座間事件の白石隆浩死刑囚に刑を執行 死刑執行は約3年ぶり 法務省
鈴木馨祐法相は27日午前の臨時会見で、2017年に神奈川県座間市のアパートで9人を殺害したとして、強盗・強制性交殺人などの罪で死刑が確定した白石隆浩死刑囚(34)について、東京拘置所で死刑を執行したと発表した。
鈴木法相は「性的、金銭的欲求を満たす身勝手な理由から、約2カ月の間に9名もの尊い人命を奪い、社会に大きな衝撃を与えた。ご遺族の方々にとっても無念このうえない事件だ。法務大臣として、慎重なうえにも慎重な検討を加え、死刑執行を命令した」と述べた。
23日に執行命令書にサインしたという。
死刑の執行は22年7月以来。同年8月に就任した葉梨康弘元法相から、4代続けて執行がなかった。24年11月に就任した鈴木法相のもとでも初めてとなる。
事件で亡くなったのは、福島、群馬、埼玉、東京、神奈川の当時15~26歳の女性8人、男性1人。
確定判決によると、白石死刑囚は17年8~10月、自殺願望のあった9人にSNSで「一緒に死にませんか」などと呼びかけて自宅アパートに誘い、首を絞めて殺害。それぞれから所持金などを奪うなどしたうえで遺体を切断し、ごみ集積所などに遺棄した。女性8人には性的暴行も加えた。
公判で弁護側は、被害者が殺害に同意していたとして、法定刑の軽い承諾殺人罪の適用を主張。被害者に殺害の承諾があったかどうかや、刑事責任能力の有無や程度などが争点となった。
20年12月の東京地裁立川支部判決は、被害者らはいきなり襲われ、殺害されたとし、いずれも殺害の承諾はなかったと認定。所持金を奪ったり、性欲を満たしたりする目的で誘い出し、死体を遺棄して証拠の隠滅を図るなど「一貫して目的にかなう行動をとっていた」として、完全な刑事責任能力があると判断した。
その上で、事前に殺害方法や遺体の解体方法を調べ、必要な道具をそろえるなど計画性が認められる上、精神的に弱った被害者を誘い出した手口は「狡猾(こうかつ)、巧妙で卑劣というほかない」と指摘。欲望を満たすため、2カ月間に9人の命を奪った「犯罪史上まれに見る悪質な犯行」とし、死刑もやむをえないとした。
判決後、弁護側が控訴したが、白石死刑囚が控訴を取り下げ、21年1月に死刑判決が確定した。
今回の執行で、確定死刑囚は105人となった。
死刑をめぐっては、葉梨元法相が22年11月に開かれた自民党議員のパーティーで、「法相は朝、死刑のはんこを押し、昼のニュースのトップになるのはそういう時だけという地味な役職」などと発言。ほかの会合で同様の発言をしていたことも明らかになり、死刑を命じる法相の役割を軽んじているといった批判が相次ぎ、辞任した。
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