個性『RTA』があまりに無慈悲すぎるヒーローアカデミア   作:ばばばばば

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最速ヒーローRTA_113925時間24分51秒_Part1/11

「君の個性は“成長”、めずらしい個性だよ。この個性はせいぜいが人より器用だったりするぐらいだけど、君の個性は同種の中でも飛びぬけている。これは既存の枠組みを超えかねない、とてつもない個性だ」

 

 

 私は隣にいる母を見た。

 

 

「それは……、すごいですね、えぇ」

 

 

 医師により、強個性であると伝えられたお母さんは少し不安そうに私の手を強く握ってくれる。

 

 もう、その意味を知らない幼い私ではない。私は静かに手を握り返した。

 

 

「本当に素晴らしい。これは君の両親から、望みうる限り、最良の結果で生まれた個性だよ!」

 

「桃子?」

 

「だいじょーぶ、へーきだよ」

 

 

 

 私の言葉にお母さんも医師からの興奮気味に続く説明から注意を逸らし、不思議そうにこちらの顔を覗き込んでくる。

 

 

「おなかへっちゃった!」

 

 

 勘のいい母に向かってわざと幼げなことを言って、心配させないように微笑んだ。

 

 

 長い個性の説明が終わり、病院を後にしたその帰り道、助手席に座って車に揺られる私にお母さんが話しかけてくる。

 

 

「遠出しちゃったから、少し早いけど、どこかで食べちゃう?」

 

「いえでたべたいな。あっ、でも……」

 

「どうしたの?」

 

「ううんやっぱりいえがいい」

 

 

 お母さんも病院での検査待ちで疲れているなら外食の方がいいとも思ったが、そんな気遣いを見せるのは子供にしては可愛げがないだろう。

 

 

「そう、じゃあお寿司でも買おうかしら。せっかくの桃子のお祝い事だからね」

 

「……うん!」

 

 

 戻ってきた私は一分一秒だって無駄にはできない。

 

 だが、

 

 だがそれでも、今日一日だけ。

 

 今日一日だけは、この場所を心に刻みたい。

 

 

 その日は、お父さんとお母さんが私を祝ってくれた。

 

 私の個性が一体何かソワソワしながら待つお父さん、それを勿体ぶって言わないお母さん

 

 

 本当にやさしい時間。

 

 

 夜も遅くなり、両親の間にすっぽりと収まった私。

 

 寝付いている二人のあいだで、私は信じられないほどの涙を流した。

 

 

 この時間だけでいい。

 

 この時を一時でも噛み締めれば、私はこれから訪れる全てを跳ねのける覚悟が出来た。

 

 

 今日から目的地にたどり着くまで、私は決して立ち止まらない。

 

 

 

「『はい、よーいスタート(最速で すべてを救う)』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 誰の目も届かない暗闇、そこに引き攣り、絶え絶えの呼吸をしながら走る一人の女の姿があった。

 

 

「ひっ、ヒッ……! ハヒッ……!」

 

 

 走る女の靴は既に片方は逃げる時に脱げ、手に持っていた携帯が入っていたカバンもどこぞへ落とした。

 

 おまけにここは光もまばらな林道。街を背にして現れた“それ”から逃げる女は、結果として、人気のない場所へと誘導されていることに気づかない。

 

 

「アッ……! イ゛ッ……!!」

 

 

 とうとう彼女は林道の砂利道に躓き、転んだ。

 

 追われている彼女はそれでも立ち上がろうと顔を上げ、

 

 

「あははは、ニグゥ……、みせてぇ……?」

 

 

 目の前に現れた怪物に対して恐怖することしかできない。

 

 

「あッ、あ゛ぁぁ……、こ、こないで……!」

 

 

 彼女がいくら立ち上がろうとしても、まるで下半身に力が入らない。

 

 目の前の怪物の口からはメキメキと何かが伸びる。

 

 それはこの暗闇のわずかな光で刃紋を鋭利に浮かび上がらせていた。

 

