3 高位魔族の影

「やっぱりレインさんはすごいです」


 ラスが目をキラキラさせている。


「俺、感動しました! 一生ついていきます!」

「おおげさだよ、ラス」

「いいえ、すごいったらすごいです! なんていうか、本当にすごい!」


 すごいしか言ってないぞ、ラス。

 感動しすぎて語彙消失してる感じだろうか……。


「いや、まあ剣がすごいんだけどな」


 ちょっと照れてから、俺は魔族に向き直った。


「なあ、一つ聞きたいんだけど。えっと、ヅィレドゥルルツォ」

「ルが一つ多い。あと最後はツォじゃなくてゾだ」

「覚えにくい……」

「我が誇りある名を間違えるな」


 あっさり降参したとはいえ、名前に関してはこだわりポイントなのか強きなヅィレドゥルルツォ……じゃなかった、ヅィレドゥルゾ。


「じゃあ、あらためて聞くけど――お前自身は『星の心臓』の場所を知らないんだよな}

「ああ、だからお前から聞き出そうとした」


 うなずくヅィレドゥルゾ。


「お前の仲間はどうだ? 誰か、知っていそうな奴はいないか?」

「仲間……か。高位魔族の何人かは、すでにこの世界に降り立っているようだ。奴らの誰かが『星の心臓』の具体的な場所を知っている可能性はある」

「そいつらはどこにいる?」

「ふむ……探ってみるか」


 ヅィレドゥルゾが言った。


「【探知XXX】」


 前にも言ったけど、魔法名の後につく数字は大きければ大きいほど威力や効力が高い。


 こいつの探知って『XXX』――つまりランク30もあるのか。


 探索魔法が得意なローザと比べても、桁違いだ。

 さすがは高位魔族、ってところか――。


「……っ!?」


 と、ヅィレドゥルゾの表情が急に青ざめた。


「どうした、ヅィレ?」

「我が栄えある名を略すんじゃない」

「だって舌噛みそうだし」

「フルネームで呼べ」

「ヅィリドゥルゾゥ」

「……貴様、わざと間違えてないか?」


 ヅィレドゥルゾはムッとした顔になった。


「いや、頭の中では分かってるんだけど、口に出すときになんか間違えちゃうんだよ」


 俺は苦笑した。


「で、どうしたんだ、ヅィレ?」

「我が栄えある名を――まあ、いいか。今は特別に許可しよう」


 言って、ヅィレドゥルゾは俺を見据える。


「現在、人間界に来ている高位魔族は全部で三体。いずれも、ここから遠くない場所にいる。そして――」


 奴の表情が険しくなった。


「そのうちの一体は現在の魔界で最強と呼ばれる魔族。次の魔王にもっとも近いと称される男だ」

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