俺は分家でアナタは宗家。
その時点でこの感情は報われないものなのに。
いや、この家は変わった。
俺がその気になればアナタの伴侶になれる。
そうさ、なれるとも。
だが・・・。
砂隠れの里、木ノ葉隠れの里。
二つの国は同盟国同士。
会いに行こうと思えばいつだって行ける。
お前の顔が見れる。
見に行こうか・・・。
だが今となっては・・・。
小さいころアナタに感じた想いは今でも残っています。
幼いながらも俺の眼に写るアナタはとても輝いていて。
この人のためなら自分の命をも費やしてもよいと・・・。
そう思ったんです。
だけれど、父上。
そのことだけはどうしても許せなかった。
アナタが悪いわけではないのに。
ただアナタが宗家だというだけで憎かった。
恨んだ。
恨んで、あの淡い感情を心の奥底に閉じ込めた。
けれど、あの男の助けを借りた今、俺はまたアナタのために命をかけます。
何がいけないのだろうか。
お前に会いたいという想いのどこが悪いのだろうか。
会いに行きたい。
会って、話をして、そして・・・。
ああ・・・、ダメだ。
それだけは。
どうせ会いに行ってもお前の心が俺に向くわけではない。
向かない。
絶対に、お前は俺を見はしない。
見ない。
見てはもらえない。
想いが募ってゆくだけ・・・。
アナタは俺のすぐ側。
いや、目の前にいるのに。
肩に、触れそうなくらい近くにいるのに。
否、触れる。
肩がこつんと触れる。
ああ・・・それだけで俺は舞い上がってしまうのに。
アナタは困ったような慌てたような顔をしてわびてくる。
わびないで下さい。
俺は嬉しいのですから。
ヒナタ様・・・。
触れたい。
触れてしまいたい。
触れて、その先まで・・・。
契りたい。
さすればお前は俺の伴侶となり、一生を共に過ごせるだろう。
例え、お前が俺のことを愛してはいなくても。
俺は風影。
お前の家に書簡を送れば叶わぬ夢ではない。
だけど・・・。
そうしてしまえばお前は悲しむだろう?
そして、俺を一生憎むだろう?
恨むだろう?
その念をこめて俺を見るだろう?
耐えられない。
否。
死にたい。
お前にそんな目で見られたら・・・。
この世は一瞬にして色をなくして・・・。
俺も、俺をなくしてしまうだろう。
だから、熱くこみ上げてくるこの想いに今日も。
昂ぶる熱にうなされる。
触れたいと、こんなに願ったことはありません。
それは、あの男、五代目風影砂漠の我愛羅も同じはず。
でなければ、あの祝いの席に我ら日向一族が招かれるわけが無い。
あの目。
あの男の目は、どこか切なげな色を含んでいて・・・。
目が合った。
俺はアナタを見つめていて。
そして、あの男と目が合った。
その目に浮かんだ色は、俺と同じ色をして・・・。
お前を警護しているあの男。
日向ネジ。
これほど他人を羨んだことは久しい。
以前は親に愛されている子供達に。
そして今は。
いつもお前の側にいられるネジに。
だが、側にいられるだけ。
お前はネジを見てはいない。
見ない。
俺と同じように、ネジのことも見はしない。
辛い。
こんなに想っているのに。
愛しているのに。
触れたいのに。
愛して欲しいのに。
あんなに、側にいるのに。
辛いだろうな、お前も。
だが、側にいられるだけ幸せだと思え。
俺は会いに行きたくとも、それすら許されないのだから。
アナタはこんなにも側にいるのに。
アナタはこんなにも俺に笑いかけてくれるのに。
お前はあんなにもきれいに笑うのに。
お前はあんなにも健気なのに。
それは、まるで俺を締め付けるように其処にとどまらせて・・・。
募る想いは熱く。
決して尽きることは無く。
そして、伝わることも無く。
俺はそこに縛られる。
縛られて・・・動けない。