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生活保護減額で「そんたく」 厚労省が「気が気でない」最高裁判決

生活保護費の基準額減額は違法だとして受給者が国に減額決定の取り消しを求めた訴訟の上告審弁論のため、最高裁に入廷する原告と弁護団=東京都千代田区で2025年5月27日午後0時52分、内藤絵美撮影
生活保護費の基準額減額は違法だとして受給者が国に減額決定の取り消しを求めた訴訟の上告審弁論のため、最高裁に入廷する原告と弁護団=東京都千代田区で2025年5月27日午後0時52分、内藤絵美撮影

 生活保護受給者1000人超が全国で起こした裁判に「最後の審判」が下されようとしている。

 2013~15年の生活保護費減額の違法性が争われた2件の訴訟で、最高裁第3小法廷(宇賀克也裁判長)は27日に判決を言い渡す。

 厚生労働省が当時、最大10%の大幅な減額に踏み切った背景には何があったのか。論点を整理すると「民意」と「そんたく」のキーワードが見え隠れする。

 <主な内容>
 ・「ゆがみ」と「デフレ」
 ・数値を恣意(しい)的操作の声
 ・「そんたく」と言われれば

10%減額は政権公約

 08年のリーマン・ショックで失業者が急増したことで、生活保護受給世帯は11年度に約150万世帯と07年度から40万世帯近くも増加。生活保護費の増大を招き、不正受給にも厳しい視線が向けられるようになる。

 11年度に発覚した不正受給件数は全体の2・4%、金額ベースでは全体の1%にも満たないが、人気芸能人が12年、親族の受給を巡り謝罪したこともバッシングに拍車をかけた。

 世相を選挙公約に反映させたのが、当時野党の自民党だった。12年衆院選の公約の一つに給付水準の原則10%引き下げを掲げ、政権与党に返り咲いた。

 厚労相となった田村憲久氏は就任直後の記者会見で「公約に書いてある部分もあるが、しっかりと現状把握しながら判断したい」と引き下げを進める考えを示した。

ひそかに実行された「調整」

 翌13年度は5年に1度の生活保護基準の見直し時期だった。

 厚労相の諮問機関である専門家部会は13年1月、総務省の全国消費実態調査(09年)に基づき生活保護費見直しの前提となる検証結果を出した。

 報告書では、受給世帯の半数を占める「単身高齢者」の保護費は、比較対象となる一般低所得者の消費実態より4・5%低いとした。

 一方で、全体で見ればごく僅かな「夫婦と子ども2人の世帯」は約14%高いとされた。

 ところが、政府は生活保護費の中で食…

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