「恐怖」っていうものの、対象が違うんだということを理解しないと、DVは警察力でもって排除すればよいなどの間違った方向の考えに行ってしまうということがあります。

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 次に、共同親権問題を考えるために必要なDVの知識その2としては、潜在的に性的DV が存在してることが非常に多いということがあります。性的DVというと、夫婦間レイプみたいなものを想像するかもしれません。そういうことも確かにありますが、ほとんどは、いわゆる不機嫌ハラスメントと呼ばれる、性行為に応じないと不機嫌になるですとか、避妊をしないでどんどん子どもを作らされるですとか、「多産DV」という言葉で言われたりもします。性的な関係を結ぶことによって、その時だけは救われるという夫婦関係を送っている人は結構多くて、離婚してないご夫婦でも結構多いと思います。この抵抗しないけど、意に反した性行為というのが横行していて、DVで離婚するケースでもそれがありまして、長時間の説教を受けた末に謝って許してもらって、「分かればいいんだよ」と言って受け入れる性行為、時計を見ると深夜2時3時になっているような時に、そこで抵抗するなんてことはしません。むしろ、それは仲直りの性行為だとえいう風に加害者の人は思い込むというところがあります。しかし、これの傷つきは無理やりのレイプの場合より軽いわけでは決してないということです。
  これに関しては、2023年に刑法が改正されて、不同意性交が犯罪であるということになりました。同じ時の改正で、不同意性交は、夫婦間でも成り立ち成り立ちますよ、という条文が入りました。さらには不同意性交の1つの例として、「虐待に起因する心理的反応を生じさせること、またはそれがあること」要するに、DVや虐待がある状態で性行為をすることは、その性行為に対してイエスという風に言っていても、それはやはり不同意なんだよという例として挙げられてるものですが、これの例としてえDVが含まれるという風に法務省が説明しています。要するに性的DVというのは、今や犯罪なんです。しかし、じゃあ犯罪として立件されてるかと言ったら、現時点ではそうではない。しかし、傷つきがそれだけ大きいから、犯罪行為であることが確認されたんだよと。これは、全然見過ごされていると思います。

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 共同親権問題を考えるために必要なDVの知識のその3は、「DVは夫婦の問題で親子の問題ではない」というのが、この国ですごい盛んに言われることなんですけれど、DVが家族の中にあれば、全ての子どもに悪影響があります。例えば、こういうことを言うでしょうか。「うちのクラスはいじめがあるけれども体育大会では一致団結して良いクラスなんだ」とか、「うちはパワーハラスメントがあるけど業績が伸びてとても良い会社だ」とか。そういうこと言わないですよね。学校や職場だったら、いじめやパワハラがあると、やはり良くないクラスであり、良くない職場であると。しかし、家庭の中で起こると「DVはあるけれど子どもには関係がない」ということを平然と言ってのけるというようなことが起こります。
  統計をとったわけではありませんが、私の感覚だと、半分ぐらいは、配偶者にはDV、子どもには虐待、という分かりやすい構図ですが、そうとは限りません。残りの半分ぐらいは、監護親にダメージを与えるという類型があります。日本の場合、子育ての大半を女性が担ってる。「ワンオペ育児」「イクメン」という言葉にも代表される通り、お手伝い程度で「イクメン」と言われますが、「育ママ」という言葉はないわけです。よく例に出して言うんですが、例えば、「今日ね、うちの夫が5時に帰ってくるの」って聞いてね。皆さんどう思いますか?「夫が5時に帰ってくるなら、じゃあ楽だね。子どもの面倒はパパが見ててくれるから、ゆっくりお茶が飲めるね」なんて人いないですよ。「今日、夫が5時に帰ってくる」って言ったらね、みんな「大変!じゃ、早く帰ってご飯の支度しなきゃ」って口を揃えて言いますよ。
  それぐらい日本では、育児を女性が担っているという実態の代表例としてお話をしたんですけれども、そうであるにもかかわらず、養育している人に対して、「子どもの成績が悪いのはお前のせいだ、何やってるんだ」というような言葉で監護者にダメージを与えて養育環境を悪化させるというのは、DVの過程でよく起こります。また子どもを味方にして、「お母さんはデブだね。」「ブスだね。」「バカだね。」みたいな言葉で笑い物にして、一緒になって子どももはやし立てて・・・というのも起こります。監護親にダメージを与えて養育環境を悪化させることや、子どもを味方にして監護親を孤立させることについては、これは離婚後、別居後でも起こりうる対応ということになります。面前DVで DVのある関係を見せつけられて板挟みになることは、子どもにとっても悪影響なんだということが、なかなか理解されていないことがあるかなという風に思います。

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 次に、DV被害によって生じる症状ですが、このように PTSD と呼ばれる症状ですとか、複雑性PTSD と呼ばれる症状があります。

