従来の考え方との対比として、「抵抗が著しく困難であること」や「拒否または拒絶が困難であること」といった、被害者側に抵抗義務を課すような考え方、つまり「あなたはもっとやられてきなさい」「まだ殴られ足りませんよ」ではなくなったという点が、非常に大きな変化であったと考えています。
裁判官の性別によって判決は変わる
私自身は、そもそも「同意のない性行為はすべて犯罪とすべき」だと考えています。ただし、今回の改正は、より現実的な第一段階になったと思います。
刑法改正が施行されたのが2023年ですので、滋賀医大生の事件(2022年)は、現行の法律のもとであれば、被告人は有罪として裁かれた可能性が高いと思います。そもそもそんな人が医師になると考えると、恐怖しかありません。
日本は、性犯罪に対する判決も性犯罪者に対しても、非常に甘い社会です。「超男性優位社会」なんですね。裁判官も政治家も男性が圧倒的に多く、刑法学者も8割ほどが男性で、そういう人たちが性犯罪を定義しているわけです。彼らの属性に有利に解釈してしまう。
私が住んでいたフランスだと弁護士や裁判官は6~7割が女性(日本は2割)で、むしろ女性のほうが多いぐらいです。だから、性犯罪にも大変厳しい。滋賀医大生に無罪判決を下した大阪高裁は男性2人と女性1人の裁判官でしたが、大津地裁で有罪にした裁判官3人はみんな女性です。やはり、裁判官の構成によっても結果は変わると思っています。
今回の事件にも表れているように、被害を受ける場で被害者がはっきり言わなかった、言えなかった時に、日本は決して裁判官やメディアが味方になってくれる社会ではありません。だって「超男性優位社会」ですから。
フランスは50年前に“暴力なし”でも認定
しかし、フランスは違います。1970年代に認定された性犯罪の判例を紹介します。男性と車でデートに行った女性が後部座席に移った際、運転席から男性も移ってきて性行為をした事案があり、暴力を受けた痕跡がなくても「こんなの女性が嫌がっているに決まっている」と認定され、暴行・脅迫の有無にかかわらず最高裁で強姦罪が成立したのです。50年前ですでにそういう状態でした。
日本に住む女性は、自分たちが残念ながらこういう社会にいると自覚して、変えるべきところを変え、自分の身は自分で守れるように仕事をして発言力を持ち、NOと言うべきところではNOと言っていきましょう。