 

「な゛が み゛ み゛だいん゛ダァ……!」

 

 

 彼女の恐怖は全身を縛り、もはや舌先まで回りかけている。

 

 無意味と知りながらも出てしまう嗚咽、この最後の願いの後に自分の口から漏れ出る音は絶叫、あるいは悲鳴だと、彼女はどうしようもなく悟ってしまった。

 

 

「……た、たすけて……」

 

 

 だれが、どうやって、そんな諦めを含んだ余りにもか細い声は、何もないこの暗黒に溶けて消えてゆく……。

 

 

「頑張ったね。もう大丈夫。私の手を握って」

 

 

 はずだった。

 

 

「ムーンフィッシュ」

 

 

 しかし、それは現れた。

 

 

 影が彼女の前に降り立つ。

 

 まるで小学生のレインコートのような黄色い外套をスッポリと羽織り、そこから案山子のように細い手足を伸ばしているそれは、場違いで間抜けな機械音声を響かせた。

 

 

「ジャッ!!!!」

 

 

 ムーンフィッシュと呼ばれた怪物は、逡巡もなしに突然の出来事の一切を無視して、歯刃の切っ先を伸ばす。

 

 刃は正確に目の前の乱入者の体を貫いたかのように見えた。

 

 しかし引き裂かれ宙に舞うは黄色の布端、見事に三方からの攻撃を避けたそれは立ち止まらない。

 

 変わり身のように引き裂かれたのはレインコートのみ。

 

 そしていつの間にか、地面にへたり込んでいた女は、風を感じていた。

 

 力強く抱え込まれた瞬間に感じる強烈な加速度。固くつむった目を薄くあければ怪物から距離を空けた場所に自分とその何者かは居た。

 

 

「少し、後ろでまっててね」

 

 

 彼女の目の前に現れた謎の人物……、破かれたレインコートの下はめくれ、その顔が露わになる。

 

 異形を持つ個性であろうか、体温を感じない棒のような細い手足はその通り、人間の肉ではないただの鉄の棒、顔にあたる部分には不格好なスピーカーが埋め込まれた機械仕掛けの頭――

 

 

 まるで鉄の案山子のようなその人物は彼女を後ろに隠すように立ち、体に引っかかり千切れかかったレインコートをなびかせている。

 

 

「グゥ……、な゛んだ お゛まえ」

 

「警戒はしなくていいよ。別に組織だって貴方の目の前にいるわけじゃない」

 

 

 ムーンフィッシュと呼ばれたその怪物は、口から伸ばす刃を伸縮させながら槍衾のように枝分かれさせていく。

 

 

「一人だよ。一人で貴方を倒しに来たんだ」

 

 

 目の前の誰かの言葉で、刃の蠢きが止まる。

 

 それは攻撃を止めたのではなくその逆、攻撃に移る直前のタメであることを戦いを知らない女ですらその凶眼から理解した。

 

 

「生まれながらに歪んだ君、もしもその人生の出会いが幸運であったのなら、ひょっとしたらあなたは人の皮を被り続けられたのかもしれない」

 

 

 そんな殺意にさらされながら、目の前の案山子はゆっくりと敵に向かって歩いていく。

 

 

「でもね、残念だけどそうはならなかった。哀れなムーンフィッシュ、貴方は人を殺しすぎたんだ」

 

「にィぐみゼろオォォォォ!!」

 

 

 鳥かごのように逃げ場を潰しながら刃は案山子に殺到する。

 

 それを見て、影は前方に突っ込んだ。

 

 

「そしてそれが悪いとも思えもしない。だから貴方が真の意味で罰せられることはない」

 

 

 それは当然の結果だ。

 

 触れれば切り裂かれるだろう網に向かって全力でぶつかりに行けばどうなるか。

 

 手足は分かたれ、バランスを失った体はその勢いのまま、前に投げ出される。

 

 そうして確実に殺すために伸ばされた刃は、残った首を刈り取った。

 