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 弁護士の視点で、実務家として、具体的にどういうことが起こるのかというと、例えば、弁護士からのメールや郵便物が開けられない。離婚に弁護士がつくと相手からの直接の連絡は止まります。弁護士が間に仲介で入ります。そうすると、弁護士からの連絡というのは、「また何か言われたんじゃないか」という受け止めになる。弁護士が、加害者に通じるドアみたいになって、1番に守ってあげる人であるにも関わらず、弁護士が電話するとすごく暗くて、「なんですか?」「何が起こったんですか?」みたいな風に電話に出る方というのが非常に多く、郵便物を開けるのも怖い、配偶者の書いた文字を見るのも怖いという人もいます。 
 今、裁判所では、子どもの面会交流を命じられます。それは、DV被害者であってもやらなきゃいけないという風に最初から命じられますので、面会交流はするわけですが、その度に被害のことを想起してしまい、面会があるたびに1週間寝込むというようなことも実際には起こっています。面会が近づくと頭痛がして、吐いたり、お腹を下したりしながら、なんとか頑張って乗り切ってるという人がいます。
 また、DV被害者というのは、その症状から肝心なとこは抜け落ちるとか、時系列によって話ができない、少なくとも理論整然と話をすることが非常に苦手な状態になってるということがあります。これは普段の自分の職場で仕事をしていく時にはテキパキやれてる人でもこの問題になると頭がもう脳の機能が低下してしまって、できなくなるというようなことも起こります。
 打ち合わせや尋問など記憶がないということも、これは本当に弁護士として困ってしまうことですが、よく見られることです。しかし、この相手方への強い恐怖感や神経質で不合理に見える言動というのは症状ですよ、という場合も多いのに、わがままでおかしな人だという評価を受けることが起こります。しかし、これは PTSD や複雑性 PTSD の症状である可能性があるので、「あなた大人なんだから乗り越えなさい」みたいな根性論ではなくて、やはりその面会ができないという恐怖感がかなり強いという場合には、その人の話を聞いて、どうしたらそれが和らぐのか。もしくは本当に加害の実態があるのであれば、面会を進めた方がいいのかを今一度立ち止まって考えてみる。むしろ、加害者に働きかけるべきではないかなど、そういうことを丁寧に見ていくことが大切だと思いますが、なかなかそうはなっていないというところがあります。
 DV被害者が回復に向けて進むには、DV 被害者を「箱入り娘」のように、もしくは男の人でもですね、社会から隔絶しておいても治りません。社会に出て、安心な人たちと良い人間関係を築いて初めて回復していくということがあります。回復に向けて進むには、信頼関係を築き、共通の目標を見出し、共同作業の土台を構築する必要がありますが、このような被害状況をふまえると、それが困難になる。特に、司法の場面で困難になるということがあります。

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 以上が、基礎知識として知っておいていただきたいということでした。ここから共同親権の話をします。で、共同親権の問題は、何が根本にあるかということを最初の方でお話ししたいと思います。私は、暴力にさらされる女性の事件をやってきたわけですけれど、暴力にさらされる女性をめぐる法改正が近年されてきました。
  まず、2022年5月には困難女性支援法が成立しました。これは、例えば貧困とか、DVとか、若年層とか、外国の方とか、立場の弱い女性の方が生活していけないという風になると、自立する支援を行政がするわけです。けれども、それの根拠法がなくて、売春防止法を根拠にしてたんです。で、売春防止法というのは、要するに貧困とか、DVなどの暴力から逃げる人たちというのが、売春をして生計を立てていくということが念頭に置かれて、その人たちを「更生する」「保護する」ということを目標にしているわけですが、実際には困難な立場に置かれた女性は、支援して、その人たちが自立していくことをサポートするということが実際には行われてきた。その根拠法ができたということになります。
  翌2023年5月には、まずDV防止法が抜本的改正ということで、この時のキャッチフレーズがですね。「殴る蹴るだけがDVじゃない」と言っていて、私は、その通りだと思いつつ、もう2023年にもなって、こんなお粗末なキャンペーンをやらなきゃいけないことについて、非常にDV被害者の置かれてる現状が良くないことをすごく感じて、頑張って発信していかなきゃいけないなと思ったところですけれども、DVの加害者の人に対する保護命令と言いまして、最初にDVから逃げた後に接近することを禁止するという命令を出すことができるのですが、それが、身体的暴力だけじゃなくて、精神的暴力などの非身体的暴力の場合にも出せるという条文の改正です。
  2023年6月には先ほども申し上げました、性犯罪に関する刑法の改正がありました。不同意である性行為が犯罪なんだよということが確認されました。これらは全て、暴力に遭う女性の被害の実態に合わせる形の改正でした。なので、暴力にさらされる女性についての活動をしてきて、その実態にあった改正だったわけですが、そうしたところ、昨年5月に共同親権制度の導入を含む民法改正が採択されて、これは77年ぶりの民法の大改正と言われたのですが、現場からは強い懸念の声が上がりました。
  昨年の5月といえば、 NHK の朝の連続テレビ小説で家族法改正のことを扱っていて、家父長制に苦しめられている女性を救うんだということで、寅ちゃんたちが頑張る姿を見てですね、涙を浮かべながら、テレビを切るとですね、むしろ、家父長制万歳みたいな人たちが歓迎するような法律ができるのを食い止めることができないという・・・。もう本当にそういう意味で、何というか、苦しいというか、そういうことを今でも思い出します。

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 では、なぜ現場から強い懸念の声があがったのかということなんですけれど、DV被害者が置かれた状況が、数年前から受難の時を迎えていたということがあります。これはDV被害者支援をしてる人なら誰でも知ってることですけれども、何かと言いますと、ここに書きましたとおり、ワンオペ育児でDVやモラハラを受けても、子どもを連れて逃げることに対して「連れ去りである」「実子誘拐である」と非難される。刑事告訴されるですとか、損害賠償請求されるですとか、連れ去りこそ虐待だと言われ、虐待があって連れて出た人に対してもですよ、「連れ去りこそ虐待だ」と言って児相に通告する。そしてSNSで誹謗中傷などを受ける。誹謗中傷を受ける対象は、DV被害者、被害者の実家の親、それからDV被害者支援の弁護士が矢面に立つわけですけれど、そういうことが起こっていました。
  これを表す言葉がなかったのですが、海外では、「ポストセパレーションアビューズ」といって、離婚後、別居後という「セパレーションの後の虐待」という言葉があって、PSA と略されたりするんですけれど、これは「DV被害者が別れる時に最もエスカレートする」という説明を皆さんも聞いたことがあるかもしれませんが、これ同じことです。離婚しても、別居しても、アビューズが続くということになります。この「ポストセパレーションアビューズ」、離婚後、別居後虐待というものの中に、「リーガルアビューズ」、司法を使った嫌がらせ、これのことを「リーガルハラスメント」という風に言うこともありますが、この「ポストセパレーションリーガルアビューズ」が深刻化しているというのが、ここ数年、DV 被害者が置かれた現状でした。
  同時期に複数の事件を量産される横展開。面会交流を裁判所で決めても、面会が認められない場合は半年後にはもう 1回決め直せ、決まってもさらに拡充、拡充で、年間100日の面会がかなうまではずっと申し立てを続けるぞといって永遠に終わらない。子どもが18歳になるまで、面会交流の手続きが終わらないという縦展開。法的手続きになると。悪口を言っても正当化されるということも起こっていまして、怪文書みたいな、人格否定の言葉のオンパレードであっても、それは法的な主張する上で多少言葉が行き過ぎているにすぎないと言って、それが許されるかのようなことがあり、非常に人格を損なう形の表現がなされためちゃくちゃな書面が出されますが、それは手続保障の名のもとに、それを裁判官が注意することはなく、「まぁ、ご主張として聞いときましょう」ということで流されるわけですが、それはもう被害者にとって非常に苦痛なわけですね。
  そこでよく使われる言葉が、「実子誘拐」「虚偽DV」「片親疎外」という言葉が使われます。これはまた後で説明します。

