「女の子は逆らわないほうがいい」フェミニストも絶句…人権意識の高い息子が"超男尊女卑"な男に変貌した理由
長年、性暴力を専門としてきた角田由紀子弁護士が、被害者側に証拠を要求するこうした法の姿勢を「おかしい」とずっと訴え続けてきました。被害者に対し「もっと殴られてきなさい」と言っているのと同じだと。犯罪を成立させるためにはアザがあったり服が破けたりしていなければ成立しないということは、日本は性被害者に対し「あなたはまだやられ足りませんよ」って言っているも同然なのです。それも裁判官によって。 ■法の教科書には「女心の微妙さを考慮しろ」 有名な法律書で『注釈刑法(4)』(有斐閣:初版は昭和41年刊行)というものがあります。弁護士も刑法学者もみんなが読む法の教科書ですが、東京大学出身の所一彦教授が書いた有名な文言がその中にあります。 要約すると「些細な暴行脅迫の前に屈する貞操なんて保護に値しない。暴行脅迫がいらないというなら客観的証拠がなくても女性の言い分一つで強姦罪が成立してしまうじゃないか。『女心の微妙さ』を考慮しろ」という文章です。法学部の学生も学者も、みんなこれを見ながら勉強してきた。ようやくそれが、1990年〜2000年代に改正されたんです。それまでは40年ぐらいの間ずっと、「女心はわからんから強姦罪には暴行脅迫の証拠が要る」というのがスタンダードとして読み継がれていて、学生はそれを読んで日本の弁護士・検察官・裁判官になっていったんですね。 『注釈刑法(4)』では、強姦罪の項目に「(暴行・脅迫の)程度を問わないという説もあるが、姦淫は強姦・和姦を問わず多少とも有形力の行使を伴うのが常であるからこの説によるときは意に反するか否かが唯一の標準になり、法的安定性を損なう(とくに女心の微妙さを考慮に入れよ。(中略)些細な暴行・脅迫の前にたやすく屈する貞操のごときは本条によって保護されるに値しないというべきであろうか)」(所一彦 当時、立教大学教授) ■2年前にようやく“同意の大切さ”が盛り込まれた その後も、従来の刑法における非同意性交等罪の成立要件は、暴行・脅迫・抗拒不能(被害者が抵抗できない状態であること)などとされてきました。しかし2023年の刑法改正によって、被害者が、性交等について「同意しない意思を形成、表明、全う」することが難しい状態で「性交等」が行われた場合に「不同意性交等罪」が成立するとようやく改正されました。 「同意しない意思を形成、表明、全う」することが難しい状態にあるとされる具体例は、刑法176条に、8つ例示されています。 ---------- 1.暴行・脅迫 2.心身の障害 3.アルコール・薬物の摂取 4.睡眠・意識不明瞭 5.拒絶するいとまを与えない 6.恐怖・驚愕させる 7.虐待 8.立場による影響力 ----------