亜人:ゼロから始める異世界生活   作:ZAT23

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伏線回収の時間だ
あなたはどれに気付きましたか?


【FILE:235】合理主義の方法

ガークラの無事な建物の一つ。ここはカララギからの客人へと割り振られた場所であり、珍しくどこも壊れていない建物である。

そこの静かな部屋の一室に、男女が向かい合っている。

 

「あんらまぁ。新婚の旦那さんがこないなとこで女性と密会なんて、怒られるのと違うん?」

 

えらい。おモテにならはりますなぁとでも言わんばかりの嫌味から始まった舌戦は流石に相手が優勢だ。この手の話題では性別がものをいう。

この真理に抵抗するのは全く合理的じゃない。付き合わないに限るのだ。

 

「どうせハリベルさんもいるでしょうに。嘘をつかないでくださいよ」

 

「まぁせやろねぇ。でもウチが隠れとけなんて指示したわけやないから堪忍な?」

 

「ええ…そんな風にハシゴ外されるん。僕はアナ坊との約束守ってるだけやのに…ひどいわ。転職も考えんといかんなぁ」

 

当たり前のように対話に参加してくるハリベルは、しかし姿を見せるつもりはないらしい。

声がするのにどこにいるのかわからなかった。

 

「その時にはお声掛けくださいね。柔軟に対応しますよ。それで、本題に入りますがこの後ヴォラキア皇帝と謁見の時間をもらいました。どうにか無理やり時間を作ったのでアナスタシア様も参加してください」

 

「あらま。そら行かんとね。でもそれだけなら今の時間の説明がつかんね。本題は?」

 

こちらを見通すような知性を瞳に宿して、女商人は計算高く問いかけた。

ケイは何ひとつ気後れず、はっきりと口を開き言葉を相手に届ける。

 

「あなたの目的に合わせた提案を用意しました。条件を飲んでくれるなら協力できますよ」

 

「ウチの目的?それってどれの話やろ。やりたいこといっぱい。欲しいものだらけの生き方やからね。どれのことか分からんのよ、堪忍な」

 

嘘をつかずに本当のことを言わない相手なら、真っ直ぐに何度も聞けば良い。

 

「あなたが、王になるという目的です。それを達成させてあげるのでこちらにもご協力ください。」

 

そこまで長い時間ではないが、思案のための沈黙が空間を走っていく。

 

「あらら。クルシュさんのこと裏切るん?そないなことしたら泣くんとちゃう?奥さんにも怒られるやろ」

 

無理だろうに、とぼけるつもりだろうか。

青蓮獅子団が派手に活動し始めてから疑問ではあった。カララギ訪問で疑念は広がり、そしてこのヴォラキアで確信に変わった。

 

「あなたはそもそも王選を勝ち抜く気がないでしょう」

 

「なんでやねん。こんなに頑張って二番手に食らいついとるやん。ひどいわぁ。ユリウスにも嘘ついたことなんてないよ?」

 

「それも本心でしょうが、全部ではないでしょうに。あなたは賢人会を前にした宣言において、ルグニカ国王になるとは言っていない。あなたは自分の国が欲しいと言っただけです」

 

「あなたはすでにルグニカ王国の王冠に興味はない。最終的に()()()()()()()()()()()()()()気でしょう」

 

それはあまりに大きな宣言。そして彼女は今、実際にカララギ都市国家の代表としてここにいる。

カララギを背負って皇帝と交渉をするというのは、ルグニカの王選候補としての振る舞いとは言えない。それは横にいる最強だってそうだ。これは徹底してカララギの代表としての実績であり箔になる。

 

「確信持ってる書記くん相手にしらばっくれるのも時間の無駄やね。前のことで十分わかっとるよ」

 

やれやれとかぶりを振って、本題がようやく始まった。

 

「うん。まぁそこまで諦めきってはないけど、現実的には相当な無茶なんていうことはわかっとるよ?ていうか普通に考えて、ウチとプリシラさんとエミリアさんはあり得ん無理筋やろ。他国の人間やハーフエルフが王様なったら、温厚なルグニカでも流石に暴動が起きるもん。ナツキ君でもどうにもならんと思うけど、またこの予想もひっくり返されるかもね」

 

「そうでしょうね。僕もそう思います」

 

「この国でそないなことになったら歴史の笑いもんやろね。政治もうまくいくわけないわ。みんな不幸になって貧乏になってまう。だからウチはそうしない。当たり前やね」

 

「とはいえフェルト様あたりを担げばいけそうなものですけどね。途中まではその予定だったのでは?」

 

「うーん。まぁそこら辺が落とし所やったろうけど、ここまでそちらさんが大きくなったなら、プリシラさんとこと組まな無理やん?実際もうほとんど目がないとは思うてたよ。それがここにきて口説き落とされるんやもん信じられんわ」

 

カラカラと笑い、自身の敗北を語る姿には見えない。

 

「だからこそあなたは自分の国を手に入れるために、王選で得た影響力を使ってカララギの王になろうとしている。それの協力をしますよ。僕と、ヴィンセント皇帝が揃って支援します。いかがですか?」

 

「へえ。それはそれは。嬉しいけど、そちらさんのメリットは?このままなら勝てそうやん?わざわざ塩を送ってくれるんて、下心が見えへんと安心できひんよ」

 

「ええ、だから意図を話しますよ。あの刀についてもね」

 

王選を戦う実権を持った最大派閥と次点の代表。

対立候補の同士、気兼ねない密談の内容に『礼賛者』が思わず息を吐いた。

 

全くもってらしくないが、言葉を挟み込んでしまう。

 

「え、それ、めっちゃええやん…」

 

あのケイが微笑を浮かべて姿を見せたハリベルへと語りかける。

その口調はゆっくりで、どこか親しげだった。

 

「あなたの説得は必須ではなかったですが、やりたかったことではあります。賛成してくれますか?」

 