 まるで蛹のように残された胴体のみが無様に敵の前に転がってゆく。

 

 

 

「わかる?この罪の重さ」

 

 

 だが声は胴から聞こえた。

 

 それも先ほどの血の通わぬ機械の声ではなく、まるで少女のような幼げな音。

 

 

「ウ゛グァ゛ッ……!」

 

 

 残された胴が割れ、小さな影が相手の目の前に飛び出すと、敵のあご先をまるで撫でるように蹴り上げた。

 

 

 電源が落ちたように頭から地面に突っ伏す敵。

 

 

 残された女は呆然とその姿を見た。

 

 

 こちらに歩いてきた少女は……、いやそれは幼子と言った方がいいほどに小さい。

 

 そんな子供がテクテクとこちらに歩いてくる。

 

 

「カバン落としてましたよ。これ結構いいのでしょう?」

 

「あ、あぁ……、えぇ……?」

 

「携帯をお持ちなら警察に電話してください」

 

「あぁ……? はっはい……」

 

 

 混乱が抜けきらない女はカバンをもったまま未だ呆けている。

 

 

「一応のお願いですが、私のことは通りすがりの不審者ということにしてください。まぁ別に幼児にヴィランから助けられたと言ってもいいですけど、余計な手間は嫌でしょう? じゃあちょっと縛ってきます」

 

 

 不気味なほど流暢に喋る幼児に底知れぬ恐ろしさを感じながらも、自分を助けてくれたことは事実である。

 

 女は震えた手で携帯を操作する。

 

 目の前で自分を襲ったヴィランが轡を付けられ、縛り上げられていくさまを見ながら通報するという非現実的な体験をしながら次第に落ち着きを取り戻す彼女。

 

 

「あっ、終わりました? 良かった、私のこと言わないでくれたんですね」

 

「え、えぇ、あの……、命の恩人ですもの、できることならなんでもするわ」

 

「ん? 今なんでもするって言ったよね?」

 

「え?」

 

 

「さっき失礼ながら落とし主を調べるためにカバンを見たんですが、あなた化学メーカーで素材開発部の主任をされているんですね。いやお若いのに素晴らしい! なんでもというならそうですね、休み明けに零細企業から素材の見積もりの注文書メールが届くと思います。あぁ、一部の材料に管理が厳しい物が入ってますが、あなたが何でもするとおっしゃるのでしたら是非これの後押しを! 自分の管轄じゃない? いえそうおっしゃらず。違法ではありませんし、各所に話は通してあります。いずれちゃんと合法にしますから何の気兼ねもなく認可してくださいね。なんでもするって言いましたもんね? では私はこれにて!」

 

 

 目の前の小さな子供にお若いと言われるなど慮外ではあるが、そんな疑問が浮かぶ前に矢継ぎ早に声を浴びせてくると、少女はそのまま来た時と同じ唐突さでその姿を消していった。

 

 

「……夢……? 一応警察に……」

 

「あ、待ってくださいよ」

 

「ひゃいっ!?」

 

「ヴィランと二人きりは心細いでしょう? 隠れて見守っていますので安心してくださいね」

 

 

 もはや何が何だか分からない。彼女は怯えたまま警察が来るまで待ち、そこから長い時間話を聞かれ、疲れ切った週末を過ごした。

 

 そして週明けに職場で恐る恐るメールを確認するとそこには確かにメールが届いていた。

 

 車の部品素材のために営業部から回された注文書メールであるが明らかに要求されている素材がおかしい。作るものに対して分不相応な高度材料が書かれたそれを見て、彼女は見なかったことにして別の社員に回そうとするが……、

 

 

「あーきみきみ」

 

「部長? どうされたんですか?」

 

「――発注依頼のメールが届いていないかい?」

 

「え、えぇ。でもこのメール、ちょっとおかしくて。この素材、移送時に許可が必要な素材ばっかりで……」

 

