城壁の周辺にはキバ、シノ、ヒナタが3つの方向にわかれ、三角形を作る。
ついに本格的な作戦が始まった。
泡沫夢幻(ほうまつむげん)~第7章~
「いいか、この三方向から内部に侵入。シノ、キバ、ヒナタは城壁下に降りたら周囲の確認を頼む。
下には誰か必ずいるはずだ。できるだけ俺らが侵入しやすいようにしておいてくれ。」
「了解。」
「まず侵入をする。よし、行ってくれ!」
シカマルの掛け声と同時に3カ所でキバ、シノ、ヒナタの3人が動き出した。
まず、チャクラを足へ集中。
それで壁を登り、城壁下の待機班を潰す。
キバ、シノ、ヒナタの降り立った場所には1カ所5人の配備がされていた。
「みんな、着地できたか?こっちは5人だ。」
「こちらもだ。」
「私のところも・・・」
3人の情報の確認をし、行動開始。
「よっしゃ、行くぜェ!ひゃっほぅ!!!!」
キバは勢い良く敵に向かって走り出す。
「き、貴様ァ、誰だ!どこから・・・ぐううっ・・・」
男たちは拳銃を取り出すも、3人先制攻撃に為す術もなく倒れる。
・・・どうやら忍ではないようだ。
城壁内で早速戦闘が起こる。
「周りにあるというカメラも全て壊した。終了だ。いつでもいいぞ。」
「了解。3人は各地点に3人現れるまで動くなよ。じゃあ、散!」
キバの地点にはシカマルの班、
ヒナタの地点にはネジの班、
シノの地点には砂の班が移動する。
全員が城壁内部に侵入したことを確認すると、シカマルの行くぞ、の声で先ほど侵入した各地点のスリーマンセルが城内へと侵入した。
「テンテン!派手にかましてくださいっ!」
「言われなくてもやってやるわよぉーっ!・・・・はっ!!」
テンテンお得意の武器攻撃・・・とは少し違う、
起爆札が大量についた風魔手裏剣を3つほど、順番に壁に向けて思い切り投げた。
風魔手裏剣は壁に突き刺さって数秒で大爆発を起こす。
壁にはかなり大きな穴が空いた。
そこから3人は中へ進入していく。中へ入るとざっと30人程度の忍がいた。
「やっぱりいるわよね~。ま、一人10人位ね。」
「ああ・・・」
「行きますよ!」
3人対30人の戦いが始まった。
一方、こちらは砂の班。
「テマリ!出番だ。」
「よし!!2人とも離れていろ!ハッ!!!!」
巨大な扇子から巻き起こるカマイタチ。
その威力はかなりのものだった。
周りには砂塵が吹き荒れ、強風が壁に当たったかと思うと、その壁はもろくも崩れ去る。
「・・・・これでいいか?」
「あ・・・ああ、十分じゃん。」
「行くぞ!」
砂の3人もテマリの開けた大穴から侵入する。
こちらには60人程度の忍が待ちかまえていた。
「きたな、砂の忍!」
「あぁ、わざわざ来てやったじゃん。早く巻物を返しやがれ。」
「ふんっ・・・もう一つのチームはもう囲まれてるぜ・・・」
「おまえらを倒せば、侵入した意味が無くなるぞ?」
「・・・ふっ、倒せるかやってみるがいい! 一人20人ずつやってやる。」
こちらも戦闘が始まったようだ。
先ほど、テマリは作戦が予定通り進んでいることを確認できた。
シノがとっさにたて、偵察の忍に聞かせたのは2グループが突入部隊、1グループが外の見張り・・・というものだった。
しかし本来の作戦は、2グループで城内の警備をひきつけ、
その間にもう一つの突入部隊と見張りのグループも城内に入るというものだった。
警備兵の「おまえらを倒せば、侵入した意味が無くなる」という言葉を聞き、
シカマルたちは敵にばれていないことがわかった。
そして、2か所に警備兵が順調に集まっていることも確認できた。
―――頼むぞ、我愛羅。
「よっしゃ、いの、チョウジ!俺らも行くぞ!」
「なんか情けない~・・・あたしたちはゴキブリかっつーの・・・」
「仕方ないよ、いの・・・。僕らはあんまり突撃部隊ってカンジじゃないしさぁ~。」
「・・・グチグチめんどくせぇなぁ・・・お前ら・・・」
監視役のキバに牙通牙で小さな穴を開けてもらう。
シカマル班はそこから城内へ忍び込んだ。
忍び込んで見ていると、警備班は見事に二手に分かれて走っていく。
「みんな・・・普通に騙されすぎ・・・。」
「でも、僕らが一番楽かもよ。ラッキーだね。」
―――・・・そうならいいんだがな・・・
シカマル達はコソコソと先を急いだ。
「なんだ、騒々しい。」
サクラたちは宴会場呼ばれ、酒や豪華な食べ物を振る舞われていた。
「はい、何者かが城内に侵入したもようで・・・」
「誰だ、忍か?!」
「恐らくは・・・しかし確定は出来ませぬ。
額当てをつけていませんでした。盗賊ということも考えられます。」
「そうか。ご苦労。警戒を続けよ、こちらには客人がいるからな。」
「はっ。」
報告に来た家臣が消えると、サクラたちのほうへ振り向いた。
「いや、お騒がせしてしまい申し訳ない。
我が城の富に目をつけた盗賊がいるようです。下の騒ぎはすぐに静まらせます故、安心してくだされ。」
どうやらどこの国の者かわからないように考えたようだ。
サクラは考えた。
―――・・・私たちの里の忍の犯行だと気づかれたら・・・私たちも危ないと考えてくれたのかしら。
まさにその通りだった。計画はバレているとはいえ、サクラたちと同じ里の忍が侵入したとわかれば、サクラたちの立場も危ないとシカマルは考えていた。
さすがIQ200の持ち主・・・すごい!
