TRICK 時遭し編   作:明暮10番

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阿鼻叫喚

 震える手で家を掃除する。

 別室にいる叔父の声に怯え続け、夜は眠れず。

 鏡を見れば自分の顔が酷く窶れており、本当に自分の顔なのかと疑ってしまった。

 

 

 

 何度か顔を打たれた。

 髪を引っ張られた。

 腕を掴み上げられ、強く捻られた。

 たった一晩、既に心は限界だった。

 

 

 だが彼女はこれを受け入れる。

 これは自分に対する罰なのだと。一つ、罪滅ぼしなのだと。

 

 甘い自分のせいで、親も兄も、いなくなってしまったのだから。

 自分が弱く、甘えん坊のせいだから。

 

 

 彼女は全て、受け入れるつもりだ。

 稚拙に、蕭索に、真摯に、迂愚に。

 

 

 

 

 叔父、鉄平の声が響く。

 ビクリと身体を震わせ、何かヘマをしたかと思考を巡らす。

 

 

 だがいつもより潜めるような声で、自分に対してではなく別の誰かに対しての声だ。

 誰かとぶつぶつ、話している。

 

 

 

 

 

 客でも来たのか。なら、お茶を出さねば怒られるのではないか。

 する必要もないのに忍び足で玄関に行き、角から覗く。

 

 

 

「し、失敗……したんか……!?」

 

 

 鉄平が、派手な格好の女と話していた。見た事ないほどの動揺を顔に浮かべながら。

 

 

「金は盗れた!! お願い助けてよぉ……! あたし顔バレたから殺される……!!」

 

「そ、そな、相手を分かっとるんか!? すぐこの家にも来やがる……!!」

 

「だったら車出しなさいよッ!! あの廃品回収のがあるじゃない! 運転出来るんでしょ!?」

 

「か、堪忍せぇ……!」

 

 

 女は辺りを憚りながら、それでも強い語気で怒号を飛ばす。

 

 

「ふざけないでよぉ……!! あんたを紹介したのはあたしなのよ……!? 金が入れば、あたしはもう良いっての!?」

 

「そうとは言っとらん……! わ、ワシにはどうする事も出来んのじゃ……! お前を助けて心中は勘弁での……!」

 

「なんなのよ!? あたしの事好きなんでしょ!? だったら助けなさいよ!? アイツ全然連絡しないし! 村から出られないし……!」

 

「あの、金ヅルん所に匿ってもらえ! わ、ワシは無理じゃ! 園崎に顔も知られとるし……!」

 

「こ、この……屑野郎……!!」

 

 

 ヒステリックに喚き、半泣きの状態で家を出て行った。

 残された鉄平は一度溜め息を吐く。何だかんだ言って彼女の身を案じているのかと思った。

 

 

 

 

 

 身体を震わし、俯き、笑い出す。

 

 

「ギャハハハッ!! さ、三億じゃ三億じゃ……!! 成功したんじゃな!! ならあんな女、死んでも構わんわ!! ハッハッハッハッ!! 女装した甲斐あった!!」

 

 

 笑いが止まらない。狂った笑いが木霊する。

 一頻り笑った彼は、笑い過ぎの涙を拭いながら居間に引っ込む。

 

 

「さぁ、はよ連絡せんと……! イヒヒッ!『ジオ・ウエキ』様々じゃ……!」

 

 

 彼の口から出た、ジオ・ウエキの名前に驚く。

 なぜ一年も村を離れ、ダム建設には無関心だった彼が、反対派閥の指導者と知り合いなのか。

 

 沙都子はまた忍び足で居間の襖へ耳を当て、彼の声を聞き取る。

 黒電話のダイヤルを回す音が鳴り、暫くして鉄平が話し出した。

 

 

 

 

 

「ジオ・ウエキさんかの!? 三億円は……おぉ! 入ったんか!! 場所は……いつもあそこで良いかいの!?」

 

 

 嬉々として電話をとる鉄平。

 三億円、ジオ・ウエキとの関連。沙都子には、全く見当もつかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 既に夕方になろうとしていた。

 山道を下り、お宝探しから帰還する圭一とレナ。レナは両手に「お宝」を抱えて上機嫌だった。

 

 

「えへへー! 私の勝ちー!」

 