ハリベルは目の前の若者の目をじっと見る。

その目は未来を見据えて、具体的な想定を描いている。あまりに遠く美しく、それでいて不可能に思えるようなその未来の絵をハリベルもつられて見てしまった。

 

「僕、人に使われるのとか。頼られるのとか嫌いなんよ」

 

「ええ、知っています」

 

「でも、もっと嫌いなこともあるんよね。だから、ええやん。そないな冷静で頭も良いのにバカみたいな理想なんて。若者らしくて好感持てるわ。飴ちゃんやろか?」

 

「ええ、ください」

 

手を差し出すケイは特に思うところはないらしい。

 

「はっは!ごめんな。僕、飴ちゃん持ってなかったんやったわ」

 

ハリベルは思わず吹き出した。

呪いを扱う彼から飴を受け取るものはいない。その冗句を真に受けてくれと言ってくるのは少し可愛らしいではないか。

 

「でも、そっちの約束は守ったるよ。昔から見守ってた娘っ子には、できれば幸せになってもらいたいやん?」

 

「なんやこれ。ウチはダシにされたってことでええの?それに、邪剣なんていつの間に拾ってきて、返してこいとは言わんけどね」

 

少し頬を膨らませたアナスタシアが置いていくなと口を挟む。内容はかなり物騒だ。

 

「その刀は隠し持っていてくださいね。あなたならできるでしょう」

 

アナスタシアとハリベルの小競り合いには興味がない。

互いに好きにやらせておいて、自分は先に向かうとする。

 

「時間には始めますので、遅れずにお願いします」

 

そう言って手を差し伸べる。

アナスタシアは目を大きく開けて驚き、心底の驚愕が声から出た。

 

「ええ〜!?書記くんって割と変わるんやねえ。演技には見えへんし、どんな心境の変化なん?」

 

「まぁ新婚ですし、これくらいは変わるでしょう」

 

「うわ。つまらん冗談まで言うようになるやなんて、もしかしてやけど『色欲』やない?仏頂面で無口な書記くんを返してな」

 

ケイはいつもの仏頂面で黙って出て行った。

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

ケイの向かった先。その一室には、なぜかプリシラが先にいた。

 

「ほう。我が夫。旦那様ではないか。妾を待たせて女と密会とは、よほど燃やされたいと見えるな?」

 

当てつけのように妻ぶったセリフは、ここにいる男性二人に深く刺さった。

いやまぁ。妻ではあるのだが。

 

死ぬほど嫌そうな顔でそれを浴びせられるのは、この国の頂点たる皇帝と皇弟である。

 

「くくく。兄上も貴様も、その表情をやめよ。まるで兄弟のようであるぞ。いや、兄弟であったな。ふ、はは!」

 

流石に我慢ができないと、腹を抑えて笑い出すプリシラは以前よりも感情を出しているようだった。

 

「様子がおかしくないですか?術式の不具合でしょうかね」

 

「また無粋なことを…ここには家族しかおらぬのであろう?家族であるならば、それなりの距離感というものがある。兄上はそれを知らぬようであるし、妾もルグニカで学んだところよ。物書き、いや旦那様よ。貴様と家族はどのような関係であった?」

 

旦那様と貴様が連続することがあるのかという驚きを感じつつ、そこには触れずに先へと進む。

家族のことを思い出した。

 

「妹には嫌われてて、父とは別居してましたね。母は僕よりよほど合理的で仕事一筋だったのであんまり会話もしないです。普通の家庭というのは、よくわからないですね」

 

「貴様よりも合理的だと?それがなぜ家庭を持っている?矛盾したことを言うな」

 

「事実から曲げようとしないでください。その推論なら、僕の合理性が大したことないものということで説明がつくでしょう。実際そこまで合理的には生きてないですよ僕は。今回のことだってそうです」

 

はぁ。と大きなため息をつく。本当にバカなことをしたと自覚はある。

 

それをアベルは睨み、何事かを言おうとするが言葉が見つからず口を開閉させている。

プリシラはそれを見てたまらず吹き出し、ケラケラと笑い出した。

 

「妾を今度こそ殺す気か。やめよやめよ。その庭池の魚のごとき開閉をやめよと言うておる」

 

理解不能だ。ケイもヴィンセントも、時間が経つにつれてどんどん不機嫌になっていく。

そして反比例してプリシラは上機嫌になっている。最大幸福の効用として非効率だ。どちらかといえば一人を犠牲に二人が幸せになるべきだろう。

 

「兄上への思いやりとして胸中を解説してやろう。その複雑な感情は、大切な妹に飛びつかれても嫌だが、相手が乗り気でないのもそれはまた業腹というどうしようもない感情であろうよ。どちらにしても兄上の表情は曇ったまま。妾という日輪を遮ろうと、仏頂面で遮り続けるだろうて。どこに出しても恥ずかしくのない立派な『しすこん』であるな」

 

そこからも、絶好調のからかい上手のプリシラさんによってケイとヴィンセントがボコボコにされるだけの時間が続く。

 

早く同盟してこの邪悪な女を黙らせねばとケイが立ち回って、それをヴィンセントも理解していても何かが邪魔をしてヴィンセントはケイに協力できなかった。そんな自分に驚いた様子を見てプリシラがさらに調子に乗るのだ。

 

ああ、もう。カルステン領に帰りたい。でもこいつも一緒だった。

というか戻ればローズとリリシアがいる。保留していた返事の代わりにこんな報告を先にすれば、流石にローズに殺されることは避けられない。

 

ああ、もう嫌だ。田舎で静かに暮らしたい。

そうすると先ほど逃げた相手が救い手となってやってきた。

 

「あらら、いややわ。ウチ、家族団欒のお邪魔やない?…いや、どうしたらこんな状況になるんよ。ここ入るの嫌なんやけど」

 

