「てめえら、許さねえ!」 40周年「スケバン刑事」がキワモノ扱いから大ヒット作に化けた理由
不自然な土佐弁
南野が2代目・麻宮サキこと、五代陽子を演じたシリーズ2作目「スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説」は85年11月から86年10月まで全42話が放送された。南野は同年6月に「恥ずかしすぎて」で、歌手デビューしたがさっぱり売れず。しかし、いずれも「スケバン刑事」の主題歌に起用された「悲しみモニュメント」、「風のマドリガル」はヒットしている。
「斉藤さんと違ったアプローチで役作りをさせるため、『顔にインパクトがないから、最初は隠そう』と鉄仮面を装着することに。さらに、当時は映画『鬼龍院花子の生涯』がヒットしていたことから、南野さんは兵庫出身にもかかわらず 、 かなり不自然な土佐弁になったのです」(当時を知る東映関係者)
そして、敵と対峙する時は「鉄仮面に顔を奪われ、十(とお)と七とせ、生まれの証しさえ立たんこの私(あてぇ)が、何の因果か警察(マッポ)の手先」と啖呵を切る。次回予告は「おまんら、許さんぜよ!」、「おまんら、気合入れんかい!」で締めた。2代目・サキには2人の仲間がいた。まずは当時俳優として駆け出しだった相楽晴子(57)が演じた、ビー玉が武器の「ビー玉のお京」こと中村京子。そしてもう一人、人気絶頂だったアイドルグループ「おニャン子クラブ」のメンバーだった吉沢秋絵(56)が演じた財閥の総帥令嬢・矢島雪乃。雪乃は袱紗(ふくさ)と琴の爪、和傘などを武器に敵と戦う。
「フジは当時、おニャン子クラブを猛プッシュしていました。吉沢さんはおニャン子の番組『夕やけニャンニャン』内のコーナーで2代目・麻宮サキに選ばれ、おニャン子への加入が決定しました。ところが、フジや東映の制作サイド上層部は、複数の候補から南野さん一択でした。そのため、主演ではなかったのですが、吉沢さんが南野さんほどハマったかは微妙です。この作品では南野さんが主題歌を歌ったばかりではなく、相楽さん、吉沢さんがソロで発売した楽曲も挿入歌や主題歌に起用されました」(前出・フジ社員)
このシリーズからは、「暗闇指令」のみならず、刑事の暗闇機関の腕利きエージェントで、陽子の父の友人である故・蟹江敬三さんが演じた「西脇」が登場。サキたちをバックアップした。
「すでにシリーズは世間に浸透していたこともあり、視聴率は12~16%台を推移し、最終回は最高19.1を記録。全話の平均視聴率は14.3%で全シリーズの中では最も高かった。吉沢さんがレギュラーだったということもあり、おニャン子の複数のメンバーを出演させたのも視聴率の上積みにつながったのでは」(同)
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