「1日1食の日も」 物価高に悲鳴 新潟大で学生同士のフードバンク
コメなどの食品価格や光熱費が高騰する中、苦しい生活を送っている学生たちを学生同士で支え合おうと新潟大の学生らがフードバンクを立ち上げた。「野菜が高くて買う気が起きない」「おなかが鳴るまで(食事を)我慢している」――。学生からは切実な声が寄せられており、団体では不安解消に向けて意気込むとともに、地元企業からの協力なども呼びかけている。
新潟大の学生が今年4月に設立したのは「学生フードバンク ソレイユ」。今月24日には新潟市西区の新潟大五十嵐キャンパスでSNS(交流サイト)などを通じて集まった学生65人に、米5キロやカップ麺、スナック菓子など8点ほどを無償で手渡した。団体を設立してから初めての食品配布だという。
最近はコメを食べる回数を減らしているという新潟大創生学部3年の吉村美紅さん(20)は食品を受け取り、「物価高に加えて、忙しくてバイトになかなか入れていなかったので助かる。近くに住む弟と分け合いたい」と取り組みを歓迎した。
同学部3年の山下梢さん(20)も「コメは1年生の時と比べて価格が2倍ほどになっている。スーパーでは電卓を片手に買い物するほど厳しい。5キロもらったので気にせず食べられそう」と喜んだ。
ソレイユ共同代表の大岩柚実さん(20)=創生学部3年=は自身も買い物の際に物価の高騰を肌で感じるといい、「食に不安を抱える学生の不安を少しでも取り除きたい」と意気込む。
県内学生約170人を対象にソレイユが5月に実施したアンケートでは、「毎日3食食べているか」という問いに「ほぼ2食以下」「あまりとれていない」と答えた学生が3割を超え、食生活に不安や悩みを抱えていると答えた学生は64%に上った。「安い冷凍うどんに調味料で味を変えながら食べている。1日1食のこともある」「コンビニのおにぎりさえ高くなっていると感じる」という苦しい懐事情を訴えるコメントも寄せられた。
ソレイユによると、学生が運営するフードバンクの設立は県内で初めてだという。大岩さんは「学生にとってフードバンクは身近ではない。学生が学生向けに運営することで興味を持ってもらい、学内で配布することで存在を知ってもらえたら」と話す。
ソレイユでは今後も定期的に学内で配布を続けていきたいとして、地元企業や団体などからの物資の提供や寄付を呼びかけている。問い合わせはソレイユのメールアドレス(soleilfoodbank@gmail.com)へ。【戸田紗友莉】