ブチギレ寸前の男性陣と、ソファーで腹を抱えて笑うプリシラの醜態という修羅場がそこにあった。からかってやろうと思ったが、その目論見も崩さざるを得ないほどのカオスである。

 

真面目な話の場を整えるのにちょうど良いと、ケイと皇帝が揃ってそちらに舵を切りようやく地獄が終わった。

 

「物書きとの悪巧み。その仕上げであるか。よいぞ。妾が妻として見届けてやろう。存分に賢しく話し合うが良い。つまらぬ幕引きは許さぬが、その点は心得ていような?」

 

心の底から楽しそうなプリシラの笑顔がうるさい。しかしそれも無視して用意していた言葉を放つ。

 

「まずは、皇帝陛下に約束を守っていただきます。その点は良いですか?」

 

「無用な心配だ。すでに時間を作って将兵と貴族たちを集めている。すでに集まり始めていよう。貴様のほうこそ約束を違えるな」

 

「へえ。どんな約束だったのかは聞けへんの?この後のお楽しみ?」

 

「詳しくは後ほど聞けばわかります。端的にいうなら、ルグニカとヴォラキアとの間でいかに平和を実現するかという相談でした。互いに王たちは公衆の面前で不戦の約定を行う。誓約を使ってです。これを王としての即位の儀式として取り入れることを約束しました。つまりは王を拘束する『憲法』の制定と誓約の義務化です。ルグニカの王が決まれば最初の式典でそれをするという取り決めでした」

 

「ははーん。なるほどね。それで、ウチも呼ばれた。そういうわけやね?」

 

「はい。アナスタシア様はカララギの代表になっていただき、後ほど三国の王たちで不戦を誓い合う。それぞれが時の権力者を超える強制力を持つ憲法を自国に生み出し、それらをほとんど同時に運用し始めるのが肝心です」

 

「それだけではなかろう。戦いを失えば帝国は崩壊する。あまりに非現実的だ。その点について見落としているとは思えんが、やはりあれをやるつもりか」

 

「ええ、ですから。帝国にはやはり滅んでいただきます」

 

「……そうだな」

 

死力を尽くして救った神聖ヴォラキア帝国をやはり滅ぼすと宣言したケイは一切の気兼ねがない。

そして事もあろうに全てを賭して帝国を救った当代ヴォラキアその人が、その歴史的な暴言を肯定したのだ。ため息はついているが、抵抗がない。

 

プリシラは「はぁ?」と似合わぬ声を上げ、アナスタシアと声が被った。

そんな暴挙とも言える宣言に、肝心の皇帝は不機嫌そうに眉を寄せるだけ。

 

彼らの相談は、帝国を滅ぼすという物騒な前提から始まった。

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

陽は高く、空は雲ひとつない蒼を広げていた。

 

石畳の広場に、ぎっしりと兵たちが集っている。鎧の継ぎ目が金属の音を立て、槍の石突が地を叩き、軍靴が小さな律動を刻む。

 

歴戦の者も、新たに名を上げた者も、皆が同じ勲を携え、勝利の余韻を引きずるようにそこにいた。誰もが顔を上げ、仲間と肩を叩き合い、口々に誇らしげな言葉を交わしている。

 

ざわめきはあれど、乱れはない。

兵たちは秩序を保ったまま、しかしその胸中には抑えきれぬ高揚が燃えていた。

 

旗がはためく。帝国の剣に貫かれた狼の紋章が掲げられた布が、風に合わせてたなびくたび、兵たちの背筋が自然と伸びる。

 

勝利の重みが、ようやく実感となって己の体の芯に降りてきていた。

 

 

広場の中央――、高壇にはまだ誰もいない。しかし、皆がその一点を見据えている。やがて現れるはずの皇帝の影を、誰もが見ようとしている。

 

 

そして、そのときを告げる角笛が――否、ゴズ・ラルフォンの大声が広場を超えて全体へと響き渡る。

 

「静聴せよ!!皇帝閣下のお言葉であるっ!!」

 

その爆音は戦場であっても通るほどの音量だ。今の一声で最前列の将兵の耳がやられていないかどうかが心配になるほどの声である。

 

皇帝の横に立っていたクルシュが、反射的に風魔法を使って防御をしたほどの音の暴力であった。

 

本来の役割である、『ラウド』の風魔法を皇帝へと提供し、その関係性が良好なものであることを臣民たちへとアピールしている。

 

高壇にその影が現れた瞬間、将兵たちの間から一斉に武具の音が鳴り響く。

剣を盾に、槍を地に、斧を肩に打ち鳴らす。雷のような音の奔流。

 

その中心、帝国の主――皇帝ヴィンセント・ヴォラキアが、静かに右手を挙げる。

 

喧騒が止む。兵たちは待っていた。神託のように語られるその言葉を。

 

「――戦え。強き剣狼たちよ。誉れを刻むために、戦い続けろ」

 

将兵たちの目が燃える。歯を食いしばる者、無言で唇を吊り上げる者。

次の言葉に、広場の空気が爆ぜた。

 

「醜く足掻く生など要らぬ。惰弱は死ぬべきだ。どれほど烈しく戦い、そして死ぬか。それが剣狼であろう」

 

鉄を打ち鳴らす音が再び湧き上がる。心の底からの共感が熱気を生み出していく。

 

「帝国の兵であるということは、選ばれし焔であるということ。剣を取るたびに、自らが誰よりも強くあることを証明せよ」

 

野太い歓声が混じり合い、咆哮が嵐のように壇上を包む。ある者は兜を掲げ、ある者は仲間と肩を打ち合って絶叫する。

 

「戦いこそが誓いであり。剣を抜くことが祈りであり、敵を屠ることが証明だ」

 

武具が鳴り響く。地が揺れる。兵たちは叫ぶ。

 

「ウォオオオオオオ――ッ!!!」

「ヴォラキア万歳!!皇帝閣下万歳!!」

「戦いだ!戦いこそが我らの運命!!」

「戦いを!!一心不乱の大戦争を!」

 