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 私はそうした状況を憂いまして、今、「X」と言ってますが、 Twitter でですね、この共同親権制度の導入に反対する発信を始めました。で、これ、自分で書いてますけれども、私が言ったんじゃなくて、神奈川の太田啓子弁護士に言われたんですけれども、「突如Twitter界に舞い降りた」と。私はそれまでTwitterを一切やってなくて、共同親権制度の導入に反対するためだけに、Twitter をやり始めましたので。突然「小魚さかなこ」というものが現れたと。この「小魚さかなこ」という名称はですね、私、まさかこんなに注目されるとは思ってなくて。私、学生時代から地味なタイプで、「雑魚キャラ」っていう、今だと「陰キャ」と呼ばれてますけれども、自分のこと友達と「雑魚キャラ」だっていうことをよく言ってまして、それは、自虐でもあるんですけど、「雑魚キャラ」っていうのはですね、あまりみんなに注目されることがないので、楽しく生きれるというか、派手に生まれなくて良かったね、穏やかに暮らしていけるね、みたいなことで、ペンネームをつけて、この小魚さかなこっていう名前で、大学内で発行する冊子の記事を書いたりとかしていて、その名前をそのまま引用して始めたんですけれども。もうちょっとね、ましな名前をつければ良かっとずっと本当に後悔してるんですけど。でも、今日のチラシで、魚のモチーフで、こうやって使って皆さんに愛していただけてると思うと、まぁ、これも悪くなかったのかなと思ってるんです。
  あと、この絵はアイコンで、私、「小魚」って魚なのかなと思ってたらですね、このアイコンを作ってくれた方、シングルマザーの方がこれを作ってくれたんですけど、魚のアカウントを使って戦うイメージ。テミスっていう、裁判を司る女神様ですけど、黒い洋服を着て目を閉じて、天秤と刀を持ってるんですね。で、刀の代わりに小魚さかなこというアカウントを使って戦う猫だということで。周囲に描かれているのはひまわりで、弁護士バッチをモチーフにしてます。この二次元コードを読み込んでいただくと、私の Twitter が見れるということなんです。
 それで、私は、共同親権制度の導入が、DV被害者にとって過酷だなと思って発信を始めたんですけれども、投稿し始めて間もなく、「誤った言説が流布されていて、共同親権に反対すると大変なことになる」ということが分かりました。

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 誤った言説というのは、「単独親権制度のせいで子どもに会えない」というものです。これはもう全然関係がありません。親権の問題と面会の問題は別なんです。ですが、それがすごく言われていまして、ちょっと先取って言いますと、「単独親権制度の下で子どもを突如連れ去る女性がたくさんいる。それをそそのかしてるのは弁護士で実子誘拐をビジネスにしていていて、養育費からピンハネするために日本の家族を壊している。左翼フェミ、クソだ」みたいな。そういう風に言われてて、この「単独親権制度のせいで子どもに会えない」という言葉の背景には、もうそれがあります。だから、弁護士に対する攻撃と「単独親権制度のせいで子どもに会えない」という言説はセットなんですけれども、いいですか?弁護士を邪魔にする人っていうのは、反社以外にいないんですよ。だから、私はこれ、非常に危険なことだと思ってます。
  2011年に民法改正が行われたのですが、何かというと 2011年に「面会交流」って言葉が家族法に書き込まれたんです。面会交流ができますよ、その条件を決めるためにはこういう手続きがありますよという条文です。民法766条と言いますけれども、そこに面会交流っていう言葉が書き込まれて、翌年には細矢裁判官という東京家裁の裁判官が中心となって発表しまして、そこに、面会交流は子どもにとって非常に良い影響を与えるんだっていうことが書いてあったものですから、これが全国に伝わる中で、面会交流原則実施論と呼ばれる運用がとられるようになりました。原則実施なので、実施できない事情がある人が証明しないと面会は実施しないといけないと、そういう運用になりました。で、それがいかに過酷だったかということです。その期間が、10 年ぐらいあったんです。

  ここに、名古屋高裁平成29年3月17日決定をまとめものを載せたものがあるので、この二次元コードで前半【上記の上】と後半【上記の下】を読んでいただくと分かるのですが、子どもが面会したくなくて、発疹が生じたり、はいはいしたり、床に転がったりして拒否してもやらなきゃダメで、面会を実施しないと罰金みたいなこと、間接強制金って言われますが、お金を払わなきゃいけなくて。でも、お母さんは子どもがあまりにすごく拒否感が強いので連れていけないと思って、裁判所に決め直しの申し立てをするのですが、決め直しにもすごい時間がかかって、その間に支払った間接強制金の総額が172万ですよ。 172万払ってようやく、面会はこの子にとってはしない方がいいねとなったということがありました。この判決がターニングポイントとなって、面会交流原則実施論の運用は子どものためにならないということが分かってきたということになります。

