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窓を開けて「勝負しろや!」“あおり運転”してきた大学生が警察に捕まるまで

帰宅中の車に猛スピードで割り込み…

車のヘッドライト 会社からの帰宅途中、国道を走っていた佐藤誠さん(仮名・30代)は、後ろから異常なスピードで近づく車に気がついた。 「最初は、ただ急いでいるだけだと思ったんです。でも、明らかに距離が近すぎました」  ミラー越しに見えたその車は、数メートルも車間を空けず、何度もパッシングを繰り返していた。佐藤さんが少しでも減速すれば、衝突してしまいそうな距離だったという。 「これは“普通じゃない”って直感しました」  佐藤さんは走行車線を外れることなく、冷静に運転を続けた。しかし、後ろの車は強引に追い越して前に出ると、いきなり急ブレーキをかけてきたそうだ。 「思わず反射的にブレーキを踏みました。衝突は回避できましたけど、本当に怖かったですね」  その車はその後も、左右に蛇行を繰り返しながら挑発するように走り、再び割り込んできては急ブレーキをかけるという悪質さだった。

“通りすがりの正義”で終幕

 まるで佐藤さんを引き寄せるかのように、路肩に強引に停車。そして、「お前も止まれ」と言わんばかりに道を塞ぐような位置で待ち構えていた。 「もう完全に絡まれている状態でした。私は車のドアにロックをかけて、窓も開けず、外には出ませんでした。なにをされるかわからないので……」  やがて車から男性が降りてきて、佐藤さんの車に怒鳴り声を浴びせ、さらには車のボディを叩く行動に出た。  しかし、その異様な光景に、後続車も気づき始めたという。クラクションが鳴り、渋滞のように車が止まり出した。すると、1人の男性が車を降り、相手に向かって怒鳴り返したのだ。 「お前なにやってんだよ! 危ねぇだろうが!」  あおり運転の男性は明らかに動揺し、バツの悪そうな表情で自分の車へ戻ると、なにも言わずにその場を去っていった。 「なにがしたかったのか、最後までわかりませんでした。ただ、あれは完全に1人で勝手に自滅していったという印象でしたね」  佐藤さんは念のため、車に搭載していたドライブレコーダーの映像を保存。必要があれば警察に提出できるように備えた。 「普段はまったく意識しないけど、ドライブレコーダーって本当に重要なんだと実感しました。あの冷静さが、自分を守ったと思っています」 <取材・文/chimi86>
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
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