「クソォォ……! どうした圭一! なぜだ圭一!? 俺はなぜ、勝負に弱いんだ……!!」

 

 

 圭一に振り向き、ニヤッと笑うレナ。

 

 

「それじゃあ……レナの言う事、聞いてもらおっかなぁ?」

 

「ぐふ……」

 

「……返事は?」

 

「……い、いいとも〜……」

 

 

 朗らかに笑うレナ。

 

 

 

 

 夕焼けが染め、深緑の中に立つ、少し泥で汚れてしまった頬の彼女へ、不覚にもドキリとしてしまう。

 

 儚い月光のようだ。降り注ぐ雪のようだ。初夏の山中、夕陽の満月、可憐な雪化粧。

 この斜陽の朱に目を逸らせば彼女は溶けて、吸い込まれてしまうのではないか。

 

 妙な事を考えてしまい、気恥ずかしくなって俯いた。

 次に顔を上げると、本当に少女は消えていた。

 

 

 

 

「……へ!? れ、レナ!?」

 

「なぁに?」

 

「うおっ!?」

 

 

 いつの間にか隣に立っていた。

 過剰にびっくりしている圭一を見て、鈴のように笑う。

 

 

「圭一くん驚き過ぎだってばぁ!」

 

「つ、疲れただけだ! この前原圭一に死角はないッ!」

 

「あはは! 上田先生と同じ事言ってるよ!」

 

「……それで! 俺はレナに、何すりゃ良いんだよ」

 

 

 罰ゲームは、勝った方の言う事を聞く。

 圭一は「レナを専属メイドにする」だった。レナは、まだ内緒にされている。

 

 

 こう言う罰ゲームに関しては、この前の女装と言い容赦しないのが彼女。

 どんな無茶振りをさせられるのかとヒヤヒヤ。

 

 

 

 

「…………そ〜だねぇ……」

 

 

 ポっと、レナの頰に紅色にして、されど幸せそうに。

 

 

 

 

 

 二人は道路に出る。レナは独白のように話し出す。

 

 

 

 

 

「……どこか遠くに。一緒に、どこまでも……」

 

 

 圭一は驚き、彼女を見やる。

 

 

 

 

 

 

「……遠く遠く……オヤシロ様も追いつけない遠くまで……レナを連れてって欲しいな」

 

 

 

 切なげな横顔。およそ見た事のない、その横顔。

 本当に、彼女が、消えてしまう。本気でそう思ってしまうほどの。

 

 

 

 

 

「……なんちって」

 

 

 最初のような、意地悪な笑みになるレナ。

 目をパチクリさせる圭一だった。からかわれたと気付く。

 

 

「久保田 早紀ぽかった?」

 

「い、異邦人?」

 

「圭一くん、豆が鳩鉄砲食らった顔してるよ!」

 

「豆と鳩が逆じゃねぇか!」

 

「あははは!!」

 

 

 無邪気に笑うレナを見て、やはりさっきのは演技だったのだなと圭一は不貞腐れる。

 

 

「あまりからかうんじゃねぇ!……そんで、罰ゲームはよぉ……何させる気だ?」

 

「……ん〜……んふふ! 一日待ってくれる? 準備するから!」

 

「…………また女装?」

 

「明後日、火曜日のお楽しみに〜!」

 

 

 タタタと駆け出し、くるっとターン。

 呆れながら後ろを付いて行く圭一。馬鹿らしく思いながらも、自然と顔が綻んだ。

 

 

 

 

 

 一台の車がやって来る。大型のトラックで、恐らくダムの材料搬送か。

 道路の傍に避け、トラックを避ける。何の問題もなくトラックは通り過ぎて行った。

 

 

 

 

 レナがポカンと、去り行くトラックを眺めている。

 

 

「どうした?」

 

「圭一くん……あの、見間違いじゃないよ?」

 

「ん?」

 

「……トラックの助手席に……ジオ・ウエキ……いた」

 

「……へ!?」

 

 

 二人はトラックを追って、駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 園崎の方では混乱が巻き起こる。

 山田と上田、そして魅音は、葛西の運転する車に乗って畑の傍の道路を行く。

 

 