手を挙げると、兵たちは一気に静まる。その統率も剣狼の群れたる誇りである。

皇帝の声が、嵐の熱気を断ち切るように再び響く。

 

 

 

 

「だが、そんな我らは――()()()

 

皇帝の声が、乾いた大地を貫く裂け目のように広場を走った。

刹那、それまで空を裂いていた咆哮と鉄の咆哮音が――止まった。

 

先ほどまで胸を叩き合い、血潮を誇り合っていた将兵たちの顔に、理解の追いつかぬ焦燥が浮かび始める。

 

兵たちの顔に浮かぶのは、怒りでもなく恥でもない。

信仰に裂け目が入った瞬間に訪れる空白であり、そこにあるのは困惑のみだ。

 

「これまでの歴史は血と鉄の掟で紡いできた。戦い続け、勝ち続けた結果我らは生き残ってきたのだ。だが、此度の災禍においては剣狼のあり方を曲げねば全てを失うと余は知っていた。だからこそ、まず『選定の儀』の慣例を否定し皇族を国外へと隠したのだ」

 

その言葉に、全員が動揺する。皇弟の噂も、それより以前にも国外へと逃れた姫の話も聞いたことはある。

 

しかし、誰もその噂を本気にはしていないかった。

皇弟など戦うための口実であり、それは事実である必要ないのだから。

 

皇帝の権威を揺るがすような事実を認めるわけがないのに、それが事実であると皇帝の言葉で宣言されてしまった。

 

 

その困惑を、鮮烈な赤の輝きが雑然とした音を切り裂く。

 

ヴィンセントの手には完成された陽剣が握られており、その輝きは見紛うことはできない。

この戦いでは歴代の皇帝たちも目撃されており、陽剣の偽装はできない。

 

つまり皇帝は皇弟を生かしたまま『選定の儀』を終えたらしい。

 

実際にはプリスカ・ベネディクトを逃したというのは一部の目ざといものたちの間では認識されている。皇弟が偽物と知る彼らにとってもこの陽剣は驚きだった。

 

彼女はまだ生きてそこにいるのに、陽剣が完成するなどあり得ない。

 

 

「これまでの慣習に則り剣狼の生き方を貫けば、我が国は滅ぶしかなかった。だからこそ真の強さを証明するためにあらゆる手段を用いたのだ」

 

彼らの目には納得がない。

 

「我らの敗北、その代償を信じることができないか?ならば刮目せよ。これが血の代償の一つである」

 

すると、壇上で横に控えていた一将。黄金の色をした鎧を纏ったゴズ・ラルフォンが一歩進む。

 

「ゴズ・ラルフォン。貴様は帝国の存亡をかけた戦いに万全の力を振るうため、その命を持って責務を全うした。その働き、大義である。剣狼の一頭としての模範を示したな」

 

感極まったゴズは、一言も話せず皇帝へと跪く。そして彼の体がだんだんと消えていく。

役目を終えたかのように、まるでゾンビたちのように消えていくのだ。

 

「剣を掲げよ!!」

 

彼が消えるまでの時間、武具を掲げて黙祷する。

 

これはかつての帝国にはない時間だった。死は喜ばれ宴に供されるものであり死した英雄は雄弁に語られるものなのだから。

 

「ゴズの働きがなければ帝国は滅んでいた。しかし、事実として奴は死んだ。これが、真の強さと言えるのか?死ねば証明はできまい。このような暴論を浴びせられても、余に反論することもできぬ。死は勝って逃げる先などでは断じてない!」

 

「『魔女』は我らの死を恐れぬ心を狙い、この帝国で『大災』を引き起こした。これは必然であったのだ。進んで戦い死を恐れぬ剣狼の習性を利用されたが、それを打破するのに我らの力は足りていなかった。敵を殺す力が高ければ高いほどに、滅びへと向かう策である。だからこそ余は他国の力を借りたのだ」

 

「これは剣狼にとっての恥であろう。そのようなことは知っている。金稼ぎしか能がないと軽んじたカララギ。その『礼賛者』にも、戦いを避ける惰弱と蔑んだルグニカ王国軍。それにも頭を下げて協力を要請した結果が今の状況だ。この事実からは目を逸らすことは許さぬ。生きているなら決して否定できぬ事実だ」

 

その言葉に、誰もがついていけていない。

だけど流石に皇帝陛下といえども流石に。それは言ってはいけないのに。

 

「良いか貴様らはすでに獣ではない。真の剣狼たちはすでに全員死んでいる。奴らがいれば、このような演説をした余を偽物と断じて、この場で剣を取っていただろうよ。だが、ここにいるのは考える頭を持ったものたちだ。獣の如き強さを持った尊ぶべき強者たちは、帝都の決戦にて一撃で消え去った。この事実を忘れるな!」

 

 

「ふ、ふざっ!」

 

あまりの侮辱に抗議をしようとした者の首が飛んだ。それを為した帝国の最強が笑っている。

 

「静粛に。閣下の見せ場ですからね。無粋な方にはご退場願います。僕を倒せるなら乱入邪魔立て歓迎ですけれども!」

 

全員決起するなら、その全員を喜んで殺す異常者が笑っている。

どうやらこの場に自殺志願者はもういないようだった。

 

「今の光景と矛盾するようだが、あえて断言する。剣だけで語る時代は終わり、次なる時代がやってくる。我らは新たな強さを見せねばならない。一時的な敗北すらも糧にして、重要な戦いに挑む忍耐力と知性。そこでこそ発揮される武力こそが真に尊ぶべき強さであると宣言する。終わりなき強さを求め続ければ互いに食い合う獣になるしか道はない」

 

 

「強くあれ、民たちよ。神聖ヴォラキア帝国は滅び、新たな国家として生まれ変わる時が来た。良いか。貴様らが忠誠と信仰を捧げるものはただ一つ。この国の頂点たるこの剣である。真に強き者が頂点に立ち、そして掲げたこの剣こそが王たる証である」

