無人島の海鳥からプラ由来の添加剤 製造規制の物質も、ごみを誤飲か
太平洋の無人島にくらす海鳥「オーストンウミツバメ」の体内に、プラスチック由来の化学物質がたまっていたことが東京農工大や日本野鳥の会の研究で明らかになった。プラスチックの誤飲が要因とみられる。
オーストンウミツバメは、伊豆諸島を含む北西太平洋にすみ、全長25センチほど。海面近くに漂うエビなどを食べる。チームは伊豆七島のひとつ、神津島にほど近い無人島で、オーストンウミツバメの尾羽の付け根にある器官から出る脂を拭って採り、分析した。
すると、13羽中4羽から「BUVSs」というプラスチック添加剤が、脂肪1グラムあたり500ナノグラム以上(ナノは10億分の1)の濃度で検出された。
「これほど高い濃度が出るとは」
BUVSsはプラスチックが紫外線によって劣化するのを防ぐ働きがある物質のグループ。体内に蓄積した場合、生物への毒性も指摘される。今回の分析でも、国際条約で製造や使用が規制されている物質が見つかった。ハワイなど、北太平洋にくらす他の鳥類と同じくらい高濃度で検出された成分もあった。
日本野鳥の会自然保護グループの山本裕チーフは「これほど高い濃度が出るとは」と驚いたという。
食物連鎖によって生き物の体内にたまる他の人工合成物質も検出されたが、BUVSsの濃度との相関はなかった。そのため、エサを通じてだけではなく、プラスチック片そのものを食べたことでもBUVSsをためてしまったとみられた。
東京農工大の水川薫子講師(環境化学)は「北太平洋は世界でもプラスチック漂流量が多い地域。生息地が無人島とはいえ検出されてもおかしくないと考えていたが、やはり出てきたかという気持ちだ」と話した。
「海に出るプラごみを減らすためにも不必要なものを減らす対策が大切。また、日頃使っているプラ製品にどんな添加剤が含まれているのかを消費者が知る機会がもっとあると望ましい」
論文は国際誌「Marine Pollution Bulletin」に掲載された(https://doi.org/10.1016/j.marpolbul.2025.118213)。
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