ここは、天か。 はたまたその逆で。
地獄なのか。
ただ己の中に流れ込む苦味と暑さが。
思考を。
支配して。
これほど、この男は思いつめていたのかと。
自分は全然大丈夫だったのではないかと。
この男の苦しむ様を見ていると。
そうとしか思えない。
「・・・我愛羅っ!
ああ、我愛羅!
どうしたの? ネジ君が此処まで運んでくれなかったら今頃死んでたんだよ!」
「・・・・・」
ふ、と目を覚ました我愛羅はまず最初に白い天上を見、次に目に涙をためたテマリがわっと身を乗り出して己を抱きしめる感覚を覚えた。
カンクロウはというと、テマリの隣で鼻の辺りを押さえて肩を上下させている。
―そうか、俺は、死ななかったのか。
苦すぎる思いを胸に我愛羅はゆっくりと身を起こした。
「・・・死ねなかった」
ボソリとこぼしたその一言はあまりにも小さすぎて我愛羅を抱きしめているテマリでさえ聞こえなかった。
「悪かったな、心配掛けて。
綱手様はなんていっている?」
自分をがっしりと掴んで離さないテマリを何とか押してどかせた我愛羅はカンクロウの方を向いて言った。
「環境慣れしてないからだろうって。
頭の血管が数本切れて血が流れ出して、それで、倒れたって・・・」
震える声で言うカンクロウ。
この様な兄の姿を我愛羅は一度も見たことなかったが、それよりもカンクロウの発した言葉に我愛羅は驚いた。
「え・・・?
それは、脳うっ血ということか?」
「そうだ。
ああ、我愛羅・・・本当に良かった・・・・!!」
それ以上カンクロウに話を聞こうとしても、我愛羅は飛びついてきた兄を受け止めるのに気を取られてそれができなかった。
風に吹かれて、艶のある綺麗な長髪をなびかせている青年。
パイプに片腕をもたれさせているその姿は、とても美しく。
真っ白い服に一際大きな赤い模様が妖しく。
ネジは、隣に音も無くよってきた若き里長に声を掛けた。
「具合はどうですか? 風影様」
ふん、と一つネジを鼻で軽蔑したように笑った我愛羅。
「二人の時は敬語を止めろといっただろう。
それより、これはどういうことだ?」
「どういうこと、というと?」
「この状況のことだ。
俺は青酸カリで服毒自殺を図った。 それが五代目火影の診察結果は脳うっ血だ。
おかしいとは思わないのか? なあ、日向ネジよ」