偶関数と奇関数 ~ 性質・公式・例 ~

最終更新: 2022年4月17日
定義と例
- 定義
- 基本的な例 (偶関数)
- 基本的な例 (奇関数)

性質
- 偶関数は y 軸対称
- 奇関数は原点対称
- 偶関数の積分
- 奇関数の積分
- 偶/奇関数の積
- 偶/奇関数の和
- 任意の関数から生成
- 偶/奇関数の微分
- 偶/奇関数の合成関数
- 補足1
- 補足2
定義
  関数 f(x)
を満たすとき、f(x)偶関数 (even function) と呼ぶ。
  また関数 g(x)
を満たすとき、g(x)奇関数 (odd function) と呼ぶ。
基本的な例 (偶関数)
  次の関数
は、偶関数である。
証明
 
を満たすので偶関数である(下図)。

基本的な例 (奇関数)
  次の関数
は、奇関数である。
証明
 
を満たすので奇関数である(下図)。

偶関数は y 軸対称
  偶関数は y 軸対称の関数である。
証明
  関数 f(x) 上の任意の一点 (a,f(a))y 軸対称の点 (a,f(a)) もまた f(x) 上にあるとき、 関数 f(x)y 軸対称であるという。
  f(x) が 偶関数の場合、 f(x) 上の任意の一点 (a,f(a))y 軸対称の点 (a,f(a)) は、
を満たすので、f(x) 上にある。 ゆえに偶関数は y 軸対称である。

奇関数は原点対称
  奇関数は原点対称な関数である。
証明
  関数 g(x) 上の任意の一点 (a,g(a)) の原点対称の点 (a,g(a)) もまた g(x) 上にあるとき、 関数 g(x) が原点対称であるという。
  g(x) が 奇関数の場合、 g(x) 上の任意の一点 (a,g(a)) の原点対称の点 (a,g(a)) は、
を満たすので、g(x) 上にある。 ゆえに奇関数は原点対称である。

偶関数の積分
  偶関数 f(x) の積分には、
が成り立つ。
  これより、
が成り立つ。
:
  f(x)=x2 の場合
であり、 一方で、
であるので、
が成り立つ。これより
が成り立つ。
奇関数の積分
  奇関数 g(x) の積分には、
が成り立つ。
  これより、
が成り立つ。
:
  f(x)=x3 の場合
であり、 一方で、
であるので、
が成り立つ。これより
である。
偶/奇関数の積
  偶関数 f(x) と奇関数 g(x) の積を h(x)=f(x)g(x) と定義すると、
が成り立つ。 よって、偶関数と奇関数の積は奇関数になる。
  偶関数 f1(x) と偶関数 f2(x) の積を h(x)=f1(x)f2(x) と定義すると、
が成り立つ。 よって、偶関数と偶関数の積は偶関数になる。
  奇関数 g1(x) と奇関数 g2(x) の積を h(x)=g1(x)g2(x) と定義すると、
が成り立つ。 よって、奇関数と奇関数の積は偶関数になる。
  まとめると、
が成り立つ。
:
  g(x)=xsinx は、x が奇関数であり、 sinx も奇関数であるので偶関数である。 実際、
が成り立つ。
偶/奇関数の和
  偶関数 f1(x) と 偶関数 f2(x) の和を h(x)=f1(x)+f2(x) と定義すると、
が成り立つ。 よって、偶関数と偶関数の和は偶関数になる。
  奇関数 g1(x) と 奇関数 g2(x) の和を h(x)=g1(x)+g2(x) と定義すると、
が成り立つ。 よって、奇関数と奇関数の和は奇関数になる。
  まとめると、
が成り立つ。
:
  f(x)=x+sinx は、 x が奇関数であり、 sinx も奇関数であるので奇関数である。 実際、
が成り立つ。
任意の関数から生成
  任意の関数の f(x) に対して、
とすると、
が成り立つ。 よって、 f(x)f(x) の和は偶関数になる。
  任意の関数の f(x) に対して、
とすると、
が成り立つ。よって、 f(x)f(x) の差は奇関数になる。
:
  双曲線関数 coshx=ex+ex2 は、 f(x)=ex2 と置くと、coshx=f(x)+f(x) と表せるので、 偶関数である。 実際、
が成り立つ。
  一方で、 双曲線関数 sinhx=exex2 は、 f(x)=ex2 と置くと、sinhx=f(x)f(x) と表せるので、 奇関数である。 実際、
が成り立つ。
偶/奇関数の微分
  偶関数 f(x) の微分
は、
を満たす (最後の等式は補足1を参考)。 よって、偶関数の微分は奇関数である。
  一方で、奇関数 g(x) の微分
は、
を満たす。 よって、奇関数の微分は偶関数である。
  以上まとめると、
が成り立つ。
:
  奇関数
の微分
は偶関数である。
偶/奇関数の合成関数
  偶関数 f(x) と奇関数 g(x) の合成関数
は、
が成り立つので、偶関数である。
  奇関数 g(x) と偶関数 f(x) の合成関数
は、
が成り立つので、偶関数である。
  偶関数 f1(x) と偶関数 f2(x) の合成関数
は、
が成り立つので、偶関数である。
  奇関数 g1(x) と奇関数 g2(x) の合成関数
は、
が成り立つので、奇関数である。
  以上まとめると、
が成り立つ ( 補足2を参考 )。
:
  奇関数 f(x)=x3 と奇関数 g(x)=sinx の合成関数
は奇関数である。 実際、
が成り立つ。
補足1:
  ここでは微分の定義
から
が成り立つことを証明する。
  微分の定義は、 ϵδ 論法によって次のように表される。 すなわち、 任意の ϵ>0 に対して、 ある δ>0 が存在し、
が成り立つ。
  この定義を k=h として表すと次のようになる。 すなわち、 任意の ϵ>0 に対して、 ある δ>0 が存在し、
が成り立つ。 これを極限の記号を用いて表すと、
である。
補足2:
  偶/奇関数の満たす合成関数の性質
は、 整数の積に対する偶奇性
と類似した性質である。