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 「単独親権制度のせいで子どもに会えない」という間違った言説が流布されてるということを説明してきましたが、「共同親権制度の導入に反対すると大変なことになる」というのはどういったことかと言いますと、私がそういう風にね、発信したことによってこういうこと言われましたよ。
 反対すると何が起こったのかというとですね、代表的にはこの3つです。実子誘拐ビジネス、養育費ピンハネ、公金チューチュー。公金って、私にどこから公金が出てるのか、私の公金どこに行ったんだと思うほど全く関係なくて、DV事件を担当して、法テラス事件が8割を占めてますので。法テラスというのは、貧困な方でも弁護士がつけられる福祉の手段でして、一般の弁護士と比較すると7掛ぐらいの費用で引き受けますよというものです。『自由と正義』という日弁連発行の会報誌にも論稿を寄せていますが、庶民の代表みたいな弁護士なのに、こういうことを言われます。
 ここの下に書いてあるようなこともネットで実際に言われていることで、バカとかアホとかブスとか、そういうのはもう日常茶飯事で言われるんですね。本当に驚いちゃうけど、簡単に調べることができるので、 Twitterをやってる方は「岡村晴美」で、Twitter内検索をするとこういうこと言われてると分かります。

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 共同親権推進の方々は、別に私だけをターゲットしてるわけではなくて、とにかく弁護士をターゲットにして、「こいつらのせいで子どもが泣いとるんじゃ」みたいなことで、これはある東京の弁護士の事務所の前で共同親権推進団体が街宣をした時の言葉です。
「はい離婚弁護士ね、モラハラ理由にしょうもない、子ども連れ去ってね、モラハラとかしょうもないこと言うて、子どもたちを利用して金儲けしてる弁護士事務所コラァ出てこい。なぁ、お前らどんだけ日本の子どもたち涙流して飯食うとるんや。出てこい離婚弁護士、モラオとかしょうもないこと言うてる弁護士出てこんかい。おぉ出てこいよ。・・・」
 あ、これ読んでるとね。楽しいから最後まで読みたくなっちゃうんですけど、この辺にしておきますが、こういうことをやってきたわけですね。ネットでは悪口を、街宣にまで立つというようなことを弁護士に対してしてきました。
 そういうことをされるとですね。言えなくなる人がいっぱい出ます。私には、「陰ながら応援団」なんていうのがいっぱいいます。「すごいね」って、「発信してすごいね、私はとてもできないわ」って。陰ながらすごく応援してくれるという人がいっぱいいます。発信を躊躇してしまう、そういう人たちの声が上がる前にということで、異例のスピードで成立したんです。

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 共同親権制度の導入は、2024年3月8日に閣議決定して、4月16日に衆議院で可決、5月17日に参議院で可決となりました。これに先立って2023年10月には共同親権制度導入を強く進めてきた共同養育支援議連の自民党の柴山昌彦氏がXでこういうこと言ってます。
 皆さん、埼玉県の留守番条例というのを覚えているでしょうか。何かというと、留守番を子どもだけでさせることを虐待として扱うと、そういう条例を作ろうとしていたところ、何を言うとるんだということで市民からの反発を受けて、即、撤回するということが起こりました。で、柴山氏は、それを引用して「埼玉留守番条例案の炎上からの撤回を見て、最短の現実解は、法務省叩き台を改良し、一刻も早く政治させることと確信した」と言ってました。要するに、よく分かっとらんうちに通さんと、埼玉留守番条例みたいに反対の声で大炎上になったら決まらんぞということです。反対の声に関しては、報道もほとんどされずに、成立すると途端にね、「これはDV被害者が反対していたんだ」とかいって、ようやく報道がされたんですけど、成立の後にね・・・ということがあります。

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 はい。では、ここからは、離婚後に親権を共同させるということの意味についてお伝えします。婚姻中は当然共同親権なんですけれども、離婚後には単独にするというのはどういうことかというと、仲が悪いから離婚するので、子はどちらかの親と同居することになるため、同居する方の親に広範な権限とリーダーシップを与えましょう、というのが単独親権制度の趣旨です。単独親権制度のもとでも、別に協力しようと思って、信頼関係があれば協力してやっていけるんですね。私は事実婚なので、夫は親権を持ったことありませんが、娘と私と3人で同居して、もう子どもは21歳ですけれども、親権と共同で養育するっていうのは関係ありません。共同親権の場合、子どもに関わる重要な事項については、2人のイエスが揃わないとできませんよ、進学とか、入院とか手術とか、そういったものに関しては2人がオッケーしないと、1人ではできませんよ。これが、共同親権制度です。
  良く言えば、子どもに関わる事項を慎重に検討するということですが、要するに、「易々とシングルマザーが1人でぱっぱと決めないで、他方の親のオッケーをもらってから決めてね」って制度ということになります。同居者にとっては単独で決定できなくなるという意味となります。なので、重要事項に関しては共同で決定しないと違法となりますので、冒頭申し上げましたリーガルアビューズの根拠にめちゃくちゃなるということです。「なんだ、私の許可を取らずにどうして進学のこと決めてるんだ」という損害賠償の対象になるというのが共同親権です。つまり、この制度を求めてきた人たちには同居親への不信感がすごく強いということが分かります。他方で共同親権は、実際には、父母が協力的でないと上手くいかない。もう、ここに全ての矛盾が凝縮されている。そういう制度です。

