いずれも小学校の教員で、名古屋市の森山勇二容疑者(42)と、横浜市の小瀬村史也 容疑者(37)の2人は、去年からことしにかけて、愛知県内や神奈川県内の施設で女子児童の下着を盗撮したうえで、SNS上のグループで画像や動画を共有した疑いで警察に逮捕され、このうち森山容疑者が26日に検察に送られました。
教員ら児童盗撮事件 女児の着替えなど校内とみられる画像も
名古屋市の小学校の教員ら2人が女子児童を盗撮し、画像などをSNS上のグループで共有したとして逮捕された事件で、グループで共有されていた画像などおよそ70点の中には、女子児童の着替えなど学校内や校外学習で撮影されたとみられるものも含まれていたことが警察への取材でわかりました。警察は執務中に盗撮を繰り返した可能性があるとみて調べています。
これまでの調べで、グループは森山容疑者が管理し、逮捕された2人を含む小学校や中学校の教員10人近くが参加していたとみられていますが、グループで共有されていた画像や動画およそ70点の中には、女子児童の着替えなど学校内や校外学習で撮影されたとみられるものも含まれていたことが警察への取材で分かりました。
警察は学校などで執務中に、盗撮を繰り返していた可能性があるとみて詳しく調べています。
森山容疑者がグループ開設 メンバーを承認
名古屋市教育委員会によりますと、森山容疑者は16年前に教員として採用され、勤務先の名古屋市内の小学校では校長や教頭に次ぐ、ナンバー3にあたる主幹教諭を務めていました。
クラス担任はしておらず、学校行事などの際には児童たちの様子を撮影することもあったとしています。
警察によりますと、女子児童の盗撮画像や動画を共有するSNS上のグループは森山容疑者が開設したもので、参加するメンバーの承認などをしていたとみられています。
グループ内でのSNS上のやりとりなどから、小学校や中学校の教員10人近くが参加していたとみられ、共有したおよそ70点の画像や動画について、グループ内で「いいですね」などと評価しあっていたということです。
また、女子児童の顔に別の女性の裸の画像を合成するなどした「性的ディープフェイク」とみられる画像も共有されていたとしています。
グループは、9か月前には開設されていたとみられ、警察が実態について詳しく調べています。
別の教員の事件でグループの存在明らかに
グループの存在が明らかになったのは、別の事件で名古屋市の教員が逮捕・起訴されたことがきっかけでした。
名古屋市の小学校の教員水藤翔太被告(34)は、ことし1月名古屋市熱田区の駅のホームで15歳の女性のリュックサックに体液をつけたとして逮捕され、器物損壊の罪で起訴されました。
警察が被告のスマートフォンを解析したところ、被告が所属するSNS上のグループで、女子児童の盗撮画像などが共有されていたことが明らかになり、捜査の結果、森山容疑者と小瀬村容疑者の2人を逮捕しました。
水藤被告はこれまでに、児童の楽器や小学校の給食の食器に体液をつけたなどとして、器物損壊の罪などでも起訴されています。
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被害を防ぐために学校ができること
学校での性暴力を研究している奈良大学の今井由樹子准教授は「スマートフォンの普及でSNSを利用した性犯罪が増えていることは知っていたが、教員のグループが児童を盗撮した画像を共有し合うような事件を聞いたのは初めてで、とても驚いている」と述べました。
そのうえで、学校での盗撮被害について「盗撮のような非接触型の性暴力は、『これくらいたいしたことではないだろう』とか、『相手が気付かなければ傷つけたことにはならない』、『ほかにも多くの人がやっている』というような考えをしやすい行為だが、被害を受けた児童はもちろん、周囲の児童にもショックを与え、ほかの先生や大人たちに不信感を抱かせることにもつながる」と指摘しました。
被害を防ぐために学校ができることとしては、以下のようにルールを厳格化することなどが必要だとしています。
▽低学年であっても子どもたちの着替えの場として男女で分けた更衣室を設け、盗撮のためのカメラが設置できないように管理する
▽学校内で子どもたちを撮影するカメラは学校で用意したものだけにしたうえで、画像は学校外に持ち出さない
そして、学校や現役の教員に対しては「盗撮などの性暴力は被害者にとって大きな一生の傷になり、学校のほかの子どもたちからの信頼も崩れる重大な事件だということを忘れないようにしてもらいたい」と話しています。
性犯罪歴確認する「日本版DBS」も
大手中学受験塾で元講師が教え子の女子児童の盗撮を繰り返したり、東京の区立中学の元校長が、教え子の女子生徒に性的暴行をしたりなど、子どもが被害者となる性犯罪が後を絶ちません。
教育や保育の現場での子どもへの性犯罪を防ぐため、去年6月、子どもに接する仕事に就く人に性犯罪歴がないか、事業者がこども家庭庁を通じて確認する「日本版DBS」を導入するための法律が成立しました。
対象となる犯罪は不同意性交罪や児童ポルノ禁止法違反などのほか、痴漢や盗撮といった条例違反が含まれます。
学校や認可保育所、児童養護施設など、法律上の認可を受けた施設は確認が義務となる一方、学習塾や放課後児童クラブなどの民間事業者は任意となります。
民間事業者は、相談体制を整備したり情報管理を徹底したりするなど一定の基準をクリアすると国の認定を受けることができ、義務化の対象となります。
また、過去の性犯罪歴の確認だけではなく、「初犯」を防ぐため、子どもとの面談や相談しやすい体制作りなど、リスクの早期把握に努め、「性暴力のおそれがある」と認められる場合は、子どもと接する仕事に就かせないなどの対応を求めています。
日本版DBSは来年12月に開始される予定です。