 目的地に到着すると既に何人か集まっており、騒ぎ、奔走していた。

 夕焼けの空には黒煙が上がっている。

 

 

 停車し、即座に畑の中へ走る。

 全員の目には、横転して炎上する車が写っていた。

 

 

 

 

 その小型トラックは造園会社の物だ。

 三億円を積んでいると思われる車。それが目の前で事故に遭い横転し、炎上している。

 

 

「三億円燃えちまうぞ!?」

 

「消化器持ってこんかい!!」

 

「近付くな!! 爆発しおるぞ!?」

 

 

 消化活動をしている組員たちだが、危なげな気配を察知し、全員退避。

 同時に車は爆発を起こし、山田らは顔を伏せた。

 

 

 

 

 一際大きな黒煙と紅炎が空に舞う。

 羽根を広げ飛翔する、カラスにも見えた。

 

 

 その後も尚燃え続ける車を見て、全員は呆然と立ち尽くす。

 爆発が収まったと同時に、また消化活動が再開された。

 

 

 上田は頭を抱える。

 

 

「……おそらく、焦って運転し、畑の溝にタイヤをかましたんだ……! 運悪くマフラーからガソリンが漏れて、炎上しちまったんだろう……!」

 

「………………」

 

「あの爆発じゃ、もう金は無理だ……!」

 

 

 紅々と燃え盛る車を、山田は訝しげにずっと見ていた。

 

 

 

 

 その後消防車が到着し、三十分かけて鎮火する。

 希望の可能性として荷台から飛び出したフゴ袋を全て確認するが、どれも切った枝と葉ばかり。

 

 魅音と葛西は諦念と悔しい思い、更には後悔を滲ませながら、黒焦げとなった事故車を眺めた。

 

 

「折角盗んだ金を荷台なんかに乗せないか……」

 

「落とす訳にはいきませんからね……助手席に積んでいたのでしょう……クソッ!!」

 

 

 鎮火した車の中からは焼死体が発見されたようだ。

 運転手もとい、山田の言う「四人目の実行犯」だろう。

 

 

 天下の園崎家を引っ掻き回した三億円事件は、釈然としない、誰も得をしない幕切れとなった。

 

 

 

 

 

 

 葛西へ一人の組員が報告をする。

 

 

「興宮に戻る前に造園会社の車止めて問い詰めやしたが……他はグルでは無さそうです。一人だけが誑かされたんでしょ」

 

「………………」

 

「向こうもいきなり、会社に戻る途中に一台離れて走り出したんで……混乱しとる様子でしたぜ」

 

「……そうか」

 

 

 今更そんな報告を聞いても仕方ない。葛西は掛けていたサングラスを整え、溜め息を吐く。

 

 

 

 

 一部始終を見ていた山田と上田に、横から魅音が話しかける。

 

 

「こんな事になるなんて……でも、山田さん達に感謝しているよ」

 

「……どうせお金は消えてしまうのに……私はただ、シンさんを追い詰めるような事をしたような気がします……」

 

「山田さん。これはヤクザの世界……シンさんは、然るべき報いを受けただけ。山田さんが気に病む事じゃない」

 

「………………」

 

「……あの別宅は引き続き使っても良いから。婆っちゃにも言ってあげる」

 

「………………」

 

 

 魅音は二人から離れ、車に戻る。

 入れ替わりに葛西が話しかけた。

 

 

「お二人は、どうされますか? もう我々の監視は解いて良い頃合いですが……」

 

 

 黙り込んだままの山田に代わり、上田が答えてやった。

 

 

「た、あぁ……私たちは、ここで……また何かあればそちらに伺いますので」

 

「……今日は本当に、ありがとうございました」

 

 

 一礼し、葛西も車に乗り込む。

 他の組員らの車と共に、二人は屋敷へ帰って行った、

 

 

 

 

 

 冗談のように辺りは静まり返った。

 山田と上田も、そこを離れようとする。

 

 

「なんと言うか……夢みたいに事件は終わっちまったな?」

 

「……やっぱり」

 

「ん?」

 

「……やっぱり、納得行きません」

 

 

 山田はまだ諦めていないようだ。

 

 

「どうしてだ?」

 

「都合が良過ぎるって思いませんか? 金を運んだ車が事故を起こして、三億円と一緒に炎上……絶対におかしいです」

 