 

 

「これより我らは『ヴォラキア剣王国』として生まれ変わり、新たな強さを証明するのだ!!」

 

 

「皆、剣をとり考えろ。真に重要な場所で戦え。時代の王を決める際にはまた争うことになろう。貴様らから闘争を奪うことはしまいよ。しかし、無闇にその力を散らすことをこの剣王は決して許さぬ!」

 

陽剣が燃え盛り、そして天に向かって白き赫炎を吐き出した。

 

ロズワール仕込みの爆炎が空へと上がり、彼らの代わりに空を震わせる。

少しずつ。少しずつ歓声が上がる。叫びが聞こえてくる。

 

 

帝国の蒼穹に轟くのは誕生の産声であり、断末魔だった。

 

それは決して獣の鳴き声などではない。迷いながらも必死に生きようと考えている人間の声だった。

 

 

「これより我が国とルグニカ王国では約定を結ぶ。しかし、元は敵同士すぐに手を取り合うことなどできまい。だからこそ、剣で語るとしよう。これより5年に一度。将同士、軍同士の戦いを行い強さを証明するのだ。ここに第一回の『オリンピア』開催を宣言する!!」

 

 

次なる戦いの用意に全ての帝国民へと火がついた。

 

そうだ。戦いだ。我らにはそれが必要だと。盛り上がる。

その戦いの形が変わったことに気づかないものも多い。今はそれで良い。ヴィンセントはそこまで多くを臣民に求めていない。

 

 

続くプリシラの演説での皇弟の結婚報告も相まって、民衆はもはや暴動を起こすほどの熱気に包まれていく。

 

きっと最終的には先ほど首を刎ねたように圧倒的な暴力によって、圧する形で新たな秩序を受け入れさせることになる。

 

しかし今は彼ら喧騒を止めることはない。そのままに新たな国の誕生を宿した祭りへと繋がっていく。皇帝陛下万歳。皇弟様の結婚おめでとうと。好きに騒ぐのだ。

酒を飲み、騒ぎ踊れと。そうなればもう単純だった。

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

そんな騒ぎから必死に離れて、ようやく落ち着いて見守るのは永井圭だ。

 

 

「ここにいたのですね。ケイ」

 

「お疲れ様です。…上手くいったようでよかった」

 

途中で敬語に対して睨まれて、ちゃんと言葉を砕いておく。自分だって割と敬語を使うくせにフェアじゃない。

 

 

「私なりによく考えました。物事の帰結をよく見定めて、それで誰が得をしたのかを考えろとあなたの教えの通りに」

 

その目は優しくケイを見ている。しかし、その迫力は確かなものでケイは目を逸らせなかった。

 

「帝国はなくなり、剣王国に。九神将は多くが死に。生き残ったもので万全なのはヨルナさんとアラキアさんくらいのもの。もちろんセシルスさんは元気そうですが、無くしたものを探し回っていましたね」

 

そうだ。その通り。

 

九神将の壱:セシルス・セグムント

彼は健康で最強のままであるが、以前よりは弱体化した。それは武装だ。愛用の刀をこの決戦のどさくさに紛れて失った。勘を頼りに探してるが、邪剣は彼に戻っていない。同格のハリベルが隠そうと思えば、セシルスであってもそれは見つけることはできない。カララギとの戦力の均衡を図るため、これはハリベルが持つべきだ。

 

九神将の弐:アラキア

彼女の力は以前よりも増したが、国の戦力としては全く頼りにならない。彼女が死ねば国の地盤ごと崩壊するのは同じだからだ。まずは大地と精霊の同化を解消し、そしてアラキアとムスペルの分離もしなくてはいけないだろう。その協力ができるのは魔法大国ルグニカであり、大精霊を複数抱える青蓮同盟になるだろう。

 

九神将の参:オルバルト・ダンクルケン

彼は両腕を失い、その術技のほとんどを失った。さらにはシノビたちも多くを失い、帝都決戦の影に隠れた()()()()()()()()()()()()()()()()()()はずだ。抜けたものを殺すまで刺客を放つというシステムを見直すべきだろう。隙を見せれば自身の安全のために抜け忍が襲いにくるのは当たり前なのだから。カルステン家とプリシラ陣営に当てがわれた刺客をそのままに襲いに行かせたのだった。

 

九神将の肆:チシャ・ゴールド

彼について語ることはない。彼は十分に戦って死んだ。もう消えているだろう。彼との別れはヴィンセントだけのものだ。

 

九神将の伍:ゴズ・ラルフォン

監禁された状態があまりにも悪かった。彼を十全に活用するには一度殺してフェリスの『不死王の秘蹟』で蘇らせる他なかった。いきなり殺すのはスバルにバレた時のリスクが大きすぎるため相手の意思を尊重し、その上でその措置を望んだために処置を施した。おかげで不死の強者とも延々と戦い続けられたようである。後味は良くないが、本人からは感謝もされた。

 

九神将の陸:グルービー・ガムレット

彼も重傷の状態で、治癒をしても戦える状態ではなかった。悩んでいたが同意したのでゴズと同じように死んで蘇らせた。呪いの影響を最大に軽減させるのはこの手がベストだと自分で判断したのだろう。邪剣はグルービーによってハリベルへと託されており、三国の戦力を均等にする狙いを果たさせたのだった。彼は行方不明ということになっているが、これも皇帝陛下の策略だろうと勝手なことを想像されているらしい。

 

九神将の漆:ヨルナ・ミシグレ

彼女は健在だ。もとより帝国流に染まっておらず排除する必要もない。今後も独自の勢力として剣王国内をかき回してほしい。

 

九神将の捌:モグロ・ハガネ

水晶宮ごとティアが吹き飛ばした。帝国にどこまでも忠実だった常識はずれのミーティアは確実に消えている。帝国の歴史上最も痛打を被ったのはこの部分だろう。

寿命で死なない、裏切りもしない強者が消えたのはあまりに大きい。

 