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 実務家による慎重論は2つありました。1つは共同でやっていくという合意すらできないケースで、父母に共同を命じて、子どものために上手くやれるのだろうかという問題。もう 1つはDVや虐待がある事案で、共同親権が支配継続の手段に使われる可能性があるのではないかという問題。この2つ目の方はすごく報道されるんですけれども、仲が悪い人に共同命じて子どものためにならないでしょ?っていう、1で述べたことは、ほとんど今までも報道されていません。
  実務家が慎重論に立つというのは、先ほど述べた2011年の民法改正後、面会交流が原則実施の運用になった時のことをやはり懸念していて、子どものためにと良いと思って始めたことが全然子どものためにならなかったという経験。またあれを再び繰り返すのかという懸念が強いということになります。
 ここでもう1つ補足して説明しますと、私の見立てでは改正後、共同親権を選択して離婚して上手く行く元夫婦は多いと思ってます。それはどうしてかって言うと、別に今、単独親権制度の下でも離婚して上手くやってる人たちがいて、そういう方々は、共同親権制度のもとでも上手くやっていくと思います。上手くやっていく人たちの中には、上手く協力的にやってる人たちもいれば、上手く離婚してバラバラでそれぞれの道を歩んで、お互い干渉しあわない人たちがいます。そういう人たちが共同親権となっても、上手くやっていくと思うので、今、上手くいっている人たちが共同親権で離婚しても上手くいくと思います。なので、施行後、共同親権でうまくいったねっていう方々もいると思いますが、懸念の声というのは、そういう方々のことを言ってるのではないということです。

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 さきほど、面会交流原則実施論というのがあったと言いました。これはさきほども申し上げた通り、面会交流は子どものために良いものだということを2012年に裁判官が発表して、2020年には、「いや私は全部が良いって言ったわけじゃなくて。DVがある、虐待がある、子どもの拒絶がある場合は除外するってちゃんと言ってましたよ」と。「全国の家庭裁判所が勘違いした。原則実施論という言葉が1人歩きした」と覆しました。
  やはり、過去に学び、どうしてこういう「1人歩き」と呼ばれる事態が起こったのかということを、反省した上で、今後の運用を考えなきゃいけないと思っております。

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 まず1つ目、例外だったはずの、「虐待がある場合には面会交流はさせませんよ」と言っていたにもかかわらず、実際には、「虐待をされてきたからこそ、面会交流を通じて親子関係を修復しましょう」という説得がなされました、こんなこと言われたらもうね、どうしようもないわけです。その考えの背景には、「どんな親でも親は親」というのがありました。面会交流原則実施論が全盛期の頃、小学生で、父親から挿入行為も含む性虐待を受けた子どもが、中学生になってそれの意味を知り、夏休み、おばあちゃんのおうちに行ったきり、自宅に帰れなくなったという事案で、面会交流が激しく争われて、調査官は子どもに聞き取りをして、処女膜も裂傷していたことが分かり、性虐待の事実があったと認めながら、何といったかというと、「・・・以上の次第で直接の面会は困難であるから、手紙や写真の送付という間接交流から始められたい」という報告書を書いたんです。クレイジーでしょ。でもね。これは国から面会交流はいいものですよって、そういうことを言われると、真面目な調査官がこういう結論を取っちゃうということです。

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 DV に関してはですね。もう全然なんか聞いてもらえませんでした。「子どもに関係ないDV は主張立証しないでください」と言われました。なぜなら、「その後、面会交流を穏やかにやっていくために悪口を言う必要はないですよね」言われましてですね。これに抗えず、面会交流を実施することになるなら穏やかに終わりたいと。単独親権制度の下では離婚後に子どもがどちらの親と住むかだけ決めればよかったので、別にDVのことを言わなくても良かったんですよね。「お母さんがほとんどワンオペでやってました」となれば、あとは面会交流どうやってくのっていう話になるので、いちいちDVのことなんか言わなくても、むしろ円満に養育費を払ってくれて、円満に面会ができてって方がメリットが大きいわけです。
  しかし、そうした運用が、面会交流でDVが主張されないのをいいことに、先ほど申し上げたような、面会交流という司法手続きを通じた嫌がらせというものが起こったという経緯です。家裁の事件は、嫌がらせを目的としたものが増えていて、まともな事件の進行まで遅れる事態になっています。そして、これは海外でもそうなってると言われています。

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 最後に、子どもの拒否。さすがに子どもが拒否してたら面会はしないんじゃないの?、と思ったら大間違いで、調査官はですね、面会交流は子どものために良いと思ってるもんだから、子どもを調査する際にも、「いつなら会える?」「どうしたら会える?」と聞くわけです。それでも嫌がると、相手方からは「片親疎外」と非難されます。「嫌うわけない」と。「こんな小さいお子さんが別居親を嫌うということは、同居親が洗脳してるに違いない」とかね。あと、これは本当に意味が分からないんですが、よく言われます。「お母さんが怖がるから子供も怖がる」。そんなこと、DV被害者に、「怖がるな」と。そこまで言われなきゃいけないのかと思いますが、こういうことが横行していました。
  会いたくないと繰り返す子どもに、「いつなら会える?」と聞いてですね、 「100年後なら」って子どもが言ったらね、そしたら調査官がね、「100年後なら会えると答え、一切拒否してるというわけではない」と書いてですね、子どもが、「裁判所はバカなのか」と言ってね、これがおよそ裁判所のやることなのかと。そういう運用がなされていました。「嫌がっていても連れて行け。歯医者と一緒」というのも、裁判官の書いた本に書かれていたことです。幼い子どもが、「どうして僕は面会しないといけないの?」と聞いて、お母さんが裁判所で聞いてきたら、「『血がつながってるからだよ』という説明してください」と言われたそうで、家に帰って「血がつながってるから会わなきゃだめなんだよ」と言ったら、子どもがね、「全部輸血して血液を入れ替えたい」と。そういうことまで言わせてるんです。子どもにね。