「あぁ、いいんだ! それは大丈夫なヤツだ。上の方にはもう話が通ってる。許可の書類一式もここにちゃんとある。後はこっちでやるよ。君はハンコだけ押してくれればいいから!」

 

 

 困惑しながらハンコを押すと、まるで奪い取るかのように書類を持っていく上役に彼女は恐怖を感じながらも、これ以上は関わるべきではないと今度こそ忘れることにした。

 

 

 

 そして数年の時が経ち、彼女に転機が訪れる。

 

 支社の一つであるヒーローコスチュームを開発している企業にかなりの上役として異動を命じられたのだ。

 

 栄転かと言われれば疑問は残る。

 

 昨今の不景気に親企業のM&A、それによる事業再編による配置換えの昇進であるのだから、この辞令も手放しに喜べるものではない。

 

 

「でもなんで私が呼ばれたんだろう……」

 

「あれ、君知らないのかい。向こうの偉い人がやけに君を買っていてね、知り合いかとも思ったんだが……」

 

「えっそうなんですか? って誰ですその偉い人って」

 

「いや、きみ向こうのトップだよ。新取締役として新たに就いた……」

 

 

「オッスお願いしまーす」

 

 

 間抜けな機械音声のそのヒーローを見た時、脳裏によぎったのは三年前のあの光景の誰かで、そんなわけはないと頭を振るが目の前の光景は否定できず。

 

 

 

「どうも代表取締役、兼プロヒーロー! 『RTA』です 久しぶりですねぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まずはお金だ。

 

 

 とにかくお金……、というより権力が足りない。

 

 これから全てを救うには私はそれを準備する必要がある。

 

 

 おばあちゃんの家に預けられた私は、今は使ってないお父さんの部屋に忍び込み、押し入れにしまわれた古いラップトップPCを引っ張り出す。

 

 PCのパスワードを打ち込むとネットにつなぎ、今は忘れられた大学生時代のお母さんの口座を拝借すると、おばあちゃんからおねだりした500円をおばあちゃんが夕食を作ってるうちに抜け出し、近所の銀行ATMへ振り込んでバレないように家に戻る。

 

 

「あら、ももちゃん? どこにいたの?」

 

「かくれんぼしてた!」

 

「おばあちゃん、目が悪いから見つけられなかったわ。もぅ、あんまりおばあちゃんを心配させないで」

 

「じゃあてれびみてるー」

 

 

 お父さんの部屋の真下にある居間で、私はお昼過ぎからやっている番組を見ながら、こっそりと持ち込んだワイヤレスのキーボードとマウスを操作して真上にある部屋のPCを操作する。

 

 宝くじは楽だが、いきなり高額なお金は足がつくし、結果が出るまでは期間が空く。私はとりあえず即金が入るネット賭博を行う。

 

 競馬、競艇、競輪……、とりあえず今の時間に手っ取り早いのは……、

 

 

 3連単、馬券の順番は8-2-11。

 

 

<大番狂わせ!! まさかの1着は16番人気の8番ハリボテエナジー! 2着2番アブクゼニ 3着11番モウダメダ!! 上位3着! 上位人気を弾き飛ばし大きな嵐を巻き起こした!!>

 

<いや当てた人の倍率は155657.51倍!? いやぁ万馬券どころじゃないねこれは>

 

「ももちゃん競馬なんて見ても面白くないでしょ?」

 

 

 まぁ確かに、子供のころはテレビの競馬は誰が何のために見てるんだろうとも思っていたが、私は適当にそれを誤魔化す。

 

 

「ううん、おうまさんすき!」

 

 

 手数料がひかれ、残ったお金でかった3枚の馬券。

 

 100円の馬券が約1500万円で4500万円。

 

 普通口座の預入限度額をはるかに上まわる送金が行われるだろう金額を見届けると私は立ち上がる。

 

 私はおばあちゃんの台所に戻る隙をついて電話を借りた。 

 

 喉を開いて無理やり声帯を握って広げると咳ばらいを一つする。

 

 