九神将の玖:マデリン・エッシャルト

彼女の精神は幼く、そして不安定だ。バルロイを失った今『死者の書』を求めるだろう。読ませるかどうかは、ヴィンセントに預けるがパワーバランスを考えてここに残したい。様々な条件をつけて有利に扱えるだろう。

 

剣狼の掟に忠実な血気盛んなものたちはオスマンと共に死に。国力は史上最も低下している。

 

帝都は荒廃し、ガークラとグァラルとカオスフレームは跡形もない。

 

今後100年以上は復興や内政に忙しくなるだろう。戦争を起こそうと思えば起こせるだろうが、そのハードルはあまりにも高くできたと思う。

 

これらの事実の多くは、クルシュは知らない。

けれど、あまりに都合良く隣国が弱体化したことくらいはしっかりと把握している。

それを助長したのが自分であるということも知っているだろう。

 

「それは良いんです。ですが、一つあなたに言っておくことがあります。あなたはプリシラ姉様の演説を聞く前に帰ってしまったでしょう?姉様はこう言ったのですよ」

 

『妾は先の戦にて傷を負い、子をなせなくなった。正室が子を残せぬとあっては申し訳が立たないため、妾は側室に収まるとする。とはいえ、皇弟にして救国の英雄たる我が伴侶の正室には相応の格が必要じゃ。そうさな。一国の王くらいでなければ妾は認めぬ』

 

なんだ、それ。

 

「ケイ。私はあなたのことが好きです。あなたも好きだと言ってくれましたね。でも私の強い願いで姉様と結婚してもらいました。もちろんあなたの助けたいという意思もありましたが、これは私のわがままです」

 

ポカリと叩かれる。願いを聞いたというのに理不尽であるが、流石にこれを抗議するほどバカじゃない。

 

「私は、王になりますよ。自分の願いを果たすためにも、皆のためにも。プリシラ姉様のためにも」

 

「…僕も全力でその手伝いをしているつもりです。何も変わりませんよ」

 

 

永井圭は、クルシュとの約束を守るため、自分自身の願いを叶えるために帝国での戦いを最大限に利用した。

 

この帝国の一件で、プリシラとアナスタシアを王選から排除できた。それも味方という形で。

エミリアの名声は高まったが、クルシュ以外で最も現実的に可能性のあるフェルトは蚊帳の外。

 

結果的に王座がクルシュへとかつてないほど近づき、決して離れることのできない友人は陽剣を持っている。プリシラに妹の病気を焼いてもらうという治療の可能性を新たに確保することができた。

 

慧理子の病気は『腫瘍壊死因子受容体関連周期性症候群』、TRAPSと呼ばれる自己炎症性疾患の一種だが、これは一部の異常な働きをする遺伝子が暴走をすることによって害が起こる病気だ。

 

もしプリシラが遺伝子と病気を学ぶことで異常な遺伝子のみを燃やせたら?

まだまだ何ができるかわからないが、活路が見出せるかもしれない。陽剣はそれほどの反則だ。

 

弟にしろと交渉する席で、ヴィンセントには妹を助けるために動いているという話をした結果変な交渉もなく合意できた。

ヴィンセントはケイの妹を助けるという目的に全力で協力すると誓い、その手法の研究まで協力してくれるのだとか。まぁ相手の妹を助けたのだ。対等なお返しではある。

 

さらには別次元の同一存在の検索などという離れ技を、ベアトリスが実行しそこに小さいながらも扉を繋ぐことすらして見せた。これは初めて見つけた帰還のための可能性である。

 

苦難に際して進化するのは、『魔女』だけではないのだ。

 

 

 

 

兄となった皇帝が苦虫を潰したような顔で送ってくれた。

 

スバルもそこは一緒である。

 

「じゃあな!またみんなで会おうぜ!」

 

そう言って感極まったスバルが肩を組んで泣いている。やめてほしい。

 

反射的に「ヤダね」と拒否をしかけたが、今の立場を思い出して言い直す。

大体これを言った直後によくわからないことが起こったのだ。同じ轍は踏まない。

 

「ああ、そうだな」

 

永井圭は、自身の目的を決して忘れない。

非合理すぎる人間という現実を認めながらも、合理という幻想を目指すのだ。

 

彼はこれからも変わらずに歩み続けるが、これからの道行は決して一人になることはできないだろう。

 

きっと仲間たちと共にあり、最後まで諦めないのだ。

 

それだけは確信できていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

※後書きと活動報告にて今後の投稿予定と重要な話をしています。同じ内容ですので、よければどちらかをご覧ください。

 




本文の余韻を吹き飛ばす恐れがあります。作品に浸りたい方は少し時間をおいてお読みください。
感想もまずは本文だけで書いてもらっても嬉しいです。あるだけ嬉しいですからね!

【これからのことについて】
今後の更新についてと、本作の制作意図などのネタバラシです。
本作品の内容とは少し離れますが、根幹の部分には関わりますので長文ですが書かせていただきます。

まずここまでお読みいただきありがとうございます。初めての小説執筆でここまで反響いただけるとは思っておらず、脳内物質がドバドバと未経験のことでありました。
不特定多数からの反応やお褒めという初めての体験に感情も脳も大層驚いておりました。

とても楽しい経験です。今後も執筆活動を続けたいと思いますので、どうぞ気の向くままにお付き合いください。

さて具体的な今後の執筆予定についてですが、本作「亜人:ゼロから始める異世界生活」は明日と二ヶ月後の更新もって一度更新停止します。
間話の更新は不定期であるかもしれませんが、まだ本筋は進めません。

なぜならば、原作はまだ未完でありその更新にかなり追いついてしまったからです。

つまり、原作が先へと進めばこの作品も更新するという意味でもあります。
独自に走るという考えも一瞬考えましたが、原作から離れることはしたくないため。一度止まるということを決めました。
原作は全11章予定らしく、現在9章まできていますね。まだ完結までは長そうですが楽しみに待ちたいと思います。