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 このように色々弊害があるんですが、やはり1番大きいのは、面会交流原則実施論という考え方が、DVや虐待、子どもの拒否を軽んじることになったというのがすごい弊害です。例えばですけれども、共同親権を推進すると、本当にDVを軽視するんです。先ほど冒頭のご挨拶で嘉田由紀子さんの話が出てましたけれども、共同親権を推進していた嘉田さんは、6月5日のYouTubeの配信で、「DVから逃げられないから共同親権がおかしいというのおかしい。DVと親権は別。DVやりながら子どもを愛するお父さんもいるし、旦那殴ってても子どもちっとも可愛がんないとかね。」と発言していました。一緒に配信していたおかやさんという方が「それちょっとやばいけど」と、さすがにツッコミ入れてもですね、嘉田さんは、「はい、いや、別なんですよ。」とね。「別なのに日本はこれをごちゃごちゃにして、法案がいびつになった」ということを配信されていました。

 先ほどのご紹介した柴山昌彦さんは「耐えられるDV」ということをテレビ番組で述べていましたし、三谷英弘さんという自民党の議員も、「別居に至る程度のモラハラをDVと呼ぶな」とTwitterで発言していました。こういう発言が、共同親権を推進する議員から繰り返されてるわけです。これは偶然ではなくて、やはり何を目標に掲げるかによって、子どもの安全安心に対するアセスメントが変わるということがすごく重要なことです。面会交流原則実施論がもたらしたものは、やはり DVや虐待、子どもの拒否を軽んじるようになった。もうこれが 1番大きな弊害だと思ってます。
 法で人間関係を規律しようとすると、紛争性が高いほど細かい取り決めがなされる結果となり、上手くいってない人ほど面会が強制されるっていうことになります。上手くいってる人は別に面会の取り決めもしませんから。自由に会って、子どもが会いたくないってなればそっとしておく。そういうことができていれば、取決めは必要ありません。上手くいってない人ほど会えと言われて、細かく取り決めて、不実施1回につき5万円払えとか、間接強制金がどんどん高額化して、30万、50万・・・。1 回会わせないだけで、30万、50万ですよ。最終的に100万までなって、100万高すぎたかと、高裁で50万に減額されてみたいな。いやいや、高いと思いませんか?そんなことが起こっていたのですが、社会には知られていないかもしれません。
  また面会交流時には殺人事件も起こっていって、加害者のいずれも自殺しています。面会交流中の性虐待も起こっています。父親からの性虐待で、離婚後の性虐待だと記事に書かれると、なんで会ってたんだろうって。それ面会交流って言うんですよ、と思うんですが。面会交流中に性虐待が起こっていたなんて書くと、面会交流をやってて大丈夫かと言われちゃうので、そういう報道をしないようにしてるんじゃないですかね。
  家裁は諸々のことから、2020年に面会交流原則実施論という方針を改めて、ニュートラルフラットの方針を打ち出しました。ニュートラルとフラットという同じ意味の言葉を2 個重ねるという安易なネーミングですが、素晴らしい考えだと思います。

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 しかし、実務がこうやって変わってきても、このタイミングで、共同親権が導入されるわけですから、先ほど申し上げました司法手続きを利用したDVの継続という現象は、どんどんエスカレートすることは確実だと思います。リーガルアビューズへの対策はないに等しいので、紛争は長期化、多様化、深刻化するんじゃなかと言われています。

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 このことは、先行して共同親権を導入したと言われている、イギリスとかオーストラリアでも同様の問題が指摘されております。まずは、英国司法省の危害報告書。司法省は、日本でいう法務省ですが、危害報告書を2020年に出しています。要旨は、「DVや性的虐待を経験した子どもたちの声が家庭裁判所で十分に聞かれていない。司法手続きは子どもと被害者をさらなる被害から保護するのに十分な役割を果たしていないか、裁判所のコンタクト、面会交流ですね、の命令によって離別後もDVや虐待が続き、事態を悪化させることがある」という報告書をまとめているんです。まさにもう予想してるものそのままですよ。元データを見たい方もいるかもしれないので、二次元コードを載せておきました。  

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 で、「どうして裁判所は DVや虐待を適切に認識できないの?」っていう疑問については、4つあるんですけども。
 まず1つ目。リソースが制約されている。適切な施設等リソースが足りていない。
 2つ目が、プロコンタクトカルチャーによるDVの過小評価。これですよね。私のような平凡な弁護士が平凡に事件をやって気づいたこと。やっていれば誰でも気づくことをイギリスの調査でも気づいてたっていうことなんですよね。別居親と子どもとの交流を過度に優先し、DVの主張が軽視されている。私はもうこれが1番の問題だと思います。
  で、その3のサイロワーキング。関係機関との連携協力が欠如しているというのですが、例えば共同親権が命じられても、当事者が直接やり取りすると上手くいかないから、間に入って調整するとか、ケースワークをするとかそういう人たちとの連携協力がないって言ってんです。日本では、まずその機関がほとんどないです。連携する/しない以前に。面会交流をサポートする団体はあります。けれども、共同親権をサポートする機関なんかないです。なぜなら共同親権の父母の間に入って、子どもに関する事項をどうするのか、ごちゃごちゃやろうというなら、弁護士しかいません。しかし、弁護士が離婚後、別居後の夫婦にの間に入って、争いが起こる都度に話を聞いてまとめるなんてことは、どっからもお金は出ませんし、手弁当でやるにも限界があるということがあります。なので、これは関係機関との連携協力がないですし、そもそも関係機関がないという現状ですね。
  それから、その4。手続きにおける当事者主義的構造。結局DVかDVじゃないかという証明が困難なことはさておいて、夫婦の間で権力関係に大きな差が生じているから離婚になるということは多いです。今の日本はイクメンも増えて、協力的なお父さんもすごく増えて、「父母が一緒に子育てしてる人も増えましたよ」っていうことを聞くんですけど、その人たちは離婚をしないんですよ。離婚になってる人たちのアベレッジは?というと、そんな人はほとんどいなくて、丸投げしてて文句ばっかりで言ってる人たちとか、逆に加害者が被害者を追い出すとか。それも起こってます。で、そういう権力差がある関係っていうのが、司法の場所で対等に扱われちゃうもんだから、当事者間で権力関係の低い人が司法の場に来ても、低い地位のまま尊重されないということが起こります。アメリカでは、お金がない人は弁護士をつけられないから親権争いで負ける、親権・監護権は金で買うということを言われています。プロボノと言われる、お金にならなくても被害者のためにやるという弁護士はDV被害者の10人に1人ぐらいしかたどり着かなくて、その人たちはラッキーなんだと、そういうことにも本当になりかねないということですね。

