フジテレビ問題はどの企業にも起こりえる

こうした差別によって辞職に追い込まれる国会議員もいます。タレントもテレビ局の役員も同様です。

会社でも商談でも国際会議でもなんでも、ちょっとした意識の欠如で、立場を失ったり尊敬を失ったり国益を損ねたりすることはありえます。何か起きた際に、自分自身に見えていない価値観の歪みのせいで、本人はここまでの大ごとになるとは思っていないからこそ大きなトラブルになるのです。

そうした価値観の歪みを「アンコンシャス・バイアス」と言います。性別や肌の色など人の属性を見て、悪意なく相手にとって不快な言動をしてしまう「無意識の思い込み、偏見」のことです。アンコンシャスバイアスには次のような例があります。

性別・世代・学歴・出身国・肌の色などで相手を判断する
「女性にも使いやすい」などの説明を商品CMに加える
「親が単身赴任」と聞いて父親を思い浮かべる
自分にバイアス(偏見・先入観)はないと思う
「外科医」と聞いて男性を思い浮かべる……など

「自分に偏見はない」と思う人ほど要注意

こと性に関しては日本でなぜか浸透しない言葉がたくさんあり、この意識の欠如こそが、立場ある人を転落させてしまうのだと思っています。そうした言葉の一つがまずはこの「アンコンシャスバイアス」で、誰しも差別意識は自分で認識していないうちに持っています。私もそうです。自分の中の「知らないうちに持っている差別」を指すのですから、自分にそんなバイアスはない、と言い出したら誰しも要注意です。

島岡まな教授
撮影=水野真澄
アンコンシャスバイアスはだれにでもあるもので、「私も持っている」と話す島岡教授。まずは「知らないことを知る」ことが大切だと説く

他にも「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス・ライツ(SRHR)」。性と生殖に関する健康と権利を意味する言葉です。

自分の体や性について、十分な情報を得られること。
自分の望むものを選んで決められること。
そのために必要な医療やケアを受けられること。
自分の意思で必要なヘルスケアを受けることができ、みずからの尊厳と健康を守れること。

第1回の記事でもお話しした通り、日本に住む女性たちは先進国とは思えないほどの医療の遅れに直面しており、しかもその詳しい情報を受け取れずにいます。「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス・ライツ(SRHR)」がない状態と言えます。