作品を途中で投げ出すつもりはありませんし、ここまで読んでいただいた皆様ならばその点はご理解いただけるのではと、何か信頼のようなものを勝手に感じている次第です。

では、リゼロの更新を待つ間、何をするのかということですが。
単純に、別の作品を執筆しようと思います。そちらでもぜひ楽しませたいと思っておりますのでよければお付き合いください。

色々と書きたいものがあるのですが、クロスオーバーがいくつかと。オリジナルの構想もあります。

ひとまず、長くないクロス作品を完結させて。そこからオリジナル作品をここと別サイトでも更新してみたいと思います。
次のクロス作品は、リゼロ好きな人にも亜人好きな人にも楽しんでもらえそうなものを投稿する予定ですので、お楽しみに!

少し先出しをしてしまうと、『僕のヒーローアカデミア』と『Blood borne』のクロスです。

青年誌版のシビアなヒロアカ世界に、ブラボの要素をオリ主で混ぜようと思います。血液啓蒙と合理マシマシで。SFファンタジーアクションな世界に合理的な主人公というのは同じ感じかと思います。

『夢のヒーローアカデミア』は二ヶ月後、9/1に投稿を始める予定です。
よければまたお会いしましょう。


ここからは自分語りです。235話以上書いて作った隙なので、自分語りも少しだけお許しください。
なぜ執筆を続けるのか、なんて語っている人を見たことがあまりないのですが自分には非常に明確な目的があります。

執筆活動を始めた理由と、今後も続ける理由を伝えさせてください。

魅力的な両原作の布教。人を喜ばせたい。自己満足。承認欲求。日本語能力を高めたい。創作者ってかっけえ。そのうちオリジナルで作家デビューできちゃったり。などなどいろんな想いや欲望があります。

このどれもが真実です。

ただ、それより優先される目的とそれを達成するための戦略を考えてこの執筆は始まりました。

その目的とは『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』です。

自作のオリジナル作品のためではありません。すでに完結済みの、縁もゆかりもない別作者様の別作品です。

お前が何を言っているのかわからない。頭おかしいんじゃないのかと友人にも言われました。
なので詳しく説明しますね。俺は狂ってねぇ!!(白目)


私は『ハリーポッターと合理主義の方法』という作品のファンです。

凄まじくハマりまして、何度も読み直し、その度に好きになりました。
そして湧いてくるのは布教欲です。これを誰かと語りたい。もっと人に読んでほしい。そんな想いが溢れてきました。

なので好きそうな友達にオススメしていくのですが、かなり込み入った内容と難しい言葉に多くの方が読み進めることができずに離脱してしまいました。

日本での布教にあたって壁にぶつかったフランシスコ・ザビエル。彼に共感する日が来るとは思いもしませんでしたが、実際に難航していました。

そこで、自分なりに合理的に考えて、結論としては自身で創作をしてしまおうと思い至りました。
ああ、ここで狂ったんだなと思ったあなた、ちょっと待って!話を聞いてくれ。

まずは人を楽しませて、そして自分の作品が好きならきっと楽しめるよと、自然な流れでおすすめをしようと。そんなことを思いついてこの作品は始まりました。

それは次のような方々と出会うためです。
・二次創作、クロスオーバーに抵抗がない方
・長文が読める方
・合理的な手法を扱い模索する主人公が好きな方
・合理の中に熱い想いが見えるのが好きな方
・自分に興味を持ってもらえる方
・ただの無双に飽きている方

これ、あたしのことだ…と思ってくれた方がいれば、まさにあなたに会うために私は作品を書いています。

こんな方々と作品を通して交流を深め、創作者として好きになってもらった後、おすすめをすれば読んでくれるのでは。そう思って本作はスタートしました。

これが邪念とは思いません。両原作に失礼にならないようにするのは当たり前で、そんなことをすれば信頼関係が築けない。自分にできる限りの真摯な姿勢で創作活動には打ち込みました。感想返信やDMでもツイートでも嘘は一度もついていません。

亜ゼロについた感想や評価は心の底から嬉しくて実際小躍りするほどでした。
朝の目覚めがすっきりと、皆さんの声を聞いてから執筆で1日が始まるというのは最高です。
そこで得た喜びと、皆さんを喜ばせたいという気持ちには嘘偽りはありません。両作品とも大好きですしね。

我慢して書いていたような文章でないことは、流石に伝わるかと思います。
めっちゃ楽しかったですよ!今も楽しい!

けれど、自分の最終的な目的は『ハリーポッターと合理主義の方法』の読者を増やすこと。

自身の作品がランキングを駆け上がる姿を見て、有頂天になる個人的な自分と。その先の『合理主義の方法』が伸びていない現状に悩む宣教師の自分がいました。
感想数が、お気に入り数が、評価値などが推しを超えるたびに、喜怒哀楽の全てを感じていました。
なんか意味わからないくらい一人で酒を飲んだのを覚えてます。


お気に入りを合理主義の方法だけにしていることを指摘されることもありました。
そこをたどってくれたのか偶然か。よく本作の感想欄でいる人を向こうの感想で見かけるような光景に思わずニッコリしてました。

自分のこの意図に言及している感想は規約に従い消えてしまいましたが、気づいてくれる人はいる!と勇気付けられたのを覚えています。

でも、それでも、自分にとっての勝負はここからなのです。

個人的な信念というか、確信ですが。人の行動を変え得るのは、人を楽しませた時だけだと思っています。だからまずは、人に楽しんでもらうこと。そこで初めて意見を聞いてもらう素地が生まれる。