「だが……死体も出た。三億円奪う為に、自作自演で死ぬ訳にはいかんだろ?」

 

「……車が田んぼに突っ込んだ所、丁字路だったじゃないですか。一方の所で待ち構えていて、車をぶつけるって事も可能です」

 

 

 山田の推理を聞き、上田は疲れたような顔を見せた。

 

 

「おいおい……三億積んだ車だぞ? もし金が破損したら一巻の終わりだ。かなりリスキーだろ!」

 

「助手席に積ませてあるのなら、人間ならともかくお金なら言うほど破損しませんよ。追突時に運転手も気絶しているだろうし……犯人は楽々三億円を回収して、それで車に火を付けて、後は逃げるだけですよ」

 

「仲間を手にかけた動機は?」

 

「造園会社の人間である以上、絶対に身元が割れて足が付く……口封じですよ」

 

「バッカな! そんな理由で殺すなんて……イカれてる!」

 

「……ヤクザから三億奪おうとする人間が、正常と思っているんですか?」

 

「んまぁ……それはそうだが」

 

 

 山田は自分の考えを続けて話す。

 

 

「……この道で待ち構えていたとすると……犯人は、必ず車はここを通ると知っていた人物……多分、事前に逃走ルートを指定していたんだと思うんです。それを知っていると言う事は……ジオ・ウエキの仲間がやったのでは?」

 

「仮に君の考えが当たっているとする……車を横転させるには、それなりに大きな車が必要になる。造園会社の小型トラックより軽ければ、追突時にその車も横転しちまう。それにフロントが破壊され、運転手も無事じゃなくなる! パンクさせたと言うなよ? 車はキッチリ四輪あったし、途中にゴム片も無かったからな……」

 

 

 田舎道を歩きながら、あれこれ議論し合う。

 だが考えれば考えるほど、意味も分からなくなり、こんがらがる。

 

 

「……本当に、三億円は燃えたのでしょうか……」

 

「詳しくは事故車を見分して、警察かどっかが判断するだろ」

 

「………………」

 

「何にせよ、三億円は無くなった。健闘はしたが、残念だったな」

 

 

 空は暗くなりつつあった。

 心に蟠りを残したまま、二人は引き続き使わせて貰えると言われた別宅へと急ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 圭一とレナはトラックの行く先を予想し、そこに辿り着く。

 ダムの工事現場。終業時間になっていたようで、搬入口に人はいない。二人はこっそり忍び込んだ。

 

 

 搬入口付近に停めてある、トラック数台。その内の一台に近付き、ナンバープレートを確認する。

 

 

「ええと……うん。このトラックだったよ」

 

「よ、良く番号覚えてんな……本当に乗ってたのかよ」

 

「ジオ・ウエキが本当に乗ってたんだよ! 服は違っていたけど、女の人だった!」

 

「確かに……工事のトラックに女は珍しいよな……」

 

 

 好奇心が勝り、二人は奥へと行く。

 ふと、圭一は一つのトラックのナンバープレートに目が行く。

 

 

 

 

 

 

『63824』

 

 

 変わったナンバープレートだなと、圭一はそのトラックの荷台に被せられたシートを開き、中を覗く。

 

 

「……ッ!! 監督……ッ!?」

 

「……何やってんの? 圭一くん……」

 

「か、監督が……監督がいる……」

 

「もう! 馬鹿やってないで行くよっ!」

 

「コジマイズゴッドォーーッ!!」

 

 

 圭一を引っ張りながら、奥へ奥へと、作業員の気配に気を付けながら進む。

 

 

 

 

 二人が今し方横切った、一台のトラック。やけに前面部が破損し、へこんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 暫く進み、辺りは暗くなってしまった中で、光がまだ照っているプレハブ小屋を発見する。

 そこに近付き、二人は壁に耳を合わせる。プレハブの薄い壁では、どう頑張っても音は漏れる。

 

 

「聞こえるね」

 

「……あぁ……ジオ・ウエキの声だ」

 

 

 彼女の特徴的な声はとても分かりやすい。

 二人は息を潜め、聴覚に神経を集中させ、中から漏れる声を聞き逃さぬよう注意した。

 

 

 

 

 