改めてサクラは、シカマルの頭の働きに感動する。
そのとき、シカマルから指令が来た。
「―――・・・サクラ!出来たら、突撃班の所に警備を集中させてくれ!!
まだまだ警備が多い!」
「え~!」
「おいおい!!突撃班は大変なんだぞ!」
「カンクロウ!面倒だがそれしかない!サクラ、やってくれ!」
「僕らも良いですよ!サクラさん!ですよね、テンテン。」
「・・・ま、しゃーない!いいよ、サクラちゃん!気にしないで!」
「了解・・・。」
―――・・・みんな・・・頑張って!
心中でそっと祈ると、サクラも一芝居うつことにした。
サクラは急に我愛羅に抱きつく。
「なっ・・・サクラ・・・!」
当然のごとく我愛羅はかたまってしまった。
それを無視し、芝居を続ける。
「盗賊?下で鎮圧できなかったらどうなさるおつもりですか!
ここにいたら、私たちを巻き込むんじゃないんですか?」
「で、ですから・・・その・・・我々も手を尽くします。」
「そんなことをおっしゃったとしても、盗賊を捕まえられる確証はないのでは?
―――・・・私たち、こんな場所で死にたくないわよね・・・?」
サクラは不敵な笑みを浮かべ、我愛羅を見つめる。
―――作戦か・・・
我愛羅も問いかけられ即座に理解し、頷く。
「そうだな。我々にも被害が及ぶ可能性がある。
城の警備員を総動員して盗賊を捕らえていただきたい。我々にもしものことがあったら・・・」
「う・・・」
「・・・・火と風との戦争はあなた方も避けたいでしょう?」
我愛羅が不適に微笑む。
彼がサクラに向けたことのないその顔は、周りに緊迫感を与えるのに十分過ぎるものだった。
「っ・・・わ、わかりました。警備班!総員で盗賊を捕獲しろ!
ささ、お二方も別室に・・・!」
「いえ、結構。
あなたはこの城の主。主ならば客人より警護が厳重でしょう?
あなたと一緒にいた方が安全ですから。」
サクラは我愛羅と対照的に、やんわりと微笑む。
逆にこのほうが大名には効果的だったようだ。
―――今ここで、こいつから離れるわけにはいかない。
サクラは大名を睨みつける。
「・・・そ、そうですか。ではこの部屋で・・・。」
「―――でかしたサクラ!!」
シカマルの声がする。
「ネジ、おまえ等はどうなってる?」
「全員倒したが・・・次の部隊が走ってきた。持久戦はキツいな・・・」
「わかった。砂は?」
「俺らはまだまだいけるぜ、あとこっちも新しい部隊がきた。」
「了解だ。持久戦はできるだけ避けたいな・・・まぁ、こらえてくれ!・・・ぉおっと・・・」
「どうした?」
「どうやら、巻物の部屋の近くに来ちまったようだ。」
部屋の前には2人の警備兵が壁に引っ付いて立ってた。
「思った通り、警備のやつらがいやがった・・・
よし、チョウジはやつらの前に分身を出してくれ。
いの、影真似で後ろから縛るから、心乱心の術で攻撃させておいてくれ。」
「了解!」
こちらも行動開始である。
「ん・・・あれは・・・貴様!何者だ!」
「下の階を騒がしている盗賊の1人だ、きっと!捕獲するぞ!」
2人の警備兵がチョウジの分身に向かって走ってきた。
しかし、シカマルの影によって止められる。
「な、なんだこれは・・・!」
「体が・・・お、おい、影が・・・!」
そこへいのが出てきた。その時だった。
「・・・くっくっく・・・貴様ら、この部屋の巻物が目当てか?
「・・・だからどうした。」
「なら止めとけ。この部屋は開けれない。」
「なら、めんどくせぇが力ずくで開ける。」
「無理無理。ここの部屋全体にはな。
海を渡った国から取り寄せた特殊合金を、部屋を囲むように出来ている。
どんな衝撃を与えても破損の可能性はない。」
「・・・チョウジ、試しに肉弾戦車をやってみてくれるか?!」
「おう!・・・肉弾戦車!!」
チョウジの肉弾戦車が部屋の扉にぶつかる。
―――しかし。
「ま、全く・・・傷一つついてないじゃねぇかよ・・・。」
「ひゃははは!!!開けたいならな、この城の主の持っている鍵がなければ無理なんだよ!
俺らは、それをお前たちに教えてやる役目なんだよ。馬鹿だな、お前らも!
ひゃははは・・・・・・・・
―――・・・・ひぎゃぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!!!」
シカマルが2人の高笑いの最中、影真似を解いたのを確認すると、
いのの蹴りが2人の警備兵の股間に豪快に当たった。
チョウジとシカマルは冷や汗をかいた。
―――・・・あ、泡吹いてるよこいつら・・・
―――・・・い、痛そう・・・白目むいてるよ・・・
「じゃ、大名のとこにいかなきゃいけないじゃないのよぉーっ!」
「そ、そうだな。」
「うん、だ、だね。」
気絶する警備兵を踏みつけ、3人は再び動き出した。
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