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https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2023/03/08/29682.html

 オーストラリアは共同親権先進国と言われています。けれども2023年に大規模改正をしています。それまでは、「共同での養育」の理念で家族を導こうとしたのだけれども、それをやめて「安全面を重視しつつ、それぞれの家族の実情を踏まえて、子どもの利益を図るものに」という改正を行いました。結局ですね、 DVは人間関係だもんですから、夫婦の間で上手くいかなくなった背景にDVがあってもなくても、共同での養育というものを法律に掲げてそれに誘なっていったからといって、人間関係は決して良くならないということです。
 良くない人間関係だから、機能不全だから離婚してるわけで、その人たちが離婚後も安全に面会とか養育費とかどうしたらいいのかを考えようという方向にシフトチェンジをしたということですね。

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 具体的には、別居親との関係継続や親責任の均等分担が子供の利益になるという推定条項をやめたって言うんですね。1996年ぐらいの頃の法律に戻したということになります。よく共同親権を推進する人たちが「単独親権に戻そうとはしてないじゃないか」って言われると、その通りなんですよ。一度、共同親権制度を導入してしまったら、そこから単独親権制度に戻すのは非常に困難なんです。除外ケースを広く認めないと弊害が起こるから、上手くいかないケースを DVとして扱わないといけなくなり、 DVの裾野をすごく広げる必要が生じたともいえます。また、「均等もしくは実質的な時間」の検討も義務付けないことになり、均等分担が子どもにとって良いことでもないよね、ということをようやく認めてきたということになります
 この2つ目もすごく重要です。司法手続きを利用した危害による再被害や司法リソースの圧迫を減らすため、濫訴防止対策を取ったって言うんですね。2020年から私は発信をしていてですね。ずっと思ってることなんですけれども、共同親権を推進すると、とにかくDV被害者を危険にさらすんです。間違いないんです。

 そのためにオーストラリアは DVの被害の多大な予算を取っていて、人口 815万人のニューサウスウェールズ州で、DV の一斉捜査を行い、4 日間で450人を逮捕したって言うんですよ。滋賀県だとどういう人口かわかりませんが、愛知県で言うと、愛知県全体で 4日間で、500人をDVで逮捕するって規模です。

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 ここまでで約1時間で、予定の時間はここまでですが、ちょっと10分ぐらい延長させていただいて、どんな条文に改正されたのかということを見ていきたいと思います。先ほどもお話しした通り、現行法では、婚姻中は共同親権制度、離婚後は単独親権制度で、それとは別に、離婚後の監護について定めた条文として766条があるということですね。

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 婚姻中の規定は変更なしで、離婚後の親権についてこうなりました。離婚または認知の場合の親権者として、これまで「一方を」と定めなきゃいけなかったものを、その「双方又は一方を」と改正されただけなんですよ。だから「あんまり変わってないじゃない」と、「一方に親権を認めなきゃいけませんよ」って言っていたのを、「双方か一方に認めなきゃいけませんよ」という風に条文はこんな簡単な改正なんです。

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 そして、改正前の現行法は、単独親権制度と言われますけれども、これは、実は、本当の意味での選択的共同親権制度でした。私が言ってるだけじゃなくて、梅村みずほ参議院議員が、共同親権を推進してきた方ですけれども、「父母が葛藤の状態にないのであれば共同親権。これは当たり前に今でもできることであって、法改正することじゃないんですね」と言ってます。で、嘉田由紀子さんも、「仲のいいというか、話し合いができる夫婦だけが共同親権って言ったら、それはもう今だってできるんですよ」と、2023年6月にそういう発言をお 2人がしてるわけです。

 なので、単独親権制度というのは共同できない制度ではなくて、共同親権制度が単独でできない制度だという構造になっているということになります。

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 で、先ほど申し上げたように、「 DVや虐待が軽視されるんじゃないの、危ないんじゃないの」ということで、一応こういう条文が新しく置かれています。819条の第7項です。「裁判所は父母の双方を親権者と定めるか、一方を親権者と定めるかを判断するにあたっては子どもの利益のため判断しますよ」というのを、まず打ち出して、子ども利益のためになる共同なのか、単独なのかを決めますよと。その際には親子の関係、父母の関係、その他一切の事情を考慮するとあります。つまり、条文自体は、父母の関係も考慮しなきゃダメだよと。つまり、DVとか権力格差を考慮しなきゃダメだよという条文になっています。ですから、これは原則共同親権でもないし、原則単独親権でもないです。 
 その上で必要的に単独にしなければいけない場合として、父または母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められる時、それから父母の一方が他の一方から身体に対する暴力、その他心身に有害な影響を及ぼす言動がある時、要するに虐待とDVがある時は必要的に、必ず単独親権にしなきゃいけないよっていう条文になってるわけです。
  しかし、ここに落とし穴がありまして、「おそれ」とあるわけですね。で、これが DV 被害者や虐待被害者にとったら、同居中にDVや虐待があれば常におそれはあるんですよ。「もう治りました」なんて信用できない。しかし、これは加害者とされた人から見ると「おそれ」はない。「もう離婚してから会ってないです、どうやって虐待するんですか?」「どうやって DVするんですか?もう大丈夫ですよ。」と言いますよね。これに裁判所がのっちゃったら、もう1年寝かせたら、DV虐待のおそれなしみたいになるんじゃないかというのが非常に心配だということです。