「ア〜タクシたちの勝利ですわねぇ! 決着ぅーーッ!」

 

「声が大きいわよジオウちゃんっ! コンドームみてぇに薄い壁なんだから!」

 

 

 レナが小首傾げる。

 

 

「……圭一くん。こんどーむって、なんだろ?」

 

「き、聞く事に集中するんだ! 質問は後!」

 

「……?」

 

 

 引き続き二人は耳を澄ませる。

 

 

「そうは言われましても、笑いが止まりませんわぁ!」

 

「うへへ!……それはあたしも同じよっ! こんな沢山の聖徳太子、初めて見たわよっ! 豊聰耳にも程があるわっ!」

 

 

 聖徳太子と聞き、圭一はピクリと反応する。ジオ・ウエキの宣言が脳裏に巡ったからだ。

 

 

「聖徳太子……じゃあ一万円札で……もしかして三億円か……!?」

 

「圭一くん?」

 

「レナ、落ち着いて聞け……ジオ・ウエキはな、魅音の所から三億円を盗む気だったんだ」

 

「……え!? じゃ、じゃあ、聖徳太子って……歴史の勉強じゃなかったんだ」

 

「……そ、そう思ってたのか……もしや三億円を本当に…………ん?」

 

 

 馴染み過ぎて見過ごしかけたが、ここはダムの工事現場。つまり、反対派閥の指導者であるジオ・ウエキの敵地のハズ。

 

 

 なぜ、彼女はここにいるのか──圭一はすぐに理解した。

 

 

 

 

 

 

「……嘘だろ……! ジオ・ウエキの奴、こことグルだったのかよ……!?」

 

 

 

 思い出したのは金曜日に見た、ジオ・ウエキの霊能力の三つ目。

 メモ帳に書かせた文字を即座に読み取る能力だったが、確かそれを書いたのはダムの現場監督だ。

 

 

 ジオ・ウエキは最初から、あそこで霊能力を披露する気だったようだ。村民らからの信奉を強める為に。

 そして現場監督と、事前に秘密裏に打ち合わせをしていたのだろう。

 

 

 メモ帳の文字は読み取ったのではなく、元々から決めていた訳だ。

 

 

 全てが繋がり、圭一は動揺する。それは隣で聞いていたレナも同じだ。

 

 

「ぐ、グルって……!? なんで……?」

 

「それは分からねぇが……」

 

 

 ジオ・ウエキの声がまた響く。

 

 

「とりあえず、ここに隠しておきなさぁ〜い! 仲間を呼んで山分けよぉ〜!」

 

「ここなら園崎も入れないからねんっ! キッチリ隠しておくわっ!」

 

「お〜っほっほっほっほ!」

 

「フハハハハハハハハハッ!!」

 

「……こいつら、密会する気あんかよ」

 

 

 テンションが高いのか、大きくダダ漏れの声。さすがに圭一も呆れてしまう。

 だがお陰でジオ・ウエキの秘密を暴けそうだ。

 

 

「……魅音らに知らせねぇと」

 

「出よう、圭一くん!」

 

「あぁ……」

 

 

 振り返り、逃げようとする二人。

 

 

 

 二人を囲む、六人の作業員に、そこで初めて気が付いた。

 

 

「……へ?」

 

「ひっ……!」

 

 

 作業員らは据わった目で、二人を睨み付ける。

 その眼にある光は、人間にある理性的な光は鈍かった。

 

 作業員らは口々に二人へ怒鳴る。

 

 

「このガキがッ! これはグレートに許せねぇなぁ!」

 

「俺たちの秘密を知ったッ! 今日は眠れないな……今夜だけだがッ!」

 

「お前たち捕まえろッ!!」

 

「「無駄無駄ぁ〜!!」」

 

 

 多勢に無勢だ。二人は敢え無く、六人の作業員らに捕らえられてしまう。

 

 

「くそッ!? は、離しやがれって!!」

 

「離して、離してよぉ!!」

 

 

 敢え無く圭一とレナは捕縛されてしまった。

 どんどんと空は夜に落ちて行く。




「笑っていいとも」は1982年10月から放送されたので、この時代ではまだ新番組でした。

ツッコまれる前に言っておきますけど、メタルギアの第一作目は1987年から。
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