これが、自分なりの合理的な方法でした。


これから私は様々な切り口で、作品で、表現で、活動で、『合理主義の方法』の布教を進めていきます。

クロス作品の投稿。オリジナル作品の投稿。カクヨム、なろうなどで裾野を広げることもしていきます。
亜ゼロをpixivで投稿してもいいかもしれない。Noteなどで、ビジネス系の体裁で記事を書こうとも思ってます。

文字を読むのが得意な方への訴求の後はもしかしたら、配信活動などを行い、そこでファンを獲得してからいきなり朗読動画を上げ始めるかもしれません。そんなやつを見つけたら、正体現したねと笑ってください。

私は本気です。どれくらいマジかというとですね…
これはネットの活動とは切り離しますが、私塾のような事業も立ち上げようかと思っているくらいです。
趣味と仕事を布教に費やそうと、そう思ってます。まぁ、つまりは人生ですね。

大人向けに何かしらを教える機会が今でもあるのですが、その際にはすでにやっていることでもあります。

やることが増えても、共通して必要なのは信頼であると思っていて。それはネットの人格であるほどに実は重要なのだと信じています。
だから自分は、亜ゼロを完結させると決めているし、それをしたいと心から思っています。

裏切った先に自分が軽蔑されるだけならまだ耐えられますが、自らの聖書が軽んじられるのは耐えられません。
自分に自分で聖戦を挑むことになってしまう。そうなれば流石に発狂したと認めなくては。

さて目的については話しましたが、なぜそこまでやるのか?を話していませんでした。
『ハリーポッターと合理主義の方法』を読めば、何が起こるのか?それをなぜ増やしたいと思うのかを伝えさせてください。

それは私が個人的に、『自分らしく、粋に生きている人が好きだから』です。
そんな人が増えて欲しいし、そういう人といっぱい話をしたいし、そんな人が増えるだけ世界が明るくなるように思えます。

『合理ポッター』が広がれば、そんな人が増えると思っています。
そして、自分の作品でもそんな人が増えてくれれば最高です。ただ、そうなるともっと難しく本質的な話を長くしなくてはいけないので、それは『合理ポッター』に任せ、自分はそれの導入を務めたいと今は考えている次第です。

以上も全て本心ですが、ちょっと、いやだいぶカッコつけました。すみません。

本音を伝えます。

めちゃめちゃ面白いから読んでほしい!まだ読んでないのもったいない!本当にこれから読む人が羨ましい!読んだ人の感想を読んでにっこりしたい!語れる仲間が増えてほしい!なぜ脳汁を出せる機会があるのにやらないのか!?広がっていく様子を腕組みしながら見守りたい!つべこべ言わずに食え!うるせえ!行こう!

こんなオタク心です。この作品の読者の方に中にも、こう思っていただいた方がいたのなら嬉しいことこの上ないですが、その想いと同じです。

ただのオタクの衝動を理論武装して、行動まで繋げるというのは永井君に影響されているかもしれません。けど、『合理主義の方法』のハリーもそんな人間なんですよ。熱いものを心の底にもった、理論的な人物が困難にぶつかっていく。

そんな物語が、好きなんです。

好きすぎて、こんなことまでし始めるくらいに好きなんです。

よければみなさん。読んでみてください。人をここまで突き動かすことのできる物語を味わってみてください。はぁ。まだ読んでいないのが羨ましい。妬ましい!

冒頭から面白くはあるのですが、まずは第一編、にあたる21話まで読めば面白さがわかると思います。
第三篇『死の影』編をまで読んでいただければ、本当の意味でおすすめした理由を体感いただけると確信しています。

狂信者としては失格の読み方をお勧めしますが、難解な部分は読み飛ばしてOKです。進んでさえくれればそのうち読み返したくなるから。小難しい理論は無視して、適当に先へ読み進めてください。それでも絶対面白いので。

これは、小説であり、実用書であり、警句であり、神話であると私は感じています。

本来であれば次作の発表をすべき最高のタイミングで、すでに少しは書き溜めてある次作品は投稿せずこの二ヶ月は布教のために費やそうと思います。。
私が作れたかもしれない皆さんの毎日19時から6700文字を読む時間が『合理主義の方法』に向かうことを祈ることにします。

この創作者としての悪手は、宣教師としては最善手だと信じています。


これで一話目の読者が少しでも増えてくれれば御の字ですが、それだけでは足りないと思い離脱を防ぐ企画を考えつきました。

もう一つ。この話が更新された15分後、私が投稿した別作品についても説明をしておきますね。その作品の使()()()を最後に少しだけお伝えします。

投稿した作品名は『合理ポッターと問答の宇宙』なるもので、『合理ポッター』の二次創作にあたります。
『合理ポッター』が海外の二次創作の翻訳版ということで三次創作なので、これはもう四次創作ですね。すげぇ系譜だ。

これは、合理ポッターを読んだ後に読めるようになる作品です。
そこに描かれているのは、読んだ人の感想を対話形式の小説です。そこまでの話はしますが先の展開のネタバレは一切ありませんので怖くて感想が読めない人も安心してご覧ください。

読書会を小説上でしてしまい、皆さんにも擬似体験いただくというアイデアですのでよければぜひ。離脱が多いというのは認め難い真実なので、なんでもしますよ私は!!

ある程度最初に更新した後は不定期で投稿していきますので、よければ他の作品共々お楽しみいただければと思います。

何言ってんのかわかんねぇなという真っ当な感想を抱いていただいたなら、ぜひ一話だけ『合理ポッター』を読んでから見てみてください。

さて、このクソデカ感情の超長文カミングアウトによって私は名状し難い存在になったかもしれませんが、アレとか、あのお兄さん(that 兄さん)か、例のあの人とでも何とでもお呼びください。

皆さんを楽しませて、自分も楽しんで生きれれば最高です。
これからどうぞ、『ZAT23』とその作品。あと『ハリーポッターと合理主義の方法』をよろしくお願いいたします。

『ハリーポッターと合理主義の方法』はこちらから。
https://syosetu.org/novel/160391/
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