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 最後に、改正法の懸念を述べて終わりたいと思いますが、5つございます。まずその1としては、今日ずっと終始一貫申し上げてきましたとおり、合意無き共同親権が命じられてしまうのではないかという問題です。これについては、山添拓議員が「DVの被害者はどうやって除外されるのか、本当に安全が守れるのか」ということを質疑で質問しましたら、小泉法務大臣(当時)がですね、「被害に遭われた方が真剣に身に起こったことの話をされれば裁判所で通じると思うんですよね。」と言ってですね、「なんと無責任な!」と、みんなすごい怒り心頭だったのですが、私はね、これこそがあるべき姿だと思ってるんですよ。もう本当に、そうなってほしい。被害者の人が真剣に身に起こったこと、過去のことを話したら裁判所に通じるって言ってるんだから、それはちゃんともうこれを実践していきたいなという風に思っています。裁判所の運用がどうなるか、それが、これからの鍵になります。
  改正法の懸念その2としては、協議離婚ケースです。日本は9割が協議離婚の国です。 9 割が協議離婚で、残りの1割が調停離婚、さらにその1割が裁判離婚。合意に基づく離婚がスタンダードな国です。同調圧力にすごく弱い国民性ですので、共同でやらないと、共同親権で離婚しないと体裁が悪いみたいなことで共同を選択する人っていうのは増えると思います。安易に選んじゃったりすることがあるかもしれないので、真摯な同意を確認しなさいというのが附則につきました。しかし、どうやって確認するのだろうと思います。真摯な同意を確認しなきゃいけないと言っておきながらですよ、調停になったケースでは、調停委員が共同親権にできませんか?と説得するわけですよ。真摯な合意と程遠いじゃないですか。国家権力ですよ。調停でね、裁判所でね。「共同でやってごらんなさいよ」と言われてね。ノーって言える人がDV被害者にどれだけいますか?もうこの1と2の間でも、すごく矛盾を感じています。
  協議離婚ケースで安易に共同親権を選択してしまうことが予想されるので、特定事項について揉めたらその事項についての親権行使の申し立てができるようになりました。例えば学校の進学先で揉めたら、「裁判所に訴えてどちらの親に決定させるか決めてもらえばいいじゃないか」って言うんですけど、受験を経験した人から見たら、そんな簡単にできないでしょと思います。あと、先日、最高裁判事に入ると発表された学者の方が、法制審議会にいて、法案成立の前にも参考人に出てきてね、「事件が増えると思いますか?」って質問に、自民党の古庄議員というね、弁護士の方で、マチベンの経験から共同親権制度に懐疑的だと発信されている方ですが、その方から、「事件が増えると思いますか?それについてどう思いますか?」っていう質問に答えてね、「分かりません。だけど、紛争が増えること自体は悪いことと思いません。」って答えてたんですね。リーガルアビューズで、法的手続きに引っ張り出されることが、DV 被害者にとってどれだけ負担で苦痛なのか、紛争が続いて、子どもが調査官の調査を、成人するまで 4 回受けることかがもう出てきてるんですよ。それに絶対拍車がかかります。けれども、学者の先生が、「決めればいいんじゃない?」みたいな。「裁判所で決めればいいんじゃない?」みたいな。

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 3 つ目としては、離婚後の共同親権を決めていたはずが、同居中、婚姻中の共同親権にも法律が適用されるので、相手に許可なく別居することが違法であるということを言う人が出てきました。そういう説明を法務省はしてないのですが、子連れ別居は抑制されるのじゃないかっていうことも懸念されています。
  4 つ目としては家裁の人的物的体制の拡充が期待できない。先ほども言いましたが、家裁調査官の増員は全国で5人です。支援のないまま、当事者丸投げで進めると、弱い方にしわ寄せが行くんじゃないかと思います。

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 改正法の懸念その5は、父母の協力義務の新設です。これは DV 被害者のために婚姻関係の有無に関わらず、子に関する権利の行使または事務の履行に関し、子の利益のために人格を尊重し協力しなくてはならないという条文で、DV被害者を守るために入れたと説明されているのですが、法務省のパンフレットを見ていると、協力を拒む方が悪いという風に使われる危険性があります。フレンドリーペアレントという考え方ですけれども、権力の強い方は「あ、仲良くできますよ」と言ってね、弱い方が「やめてください。」っていう構造を取った時に、弱い方の人に「なんだ協力しないのか」と言って責任を転嫁する危険性が非常に高いという風に思っています。
  協力関係にない父母に共同親権をやらそうと思ったら、他国のように、親教育と言って、子どもが親を受け入れないのは同居親のせいであると、キャンプに入れて他方の親を敬えとやるか、個別事案でケースワーク的なサポートをするしかありませんが、機能不全に陥った家族を維持するために多大な予算を割いてオーストラリアみたいにやれますか?非常に懸念されるということになります。

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 はい。以上で私の話は終わりです。先ほどスイミーの話をしていただきました。小魚の話をしてたのに、今度は小鳥の話かいという感じですが、私はこのハチドリが山火事を消すために、くちばしに水を運んで、「何をやってるんだい」って言ったら「火を消そうと思ってんだよ」って話が非常に好きなんですね。これはこの二次元コードを読み込んでいただくと、 2019年、私が共同親権問題に取り組む前にフラワーデモでお話しした内容の最後のところから抜粋していますが、私は司法に正義があると信じて、弁護士としてDV被害者事件をやっていきました。これからも持ち場で頑張って行こうと思います。
  今日、聞いてきたいただいた中に、皆さんの中に1つでも持ち帰れることがあれば、その「何かできるでしょうか」っていうことが、大きな影響力のあることじゃなかったとしても、隣の人に話す、偏見を話してる人の偏見を止める、そういったことは誰にでもできることだと思います。是非そういう人になっていただいて、「良いことはカタツムリの速度で動く」というガンジーの言葉がありますが、一つ一つ着実に、確信となったものが伝播してくことによって世の中を変えるという、非常に気長で、そんなことやってらえるかいと思う方もいるかもしれませんが、私はそういう思いでやっております。ご清聴ありがとうございました。

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