コメ民間輸入、5月は初の1万トン超 最多を更新、高関税でも割安感

合田禄

 コメ価格の高騰を受け、高い関税を払ってでも輸入しようというコメの民間輸入が5月、初めて月間で1万トンを超えた。今月27日に公表された貿易統計でわかった。無関税の輸入枠「ミニマム・アクセス(MA)」の年約77万トンと比べるとわずかとはいえ、過去最多を大きく更新。関税分を上乗せしても割安感があると判断されている模様だ。

 民間企業がMAの枠外で輸入すると、1キロあたり341円の関税がかかるため、民間輸入はこれまで、月数十~100トンほどで推移してきた。

 それが、今年に入って急増。貿易統計によると、1、2月は約400トン、3月は約1300トン、4月は約6800トンになった。

 5月はさらに増え、過去最高の約1万600トンに。昨年の月平均の約125倍で、5月だけでこれまでの年間輸入量を上回る量になった。輸入元は米国が7割で、台湾、タイと続いた。

 イオンは今月から、米国産の中粒種「カルローズ」を4キロ税込み2894円(5キロ換算で同3618円)で販売している。広報担当者は「売り上げは好調」と話し、年内に1.4万トンを販売予定という。

 農産物の貿易に詳しい東洋大の川久保篤志教授は「備蓄米の放出が続いているが、店頭での品薄感は払拭(ふっしょく)されていない。スーパーによっては輸入米が最安値のところもあり、値段を重視する消費者の選択肢になっている」と話す。

 今後も民間輸入が増える状況は続くのか。

 川久保さんは「6月以降も同じくらいの民間輸入が続く可能性はある。一方、格安の備蓄米がどの店舗でも買えるようになったり、新米の流通が始まったりして国産米の値段が下がれば、輸入米の競争力は弱まるだろう」と指摘した。

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合田禄
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