 「はい、口座のことで……、今は結婚して住所が……、はい電話番号は……、本人確認は後日向かいます……、上限額の預入限度額で……、貯金払戻証書の発行を……」

 

 

 私が電話を終えると後ろからおばあちゃんがやってくる。

 

 

「あら? いまお母さんの声聞こえなかった?」

 

「ねぇおばあちゃん、テレビつまんない。おえかきしたい!」

 

「クレヨンとかあったかしら……?」

 

「ううん! えんぴつがいい! けしごむも!」

 

 

 鉛筆と紙を探してくれているおばあちゃんが背を向けると、私は戸棚の中からカッターを拝借する。

 

 私は絵を描くふりをしながら、消しゴムの先端を平坦に切り飛ばし、円筒状に切り出す。

 

 そしてそれをお母さんの銀行届出印そっくりに偽造する。

 

 材料の質感、細やかな傷を写した私はそれをポケットに忍ばせた。

 

 

「はい! おばあちゃんのえ!」

 

「あら、すごい! おばあちゃん嬉しいわ! ももちゃんの将来は画家さんもいいかもねぇ」

 

 

 頭に手足を生やしたような拙い絵をそこまで褒めてくれるおばあちゃんに申し訳なさを覚えながらも、ここで写実的な絵を描いて怪しまれても仕方がないだろう。

 

 私は絵を見て喜ぶおばあちゃんをしり目に、こっそりとカッターを戻す。

 

 残りの時間、私はもうすぐ革新的半導体技術を発明する開発会社や、新規事業により爆発的な利益を上げる予定であるベンチャー企業に投資を行ないながら両親の帰りを待った。

 

 

「ただいま桃子、今日は遅いからおばあちゃんの家でご飯食べてくか」

 

「うん!」

 

 

 さて、お金を増やすのは容易い。だが、それを運用するには今の私には制限が多すぎる。

 

 2歳児が何かしようにもあまりにも世間から目立つし、これから行う暗躍を考えると私という存在が世に出るのは望ましいことではない。

 

 端的に言えば自由に動ける身分がどうしても必要なのだが、今の高度に発達した本人認証をすり抜けて身分の偽造を行うのは難しい。

 

 戸籍ビジネスをやっている所からお金に物を言わせて買うのも出来ないことではないが、それは隠れてやって騙せる話であり、名を売り出す人物となれば、この現代社会、裏を取られた時のリスクは高い。過去を探られてその人間が存在しないことがバレてしまえば言い訳はできないだろう。

 

 本人だと確認されても問題ない、確かな出所の身分、それがどうしても私には必要だ……。

 

 

 そこで、本当に申し訳ないが、国内で不運にも失踪してしまった日本人の戸籍を利用する。

 

 

 私が過去に戻った日の前日、ある17歳の男性が失踪した。

 

 彼は早くに母を亡くし、社会に馴染めずに部屋に引きこもり、その父も先週に交通事故に巻き込まれ亡くなってしまう。

 

 天涯孤独となった彼は海に身を投げてその生涯を終えた。

 

 

 私はこれから彼の身分を利用する。

 

 

 私は凡人だ。どんなに全てを救うと言い張りながらもこの手で救えない者達は存在する。

 

 

 今この時でさえ、世界の片隅で悲劇は起こり続けている。

 

 それがわかる私は、それを見過ごしている。

 

 

 傲慢という表現すら生ぬるい悪行だ。

 

 それでも世界の隅っこから落ちた彼、自分という存在と世界に意味などないと身を投げた彼に私は誓う。

 

 

 確かに、世界に意味や価値を求めるのはヒトの勝手だ。

 

 それでも私は君を借りて反証する。

 

 少しでも彼のような人たちが意味や価値を求めたくなるような世界を私は目指す。

 

 

「まずは数を揃えなきゃいけない」

 

 

 私は寝室から抜け出し、隠したPCで両親が目覚める直前まで計画を進めた。

 




Part1/11からPart11/11まで本日は10分おきに投稿予定
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